パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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駄文更新中。 心が汚れてる……。


南の神鳥を接待

スザク。 火を使役し、大地のチカラが満ちるパーク最南方に位置する火山地帯に居を構える神鳥。

努力家らしい反面、美しさには無頓着。 お土産だって要求する。

努力家という言葉に吊られてはいけない。 ハッキリ ワカンだね。

そんで、そんな神鳥に会うべく火山地帯に突入。 マグマが噴き出て、全体的にヤバい場所へ。

如何にも地球のパワースポットな場所だが、同時に怖い。 長居したくない。 助手席にいるニホンオオカミも怖がってるし。 垂れ耳で。

 

 

「くぅん……本当に、ここにスザクが?」

 

「ああ。 篭ってないで窓開けて、いつもの様に探してくれると嬉しいなぁ?」

 

「あんじゅ の いじわるー!」

 

「はっはっ、冗談だよ。 外は暑い(熱い)し、無理しなくて良いよ」

 

 

とまあ、こんな感じで可愛い。

仕方ないから目視で探す。 こんな場所にいるフレンズなんて そうそう いない。

人影があれば目立つからな。 そう思っていたら、第1フレンズ発見!

クジャクっぽい姿だ、間違いないだろ!

 

 

「見つけた」

 

「ホント!?」

 

 

いつもならニホンオオカミのセリフなんだが、今回は俺だったな。 ふふっ。

 

 

「あっ。 本当だね」

 

「だろ?」

 

「あんじゅ の耳が得意げ」

 

「どこ見てんだよ」

 

 

おのれ、けもの耳め。 役に立ったり自尊心を傷付けたり忙しいヤツめ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我はジャパリパーク南方を守護する者、四神獣スザクじゃ。 ここまで よう来たの」

 

「おお……!」

 

 

道中、色々あったがスザクに会えた。 よし、順調。

スザクの見た目は、クジャクのシルエット。 全体的に真紅の色だが、その大きな扇状の羽根は息を呑むほどに美しく神々しい。

 

 

「綺麗だ」

 

 

思わず口に出して、不敬を働く位には。 いや、毟りたいとは思ったが やらないよ?

そこまで命知らずちゃうねん。

 

 

「うん? この羽根か。 前にも 訪れた者に言われたがの、毟るのは勘弁じゃぞ」

 

 

エスパーかな。 なんで心が読めたん?

しかし前にも訪れた者……ね。 たぶんクジャク一行かな。

アプリ世代のクジャクが ミスコンなイベントで、自分より美しい羽根のフレンズがいるらしいと確かめるために無理してスザクに会いに行ったんだよね。 この過酷な火山地帯に。

美への拘り故か。 ちょっと怖い。 俺は そこまで やる勇気も行動力もない。

今は特例で動いてますがね。 ヒトは信用出来ないのです。

 

 

「やりませんよ。 それより、その……此方を納め下さい!」

 

 

スザクの性格を考え、接待を開始。

真面目らしいのだが、こういうのには弱い。 薄い記憶を頼りにアレコレ行う。

 

 

「おお! ジャパリまんじゅう か! 気が効くのう」

 

「それからマッサージをして差し上げます」

 

「おお、気持ちが良いんじゃ」

 

「ニホンオオカミ、扇子で扇いであげなさい」

 

「わかったー!」

 

「おおー、コレが涼しいというヤツか。 良きかな良きかな」

 

 

心地良さそうなスザクさま。

計画通り。 スザクの背後で肩を揉みながら、ドス黒い表情を浮かべる俺は悪魔染みているかも知れん。 くくっ。

だが、それも長くは続かない。 突如として空よりやって来た、新たな来訪者が原因だ。

 

 

「あんじゅ、こんな所にいましたか」

 

「要求を踏み倒すとは。 タダ働きはしないのです」

 

「しないのです。 お礼を受けるまで 付き纏うですよ」

 

「コノハ博士……ミミちゃん助手! 俺の邪魔をしに来たか!?」

 

 

虹色のけものプラズムを散らしながら、降り立ったはコノハ博士とミミちゃん助手。

おのれ……かぐや姫じゃないんだから。 いや、あの話とは かなり違うが。

 

 

「おお。 また会ったの。 どれ、ジャパリパークの歴史について、また語ろうかの」

 

「大変興味深いのですが、今は背後の あんじゅ職員に用事があるのですよ」

 

「スザク、気をつけるです。 ドス黒い表情をしてるのです。 油断していると、また毟られますよ」

 

「お前らに言われたくねぇよ!?」

 

 

普段はクジャクの羽根を毟っているヤツらに言われたので言い返した。

おのれ、ヒトを一方的な悪者にしやがって。 俺的には お前らも悪寄りだ。 フレンズだが、その純粋さを全ては認めん。 認めんぞ。

畜生のフレンズ。 車の件は感謝こそすれ、評価はソレだ。 特に今ので。

 

 

「なに!? おい、それは本当か!?」

 

 

ハッとして背後の俺と向き合うスザク。 近い、近いです。 美人がドアップです。

 

 

「む、毟りませんって」

 

「そうではない。 職員といったな?」

 

 

え? そこですか。

職員だとマズいのだろうか。 隠しているつもりはないけど、フレンズ化しているし面倒ごとは嫌いだから、自分から語る事はしなかったんだがな。

 

 

「そうですが……今は休業中でして」

 

 

後ろめたさから視線を逸らしてボソボソ言うと、

 

 

「おお! やはり あの あんじゅ職員か! 話には聞いておるぞ! いつか迎えに来ると待っていたが、今日であったか!」

 

 

はっはっはっと豪快に笑うスザクさま。

どうやら正解だったらしい。 良かった。 敵意を向けられるかとヒヤヒヤしたよ。

真面目ちゃんらしいからね。 休業理由が職務放棄なもんだから、叱られるかと思ったわ。

でも、何とかなりそうだな。

 

 

「はい。 共にパークの危機に立ち向かって欲しいのです」

 

「良いぞ! では早速、あんじゅの家まで案内してくれ! 付いて行こうぞ」

 

「あのー、我々は」

 

「賢い我々は」

 

「すまん! 話はまた今度だ! 若しくは 付いてくるが良い!」

 

 

そう言って車に乗り込むスザク。 羽根が凄いので、狭い車内がスンゴイ事になってる。

隣に乗っているニホンオオカミが見えないよ。 大丈夫か、あれ。

 

 

「なら我々も行くのです」

 

「あんじゅに お礼を受けるまでは──」

 

「すまねえ、これは3人乗りなんだ」

 

「「嘘つくんじゃねぇです!?」」

 

 

修理に関わった博士ズを置いて、アクセル全開。 ズラかる俺ら。

またも暗黒面に落ちた俺の顔。 いやはや、ゾクゾクしちゃうね。 アバよとっつぁん。

 


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