メイド達は新しくコックとして配属された人間を見ていい印象を持っていなかった、その人間は男でとても大柄だ。
「ねぇシクスス、あの人間どう思う?」
「私に聞かれても… アインズ様がお決めになられた事なんで何とも言えないわ」
っとメイド達の反応はこんな感じだ、しかしそのメイド達が美味しそうに食べている料理の殆どがこの男が作っている事は一部の者しか知らない事だ。
何事もなく過ごすナザリックのある日、あのコックが何やら妙な動きを見せているとメイド達の間で話題になった。
メイド長のペストーニャはメイド達にそんな事は無いと説明するのだが一向にその話題は消える事無く今に至る。
そんな中メイド数人がその事が事実なのか確かめるべくコックの行動を監視することになった。
「ほ、ほんとに行くんですか?」
「確かめないと、もしアインズ様に危害を加えるのであればそれは… あぁ!」
「まだそうだとは決まってないからね…」
この様な感じで尾行はスタートした。
先ずコックが向かったのは第六階層の菜園である、ここでは特に変な行動は見せずただ食材を収穫していた。
そしてその日は厨房に戻り食事の仕込みをしたり夕食を作ったりして終わった。
次の日、コックは一日中厨房から動かなかった。
そのまた次の日六階層の菜園へ行きまたその次の日は厨房で仕事をする、こんな日々をメイド達は観察していた。
「はぁ、何にもおかしい所なんてなかったね」
「けど… まだ動いてないだけで!」
「いやいや、これだけ監視して何もなかったらもう何もないよ」
そんなこんなでメイド達のコック観察の日々が終わったのだった。
『こちらケーシー・ライバック、監視を逃れた、これより作戦に戻る』
『了解したライバック、引き続き作戦を実行せよ』
コックは誰かにメッセージを用いて通信をした、その声はこのナザリック内では知らない者は居ない程の者だ。
そんな通信を終えコックは動き出す、向かった場所はアインズの自室。
誰にもバレないよう慎重に動き、時には息を殺してメイドの背後を付いて行き、またある時は巡回の者にバレないよう天井に張り付き目的地へ向かった。
そうしてバレない様にアインズの自室の前まで来た時背後から声をかけられた。
「人間風情がアインズ様になんの様かしら」
コックは振り向くとそこには殺気を振り撒き今にも襲ってきそうなアルベドが居た。
「さぁな、ただ俺は用事があって来たんだがな」
コックはとぼける、しかしそんな事は通用しないようだ。
「とぼけるな! それなら堂々と来るはず、しかし貴様はコソコソ隠れて来ていたでしょう!」
一触即発、もう逃げられないと悟ったコックは隠し持っていた包丁を手に構える。
その頃アインズは一般メイド達の行動や性格といった情報を報告しに来るコックを今か今かとワクワクしながら自室の椅子に座りながら待っているのだった。
洋画 沈黙の戦艦(英 Under Siege)のケーシー・ライバックです。