緋弾のアリア 円盤は静かに転輪する 作:新月の時を待つ人
ああ^~退職届とか叩き込むタイミングとかよくわからなくて二回どころじゃないくらいに人知れず慟哭したぜ。
なんか毎回書いてるたびに思う事として……もしかして毎回一万字近く書かなくてもいいなこれ? その方がペース上がるんとちゃうか? 一つ一つの話としてまとめやすいんじゃねーか? みたいな自問自答をしつつ書いていたらこのザマだよ!
あ、あと特殊タグとかフォント変更とか使ってみると面白いよね、これ使えばあの表現ができるやん!とかここはデカくすれば伝わりやすいな……とか考えながら使うとたのちい(語彙消失)
なので実質初投稿ですかねこれ?(意味不明)
「なんじゃああああこりゃあああああああああ!!!!!」
一日家を空けて帰ってきてみれば玄関は焼け焦げ、居間にある家具は無傷なものを探す方が難しく、廊下の床と壁はベッコベコに凹み、銃弾がそこらかしこに埋まっている。
「キンジ、説明を頼む」
「地震娘と台風娘がここを戦場にしてズタボロにした」
丁度部屋の隅に神崎・H・アリアが、その反対の隅に星伽白雪が背中を預けてぐったりとしていた。なんで?(殺意)
「いや、見れば嫌でもそうなんだろうなあ、と分かるとも。なんでここを戦場にしてズタボロにしたのかって聞いてんだよ。一応ここの借主俺、お前、ルームメイト。わかる? この罪の重さ……」
「冗談はよせ、あんな怪獣大戦争に巻き込まれたら死んじまうよ……」
こいつ、まさか……収拾がつかないからと言って病み上がりの俺にこれをどうにかしろと。さっき意識戻ったばっかなのにこんなよくわからん状況だけど確実にハードワークだと理解せざるを得ない状況をどうにかさせるつもりなのか? おいキンジ、目を逸らすな。こっち向け。
ただこの件に関してあまりキンジを責めるのは酷だ。元凶はそこのお二方のようだし、お疲れのところ悪いが事情聴取といこうか。
「なぁ、アリアさんや。どうして俺が帰ってきたら部屋が目も当てられないことになっているんだい?」
「そこのウシチチ女が……いきなり奇声を発して襲ってきたから……ボコボコにして返り討ちにしようと思ったんだけど……意外としぶとくて……」
……
「それじゃそっちで巫女服に額当てまでして完全武装の星伽白雪さんよぅ、なんで奇声を発してアリアを襲ったのか教えてくれるか?」
「だって、キンちゃんがっ、アリアに寝取られちゃうからっ、もし本当にそうならアリアを殺して私も死にますぅ――――ッ!」
??????????
ちょっとダメかもしれない。向こうからしてみればこのような状況になった理由をこれ以上なく端的に説明しているのだろう。ただ、同じ日本語を話している筈なのにまるで訳がわからん……普段の姿を知る身としては想像もつかない程に支離滅裂だ。イカれているのか……?
「な、なぁキンジ……もう少しその時の詳しい状況とかわからないのか? これじゃあサッパリだぞ」
「わからんから困ってるんだろうがッ、どーにかしてくれ掟造」
これでは埒があかない……最も手っ取り早い方法を使うことにする。
「ホワイトスネイク、星伽さんの記憶を引っこ抜けッ! DISCをさっさと戻せば悪影響はないはずだ!」
「えっ? 如月君の後ろになにかい……#$%&!?」
命令をするや否や、ホワイトスネイクの手刀は星伽白雪の頭を掠めるようにしてDISCを抜き取ったがホワイトスネイクは意図せぬ汚物を触ってしまった、と言わんばかりの嫌そうな顔をしていた。記憶のDISCを抜き取られて倒れこんだ星伽白雪を尻目にすかさずそのDISCを自分の脳に差し込んで記憶を覗き……吐きそう。
記憶は読み取ったものの、その間ずっと「キンちゃんキンちゃんキンちゃんキンちゃん……」と壊れて正常に動かなくなったラジカセのような音声が流れ込んできた。あと数分抜き取るのが遅かったらしばらく頭がどうにかなっていたかもしれない。
「あ"あ"~頭おかしくなるとこだった……まあなんだ、片付けはまた明日するとして、先にキンジとアリアが抱いている疑問を解決してやらんとな……ほら、そこらへんに座った座った」
促されるままに二人は床に座る。よくわからない破片が散らばっていない場所を慎重に選んだ上で、だ。その破片はどことなくテレビやテーブル……他のものも壊れているような気がする。ただ、もうこれ以上壊れたもののことをどうするかという事を考えたくない。それだけである。
「ほいじゃあ如月掟造監修の『超能力・スタンドとは何か』の講義を始めま~す。はいそこ遠山キンジ君、自分が苦手そうな科目だなぁ……とか思って目と耳を塞がない。説明求むとか言っておいてそんなんじゃ死ぬぞ~」
『こっちから頼んでおいてその態度はダメよ』と言われつつアリアに銃撃されながらもキンジも嫌々話を聞く態勢を取る。それを見て少しほっとした。少しでも知っているのとそうでないのとでは生き残れる確率が断然変わってくる。自分がいないところで襲われでもしたらどういう訳かスタンドを視認できるアリアは兎も角、キンジはあっさり死んでしまいそうだったからだ。
「じゃ、まずは超能力について。本当はそこでまだ寝ている星伽さんの方がよっぽど詳しいだろうが、今はざっくりと超能力について理解していればそれでいい。例えば何もないところから火や水を出してそれを操ったり……
「……じゃあお前の使うスタンド、ってのは超能力とはどう違うんだ?」
「そう焦りなさんな……『スタンドについて』で説明してやっから。まあ先取りして回答するなら『既存の超能力とは異なるルールにある超能力』といったところか」
「超能力研究って最近始まったばっかりって聞くけど……掟造、アンタ実はSSRでもやっていこうと思えばやっていけるくらい詳しいんじゃない? 違う?」
鋭い。流石は『
「それはまたの機会に答えよう。で、超能力者ってのは四つの区分に分けられている。Ⅰ~Ⅳって感じにな。これは超能力を発動する為に何を媒介にするかってものだが……Ⅰ種は体内にある成分をエネルギー源、とどのつまりガソリンみたいなもんだ。例として挙げるなら糖分や塩分だな。それともドラゴンボールの『気』に例えた方がいいか?それを消費して能力を使うタイプ。Ⅱ種は物質・エネルギーに類する物を消費するタイプ。Ⅰ種との違いは消費するものが体外にあるってことだ。それこそそこらへんに落ちている金属だったり蛇口を捻ったら出てくる水とかな。珍しいものだと霊的なものを使用するのもこれに属する。こっちは体内に成分を溜めておくⅠ種と違って対応するものがその辺に合ったらそれがそのまま武器になるって考えるといいかもしれん」
「Ⅲ種についてだが……基本的にⅠ種とⅡ種の複合型ってところだが、空間内に存在する未知の……なんかよくわからんけど凄いパワーを使って発現するタイプの超能力だ。ただ、Ⅲ種だからといってⅠ種よりも優れている、という訳ではない。超能力の出力ってのは個々人で差があり、似たような能力でも実際には少しだけ違う……らしい」
しかし喋り倒しているせいで喉が渇いてきたな……冷蔵庫の中に入れてあるコーラをぐびっといきたいところだが、もう少しだけ我慢、我慢……
「で……最後に、Ⅳ種についてだが……Ⅰ~Ⅲ種の複合型、或いはそれ以外の方法で超能力を発現する能力者。ぶっちゃけていうとよくわからん、説明するにも現状だと説明しきれん!そんなのを全部ここにぶち込んでふわっと区分されているのがこれ。突然ですが問題です。スタンドは『見える奴』と『そうでない奴』がいる。その条件は……はい神崎さん、答えてください」
「……そうね、理子も同じような能力を持っていた、だから同じ種類、この場合は『スタンド』に分類される能力を持っていることかしら?」
アリアは少しだけ逡巡し、自分の少し後ろの虚空を眺めていた。ホワイトスネイクが見えないことを不自然に思っているのだろうか。
「正解。スタンドにはいくつかのルールが存在している。そのうちの一つが『スタンドはスタンド使いにしか見えない』だ。例外はあるが普通の人間には目視はできない。恐らくアリアの場合、スタンドの才能があった……だから見えた。そして『スタンドにはスタンドでしか触れることはできない』これがあの時キンジにさっさと逃げろって言った理由。で、これが厄介なんだが……スタンド使いってのは『スタンド使い同士惹かれ合う』因縁や宿命めいたものとでも言うべきか……相手のことを知らずとも自然と、な」
……磁石のS極とN極の様に、地球に働く万有引力の様に、単純な人の縁よりも深く太く、意図せず繋がり合ってしまう。
「つまり掟造、アンタにくっついていればそのうち理子を捕まえる機会が来るって事ね。それで超能力とスタンドの違いは一定の法則・基準が存在かどうかという点かしら? ……なんとなく違うような気もするけど」
「
「……理子みたいに捕まえないといけない相手の場合はどうすればいいの」
撃鉄をカチカチさせて脅すのはやめてほしい。普段であればもう撃ってそうなものだが。尋問が拷問になる前に次へ移らなくては。
「スタンド、という名前の由来は
逃げるって単語を出した途端に壁にこれ以上穴を増やそうとするのはやめろ。今度やったら『ももまんをももまんと認識できなくなる』DISC入れようかな……
「スタンド戦は基本遭遇戦でな、先にスタンド攻撃を受けた方が不利になりがちだ。しかし、それは情報を垂れ流しにしているようなもんで、攻撃を受けた側はどうにかして能力の影響下から逃れつつ何らかの対抗手段を講じる……これがこの場合の『逃げる』だ。まあ、中には本当にどうしようもないやつとかもいたりするからこの場合は本来の意味での『逃げる』を行った方がいい」
「相手の能力、射程距離、スタンドそのもののパワー……これを戦う最中に正確に読み取り、逆転の一手を打ち、勝利をもぎ取る。これがスタンド使いと他戦う上での流れだ。そして最後に何が何でも諦めないという事が大事だ。以上で『超能力とスタンドについて』の講義を終了するッ!」
本当は黒板なりホワイトボードなり用意した上でやった方が効率よくできたんだがな……何かを教えるというのは嫌いじゃないが、どうにも性に合わないというか……不思議な話だが自分でもそういったことをやり慣れている、そんなような気がして少し驚いている。すらすらとどのような筋道で話していけばいいのか、どうすれば相手が噛み砕きやすいのか。これも記憶を司るスタンドに目覚めた影響とでもいうのか?
「それじゃ後はそこで気を失ってる星伽さんを起こしてお開きにすっか。ホイっとな」
忘れぬうちに戻しておかなければ。あまり長い事抜き取ってしまうと後々の説明が面倒すぎる。DISCを抜き取ってからせいぜい30分程しか経過していないから幾らでも誤魔化しようはあるが、この行為の真の恐ろしさを知られでもした日には顰蹙を買う事間違いなしだ。
「んんっ……あれ? 私……?」
「星伽さんは悪い夢を見ていたんだ……大体キンジは女嫌いで通ってるんだからアリアと口に出せないような仲になっている筈ないんだ。だから今日のところは帰って頭を冷やした方がいいんじゃないかな? ほらキンジももう疲れてるみたいだし。なあキンジ?」
というか帰ってくださいお願いします。いつバーサクモードになるかどうか気が気じゃないんで勘弁してください。誤魔化すにしてもこれでどうにかなるとか全然思わないんでこれ以上部屋ぶっ壊さないでください頼みます。
「口に出せないような……? じゃ、じゃあキンちゃんとアリアはキスとかそういうことは……していないってこと?」
ヤバいッ! 完全に藪蛇だったッ!
頼むから妙なこと言わんでくれよキンジ……!
「べっ、別に変なことははは、やってててっ、いないっっ!!」
ダメそう。お前そんなにポーカーフェイスダメだったっけ?
いやこの反応は……あっ……まさか一線超えちゃったの……? 何してくれちゃってんの?
いやまだだ、まだ星伽白雪が感付かなければ……
「こっ……子供はできてなかったから!!」
アリア何を口走っているっ……! これはもうフォロー不可っ……! 一線を越えるどころじゃない、思いっきりぶっちぎっている……!
というより子供ってまさか『セ』から始まるアレか? やったという事実よりもいつの間にやったかって方が気になるんだが……マジでしたのか?
「し……た……の、ね」
やったのか、やっていないのか。そんな第三者たる自分からしてみれば普段であればどうでもよく、しょうもない……と切って捨てるような出来事を底冷えするような声がそうはさせない、と言わんばかりに現実へと引き戻してくる。
般若の面というのは女の嫉妬や恨みの篭った女の顔を模したものであり、転じて憤怒の形相といった意味を持ち合わせているというのはよく知られている。星伽白雪の巫女服と濡れ烏色の毛髪と相俟ってそれはまさしく鬼女と呼ぶに相応しい姿であった。
この世に神が存在するというのであれば自分は前世で何やらかしたんですか? と聞きたい。このような状況に置かれるのが償いとでもいうのですか。そんなことを想いつつ更なる喧噪に包まれた居間からその場にいる三人に感付かれないように静かに抜け出し、亀の飼育槽の置いてある部屋へと逃げ込んだ。ああ、ドスンとかボコッとか嫌な感じの鈍い音がする……床になんか重いものでも落っことしたか。
床に体を大の字に投げ出し、目を瞑る。次に目が覚めたらきっと床もピカピカだし壁もスベスベ、落書きしたくなるくらいに綺麗になっているに違いないんだ……そう、今さっきの出来事はすべて夢なんだ……
これ以上部屋が壊れたら(物理的にも精神的にも)死んでしまうので誰でもいいから助けてください。何でもしますから。
(後書きは今回は)ないです。次回はみっちり書きたい。メガテンⅢリマスターが楽しみです。