プレイヤーはそれぞれが村人と村人に化けた人狼となり、自身の正体を隠し欺いたりしながら他のプレイヤーと交渉して相手の正体を探る。ゲームは半日単位で進行し、昼には全プレイヤーの投票により決まった人狼容疑者1名の処刑が、夜には人狼による村人の襲撃が行われる。これらによって死亡したプレイヤーは以後ゲームに参加できない。全ての人狼を処刑することができれば村人チームの勝ち、生き残った人狼と同数まで村人を減らすことができれば人狼チームの勝ちとなる。
解離性同一性障害(英: Dissociative Identity Disorder ; DID)は、解離性障害のひとつである。かつては多重人格障害(英: Multiple Personality Disorder ; MPD)と呼ばれていた。
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分厚い瞼が開かれる。
金色の虹彩に漆黒の瞳孔が浮かぶその瞳は、全ての人間が瞼を閉じた、真夜中の暗闇に冷たく冴える光を放つ。
ゆっくりと起こされたその体は、バサバサとした粗く力強い硬毛に覆われており、全身の筋肉は繊維の一本一本が鋼鉄で編まれたかのような強靭さを秘めている。
一寸先の闇に溶けるように自室から姿を消した獣の足音は無く、狙いの獲物の部屋へと進むその歩みは人間に知覚できるものではない。
獣は、既に獲物を間合いに捉えていた。
刹那の間に鋭い爪は獲物の柔らかい肌へ食い込み、その肉へ牙を突き立てる。
伝わってくるのは温かい血と肉の香り。
口内へ広がるそれは、冴えた獣をも狂わせる命の味だ。
抗うことなど到底できない。獣の爪牙は、最初の一撃で獲物の命を奪っていた。
夢中になって肉を貪る獣だが、徐々に冷たく硬くなる獲物の体。
あらかた美味い部分を食い尽くし満足したのか、血に濡れた爪と牙をそのままに、獣は来た道を引き返す。
そして自室へ戻った獣は、寝床へ体を横たわらせ、静かに瞼を落とす。
やがて鋭い爪や牙は桃色の薄い爪に、硬毛は抜け落ち空気へ溶けた。
そこには獣の姿は跡形もなく、緩やかな寝息を立てる人間の姿があった。
体を揺り動かされる感覚と共に、徐々に意識が浮上する。
「おい、どうしたんだ雅史。雅史!」
ぼやけた視界はピント調節が完了すると、鮮明に色彩を取り込み始める。
眼球の幕は上りきり、焦燥と不安に彩られた表情をした友人の姿を認めた。
「明日の朝に終了が知らされるんだよな?
もう俺たちは帰れるんだよな!?」
その筈だ。僕が頷くと心底安心したように涙を流す彼。
二人抱き合って喜びを分かち合う。
お互い返り血に濡れていて、その鉄臭さが鼻を刺す。
僕らはつい先程、人狼の可能性がある最後の人物を投票で処刑した。
僕はもちろん村人。そして目の前の彼も村人だろう。
気づいたら見知らぬ土地にいて、この狂ったゲームに参加させられた当初は不安と孤独感にどうにかなりそうだった。
そんな時にこいつは、自分だって辛いだろうに僕の不安を取り除こうとしてくれた。
今までありがとう。
ようやく終わるんだ。
さア、今夜はユッくリ休モウ。
やバイ、口角が上ガルのを抑エルこトがデキナイ。
──ソノ夜、最後ノ人間ノ首ヲ引キ裂イタ。
──チョット、難シカッタ。
──人間ハ泣イテイタ。
──最後マデ、叫ンデタ。
──ごめんな。
朝が来た。
『人狼側の勝利です』
何故か、視界が滲んでいる。