【ONE PIECE】天駆ける竜   作:柚木 彼方

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13.クソガキ

おじいさんは、私に色々なことを話してくれた。

 

おじいさんが「オペオペの実」という悪魔の実の能力者であること。おじいさんはもう治せない病にかかっていて、命があとわずかしかないということ。治す気はないから今日なにか治療したらベッドで死を待つのみにしようと思っていたことなど。

 

だから私を見つけて治療したものの、体力を使いすぎてもうお迎えが来そうだな、なんて思っているらしい。

 

 

「おじいさん…そんな…」

 

「はっはっは! なぁに、すぐ死ぬわけじゃないわい! …ああそうだ、お前、船はいらんか?」

 

「へ?」

 

 

いきなり何を言い出すかと思えば。

聞けば、昔船で旅をしていて、そのときの船が未だのこっているらしい。中には珍しい品や道具、探せば悪魔の実もあったような気がするし、死ぬときに多くのものは遺したくないらしい。

だから、だったら私がもらってくれた方がいいと。

 

 

「それにほれ、お前家族を探したいんじゃろ? ここは世界政府非加盟国じゃからな…お前の家族はここにはもう居らんと考えるのが妥当じゃ。ずっと居れるほど治安もよくないしな」

 

「おじいさんは、街の外れに住んでますもんね…」

 

「ああ。…それに確か、つい昨日…お前がまだ寝ていたとき、海軍の船が一隻きたな。もしかすると保護されとるかもしれん。情報を集めるのも、手かもな」

 

「お、おじいさん…っ」

 

 

なんて優しいひとなんだろう。

厳しいけど、優しい。…くーっ。こんな旦那がほしい。なんて、14歳が思うくらいにはおじいさんイケメンだった。

 

 

「というか、船に悪魔の実があるんですか?」

 

「ああ。…わしの妻のものがな」

 

「お、おお……」

 

「形見にと、亡くなってから必死に探したんじゃ。だが…もういいさ」

 

 

ま、やっぱり奥さんいますよね。いるに決まってるわ、うん。

おじいさんの言っていた扉を開けると、…なるほど、ヨットみたいのじゃなくて、しっかり船室もあるそれなりにでかい船だった。すごい、いいやつだ。丈夫そうだし。

 

きい、と扉を開けると少しホコリが積もっていた。後で掃除しよう。

入ってすぐキッチンがあって、ベッドもあって、お風呂もある。すげー。

奥は倉庫になっていて、…あ、これかな悪魔の実。四角い…長方形の、ふしぎな形してる。

 

 

「ーーそりゃあな、『リモリモの実』だ」

 

「え!?」

 

 

いきなり後ろにいたおじいさんにも、「リモリモの実」っていう名前にも驚いた。

なに、リモリモって。

 

 

「これを食べたものは、リモリモの実のリモコン人間になる。超人系じゃな。時を進めて未来を見たり、過去の映像を見たり、時や物の動きを止められる。また使いこなせば、ものを操れるようにもなるぞ」

 

「な、なにそれ…」

 

 

リモコン人間? ってことは、機能を聞く限り…テレビのリモコンとかと、おんなじ感じか。早送り、早戻し、一時停止。…あれ、操れるってどういうこと?

 

 

「リモコンはテレビだけじゃなく、ラジコンなんかもあるじゃろう? 無機物や意思のない物ならば自在に操れるようになる」

 

「す、すごい」

 

「ただ…早戻しで過去にいっても、干渉はできんぞ。過去の自分の目線で『再生』されるだけじゃ。未来を見るのもまたそう…見るしかできん」

 

「一時停止は?」

 

「それは干渉はできる。だが…あまり長い時間時を止めると、反動で自分の過去に飛んでしまう。…『五分』だけな」

 

 

それからいくつかおじいさんに質問をして…なるほど? リモリモの実、か。

 

 

「食べます!」

 

 

これで少しは強さというものが分かるかもしれない。面白いことがあるかもしれない。

泳げなくなったって構わなかった。

やりたい、と思ったことをやってみたかった。

 

構わない、お前は妻に少し似ているから、と豪快に笑ってくれたおじいさんは、私に生きる術を少しと、応急手当の方法、食料と電伝虫を渡してくれた。いつでも連絡をいれろ、と笑った。

 

 

「もう無茶はせんか?」

 

「う…た、たぶん」

 

「自分を蔑ろにするんじゃないぞ」

 

「はぁい」

 

「怪我がないようにな」

 

「ありがとうございます!」

 

 

怪我を治してくれて、さらに船までくれた。

優しすぎるので理由を聞いたら、目をそらしたおじいさんだったけど、その耳が真っ赤だったのを私は見ていた。かーわーいーいー!! 奥さん大好きか!!

 

 

「振り向くんじゃないぞ、いいな! まっすぐすすめよ!」

 

「うん!」

 

「はっはっは! 頑張れよォ、クソガキ!!」

 

 

おじいさんがぐっと親指を立てて、いつまでも私を見送ってくれた。

見えなくなるまで、ずっと。

 

 

ーーーあのあと、おじいさんの渡してくれた電伝虫で何度か電話をかけたけど、繋がらなかった。…理由は、あんまり考えないようにしてる。

けれど、おじいさんの渡してくれた物と、命。それから言葉。思い出す度、お腹と左手の縫い傷が熱くなる。

 

 

(頑張るよ、あなたの救ってくれたクソガキは)

 

 

しゃり、と不思議な果実をかじった。

 

 

「ーーー~~ッ、マッッッズ!!!??」

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