1.捜し物は何ですか?
さて、これからどうしよう。
波に揺られてゆらゆら。呑気なロレンソはこれからのことを一生懸命(?)考えていた。
なんてったって今まで正真正銘の箱入り娘だったのである。世界貴族だったのである。海の勝手なんざわからないし、航海術なんてあるわけない。詰んだ。
あるのは自身の能力と食料、そして宝石類。あと船と愛。
海賊なんかに襲われたら活用できるのは能力くらいしかないような、行き当たりばったり少女。
軽く詰んだし船は海に任せっぱなし。
今まで家族のために頭をフル回転させていたツケでも回ってきたのか、考えていることと言えば空あおーいとか呼吸たのしーいとか、そんなことのみである。もうだめだ。
(家族捜さなきゃなあ…でもあのドフィが大人しく海軍なんかに保護されてるかな…? というか今まで何があっても私たちを見捨ててきた海軍が、私たちを保護するか?)
いろいろと考えれば考えるほど可能性はぎゅんぎゅん萎んで、ロレンソのやる気も萎んでいった。
あんな窮地に立たされていない上、今家族はここにいない。しかも安全かも知れないなんて可能性があると、なんだかやる気も失せてしまうものだーーなんて。
(だ、ダメ。ダメダメダメ!)
私が一番に諦めてどうする。
私は長女、私は長女。家族を守る義務が…アッ、自分は蔑ろにしないように、家族を守る義務がある。うん。
ドフィやロシーのかわいい顔を思い浮かべて、頬が緩んだ。あんなかわいい弟たちを放ってなんかおけるもんか。捜さないでいられるかってんだ!
……でも、なーんにも情報がないんだけどね?
何も言わなかったから気づかなかったかもだけど、実は私、船で旅立ってから余裕で1週間くらい経ってるから。もう。早いでしょ? 時なんて早いもんなのよ、これがさあ。
その間あったことなんていったら、海賊に襲撃されたけど逆に海に落としたとか、なんかでーっかいウミヘビ? みたいのが居たからそれを倒したりとか、ハリケーンに巻き込まれそうになって慌てたとか、そんな程度。
ちなみにウミヘビはあのあとからずーっとついてきている。
能力を使って動きを読んでボッコボコにしたら気の毒なくらい寂しそうな顔ですりよってきて、頭の上に「仲間にしますか?」の表示がでそうなくらいだったから、連れていくことにした。ごめんねドフィ、ロシー。姉上変なペット連れになっちゃった。それでも迎えにいくからね。
正直言うとここまで弟たちに執着する理由は何だって感じだけど、生存確認できたらそれでいいかなって感じもする。
生きててほしいから捜すけど、無理に私と一緒に暮らさせようとか、目の届くところに居させようとか、そういう気はないかな。
うん、とひとりで頷いていたら、ウミヘビくんがシャーッと鳴いた。え? お腹すいたのかな?
……少しだけど、弟たちのお守りから離れたせいか私は達観的というか、のほほんとした人間になってるっぽい。
「ごめんねぇ、お腹すいたよね、ドフィ二号」
「!?」
「ん? あ、ゴメン。なんか機嫌いいときの弟と似ててつい」
適当に口をついて出た名前で呼んだら怒った。やめてやめて、いくら私でも君の牙にある毒はつらいよ。
このウミヘビくん(ドフィ二号)の牙には毒が入ってて、噛まれたら終わりだ。甘噛とかもシャレになんない。
あと、なんか液状のものを多少お腹にためておくことができるらしくて、能力者の海賊がきたら海水でもぶっかけてもらおうかな、と考えている所存。
「お金稼がなきゃな…弟捜すにしても何にしても。ねえドフィ二号」
「シャーッ!!」
「ふ、不満か! え、えーっと、名前、名前ね……」
どうやら二号は嫌らしい。
仕方ないなあ、と考えて、まあ鳴き声とかから取るのが妥当かなと。
「じゃあシャーくん」
「………」
「わ、わかった! シャクなんてどうだ!」
「…シャーッ」
仕方ないからそれで許してやるよ、みたいな顔された。
ネーミングセンスなくてごめんね。
だって名前なんてつけたことないし、あったって白犬にシロ、くらいだもの。
「じゃあシャク。私はこれから何をすればいいと思いますか!!」
いやウミヘビに聞くってのもおかしな話だけど。
答えが返ってくるわけもなし、私はため息を吐いた。
ウミヘビにまでアイデアを求めるようになるとは。こんな情けない姿、弟たちには見せられないなあ、と。
ーーそのとき。
「…っぶ!?」
顔に何かを投げつけられた。危ない、これが銃弾とかだったら完全に死んでましたね、と冗談にならないことを考えた。
放られた方を見れば、なんだかムスッとした顔でシャクが立って(?)いる。
放られたものは……宝石類と、商船のチラシ? なにこれ、ずいぶん前のチラシじゃーん、なんて眺めてーーハッとした。
そっか、宝石類売ってお金つくって、ここの船の珍しいものとか売ってまたお金にして珍しいもの買って、売って……商売すればいいじゃん!
そうすれば人脈も広がるし、弟たちの情報が出てくるかも。
「シャクお前天才かー!!」
ヘビだと思ってナメててごめんね。
救いのシャクだ。
そうと決まればさっさと行動。
ええと、換金できるとこってここらにあったっけ、と私は素早く地図を見る。昔の地図だけど、今と変わんないはずだ。
そうして地図で島を見つけたら、シャクの首に縄を引っかける。シャクはその毒で海獣も仕留めるから用心棒的にちょうどいいし、航海術のない私の船を引いてくれる頼もしい存在だ。
「早速れっつごー!」
こんなにテンションが上がることって今までなかった。
やっぱり少しお守りから離れたのは正解だったかも。まあもう弟たちに会いたいけど。
にひ、と笑うとシャクの頭を撫でて……さあ、家族捜しの旅へ!
オリジナルキャラクターぶっこみ、すみません。
ロレンソの子供らしさというか、今まで封じ込めてたものが少し爆発した性格になっちゃいました。長女って、大変なんですね。
たぶん私が姉だったら、ロシーよりドフィを可愛がっちゃうかもしれません。
私が単にドフラミンゴ大好きっていうのもあるんですが、わがままな弟って可愛いですよね。
ロシーのドジっ子もかわいいと思うんですが、どちらかと言えば大きくなってからの方が可愛いかな? とか思います。皆さんはどうでしょうか。
もしかしたらこれからも後書きに、関係無い話をぶっこむかも知れません。
邪魔だったら言ってくださいね。