【ONE PIECE】天駆ける竜   作:柚木 彼方

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4.エゴイスト

結果から言えば、私の初仕事は大成功であったと言える。

 

まず始めに頼まれたのは、ここら一帯の海獣の鎮圧。これは楽勝だった。シャクの力をもってすれば。

海獣たちは天敵とも言えるシャクの登場に顔をひきつらせ、慌てて海中に逃げていった。

立ち向かおうとして来た海獣は、シャクのゴハンになりましたとさ。めでたしめでたし。

 

次に配達。この北の海(ノースブルー)から海軍本部のあるシャボンディ諸島まではかなりの距離あるぞ、と言われたがそんなのは関係無かった。船内の扉からシャボンディ諸島のよく知らない酒場のドアへワープ。シャボンディの人たちには酒場から出てきたようにしか見えないだろうが、私はたった今、北の海(ノースブルー)から来たのである。

 

お届け物でーす、北の海(ノースブルー)の海兵さんから、と海軍本部の前に立つ人に声をかけて荷物を渡すと、驚かれた。送った日付が今日じゃないか、と。

そうですよー、なんて白々しく渡して印鑑をもらうと、私はまた颯爽とここに戻ってきたわけだ。

 

 

「君は…すごいな。一体何者なんだ?」

 

「何でも屋です!」

 

「いや、それは知っているさ。名前は?」

 

「え!? うーん…」

 

 

ドンキホーテ・ロレンソなんて名乗った暁には、面倒なことになりそうだ。なんてったってドンキホーテ。なんてったって元天竜人!!

 

 

「…な、何でも屋です」

 

「名乗れないと言うわけか?」

 

「いやあ…その。私の名前は何でも屋ですってことで」

 

 

誤魔化すように笑えば、仕方ないと言うようなうなずきが返ってきた。

 

そうして海軍さんたちは去り、私はホッと息を吐くーー間もなく、忙しくなっていった。

なんとなんと、海軍さんたちの評判のおかげか「何でも屋」なるものの噂はぐんぐんと広まり、電伝虫が鳴り止まなくなってきたのだ。

アオさんはそれに笑い、私は笑ってられないほど忙しくなる。

 

時には海軍時には海賊、街に寄って売ることもある何でも屋。電話一本で現地まで秒で来るというのだから、そりゃもう人気だった。

配達、売買、依頼事。家族を捜すため、という目的で始めたはずなのに、もうこのまま暮らしていけるくらいにはお金が貯まっていた。やばぁ。

忙しくしていれば、時もどんどんすぎる。いつの間にか私はぐんぐん成長して、ただの子供だった体も、今じゃ見違えるよう。胸なんか特に。それに母上似の顔は更に母上似になった。わぁい。

 

でも時がすぎることで困ったのは、何より大海賊時代だった。凶悪そうな顔をした海賊さんに襲われることは多くなったし、お届け物の場所も大いに広がった。

 

 

「いいんじゃないの? アナタが有名になれば弟君たちも出てくるかも」

 

「いやぁ…でも名前名乗ってないし。なんかもう、数年捜して出てこないと…参っちゃいますよね」

 

 

参っているけど諦めないのね、と笑うアオさんは私をよくわかってる。

ここ数年捜しても、ドンキホーテのドの字も出てこないなんて、泣いちゃうよう、姉上。

うう、と涙目になっていると、プルプルプル、と電伝虫が着信を知らせた。なんだよもう。

ガチャと取れば電伝虫の顔が凶悪ににゅーっと変わる。……うわあ、この顔…うわぁ……。

 

 

「配達売買なんでもござれの何でも屋…」

 

『…葉巻2箱』

 

「アッ、ハイ」

 

 

お得意様であるからか、定例文なんて聞かずにブッチしやがったあの男。くっそむかつく。

でもそんなこと言えばシャクに負けず劣らずな毒でやられることは分かってる。うん。

あの人、苦手なんだよな。表裏激しいし、怖いし、かなりのエゴイストだし。怖いし。…大事なことだから2回言ったぞ。

 

 

「いやだあああ苦手だああああの人おおお」

 

「良いじゃない。気に入られてるんでしょ? べつに普通にいい男なんだから」

 

「いい男!? …だとしても無理…ああ嫌だ…」

 

 

船にあの人の好きな葉巻あったっけ、と記憶を辿る。…あー、あったな、たぶん。

ありませんすいませんができない。だって何でも屋だから。何でもござれとか言っちゃってるから。

 

あーあ、ドフィとロシーに会いたいな。生きてるかな、私のこと覚えてるかな。

今ごろ、なにしてんのかな。生きてたらドフィ17、ロシー15か。うん、まだかわいいだろう。

 

 

「早く行かないと、怒られるわよ」

 

「はぁい!」

 

 

家族に、会いたいな。

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