1.スパイダーマイルズ
ここが、と見渡した町は、至って普通の町。スパイダーマイルズ。
スパイダーマイルズなのにヘビがいて良いのか、と思われてもアレなので(スパイダーマイルズじゃなくても居ないに決まってるのだが)、シャクは船でお留守番してもらうことにした。
アオさんにクロコダイルさんからの妙なプレゼントとかいうものの話をし、スパイダーマイルズに行くということを伝えたところ、少し目を見開いてから、あっさりとオーケーしてくれた。
「にしたって、あの人からのプレゼントって…怖いな」
今までプレゼントなんかもらったことないし、クロコダイルさんのプレゼントなんてロクなもんじゃないだろう…なんて考えてしまうけど、人で判断しちゃダメだよね! プレゼントはいいものかもしれないし!
プレゼントが「居る」って言っていたのは気がかりだったけど。
あのクロコダイルさんが、選ぶ言葉を間違えたとも思えない。
スパイダーマイルズ ゴミ処理場。
そこは私が船を寄せたところから少し距離があった。
ていうかそこらへんはあんまり治安が良くないらしくて、道を聞くたび「やめておけ」と言われた。
言われる度「何が居るんですか」と聞くのだが、みんな一様に首を振るだけ。そんなことが何回も繰り返されていると、私もだんだん怖くなってきた。
まさかとは思うけど、そこには人身売買の
「何が居るのかくらい誰か教えてよ…!」
それくらい良いじゃない、と思いながらプラプラしてみる。
何が居るのか分からない以上、ゴミ処理場ってところに行く勇気はない。
だから思いきってクロコダイルさんに連絡してみたのだけど、所用で居りませんなんて女の人の声が残酷に響いただけだった。ひどいんだ!!
ゴミ処理場こわいし、クロコダイルさんでないし、怒ったせいでおなかがすいてきたし。
途中港にめちゃくちゃ派手な海賊船らしきものがあってびっくりした。北の海っていっても、こんなに大きな海賊船を持つ海賊がいるんだー、と驚いた。
けれどそれはデザインが微妙というか、私ならこれは選ばないかも、というやつ。フラミンゴの形。フラミンゴ、フラミンゴか……。
もしこの船のデザインがバナナワニだったらぶち壊してた、という思いはさておき、とにもかくにも腹ごしらえ。食べ物屋がたくさん並んでいる通りを歩いていたら、いい香りのするパスタ専門店があった。これはいいね!
外には順番待ちでもしているのか、小さな男の子と女の子が立っている。そんなに美味しいのかな。楽しみだぁ。
そんなウキウキした気持ちで扉を開けた私を迎えたのは、店のがやがやとした喧騒でも、店員さんの元気な声でもなかった。
そう、私を迎えたのは、頬をかすめるくらいギリッギリを通った流れ弾と、人々の悲鳴。
それから床をすべて染めてしまうほどのーー血だった。