拠点に着くと、ドフィの言っていた「ファミリー」たちが私たちを迎えてくれた。
居るのはマスクの青年と、おじいちゃんとおばさん、仮面を着けた筋肉がすごい人、「イーン」という口癖が特徴的な人と、それから赤ちゃん。
…なんか個性的だな。ファミリーって。
「若、その女は…」
「あァ、おれの姉だ。ロレンソという」
「まあ! 若のお姉様ザマスね!! さすが、美しいザマス!」
「フッフッフ…姉上に傷ひとつでも負わせたヤツにはおれが死を与える!」
「えっ!?」
ちょっとそういうのやめて、とドフィの服をつかんで揺さぶるけど、まったく気にしていないようだ。ちょっと本当にやめて! そんなん私がつらくて死んじゃうから!!
ああ…と私が肩を落としていると、おじいちゃん…ラオGというらしいおじいちゃんが、「若」とドフィを呼んだ。 …というかさっきから、若ってドフィのことなのは分かる。分かるんだけど…。ドフィって若って年齢じゃなくないか…、と頬をひきつらせた。
まあマフィアだし。ヤのつく自営業だし(違う)。
「実は……」
「あん?」
ひそひそ、とラオGがドフィに耳打ちする。
その途端、ドフィの口角がにぃっと上がって「そうか」なんて。……いや、嫌だなあ。嫌な予感しかしないなあ。
ドフィに下ろされたことで隣に立つことになったグラディウスという青年に「なんの話?」と尋ねてみた。
「…おおかたベビー5のことを騙したバカな男の居場所を突き止めた、といったところだろう。おれに聞くな」
「いや、おれに聞くなとか言う割に結構知ってんじゃん? グラディウスくん…だっけ」
「黙れ。おれが忠誠を誓ったのは若にだけだ」
「そっかー…ふふ、可愛い」
「かわ……っ!? き、気色悪ィこと言うな!!」
グラディウスくんを見ていると、なんかフレバンスで会った男の子…ローくん、だっけ。それにちょっと似てて、かわいく見える。
そんなやり取りをみてうまくやれていると安心したのか、ドフィは「少し行ってくる」とそのまま扉へ向かった。えー、姉上が来たのにどっか行っちゃうの?
「姉上はいつまでここに居れる?」
「んー…仕事しながらになっちゃうよ? 夜ご飯と朝ごはんだけ食べることになるかも」
「構わねェ」
「じゃあ…4日は居れるかな?」
「あ? 少ねェだろ」
「少なくないよ!!」
明らかに不満、という顔をしてくるけど私だって仕事が忙しいのだ。
居れて1週間。14年経営してきて初の休みをとったとしてもそんなに居られないはずだ。
まあ、休みをとるなんて選択肢を伝えたら是が非でも休めとか言ってきそうなのがこのドフィという弟なので、言わないことにしたけど。
「…い、一旦4日で我慢してくれない? いきなりだし…しばらくしたらちゃんと……1週間くらい居れるようにするから」
「結局短ェよ。3日しか増えてねェだろ」
呆れたように溜め息を吐くドフィだけど、なんでそっちが被害者面してんだ。大変なのはこっちだわ。
元々家族を捜すための何でも屋だったから見つけたら辞めてもいいかなって思っていたけど、しばらくやっているとこういう生き方もいいなって思ってきてしまったのだ。
「ごめんね。か、代わりにドフィの欲しいものとか…ある?」
「姉上の時間だな」
「く……っ!」
代わりにっつったでしょ! と言いたいけど可愛い弟の頼みなのである。
心がきゅんきゅんしてしまって、もう言うこと聞くしかない…気がする。
というか、私の天使の願いを聞かないの? と心の私が言っているのだ。
結局ーーー私が折れた。
「分かった…分かったわ。とりあえず今日から4日ここで過ごして、1週間したらまた来るから…。まとまった休みもって」
「フフフ! 姉上ならそうしてくれると思ってた」
ありがとな、と額にキスをされて悪い気はしない。
溜め息を吐く私を、バッファローがけらけらと笑った。
「しばらく空ける。今日の夕食までには戻る」
「はーい若様!」
「いってらっしゃい、ドフィ」
ひらひらと手を振ってドフィを見送る。
…と同時、懐の電伝虫がぷるぷると震えていることに気付いた。