【ONE PIECE】天駆ける竜   作:柚木 彼方

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この「天駆ける竜」は元々こういうお話にしようかなって思っていた物の、アレンジというか抜き出しというか…!
これを連載しようと思うと、かな~~~りアダルトな感じになってしまって、完全にRー15じゃないな、18になるな…と思って路線を急遽変更したのが今のお話。
もしかするとこれが「天駆ける竜」というお話で、もしかするとこの子が「ロレンソ」だったかも、というのをお楽しみください。

(直接的な描写は控えていますが、万が一不快感があったりアウトでは? という場合はお申し付けください。また事前に、苦手な方は飛ばすことをおすすめします)


もし姉じゃなく奴隷だったら(性的描写あり?)

早朝、ドレスローザ。

 

ギシ、とベッドが軋んだのは、3メートルほどもある大きな男がベッドからカーペットに降り立ったからだろう。

その音によって目を覚ました「ドレスローザ国王」の妾は、自身を照らす陽光に目を細めながら、その体を起こした。

 

 

「…おはようございます、ドフラミンゴ様」

 

「あァ…体は平気か、ロレンソ」

 

「ええ、全く。…もう慣れてきているから」

 

 

しわくちゃになったシーツ、裸の男女、未だ残る夜の熱。この状況を見れば昨晩、ドレスローザ国王とその妾が「何をしたか」などは想像に難くないだろう。

 

ロレンソ、と呼ばれた彼女はドレスローザ国王…ドフラミンゴの物。

白い肌に焼き付けられた“人間以下”の証明である「天駆ける竜の蹄」は、彼女がドフラミンゴの一生の奴隷であることと、ドフラミンゴの元以外では生きていけないことを物語っていた。

 

ロレンソは、ドフラミンゴが“人に堕ちる”前に買った自分より年下の奴隷であり、下界に降りるとき解放されるはずである奴隷たちの中で唯一、自分の意思でついてきた者である。

 

 

“ーー私は、あなた様の元以外では生きられない。飛べない鳥なのです”

 

 

飛べない鳥は自分で餌もとれない。生きてはいけない。けれど死ぬのなら、貴方のために死にたい。あなたのどんな“欲”を満たす存在でもいい。

だって私は、貴方のところ以外で生きていく術を知らないのだから。

 

 

「フフフ…ロレンソ、お前はいちばん“具合”がいい」

 

 

いたずらに女性を抱くことはあれど、一人の女に執着して抱くことはないドフラミンゴ。

一度抱いた女は二度と抱かぬか、飽きれば行為の途中でもそのまま捨てるか。そのどちらかであった。

だからロレンソは、ドフラミンゴが執着している珍しい存在。

 

ドフラミンゴが幼いころから共に暮らし、苦楽を共にし、自分に最も依存していて自分を最も理解している。だが同時に最も恐怖しているロレンソ。

 

美しい顔に、鈴を転がしたような声。他の男の目にも、ましてや女の目にすら晒したくないと思わせる美しい肉体。

締まるところは締まりがあり、強調すべきところは強調されている。男の夢、欲望が詰まったような体つき。

 

 

「お前を自由にはさせない。一生だ。一生、おれの元にいろ、ロレンソ」

 

「…いつも言っています。私は、貴方のところ以外で生きていく術を知らないと」

 

「フフ…だが知ったらどうなる? お前は出ていくかも知れねェ」

 

「……知った、ら…?」

 

 

現に実の弟であるコラソン…ロシナンテは、自分を裏切った。

それは“世間”というものを知ったからだとドフラミンゴは考えている。知っていなければ、あの可愛かった弟がおれに牙を剥くことはなかったろう。

 

 

…あのミニオン島でのことを思い出しているのか、口角がギュンと下がったドフラミンゴの唇を、ロレンソは慰めるようにそっとなぞった。

 

あの10年ほど前の事件から、ドフラミンゴはファミリーへの気持ちが一層強くなったように感じる。まるで、血の繋がりなど信じないと言うかのように。血の繋がった家族のことを全て、忘れようとするかのように。

あのときからロレンソにはドフラミンゴがただの可哀想な男に見えて仕方がなかった。

 

 

“っ……! 一緒に来るか、ロレンソ!!”

 

“え……?”

 

“お前が自由になる、手伝いをしてやる!!”

 

“ーー! ……わたし、は……”

 

 

あの日の半年前。

珀鉛病の少年を片腕に抱え、もう一方の手で私に自由を与えようとしてきた、コラソン。

あのときの彼の行動の意味は今でもよく分からないけれど、たぶんファミリーに潜入していた間ずっと、私を哀れんでいたんだろう。だから、私を連れだそうとしたんだろう。たぶん、だけど。

 

 

“私は、いいわ。……自由ほどこわいものはないから”

 

 

そう言ってコラソンとローの乗った船を押し出し、セニョールにコラソンの書いた書き置きを渡した。

彼が喋れたことも、海軍からのスパイだったことも知ってたけどドフラミンゴに話さなかったのは、私の心にまだすこし残ってた「情」だと…信じたい。

 

それでもあの日、撃たれるコラソンをただ見つめることしかできなかったのは、……恐怖からか、忠義からか。

 

 

「…知らなくていいわ…自由なんて。貴方のとなり以外の場所なんて、知らなくていい」

 

「フフフ…フッフッフ!! そうさ、…それでいい」

 

 

そうなるように今までしてきたんだからな、と笑うその人はまさに悪のカリスマ。

 

けれど私は知っている。

あの日、中将おつるに追われながら私が見た、宝箱から出ていく影は、必ず貴方を倒しに来ると。

貴方は、彼に自分の糸が絡みついていて、彼はどの道を行こうとも必ず自分のところへ戻ってきて不老手術を施すか死ぬかしかないのだ、と考えているようだけど、…私は違う。そうは思わない。

コラソンの遺したあの少年は、貴方の造り上げてしまったあの復讐の少年は、きっと貴方を倒すだろう。

 

 

(破滅へ向かって歩いているようなものね。…ドフラミンゴが居なくなったら私、どうしたらいいの?)

 

 

1ベリーの価値すら知らないこの私が、どうやって、貴方なしで生きていけというの?

わからない。だって私は、物心ついてすぐの時から貴方の奴隷だった。

 

 

「…何を考えてる? ロレンソ」

 

「気になるの? …貴方のこと、よ。…貴方は?」

 

「フフ…奇遇だな、おれもお前のことを考えていた」

 

 

どさり、とロレンソはドフラミンゴに押し倒される。

3メートルの巨体が再び勢いよくベッドに舞い戻ったせいで、ベッドは大きく跳ねた。

まだ朝の6時。ドフラミンゴは今日、昼の1時から仕事がある。戦争中の国と、武器の密売に関する取引だ。

まだ時間があるな、と笑えば、目の前の女も妖しく笑う。

 

 

「愛しているわ、……ドフィ」

 

 

ーーーここは愛と情熱の国、ドレスローザ。

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