(女の時よりちょっと性格が過激になっておりますが、ご了承ください。怒ったときのロシナンテ寄りになっちゃったんです)
ドンキホーテファミリー、アジトにて。
金髪を見苦しくない程度に伸ばした爽やかな男が、ギシギシと軋む椅子に座って、本を読んでいた。
2メートルと少しという大きな身長に、もっふもふの紺色のコート。
長い睫毛に縁取られた瞳は、活字をすらすらと追っていく。
「レンさぁん!!」
ふと、男が顔を上げる。目の前には半泣きでーーしかも頬を赤くした少女がいた。名前をベビー5という。
彼は少女を「ベビーちゃん」と呼んで可愛がっていた。
自分を見つけて安心したのか、えぐえぐと泣き出す少女を慰め、だいたい検討はついているものの何があったのかを聞いてみることにした。
…答えは、分かっていた通りだったのだが。
男は笑顔で少女の頭をするりと撫でると、ベビー5が来た方向につかつかと歩いていく。
することはーー決まっていた。
「ーーオイロシー!! お前ベビーちゃんの顔をなァに容赦なくブッ叩いてんだ!! ちょっと来い!!」
「!!」
「てめ、逃げんなァ!!」
弟の首根っこを掴んで引きずる様は容赦なし。
昔の迫害から弟たちを守るため、鋼となった精神と力、そして容赦のなさはさすがのコラソンでも震え上がるほどだった。
ドフラミンゴまでとは行かないものの、本当の家族以外への無慈悲さはかなりのものだし、弱いものを傷付けたときの怒り様ったらないのだ。
案の定止めようとしたトレーボルがひと睨みで引き下がる。
「おれはロシーをそんな風に育てた覚えはねェ!! だいたい子供以前に女の顔を殴るなバカ野郎!」
『わるかった』
「その『わるかった』は何度目だ!!」
こつんというかゴツン、というげんこつがコラソンの頭に落ちる。それをファミリー全員が呆れたように眺めていた。
ファミリーではない兄に最高幹部であるコラソンがガンガンゴンゴンげんこつを喰らっていては威厳ってもんが、とドフラミンゴは時折口に出すのだが、「子供を殴る組織の威厳が何だって? あ?」という言葉によって口を閉じるしかなくなっていた。
兄強し、ということである。
かといってドフラミンゴが兄を邪険にするかと言われればそんなこともなく、むしろくっついている方である。ブラコンというやつだ。
強く優しい兄。顔はどちらかといえば母似であるのでドフラミンゴが顔を見てムカつくこともなく、仲は良い。
「ベビーちゃーん、ごめんねぇ!!」
「ううん、大丈夫です!」
「ドフィもちゃんと注意しろよ! ベビーちゃんお前のためにいつも頑張ってんだから!」
「フフフッ! あァ」
げんこつが痛かったのか涙目になってしまったコラソンをロレンソはするりと撫でると、「ごめんね」と笑った。
その笑顔が輝いて見えて、コラソンは目をゴシゴシとこする。錯覚だろうか?
「さ、ご飯にしよう」
ドンキホーテファミリーにいる間、ロレンソがご飯当番である。
料理の腕はここにいる間に確かなものになっていて、ロレンソも料理が好きになったようだった。
腕捲りをして、さて何を作るかと意気込んだ。
何でもする、何でも屋。
それはドフラミンゴの大好きな、実の兄である。