ドフラミンゴのブラコンが強くなっているかもしれません。
ロレンソは弱い。ただでさえ女のような名前に、母譲りの病弱な体。白く透き通るような肌と指通りのいい髪は、時に女に間違えられるほどだ。身長はおれの脚ほどしかなく、服のサイズもだいぶ違う。手足なんかは筋肉もほぼなく細かった。
おれの大事な弟。ロシナンテも大事だが、体格も筋肉もおれと然程変わらなくなって戻ってきたロシナンテとは違い、この弟は小さく細いのだから、守らなければという思いは必然的にこちらへと注がれる。
「フフフッ! 今日の調子はどうだ、レン?」
「んー…? あに、うえ…?」
昨日の夜、久しぶりに熱を出して寝込んでいたロレンソ。ベビー5と外で遊んでいたらしいが、外にあまり出さないせいか免疫力がこれでもかと低いロレンソは、ウィルスをもらってきたらしかった。
おれの弟にウィルスを移したやつが分かれば血祭りにあげてやりたいところなんだが、残念ながらそんな今しか使えない上に気持ちの悪い能力は持ち合わせていなかった。
乗っけられているタオルをどかして、手を当てる。今まで水に濡らしたタオルを乗っけていたから表面は冷たいが、やはりまだ奥は熱かった。
ロレンソはおれたちと出会うまで、一人で何でも屋なんてものをやっていたらしい。
もちろん体の弱いロレンソにそれ以上何でも屋なんて訳のわからない仕事をさせるわけにはいかなかったので、今はロレンソもファミリーの一員である。
おれたちが居なくて、どうやって生きていたのだろうか。怖いことはなかっただろうか。その腕の傷は何なんだ、と問い詰めたいことはたくさんあったが、具合の悪い者にそれを聞くというのも躊躇われる。
「兄上の手…きもちいー…」
「フッフ、そうか?」
「つめたーい…」
えへへ、と笑うその顔は、とても愛しい。
ああ、ずっと側に居ればいい。そうしたら一生、お前を守ってやろう。
座っているベッドがギシ、と軋んだ。
「兄上、しってる…?」
「ん?」
「手が冷たいひとはね、心が温かいんだって…。……兄上の心は、温かいんだね…」
心が、温かい? 素直に首をかしげた。
手の温度と優しさが反比例するってのか? あり得ねェ。
おれが今まで何人を殺してきたと思ってる? 父も、人間も、人間以下も、すべて殺してきたおれの心が、温かいだって?
それは、おれの仕事を知らないから言える言葉だ。フフ、と喉の奥から笑いが込み上げてきた。
けれど、それでいい。お前は知らなくていい。それに、お前におれの冷たい感情が向けられることはないのだから、おれの心は温かいと錯覚させてやってもいいと思った。
「そうか…フフ。さァロレンソ、寝ていろ。ジョーラに粥を作らせる」
「うん……」
愛しい愛しいおれの弟。
例え誰が裏切ろうとも、お前だけはこの鳥籠から出さないと決めている。
バタンと後ろ手に閉めたドアから寝息しか聞こえないのを確認すると、おれは抑えきれそうになかった笑いを吐き出した。