ベビー5視点になります。
若様には、弟がいる。
その人はすごく綺麗な目をしてて、私を可愛がってくれて、コラさんとも仲がいい。
若様にとっては弟で、コラさんにとってはお兄さんなんだって。面白い。
その人はロレンソーーレンさんといって、すごく頭がいいところとかご機嫌に笑うときは若様にそっくりなのに、コラさんに負けず劣らずのドジっ子だ。けれど私の紅茶を吹き出さないようにきちんと冷ましてから飲むし、転ける回数を減らそうとしているところは、コラさんとちょっと違う。
私はたまに、コラさんみたいにドジっ子でも良いじゃない? と言ってみるのだけど、レンさんは苦そうに笑いながら首を横に振ってしまうの。
「ぼくは、兄上とロシーの役に立ちたいんだ。なのにドジして足手まといなんて嫌だからね」
ロシーのはもう仕方ないけど、と笑うレンさんはドジしてすごくボロボロだったけど、楽しそうだった。
でも、その気持ち分かるかも。
私も若様の役に立つためって思うと、頑張れるもの。やっぱり若様って、素敵な方なのね!
レンさんも居て、コラさんも居て、若様が居たらもう私たちに敵はないわ!
だって若様も、同じように言っていたもの。
レンさんはコラさんや若様ほど身長は高くないけど、やっぱり普通の家の天井じゃ頭がぶつかりそうになっちゃうみたい。
それでドジだから、コラさんと合わさって転けたときの床の振動はすごいけど、若様は笑って眺めていた。
若様があの二人を見るときの顔はすごく優しくて、ちょっぴりうらやましい。だってあの目を向けられるのは、きっと本当の家族だからでしょう?
「レンさん、本当にファミリーに入らない?」
「ん? なんで?」
なんでって、と黙る。
なんでって、レンさんが仕事へいったりしてしばらく帰ってこない日が続くと、若様は目に見えて不機嫌になったり、落ち込んだりするんだもの。
若様からそんなにいっぱい愛をもらってるのに、その手を振り払うなんて、ひどい。ずるい。うらやましい。
けれど、何でも屋さんをやってるときのレンさんが一番生き生きしているのを私も若様も知っているんだ。
だからあんまり強く出られないし、そんなレンさんの表情を消したくないと思ってしまう。
「…兄上が、何か言ってた?」
「い、いいえ! けど…いつも…心配そうだから」
「!」
心配そう、という言葉を出すとレンさんは驚いたような嬉しいような、不思議な顔をした。
しばらく目をパチパチさせてから、ポリポリと頬を掻いている。
「そ、そっか…心配、かぁ……」
「? レンさん?」
「ぁ、いや、うーん…。…ベビーちゃんさぁ、ぼくがここに入ったら、兄上喜んでくれると思う?」
「! も、もちろんです! コラさんもきっと喜ぶわ!」
そうかな…と照れたような顔をしているレンさん。い、一体何があったの?
事情はよくわからないけれど、今回の勧誘はかなりうまくいったらしい。初めて「考えてみるよ」と笑って返された。
や、やったわ!
(若様のために何かできた!)
レンさんがこう返したと聞いたら、若様は喜んでくれるかしら?