「おはようございます…」
「おや、」
アオさんが目を丸くして「久しぶりだね」と私を出迎えてくれる。
彼女には私が弟たちを見つけたということは伝えてあり、よかったよかったと心から喜んでくれた。そのせいかあまりここに寄れなくても構わないとすら言ってくれて、本当に良い上司を持ったと思う。
ただ弟たちを見つけるきっかけを作ってくれたクロコダイルさんとは、あれから連絡がとれていない。
英雄記事はたまに見るから生きてはいるんだろうけど、忙しいのか連絡をしても出なくなってしまった。葉巻の注文も最近ない。
お礼が言いたいのに言えない、というのはかなりつらいもので、いつも心に引っ掛かりがある感じだ。
特に彼は海賊。いつ本当に連絡がとれなくなるかわからない。
「どうだい、弟くんたちとは」
「仲良くできてます。可愛いままでよかった」
「そうかい」
けらけらと笑うアオさんは、懐かしいような目でキセルを蒸かしていた。
ああそっか、私がアオさんと出会ったのはもうーー15年ほども前なんだ。
そう考えると長い付き合いで、よく私の面倒を見てくれたな、と頭が上がらない。
シャクもだから15年ほどの付き合いで、前から大きかったのにまだまだ成長中。かわいいものだ。
ドフィ二号なんてアダ名をつけて怒られたのも、珍しいもの屋をやると言ってアオさんに笑われたのも、もうそんな昔なのか。
「アンタは変わらないね、昔から。良い意味でさ」
「アオさんも昔と変わらずステキですね」
「ふふ、ありがとう。…昔は獣みたいな目ェしてたけどねぇ、アンタ」
「えっ…けもの!!? 私が!?」
「ああ。何としてでも生き延びてやるっていう獣みたいな目さ」
…確かに救ってもらった手前、簡単に命を散らすような真似はできないと躍起になっていた記憶はある。
何があっても生きてやると。家族を探して、生き抜いてやると。
だから怖かったけど、海軍相手に商売もしたし海賊相手にも商売した。
スパイダーマイルズでは自分の命を蔑ろにした感否めなかったけど、あれは蔑ろっていうか後先考えなしなだけだったってわかってほしい。それにドフィだったからギリギリセーフ。
にしたって獣みたいな…えぇ? そんな風に比喩しますかね?
ひどい、と頬をふくらませてアオさんを見ると、笑いながらも私の頭をポンポンと撫でてくれた。
まだ子供扱いされてるな。
「んで、今日はどうせしばらく休みたいって話じゃないのかい?」
「…! そうです!!」
「いいよ。というかアタシは、アンタに毎日働いてもらわなきゃいけないほど貧乏じゃないし、構わないって言ってるだろう?」
「で、でも…」
「まあ、そういうところがアンタの良いところだけどね…」
呆れたように笑ったアオさんは、早く行きなとばかりに手を振ってくれた。
なんていいひと。こんないいひとなかなかいないぞ。
ありがとうございます、と一礼してお店を出ようとする。
するとアオさんが急に、私を呼び止めた。
少し言うのを躊躇するかのような声に、首をかしげる。
「どうしたんですか?」
「……あの、…あのねェ。アンタにわざわざ、言うことじゃないかも、知れない。…かも知れないんだけど」
「……?」
心なしか、アオさんの肩が震えているような気がして、疑問が募る。
一体どうしたというのか。
「……アンタの客に確か、そこの人が居たような気がして、…報告程度に言っておく。言っておくだけだ。いいね?」
「は、はい…?」
アオさんがすぅ、と深呼吸をした。
「ーーーフレバンスが、滅亡寸前だ」