とりあえず、ローくんに手を振り払われちゃったショックからは立ち直って、私は夕食の準備をすることにした。
最近何でも屋には美味しそうな食料も入ってくるので、料理には困らない。
それに今日は多くのものを町で買い、ちょっとしたもののみ作ればいいというドフィからのお達しだったので、ジョーラにピザやら何やらを買ってきてもらって、私は簡単な焼き魚を焼いていた。今日釣ってきたやつである。
だが最近ドフィが私に対し過保護になりつつあって、今もキッチンにはジョーラやらベビーちゃん、更にはグラディウスまで居る。
やけどをしてはいけないとドフィに言われているらしいが、最近いきなりなんなんだろう?
もしかしてまた、ドンキホーテファミリーに強く勧誘されるのか? それは勘弁だ。
「オイ、若のところへ行っていろ。魚くらいおれでも焼ける」
「え、いや、いいよ? だって私ここに居させてもらってる身だし…」
「黙って行け。お前のメシは味が薄いんだ。おれがやる」
マジか。味が薄いんなら言ってくれればいいのに。
少し頭を膨らませながら私を追い払ったグラディウスだけど、大方ドフィの指示だろうね。そんなことを思いながらいつもご飯を食べる部屋へ向かう。
けれどそこにドフィは居なくて、ロシーだけが窮屈そうに座っていた。
相変わらずタバコを吸っていて、まぁ立派なヘビースモーカーになったもんだ。
でもご飯を食べるところで吸わないの。ぺいっとタバコを口から取り上げた。
手の甲で火を消して、デコピンをする。
「ご飯を食べるところで吸わない。おっけー?」
『すまない』
「わかったならよーし」
ドフィは? と首をかしげながら聞くんだけど、ロシーはわからないと言いたげに首を横に振る。
なんだよ、人をここでの唯一の仕事場であるキッチンから追い出しといて居ないとか。腰に手を当ててプンスコ怒っていたら、ロシーが『ドフィに何か用なのか?』と紙を見せてきたので今度は私が首を横に振った。
「ドフィがグラディウスを使って私をキッチンから引きずり出してきたから」
「…………」
「最近また過保護になって…ファミリー勧誘再チャレンジする気じゃないかなあの子」
そうふざけて言ったのに、ロシーは眉間にシワを寄せて黙り込んでしまった。
そんな、深刻そうな顔をさせるために話したんじゃないよ!?
一気に表情が暗くなってしまったロシーを慰めようと、私は大きくなってしまった天使の膝に乗る。わー、昔はあんなに小さかったのに。
そして優しく撫でてあげると、気持ち良さげに目を細めた。私は今がチャンスとロシーに話を切り出す。ローくんのことだ。
「ロシー。ローくんにあんまり意地悪すると、いつかグサッてやられちゃうわよ?」
『大丈夫だ』
「ううん、大丈夫じゃないからねー。うん」
「?」
なぜわかる、って顔をされた。
なぜ、…なぜねぇ?
許さないって言っていたし、とは言っても子供がそんなことをまさか実行するわけないとロシーは思っているだろう。
どうやってこの胸騒ぎを伝えようか、と思ったときに、そういや似てんのが居たわと気付く。そうだ、あの子に例えれば分かりやすいかな?
「あのね…ロシーにぶっ飛ばされたあとのローくんが、ドフィの小さい頃に似てたの」
「!!」
「だから何されるか分かんない。私も見ておいてあげるけど…気を付けてね」
ロシーのことは例えローくんからだとしても守るつもりだ。
ロシーの喉がこくりと音を立てる。
額に少しの冷や汗が見えた。私もたぶん、今同じ顔してる。
不安を煽るようなこと言ってごめんロシー、と頭を撫でてあげた。
そこに、ドフィが戻ってくる。
「フッフッフ! 二人して何をしてる?」
おれのところにも来い、と椅子にどっかり座って自分の膝をポスポス叩くドフィに、仕方ないなと笑いかけた。ロシーは不安そうな顔してるけど、大丈夫だって。
あー、この子もでかくなった。ほんのちょっと前まで私より小さかったのに、今じゃ私の身長なんてドフィの足の長さくらい。なんてこった。
「あーあ、大きくなっちゃって」
「フフフ! まァな!」
「成長が見たかったー」
あの天使たちがここまで大きくなる過程をず~~っと見ていたかったな…と遠い視線を送る。
別れたときはめっちゃ小さかったのに、再会したら3メートル弱ってかなり驚くからね。
ドフィはかなりご機嫌なのか、私が髪をわしゃわしゃしても大人しい。…いや、わしゃわしゃしてるからご機嫌なのかな?
そのうちドフィの頭にでも犬耳が見えてきそうだ。
それを想像して、ドフィの頭を撫でながら小さく笑った。