IS METROID BTMOF【連載停止】 作:刃狐(旧アーマードこれ)
意訳(物凄いレベルのだが)すれば「フュージョンの先に」とかそんな感じです
今回ビックリするほどサムスTUEEEE!!!な表現が含まれます
そしてアダムさんがビックリするほど壊れます、悪い方向に
具体的には『どやっ』とか合いの手を入れます
それでも一向に構わんお方はどうぞ読み進めてください
それでは皆さんご一緒に
手こずっているようだな、尻を貸そう!
ミスでコレを飛ばして次話を投稿していました、修正修正
大きすぎる…修正が必要だ
さて、現在私がいる場所は束のラボでもなければ束の作ったニンジンのロケット内でもない、今私がいるのは…
「ご、ごめんなさい、あの、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね?自己紹介してくれるかな?だ、ダメかな?」
「いえ、あの…そんなに謝らなくても…わ!分かりましたから!自己紹介します!しますからそんな泣きそうな目で見ないで!!」
「…なぜこうなった…」
IS学園1年1組の教室
そして私が今着ている服は過去に着慣れていた連邦軍の服でもなければゼロスーツでもない、ましてやパワードスーツでもないのだ
白を基調とした服に赤のライン、黒い部分も多々ある服、何処となく息の詰まりそうな気苦しい服を着ている、ここIS学園の制服だそうだ、多少の改造は許容されると聞いて下はズボンである
こうなった過程を詳しく、と言うわけでも無いが説明していくならば
あの後ニンジンの形をしたロケットで空を飛び、アダムがヒステリックに叫ぶのを軽く流す
空港に着地、いや、むしろ着弾した後ハッチを蹴り壊して脱出、着弾点で待ち構えていた女性の指示に従い紆余曲折あり、最終的にこうなった
「以上!!」
全く聞いてなかった、丁度いい、この学園唯一の男子生徒である織斑一夏の背後に立ち満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする出席簿を持つ彼女が私をココまで連れてきた女性
ズパァン!
「ハラショォォォォォォォォ!!!!」
「自己紹介も満足に出来んか、お前は」
「ち、千冬ね…」
「学校では織斑先生だ、馬鹿者」
ズパァン!!
「ハラショォオオオオオオオォォ!!!」
織斑一夏は先ほどから何を叫んでいるのだろうか、しかも微妙に音が違う
織斑一夏をスッ叩いた彼女が副担任の山田真耶と幾つか言葉を交わし蹲っている一夏を押しのけ教壇の前に凛と立つ
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。
私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。
私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
話が少し逸れていたが彼女が私をこの学園まで連行した織斑千冬だ、私の事をこの星で一番知っているものは間違いなく篠ノ之束だ
そして彼女にも根掘り葉掘り聞かれたが束の用意したカバーストーリーで何とか誤魔化している
ちなみに私がいる席は織斑一夏のいる列の最後尾である、私だけポンと後ろに一つはみ出していて少々居心地が悪い
等と思っていると急に生徒たちが絶叫を上げた、五月蝿い
何人か立ち上がり声を上げたりしてそれに対し副担任が何とか鎮めようと四苦八苦している
そういえば副担任の山田真耶、彼女の髪の毛も束に劣らぬ非自然色である
後ろからぐるりと見回してみてもワインレッドやらブルー風のブラックだったりと奇妙な色の髪の毛が多い
まるで人工的に生み出された人間のようだ
『(クソが!人造人間だらけかここは!!どうなんだ?!テメェは!!)』
アダム黙っててくれ、頼むから
結果的に織斑千冬が鎮め、他の人物の自己紹介を促し始めた
と言ってもじきに私の番だ、特に何も言う事は無いが束や千冬に最低限言えと言われた事は言う事にしよう
「次は…サムス・アラン、遠いからその場でいい、自己紹介をしろ」
名を呼ばれたので立ち上がりその場で言う
「サムス・アラン、専用機持ちだ」
『私はアダム・マルコビッチだ』
これが必要最低限だ、ところでなぜ皆私のほうを向いているのだろう、あぁそうか専用機持ちは珍しいのだったか
…嫌な予感がする、耳を塞いでおこう
「「「しゃ、喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」」」
「え、何?!今の声ってもしかして専用機から?!」
「うそうそ!!専用機って話できるの?!」
「わぁ~身長高くて美人でモデルさんみたいだよ~」
「いいか、私は面倒が嫌いなんだ」
「静かにせんか、馬鹿どもが!」
千冬が一喝をい入れ全員を黙らせる、なるほど指揮官向きの女性だ
彼女は質問があるなら休み時間のうちに質問しろと言っている、私の休み時間はどうやら無くなりそうだ
そうしていつの間にかチャイムが鳴り私が尋問に遭う時間が訪れた
ちらと織斑一夏を見ると何処と無く束に似た少女が一夏を連れて外へ出て行った
会話の途中で「箒」と言っていた為十中八九束の妹だろう、さてどうやって束からの預かり物を渡そうか…
「ねぇねぇ~お話しよ~」
制服の改造が可能なはずなのに袖を余らせた少女が早速私に声を掛けてきた
「あのね~私は布仏本音って言うんだよ~」
「サムス・アランだ」
「じゃあサミーって呼ぶね~」
「サミー…か」
サミー、ガンドレイダが私の事をそう呼んでいたな…懐かしい、そう考えていると何やら表情に出ていたそうで
布仏が「うあ~、だいじょうぶ~?」と心配して声を掛けてくる
「大丈夫だ、心配する必要は無い、布仏本音」
「私の事は本音って呼んでくれていいよ~」
「分かった、本音」
本音はわーいと喜びつつ袖を振り回して感情を表現する、彼女の周りに私以外いないためぶつかる事は無いがもしいれば袖がバシバシと人に当るだろう
「あのねあのね~サミーに質問があるの~いーい?」
「構わない」
「身長いくつ~?おりむーや先生よりも高いよねー」
「180以上だ、詳しく計ったことは無いから分からない」
「じゃぁ大好物は~?」
「…分からない」
「私は甘いものが好きなんだ~、じゃあじゃあまるるーは~?」
「まるるー?」
「うんー、アダム・マルコビッチだからまるるー」
『私の事だったか』
「そーだよ~、まるるーの身長は~?」
『ロケット…ペンダントほどの大きさだ』
「じゃぁ好きな食べ物~」
『…ウィスキー、食べ物ではないがな』
「ISなのに飲み物を飲めるなんて~まるるーってすごいね~」
『冗談だ、真に受けないでくれ』
等々会話をしているうちにチャイムが休み時間の終わりを告げる
いつの間にか織斑一夏、篠ノ之箒両名も戻っていたらしい
副担任の山田真耶が笑顔で授業を開始する、なぜココの人間はこうも笑顔が眩しいのだろうか
ちなみに授業の内容にはちゃんとついていく事が出来ている、日本に来てから1週間と無いがバカみたいに分厚い参考書の重要な箇所は辛うじて覚えきる事が出来た、濃厚な1週間だったが
…件の彼は間抜けな顔をしてボードとノートに視線を行ったり来たり、彼も急な事でしっかりと覚えきる事が出来なかったのだろうか
「殆ど全部分かりません!」
「え?!えっ……と、今の段階で他に分からない人は…いませんか?」
案の定誰も手を上げない、まぁ彼も色々忙しかったのだろう、仕方ない
「織斑、入学前の参考書はちゃんと読んだか?」
「古い電話帳と間違えて捨てましたっ!」
前言撤回、彼は只のバカだった、織斑先生が深い溜息を吐きながら一夏の元へと歩き…
スッパァン!
「ハラショウ!!」
「何か馬鹿言いたい事は馬鹿あるか?この馬鹿者」
「む、無念です…次こそは必ず!」
「どいつもこいつも!!貴様に次などあるものか!この役立たずのクズが!!」
どうやら再発行すると言う事で落ち着いたらしい、以降大した異常も無く授業終了
篠ノ之箒が再度織斑一夏と会話をしようと織斑の席へと移動する、私は私で篠ノ之箒に用があるため席を立つ
「一夏さっきのは一体なんだ、全く…」
「あぁうん、箒か…やっぱ恥ずかしいな…」
「少しいいか」
「ん?俺?」
「いや、篠ノ之箒、お前にだ」
「…? なんだ?」
「お前にある人物から渡してくれと言われていて…」
「ちょっと、よろしくて?」
「へ?」「?」「…」
呼ばれた時の反応も三者三様、まぁ違う人間なのだから当たり前ではあるが
この話しかけてきた人物は…たしかイギリス代表候補のセシリア・オルコットだったか
「訊いてます?お返事は?」
「訊いてるけど…一体何の用だ?」
「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
「はいはい、was yea ra was yea ra」
「何ですか!その投げやりな想音は!そんなに心の篭ってないwas yea ra初めて聞きましたわ!!」
なるほど、分からん、なんだわすいぇーら って
「いや、だって俺君が誰だか知らないし」
「一夏…彼女はイギリス代表候補生のセシリア・オルコットだ…話ぐらい聞いておけ」
篠ノ之箒が織斑一夏にセシリア・オルコットの公開情報の一つを教える
「わたくしを知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして、入試主席のこのわたくしを!?」
「セシリア・オルコットか、知らんな」
「―――ッ!! ふ、ふん、所詮は極東の島国ですわね。このわたくしのことさえ知らないだなんて。
本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運なのよ。その現実をもう少し理解していただける?」
まぁそもそも最近までISとは関係の無かった一般人の織斑一夏が他国のIS事情を知っている可能性など殆ど無いのは分かるだろう
私か?自己紹介を辛うじて聞いていたさ、もしずっと呆けたままだったら今頃一夏と同じ状況に…はならないな、うん
「あぁ、幸運って素晴らしい かっこぼうかっことじる」
織斑一夏のやる気の無さと言ったら凄まじいものがあるな(棒)
「あ、あなた!私を馬鹿にしてますの?!」
「いやいやそんな滅相も無い」
「ISのことでわからないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」『どやっ』
アダムェ…
何か喋るたびに一々ポーズをつける代表候補生、見ていれば実に滑稽だな…ん?
入試で唯一教官を倒した…?
「入試ってアレか?あの…ISで戦うやつ」
「それ以外に何があると言うのです?」
「っかしいな…俺も一応倒したぞ…?」
「は?」「なに?」
まぁ私のは入試ではなかったのだろう、うん
先ほどの間抜けな声の内一つはセシリア・オルコット残りは篠ノ之箒だ
「わ、わたくしだけと聞きましたが?!」
「女子ではってオチじゃね?」
『いやいや、残念ながら女子でもう一人いるぞ』
「え?!マジっすか?!アダムさん!」
「つまり…私だけではないと…?」
「知らんが」
「あ、あなたも?!あなたも教官を倒したと言うのですか?!」
「Да 多分」
「多分?!多分とはどういう意味ですか!」
『落ち着け、少女よ 上品さが欠片も無いぞ』
「そうそう、落ち着けって、ビークール」
「コレが落ち着いてなんていられますか!!だいたい」
とココで
チャイムが鳴る、まるでゴングのようだ、オルコットはクルリと踵を返し、一歩前に進んで織斑を指差す
ところでアダムはいつ織斑一夏と仲が良くなったのだろうか
「また後で来ますわ!絶対に逃げない事!よくって?!」
ふんすと鼻息荒く自分の席へ戻っていったオルコットに追従して自分の席へ向かう、結局渡しそびれた
私が席に座ると同時に教室の扉が開き織斑先生と山田副担任が入ってくる
それを合図として自由気ままに歩き回っていた生徒たちがイソイソと自らの席へと移動する
全員座ったことを確認して織斑先生が授業を始めた
「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
直接戦闘に関わる物は織斑先生が担当するのだろうか、山田副担任はノートとペンを持ち生徒と同じように授業を受けようとしている
「あぁ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
クラス代表者、単純に言えばクラスのリーダーの役割をして雑務をこなす立場だ、他には委員会に出席し代表戦で他のクラス代表と戦わなければならないのだったか、私には向かないな
まぁ大体誰がやらされるかは予想がつく、基本的に物珍しいものを目立たせようとするだろう
「hai!織斑くんを推薦します!」
「私も織斑君を推薦しまーす」
やはりな、思ったとおりだ、このクラスどころかこの学園生徒で唯一の男なのだから物珍しさは随一だ
「私はサムスさんを推薦しますよ!だってすっごく強そうだし専用機持ちでしょ?」
「わたしもサミーをすいせん~」
『だとさ、サムス』
そういえばそうだった、物珍しさで言えば私も相当なものだったか、何せ唯一喋る事の出来るISを持っていると言う事になっているのだから……
「では候補者は織斑一夏、サムス・アラン……他にはいないか?自薦他薦は問わないぞ」
「お、俺ぇ?!」
「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にはいないのか?」
「うぇ、うぇいとぷりーず!俺はそんなのやらな…」
「自他推薦は問わないと言った。他薦されたものに拒否権などない。選ばれた以上は覚悟をしろ」
私も辞退したいのだがな…仕方ない、私も織斑一夏に投票して回避するか、怨むなよ…
オルコットが震えているな、一体なんだ?両手を振り上げて…
「待ってください!納得がいきませんわ!」
机を叩いたな、そして立ち上がった、織斑一夏…若干驚いただろう、一瞬身体が飛び跳ねたぞ
それに何を怒っているのか私には分からない、アダムは分かるか?
『ココは女尊男卑でプライドの高い彼女の事だ、男が代表に選ばれる可能性があるのを快く思っていないのだろう』
「そのような選出は認められません!大体、サムスさんはいいとして男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!
わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?
それに!専用機ならわたくしだって所持していますわ!!喋るから、珍しいからだなんて理由で選ばれるべきではありません!!実力を見るべきですわ!!」『どや』
『な?』
「あぁ」
たった一年間もこの少女は耐えることが出来ないのだろうか…いや、感じる時間の流れが私と彼女で差があるだけか、それにしても流石はアダムだ、こと対人に関しては素晴らしい物があるな、やはり元司令官の実力か
「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」『どやぁ』
中々言うな、国を背負う人間が言う事でもあるまい、その発言が一体どれほどの勢いで返ってくるものか見ものだ
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」『どやぁっ』
確かに自分の強さによほどの自信があると見える、それを誇りにして縋って生きているような危ない面もあるが
そして何やら段々と得意げに自慢をするかのような喋り方へと移って来ている
「オルコット、少し黙れ」
「お、織斑先生…?」
「今お前は実力トップがなるべき、そう言ったな?」
「は、はい!そうですわ!そして…」
「ならば残念ながらオルコット、お前は選択肢から外れる」
「ど、どういうことですか?!」
「アラン!」
「…はい、なんでしょうか」
「丁度今手元にお前の入試の時の映像テープがある、これは公開してもいいものか?」
「…アダム」
『ふむ……構わない、どうせ武器自体は一つしか使っていない、公開されて困る事は無いだろう』
クラス中の生徒が唖然としているのを見て織斑先生がニヤリとする
教卓に備え付けられている特殊なデバイスにディスクを差し込んだ
「さて、オルコット、お前は何分で担当教官を倒せた?」
「た、確か37分ですわ」
「アランもお前と同じように担当教官を倒した、もっとも、アランの入試を行ったのは数日前だからオルコットは教官を倒したのは自分だけだと聞いていたようだが」
「そ、そんな…!」
「で、だ…アランが一体どれだけの時間で教官を倒したか予想してみろ」
「40分ほど……ですか?」
「ククク……ならば実際に見てみるか」
織斑先生が指を鳴らすと教室のカーテンが閉まりライトが落とされる
その直後ボードに映像が投影された、これは…なるほど、あの時からか…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ではサムス・アランさん ISを展開して下さい」
「了解」
指示に従いパワードスーツを展開する、ISではないが…もう何年も、十何年も使い続けていた物だ、展開にもたつく様な無様な真似はしない
『ほぉ、早いな…全身装甲『フル・スキン』か、かなりスマートだな』
織斑千冬が私のパワードスーツに対して感想を言う
そもそも逆にISがゴテゴテし過ぎているのだ、それに胴体に殆ど装甲が無いと言うのも私には考えられない、もしバリアを突き抜ける物理的な攻撃があったらものの見事に胴体が真っ二つか穴あきチーズだ
「では合図と共に開始です、いいですか?」
「はい」
相手はバランスのいいラファール・リヴァイヴと言った相手だ、インサイドに入られたら流石に無傷と言うわけには行かないだろう
…集中しろ、前方の敵に、一切の余裕は…
「開始!!」
与えない
相手が動き始めるよりも早く、グラップリングビームを射出、最初は様子見でもするつもりだったのだろう、その止まった動きが仇になった、もう相手に勝つ手段は無い
「な、何コレ?!」
エネルギーバリアを突き抜けて引っ掛ける、コレ自体に攻撃力は皆無、相手は急な事に驚きの声を上げた
パワードスーツの超出力で左側の壁へと教官を振り回し叩きつける
「あ゛っかはっ…!!」
息つく暇など与えない、すぐに右へと回転しながら後ろの壁へと叩きつけた
「っぐぁ…あっ…っぎ!!!」
直ぐに大きく上へ振り上げ自分の直ぐ近くの地面へと叩きつける、これほど振り回され、叩きつけられ銃を取りこぼさなかったのは賞賛に値する
「くっ…!あぁ!!」
銃を持つ右腕を踏みつけこちらに向けようとした銃を向けれないよう地面へ縫い付け、動けない教官にシールドエネルギーが無くなるまでパワービームを撃ち続けた
『しゅ…終了…勝者…サムス・アラン』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「以上だ、戦闘時間13秒、オルコット、お前は何秒だった?37秒だったか?」
「こ、こんな事…!」「強い…」「格好良いなぁ…」「サミーってすごいんだね~」
「うわぁ…グロい……最後なんかそのまんま極悪人じゃねぇか…」
確かに三人称視点だと酷いな、確実だが見た目が酷い、確かに悪人にしか見えない
「ふ、不意打ちではないですか!」
「だが勝利だ、まだ不満か?」
「けっ…!」
あぁ、何か非常に面倒な事に巻き込まれそうだそんな予感がする、見ろ、オルコットなんて顔を真っ赤にしてブルブル震えているじゃないか、これは絶対叫ぶぞ
「決闘ですわ!!!クラス代表を掛けて決闘ですわ!!織斑一夏さん!サムス・アランさん!!」
「よし、ならば話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とアランとオルコットはそれぞれ用意をしておくように
戦う順番はオルコット、織斑 アラン、織斑 アラン、オルコットの順番だ、いいな?」
「えぇっ?!俺も含まれるの?!冗談だよな!千冬姉!!」
「本気だ、そして学校では織斑先生と呼べと言っただろう」
「やっぱりかぁぁぁぁぁ!!!」
『災難だな、サムス』
「本当にな」
「静かにしろ!では今から授業を始める」
今まで起きた重大な問題を全てを投げ捨てるが如く凄まじい勢いで織斑先生が授業を開始する
と言っても私自身が学ぶ事によって得られるメリットはISを相手にした時にだけ発揮される、普通に戦う場合において学んで役に立つ事は何一つとしてないのだからその他重要でない授業は学ぶ必要性が無い
しかし生徒と言う枠組みに収まっているため学ぶ必要が無くても学ばなければならない
正直今まで過ごしてきた年月で学んできた事で既にいっぱいいっぱいだ、吸収の良い子供に比べて一苦労しなければならない、と言うわけでアダム、ちゃんと覚えていてくれよ、私は面倒が嫌いなんだ
全授業終了放課後だ、先程の休みでは篠ノ之箒にディスクを渡そうとしたがオルコットの邪魔が入り渡せなかった、無念です、次こそは必ず…!
と言うわけで現在寮の篠ノ之箒がいる部屋、1025室の前に立っているのだが…
ちなみに何故か部屋の前に大量の生徒が群がっていたが私が近付いていくと蜘蛛の子を散らすように逃げていった、何だ、私はそれほど怖い人間に見えるか?
「アダム、嫌な予感がする」
『具体的にはどんな予感だ?』
「そろそろ何かが飛び出してきて色々な問題が起こり結局篠ノ之箒に渡すのが遅れる予感だ」
『それは随分と随分だな』
バタンッ!!
「う、わ、わわわ!!!」
急に部屋から織斑一夏が飛び出してくる、やはり私の勘は当っていたようだ
織斑が部屋の扉を閉めて一息ついた瞬間、扉を突き破って木で出来た鈍器が顔を現した
||鈍器<やぁ
「ぎゃひぃ?!ま、待て!!箒!」
「黙れっ!殺してやる!殺してやるぞ!!」
「洒落になんねぇ!!だ、誰か助けて!!」
『サムス、素晴らしい予言だな』
必死で抗議しながらも決して扉から離れようとせず次々と突き破ってくる鈍器を器用に避け続ける織斑、離れればいいだけなのに何故分からないのだろうか
仕方ない、と織斑の服の首元を引っ掴み後ろの壁に投げる、これで一先ず織斑は命の危険から逃れられただろう
「うげっ!」
蛙の潰れたような声を出して壁に叩きつけられた織斑、その程度死ぬのに比べたらまだいいだろう、先程の刺突など鈍器なのにも関わらず人に直撃すれば見事に貫通するであろう威力だった
もう一度壁を突き抜いて顔を出した鈍器の先端を引っ掴み動きを止める
「っく!小賢しいぞ!一夏!!」
「落ち着くんだ、篠ノ之箒」
『彼ならたった今壁と熱いキスを交わしたところだ』
「なっ…!きっ、きっ…キスなど…!は、破廉恥な!!」
『困ったなサムス、彼女は洒落が通じない上にあり得ないほどウブだ』
アダムと私がしばらく説得や沈静化に神経を注ぎようやく篠ノ之が落ち着いた頃、気絶していたのか呻き声を上げて起き上がる織斑
「うぅ…顔が痛ぇ…」
『ようやく起きたか、織斑』
「あぁ…?アンタは…?」
「サムス・アラン、人の話はしっかりと聞いて置くべきだ」
自分の事を棚にあげているのだがな、クラスの何人か顔と名前が一致しない、余りにも没個性すぎる、髪の毛の色を除く
「し、少々待ってくれ…!」
篠ノ之箒が一言残して部屋の奥へ引っ込んだ、何故分かるかだと?扉が閉まっていても穴が開いているから中が少しだけ見えるんだ、まぁ部屋の入り口だけだが
織斑がまだしっかりと覚醒できていないのか間抜けな呆けた顔をしている
「あぁ!どう見ても悪役としか思えない戦いをしていた!!」
「思い出したか、そして失礼な奴だ」
「えっ、あ、スミマセン」
『そして一週間後お前を完膚なきまで叩き潰す人間だ』
「そうだったぁ!ほぎゃぁ!!」
奇妙な声を上げてコミックのような反応をしたこの男は壁を支えにしつつゆっくりと立ち上がる、アダムはアダムで何か変な事を言い出している
「い、いいぞ一夏、入れ」
「あ、あぁ…ところでアランさんとマルコビッチさんはどうしてここに?」
「サムスとアダムで良い、織斑一夏、お前には何一つとして用は無い」
「…という事は私か?」
『そうだ、篠ノ之箒』
「箒で良い」
「俺も一夏でいいぜ」
「…箒と二人で話をしたい、アダム、一夏の相手をしていてくれ」
『分かった』
アダムを首から外し一夏に渡す、箒は眉を寄せ今一納得行っていない様な顔をする
だが何とか警戒は解けているようで私を部屋に案内してくれた
ベッドに座るよう促される、今更だが箒の着ている服は私服というには少々変な格好だったが気にする必要は無いだろう
「…何のようですか?」
「休憩時間の時にも言ったがお前に渡す物がある」
「……ディスク?」
「この部屋か私物にコレを再生できるデバイスはあるか?」
「はい、一応…だがなぜ?誰からですか?」
「篠ノ之束、お前の姉からだ」
「……っ!!」
束の名を出した直後彼女の顔が嫌悪、憎悪、怒りに染まった
なるほど、彼女は確かに言っていたな「きっと箒ちゃんは私の事を嫌ってる」と
「いりません、あの人からの言葉など聞きたくない」
これ程か…箒は束の心を知らない、私としては是非とも家族を大切にして欲しい、家族は本当に掛け替えの無いものだ
「…彼女は言った」
「……」
「ただ一言謝りたい、駄目な姉ですまない、と」
「…そんな筈…!!あの人が!」
「苦しそうな顔をして、泣きそうな顔をして言っていたんだ」
「嘘だ!!」
「そして実際、このディスクを私に渡した時、彼女は目を真っ赤にしていた」
「…嘘だ」
「自分には大事な妹がいる、自分の所為で転々とすることになり、その所為できっと自分の事を嫌っている、と言った」
「…う…そだ…」
「このディスクはココに置いておく、見るか否かは自分で決めろ……家族は、掛け替えの無いものだぞ」
部屋から出る、そこでは壁に寄りかかりながら一夏と手の中のアダムが談笑していた
「そりゃぁ確認を怠った俺も悪いけどさ、いきなり木刀振り回してくると思いますか?普通」
『そうか、十の内どれだけ一夏が悪いか知りたいか?』
「ん、知りたいです」
『100だ、100%じゃないぞ、100割だぞ』
「えー…えー…」
『いいか?一夏、男というものは取り合えず謝っておく生き物なんだ』
「女尊男卑だからですか?」
『いやいや、過去から未来までずっとそうさ、武力だけじゃなくて男は女に頭が上がらんもんさ』
「アダムさん…何かISとは思えないぐらい男らしいですね」
『どうも』
「アダム、話は終えたぞ」
『む、そうか…ではまた後日会おう、一夏』
「あ、はい」
一夏からアダムを受け取り再度首に掛ける、どうやらいつの間にかアダムは一夏と親しくなっていたようだ
一夏はちゃんとノックして部屋に入っていく、アダムがそうするように言ったのかそれとも自分から学んだのかはわからないが
「さてアダム、我々も自分たちの部屋に行くか」
『そうだな、誰と相部屋なのか気になるか?』
「いや、誰であろうと別に構わないさ」
しばらく歩き目的の扉の前についた、部屋の番号が間違っていないか自分の持っている鍵番号と部屋番号を見比べる、どうやら間違いは無い
続いてノックをする、コンコン、ノックなど一体どれだけぶりだろうか
「はいはい~待っててね~」
間延びした声、声だけでもう相手がのほほんとした人物である事が分かる
そして私は実際にこの人物がのほほんとしている事を知っているし実際に喋った
ガチャリと扉が開くとどうみても私服にも寝巻きにもなり得ないような珍妙な服を着た人物が出てきた
「わぁ~サミーだぁ~どうしたの~?」
「同室だ、これからよろしく頼む」
『私もいるがな、よろしく頼むぞ』
「そうなんだぁ~入って入って~こちらこそよろしくね~」
同室の布仏本音が身体全体でゆっくりとしっかりと全身で喜びを表現する、心成しか本音の着ている服に付属された耳が動いている気がする、束と兎耳と同じ原理なのだろうか
「サミーはベッドどっちがいい~?」
「私はどちらでも構わないが、本音はどちらがいいんだ?」
「私は窓の方がいいな~」
「なら私は扉側がいい」
「うふふ、やさしいね~、サミーって」
希望のベッドを取れて嬉しいのだろう、やはり私にはどうやっても出せそうに無い笑顔を浮かべる、やはり私は笑顔とは無縁だな
流石に今日は一日疲れた、制服を脱ぎ休むとしよう…
「わぁわぁ、サミーって私服も格好良いね~」
入学する前に揃えた物を選んで着ているだけだ、若くなったといっても見た目は殆ど変わらない、少々胸が小さくなり顔が子供っぽくなっただけ、それでもかなり年上には見えるが
髪の毛の長さも変わらない、過去このぐらいの歳のときは短く切っていたが…
今の服はその頃の服に似たものを着ている、ブラウンに近いレッドのシャツを着てオリーブカラーの半袖ミリタリージャケット、下はオリーブのカーゴパンツだ
『本音も中々可愛い服じゃないか』
「わぁ、ありがと~まるるー」
頬を染めて照れている所を見るとまんざらでも無さそうだ、しかし………可愛い…のか?
今一私には良く分からない、一度中々可愛い見た目をしていると思っても蓋を開けてみればとんでもない化け物だったとかがあったためどうも……
後は特筆すべき事も何か思う所も無く一日が終了した
■ ―篠ノ之箒―
一夏はあの後部屋に入ってくるや否や思いっきり頭を下げた
「本当に俺が悪かった!」
そう謝る一夏に難しく考えてた私の心がふと和らぐ
その一夏は既に疲れていたのかベッドにうつ伏せで寝転び豪快にいびきを掻いて泥のように眠っている
もう日は沈みきり月が空高く上がっているがどうも寝れそうに無い…
「ただ一言謝りたい、駄目な姉ですまない、と」
「苦しそうな顔をして、泣きそうな顔をして言っていたんだ」
「そして実際、このディスクを私に渡した時、彼女は目を真っ赤にしていた」
「自分には大事な妹がいる、自分の所為で転々とすることになり、その所為できっと自分の事を嫌っている、と言った」
彼女、サムス・アランが姉の事をそう言っていた、あの人がそんな事を思っている筈が無い
頭ではそう考えていても、サムスさんが嘘を言っているようには思えなかった
信じれない、信じたくない、なぜ信じたくない?私はあの人の事が嫌いだから、どうして?私があの人の所為で思い人と共に居れなくなったから?
でも今は?思い人…一夏と一緒に居るじゃないか、ならどうしてあの人の事が許せない?あの人が…私の事を…嫌いだから?
でも…分からなくなってきた、サムスさんの最後の言葉が私の脳裏から離れない「家族は掛け替えの無いものだ」彼女に何が分かる、私の何が
だが彼女の言葉は一般人が言うよりも遥かに…重かった、私に突き刺さった
駄目だ…もう何も分からない
机の上に置いてあるディスク…コレには一体何が入っているのだろうか
嘲笑う姉の声だろうか、何でも無い只のデータディスクなのか…それとも…
少しだけ、少しだけ見てみよう…もし気に入らない物なら壊すなり捨てるなりしてしまえばいい
ただ何と無しに持って来ていたノートパソコンを起動、一夏を起こさないようにイヤホンを接続
中々古いタイプのパソコンなので起動に時間が掛かる、その時間が途轍もなく長く、恐ろしく思える
震える手でディスクをパソコンに入れた、私の震える手とは全く逆に一切止まる事無くパソコンがディスクを起動した
動画再生のソフトが立ち上がり映像が映し出される
映像に映ったのは乱雑に色んなものが置かれている部屋と真ん中に椅子に座る「あの人」の姿だった、あの人は昔よく見た笑顔や、他人に対する無表情じゃなく、とても苦しそうな顔をしていた
『…箒ちゃん…ちゃんと見てくれているか分からないけど…もし、聞いてくれてるなら、見てくれているなら少しだけでいいから…もう少しだけでいいから…そのままでいてね
あのね…箒ちゃん…ごめんなさい』
驚愕した、あの人が謝っている、いや、謝っているだけなら何度も見たことがある、あの人の親友織斑千冬に物理的にお仕置きをされている時、その時とは違う疲れきった、苦しそうな顔で無理やり笑みを浮かべた顔
『お姉ちゃんの所為でいっくんと離れ離れになって…日本中を転々とする事になって…ごめんね、お姉ちゃん…そんな事も考えてなかった…ごめんね、お姉ちゃん…頭が良いだけの大馬鹿だったよ…きっと怨んでるよね、お姉ちゃんがISを作らなければ良かったのにね…本当に、自分の事しか考えてなかった』
歯を食いしばってスカートを力一杯握り締めて泣きそうな顔をして…いつものあの人の面影は無かった
『謝っても…許して貰えないよね…それは分かっているんだけど…ただどうしても謝りたかったの…駄目なお姉ちゃんで…グスッ…ごめんね………不愉快かもしれないけど…ひくっ…箒ちゃんがどれだけお姉ちゃんを嫌ってても…ずずっ…お姉ちゃんは……箒ちゃんのことが大好きだよ』
―――プツン
「ねえ……さん」
姉さんは私の事を嫌ってなんていなかった、愛してくれていた、真剣に私の事を思ってくれていた
涙まで流して私に謝っていた、なのに私はどうだ、つまらない事でずっと姉さんを怨んでいた、憎んでいた
一方的に姉さんを嫌っていたのは私の方じゃないか、謝るべきは私の方じゃないか
「姉さん…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
手の甲にポタリと水滴が落ちた、私も…泣いているじゃないか…
私は居ても立ってもいられなかった、直接会って謝らなくても、どうしても伝えたい、私のほうこそごめんなさい、姉さんは私のことを愛してくれていたのに、私は姉さんの事を嫌っていた、本当にごめんなさい、と
私は姉さんに謝る方法を持っていない、でももしかするとあの人は…手段を持っているかもしれない
■ ―織斑千冬―
今日は本当に気疲れした、なぜ私のクラスはああも問題児ばかり集まるのだろうか
やれ罵って、やれ躾けて、馬鹿ばかりかあの小娘どもは
それに専用機持ち達もだ、一夏も近いうち専用機が渡されるため既に専用機持ちの欄に収めている
先ずはオルコットの自分の立場を一切理解していない爆弾…いや、核発言、あとほんの少し私が口を出すのが遅れていれば一夏も混ざって大口論が起きただろう
既に今日だけで数回ブッ叩いた一夏とプライドを少女の形にしただけのようなオルコット
そして極めつけはもしかすると一夏よりもイレギュラーな存在、サムス・アランとアダム・マルコビッチ
素行事態は何も問題ない、むしろ寡黙で生徒としては完璧、ISの運転技術も問題ない
だがやはり…アランは強すぎる、私のような即死レベルの攻撃を持っている訳でもないのに13秒で担当教官を叩き潰す脅威の強さ
フランシィ先生などトラウマになったではないか、不意打ち、オルコットはそう言っていたがもし不意打ちじゃないにしても精々倒す時間は1分も伸びなかっただろう
取り合えずあの場は決闘という事で収めたが結果は分かりきっている、間違いなくアランの圧倒的勝利だ
それに束から聞いた話だと武装はもっとあるらしい、ISのエネルギーを奪い取る何か、ISのバリアも装甲も本体も消し飛ばす体当たり
シールドを難なく付き抜け装甲をグチャグチャに拉げさせる威力のエネルギーショット
一撃でISの腕を千切り飛ばすミサイル
グレネードランチャー、マシンガン、目標を凍結させるレーザー、ターゲットをゆっくりと追尾する電撃、エネルギーをありえない速度で削っていく高圧電流、超威力のスナイパーレーザー
どれをとっても、束の口から完全に規格外と言わせる装甲
しかもまだまだ大量に装備や武器はあると言う
それ一機で世界中全てのISを敵に出来るだろう、そして…勝つかも知れない
束は言った、暮桜や白騎士でも勝てないかもしれない、と
さて、どうしようものか…
コンコン
「…?誰だ?こんな時間に…」
今は生徒が部屋の外に出ていいような時間ではないはずだ、という事は山田先生か?
「篠ノ之箒です」
生徒か、こんな時間に私に会いに来るなど…やはり一夏と同室にした事が駄目だったか?
とりあえず扉を開ける
「どうした、こんな時間に、いくら寮内とは言え生徒が外を出歩いていい時間ではないだろう」
「あの…“千冬さん”」
頬には涙の痕、目は真っ赤になり先程まで泣いていたのが分かる、それに「織斑先生」ではなく意図して「千冬」と呼んだ
「…何があった」
「姉さんと連絡を取る方法を…持っていませんか…?」
確か篠ノ之箒は束のことを憎み頑なに「あの人」と呼んで自分の世界から遮断していたはずだ、だがいつの間にか「姉さん」と呼び、更には連絡手段を持っていないかと聞いてくる
…結果から言うなら持っている、私から連絡することは非常に稀だが束への連絡手段はある
だが何のためにそれを聞いてくるのか分からない、それを見極めなければ不用意に教える事など出来ない
「なぜだ?」
「…姉さんに…謝りたいんです…ただ一言だけでも…!」
…実に真剣な目をしている、なぜこうなったのは分からないが箒の願いを聞いてやりたい
しかし一つだけ問題がある
「少し待っていろ」
「はい…」
扉を閉めて振り返る、うむ、改めて見ても、自分で見ても、控えめに見ても
途轍もなく汚い部屋だなここは、こんな部屋で生徒など迎え入れてやれるものか
取り合えずベッドの下とロッカーと…とにかく見えないところに全て突っ込んでしまおう
掃除は一夏を呼んでやらせればいいか
「いいぞ、入れ」
「はい、ありがとうございます」
「そこに座っていろ」
うむ、なかなか綺麗になった、むしろ綺麗になりすぎて必要最低限のものもいくつか揃っていないが別に構わんだろう
私用で使っている携帯、仕事で使っている携帯、そして…もう一つの滅多に使わない携帯を手に取る
一つだけ登録されている番号にコール
「これで繋がる、言いたい事、ちゃんと伝えろよ」
「はい…!」
「…姉さん………その、ごめんなさい………姉さんはずっと私を愛してくれていたのに…それなのに私は姉さんの事を嫌ってた…!……ううん、私のほうこそ、本当にごめんなさい、そしてありがとう……姉さん………私も、姉さんの事………嫌いじゃなくなった…うん、じゃあね、私の大事な姉さん」
どうやら話は終えたようだ、取り合えず姉妹仲は良好になったか、良かった良かった
さて、とりあえずさっきからミシミシと悲鳴を上げているロッカーを開放してやらねばならない
「話は終わったな、では自分の部屋に戻れ」
「はい…!」
「だが、その前に一教師としてけじめは付けなければならない」
コツン
一夏をスッ叩くのとは違う非常に軽い一撃を箒の頭に与える、一応教師だからな、形だけでもやっておかねばならない
「ありがとうございます、千冬さん」
コツン
「織斑先生だ」
■ ―篠ノ之束―
絶賛ゴーレムを弄繰り回して改造中の束さんは元気に鼻歌を歌っている真っ最中だよ!
「Was yea ra chs rre corle fhauri.
Was yea ra lhasya tatakafria.
Was yea ra chs rre asyar tes ciel.
Rrha yea ra lhasya yos fedyya.
Was yea ra grlanza……」
『Rrha ki ga chs cause mea.Rrha i ga dople en gott deanera.Rrha ki ga chs fayra mea nozess yora omnis.』
「むむむっ!この全てを赦しましょう、だが死ね!って音楽は間違い無い!ちーちゃん!!」
と言っても束さんの携帯電話(自作)にはちーちゃんしか入っていないのさーるるるー勿論全然寂しくないよ!嘘だよ!ちょっとだけ寂しいよ、箒ちゃんと仲良くしたいけど…
「はいはいもしもしぃ!束さんだよ!ちーちゃん!」
『姉さん』
え?うそ、嘘ウソうそ?!どうして箒ちゃんが?!なんでちーちゃんの番号から掛かってくるの?!
落ち着いて、落ち着くんだよ束さん、何時も通り、何時も通りにすれば
「ほ、箒ちゃん、ど、どうしたのっ?」
『その、ごめんなさい』
な、なんで?どうして箒ちゃんが謝るのかな?箒ちゃんが謝る必要なんて皆無なんだよ?あれれ?
「な、何で謝るのかなっ?」
『姉さんはずっと私を愛してくれていたのに…それなのに私は姉さんの事を嫌ってた…!』
「箒ちゃん…それはお姉ちゃんが全部悪いんだよ、だからお姉ちゃんがごめんなさいするべきなんだよ?」
『ううん、私のほうこそ、本当にごめんなさい、そしてありがとう』
「あ、あのね、箒ちゃん嫌がるかもしれないけど…」
『姉さん…』
「身勝手だけど、お姉ちゃんは箒ちゃんのこと大好きだよ、愛してるよ」
『私も、姉さんの事………嫌いじゃなくなった』
「ほんと?本当なの?」
『うん、じゃあね、私の大事な姉さん』
プツン
あれ?あれれ?おかしいなぁ…束さん涙が出始めたよ?おかしいね、嬉しいのにどんどん溢れてくるよ?
「なんで?どうして?あれれ?束さん自分の体のことも良く分からなくなってきちゃったよ?」
なんだか胸が温かくて嬉しくて、今なら気持ちよくぐっすり眠れそう、箒ちゃんのおかげでお姉ちゃんは今世界で一番幸せだよ
「箒ちゃん、ありがとう…本当に、ありがとう…!」
やっぱ家族仲は良い方が良いよね、よね
ハッピーエンド至上主義者なので険悪な仲は片っ端から仲直りして貰います
あと白米至上主義者です、白米美味しいです、もぐもぐ
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