落第騎士の転生先(凍結)   作:五月時雨

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戦闘シーン苦手ですが、感想をくれる人がいるとモチベ上がりますね。
そのテンションで書いたけどこれ以上は無理。

『転生先』は原作沿いになっているので、ステラちゃん大暴れしたりはしません。


皇室剣舞

 

 魔導騎士が国家の戦力という側面を持つ以上、当然戦闘技能が求められる。

 国家間の戦争はもちろん、《解放軍(リベリオン)》をはじめとするテロ組織やら犯罪結社に対抗するためにも必須だ。

 故に、破軍学園の敷地にはいくつかのドーム型闘技場が点在しており、そのうちの一つ、第三訓練場の中心に黒鉄一輝とステラ・ヴァーミリオンの姿があった。

 レフェリー(黒乃)を挟み、二十メートルほどの間を空けて対峙する両者。

 そして、そんな二人を見つめるいくつもの視線が観戦席にある。

 元々この訓練場を使ってトレーニングしていたり、噂を聞きつけたりして集まった二、三年生たちだ。数は二十人強と春休みにしてはかなり多い。

 彼らのお目当ては新入生であるステラか、はたまた無謀にも挑戦を仕掛けた落第騎士黒鉄一輝か

                     」

 

「………………ステラさん、何言ってるの?」

 

 うん、何言ってるんだろう。まるで小説かなにかで臨場感を醸し出すための地の文のような口調で、ステラさんは今の状況を解説していた。

 無駄に上手い。

 

「雰囲気作りよ」

「雰囲気作り!?」

 

 理由が適当すぎる…。いや、部屋で会ったときから、これまでの皇女然としたイメージを尽くで粉砕してきたけど、親しみやすいというか、波長が合うというか…うん。友達になれそうな人だ。

 

「今の状況を小説風にしたらこうなるかなって、少しふざけてみたわ。でもお陰で―――肩の力、抜けたでしょう?」

「っ――あはは。気付いてたんだね」

 

 あぁそうだ。僕は柄にもなく緊張していた。彼女が理事長室で、僕の力量を見抜いてきた時からずっと。観察眼に自信がある?確かにそうだろうね。でも、()()()()()()()()力量を見抜く騎士がどれだけいる?

 ステラさんが僕に下した評価はBランク相当。久しぶりに鳥肌が立ったよ。

 ステラさんは、()()()()()()()()()。状況や相性によってはAランクにも勝てるけど、今の僕は正式に任命された魔導騎士のBランク程度。そして彼女は、()()()()()()()()()()()()()()

 

「気を使わせちゃったかな?ありがとう、ステラさんのお陰で無駄な力が抜けたよ」

「それなら良かったわ。変に力まれて本来の力が出せないなんてイヤだもの」

 

 ステラさんの実力は間違いなくAランク(化け物)

 それも、現時点で正式な魔導騎士のAランク相当と仮定。以前戦った、手加減した新宮寺理事長以上と、想定。

 

「ではこれより模擬戦を始める。双方、固有霊装(デバイス)を《幻想形態》で展開しろ」

「来てくれ。《陰鉄(いんてつ)》」

(かしず)け。《妃竜の双罪剣(レーヴァテイン)》!」

 

 僕は魂の具現である武具を《幻想形態》――人間に対してのみ、物理的なダメージを与えず、体力だけを削り取る形態で召喚し、ステラさんに目を向けた。

 

「サーベルの、二刀流?それが、君の固有霊装」

「ええ。二つで一つ。理事長先生のようにそれぞれ銘がある訳じゃなく、二つ揃って《妃竜の双罪剣(レーヴァテイン)》よ」

 

 ステラさんの両手には、日本刀のように反りのある片手で扱う西洋剣のサーベルが握られていた。刀身は黄金色で、纏う炎の揺らめきが、その美しさを際立たせる。両の腰には鞘まであり、状況に応じて一刀流に切り替えると予想する。

 ……こんな状態で、文字通り煮るなり焼くなりされて負けるのは嫌だと思えるのは、リラックス出来ている証拠だろうか…。

 

「よし。…………では、LET's GO AHEAD(試合開始)!」

 

 こうして、微妙に気の抜けた状態で天才騎士(ナンバーワン)落第騎士(ワーストワン)の戦いが始まった。

 

 

 

__________

 

 

 

 うん。一輝の緊張も抜けているし、コンディションもいい感じかな?僕としても一輝の力を見るために、万全で来てほしいし、手の内を残しておくとはいえ、万全で立ち向かおう。

 

「ではこれより模擬戦を始める。双方、固有霊装(デバイス)を《幻想形態》で展開しろ」

「来てくれ。《陰鉄(いんてつ)》」

(かしず)け。《妃竜の双罪剣(レーヴァテイン)》!」

 

 ………うん。やっぱりステラとして生まれて、一番驚いたのはこれかもしれない。固有霊装の形が、前世でステラが持っていた大剣からかけ離れているもの。サーベルの二刀流。これが、今のステラ(ぼく)の固有霊装。

 たぶん、ステラではあるけれど、魂が僕だからこの形になったのだと思う。ステラ・ヴァーミリオン(うつわ)にあった(西洋剣)黒鉄一輝(なかみ)にあった()。その双方が混ざり合い、僕の戦い方に合わせる様に変化した今世の固有霊装。それが、《妃竜の双罪剣(レーヴァテイン)》。

 扱いは刀を扱っていたことと、皇国での指導が良かったこともあり十分。苦戦したのは二刀流に変わってしまうことだが、それは前世で対峙した世界最強たる比翼のエーデルワイスさんを参考にさせてもらった。

 

「サーベルの、二刀流?それが、君の固有霊装」

「ええ。二つで一つ。理事長先生のようにそれぞれ銘がある訳じゃなく、二つ揃って《妃竜の双罪剣(レーヴァテイン)》よ」

 

 一輝は予想通り、黒一色で統一された日本刀の固有霊装。これがもし大型の刀剣だったなら、ステラで間違いないだろうなと思ってしまう。

 

 一言発破でもかけてみようか……いや、やめておこう。今の一輝(かれ)はかなり集中力を高めている。余計な言葉はいらない。

 あとはすべて、剣で語ろう。

 

「よし。…………では、LET's GO AHEAD(試合開始)!」

 

 

 

__________

 

 

 

 開始直後、一輝は無闇に突っ込んできたりはしなかった。まあ最大の警戒はしているように見えるけど。

 僕も一輝のことを弱いなんて思っちゃいない。なにせ、かつては向こう側だったんだから。

 

 だからこそ―――

 

「来ないなら、先手はもらうわよ!」

 

 あえて宣言し、後方に飛び退く。その動作に一輝は怪訝に思い――直後、その顔に驚愕の色を覗かせる。まぁ、当然といえば当然。だって…。

 

「小手調べよ!燃やし尽くせ。《焦土蹂撃(ブロークンアロー)》」

 

 僕の背後には今、百を超える炎熱の球体が浮かんでいるから。右の剣を指揮刀のように振るい、言霊で命じる。炎球は勢いよく撃ち出され、幾条もの光の矢となって一輝に襲いかかった。

 

『うわ!これ終わったんじゃない?』

『一瞬で模擬戦を終わらせるとか、皇女様えげつねー』

『人間業じゃねーだろ』

 

 一輝がいた場所を中心に訓練場の半分以上を埋め尽くす絨毯爆撃をし、周囲に黒煙を上げているのを見れば、観客がこうした声が漏らすのはわかる。

 

でも

 

「今のが小手調べって、少し派手すぎない?」

「ふふっ。一輝なら無事だと思っていたわ。この程度、あなたなら切り抜けられる」

「初めて戦ったのに、全幅の信用をありがとう、でいいかな?」

 

 無傷、だろうね。制服に多少の黒焦げがある程度で、ほとんどを切り払い、躱し、逸らしてみせた。特に発射から着弾までの僅かな時間での判断が良い。飛来する軌道と順番を一瞬で判別し、着弾点を大きく迂回した回避行動。逃げ場がない時のみ切り払い、逃げ道を作り出す。しかも、僕との距離を詰めながら。

 観客が騒然としている様子が目に映る。そうだ。もっと驚け。黒鉄一輝という騎士の強さを目に焼き付けろ。

 

「普通の伐刀者(ブレイザー)数人分の魔力を必要とする大技を切り抜けられるとは、少しショックだわ」

「それにしては、平然としているね」

 

 まぁ、ショックっていうのは半分嘘だからね。この技を最初に使った理由は一つ。観客に知らしめたかったからだ。黒鉄一輝という騎士を。

 誰もが『終わった』と思う中でなお諦めない、一輝の強さを。誰一人、この戦いから目を逸らさせないために。

 

「元から魔術じゃなく、(こっち)で決めるつもりだもの。あなたが倒れなくて、むしろ安心したわ」

「…………そういうことか」

 

 

 一拍

 

 

「ハァアァ!」

 

 一気に距離を詰め、一撃を見舞う。この一撃はあえて単純かつ単調。一見粗暴にすら見える大振り。単純なそれを一輝はその剣筋を正しく見切り、《陰鉄》で受け止め――

 

「ッ!?」

 

 ようとする行動を突如中止した。横っ飛びで僕の斬撃の軌道から外れた。

 うん。()()()()()

 掠ることもなく振り切られ通過した剣は、だが

 

「なんて攻撃力だ。振った余波だけで、強化コンクリートの地面を叩き割るのか―ッ!それにこれはまさか、魔力なしで!?」

「良い判断ね、一輝。今のを受けていれば、それだけでこの戦いは終わっていたわよ」

 

 少なくとも、無事では済まなかっただろうね。前世のステラは大剣と自身の怪力を遺憾なく発揮し、訓練場全体を激震させる攻撃力を誇っていた。今の僕はステラとしての身体能力こそあるが、大剣の重量はない。だが固有霊装がサーベル型に変わったことで、攻撃の鋭さと正確性、貫通力は、むしろ増している。それは、黒鉄一輝(ぼく)の戦い方に都合が良かった。

 故に、この攻撃力。本気で振れば魔力を用いずとも斬撃を飛ばせるようになった。それこそ、かつての兄、黒鉄王馬がステラとの試合でやってみせたように。

 とはいえ、こんな大振りは初手だからこそできたこと。ここからは使えないし、一輝は使わせてくれないだろうね。

 だからこそ僕は、《妃竜の双罪剣(レーヴァテイン)》に炎を纏わせる。

 

「私の《妃竜の息吹(ドラゴンブレス)》の温度は摂氏三〇〇〇度!ここからは、まともに当たればタダじゃ済まないわよ!」

 

 一度開いた距離を再び詰める。大振りではなく連撃。この世界で生まれ直し、正式に学び直した皇室剣技(インペリアルアーツ)。両の剣で描かれるその軌跡は、まさに剣舞。実際、皇室剣技にはいくつかの派生があり、僕が使うのは一撃の重さではなく手数に任せたもの。そこに体術と舞うような動きを組み合わせた独自のものだ。皇室剣技を習い、今の型を作り上げて十年近く経つ今、皇国では皇室剣舞(インペリアルダンス)という新しい型として登録されている。

 

『おぉぉぉおおっ!』

 

 観戦する生徒の歓声が聞こえる。連撃の間に織り交ぜられる体術と足技の数々が、次の手を予測しづらくさせ、相手(一輝)の反撃を許さない。

 

『本当に舞ってるみたい…』

『綺麗……』

『やっぱあの留年生、押されっぱなしだ』

『こりゃ時間の問題だなー』

 

 前世でもステラの剣技は凄く研ぎ澄まされ、舞うように美しく、烈火のごとく荒々しかった。ステラとして生まれ直してから、ヴァーミリオン皇国の剣技大会で優勝したこともある僕の剣は同じ――いやそれ以上に洗練してきた。

 それでもなお。

 

「ッ!?……くぅ――!……オォォオ!」

 

 あはは。食らいついてくるね。一輝(ぼく)

 流石に何度か剣を受けたり足技を食らったりしてるけれど、一度として体勢は崩していない。それに、威力の高い斬撃を見極める目もちゃんと持ってる。上手く衝撃を逃して、僕の攻撃範囲から逃れている、か。

 前世でステラもこんな気持ちを抱いたんだね。

 皇室剣舞(インペリアルダンス)に限定しているとはいえ、決め手に欠ける。攻めきれない。そして剣の真髄を見極めるが如き真っ直ぐな一輝の瞳。

 

 

 それに…………もうそろそろか。

 

 

「逃げるのは上手いじゃない、一輝」

 

 素直な賛辞を贈る。皇国の剣技大会の決勝でも、僕の剣の前で相手は一分と持たなかったのに対し、一輝はかれこれ5分、致命的な攻撃から逃れ続けた。僕自身、本当にすごいと思う。

 

「いや、ギリギリさ。君が磨き上げてきた剣舞。感じるよ、本当にすごい努力だ」

「うっ……」

 

 いや不意打ちはNG。中身が僕自身とはいえ、不覚にもドキッとしたよ。ステラもこんなことを平然と宣うから僕に惚れてくれたのだろうか。前世では完全に無意識だったけど、戦いの中では正直な部分がハッキリと出るんだね、一輝(ぼく)

 

「煽てても、剣しか出ないわよ!」

 

 最速の刺突。最小且つ最少の動きから繰り出される左の刺突は先に振っていた右の剣がブラインドとなり、死角から繰り出され、一輝に迫り―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、右の剣諸共、叩き伏せられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きっと今、僕は心の底から笑ってるだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく本領発揮、と言うところかな?一輝」




皇室剣舞の詳細設定は、次話の方で載せるつもりです。
模擬戦が終わるとネタ無くなるんだよなぁと震えている現状。
理事長の黒い銃(プロパトール)白い銃(エンノイア)は厨二心を擽りますよね。なにせシュヴァルツ(くろ)ヴァイセ(しろ)だし。二丁拳銃だし!《時間操作》に禁技持ちだし!厨二病の結晶だな。

本文でステラが、理事長と違って二つ揃って〜的なことを言ってましたが、違いは別々に顕現できるかできないかという一点に尽きます。ステラは顕現する時は常に二刀。だから一刀流に持ち替える時の為に鞘まであるんですねー。

に、二十話くらいか1巻終わりまでは続け。
じゃねーと恋愛のれの字も出ねー
ステラ(一輝)だから精神的BLかな
腐海が喜ぶかは不明。見た目は美少女やし。

あ、二丁拳銃は慣れてないと肩外れるそうです。
やる時は注意しましょう。
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