落第騎士の転生先(凍結)   作:五月時雨

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時々、日刊ランキングから気になる作品を探しているのですが、

今朝見たらランキングに『転生先』があった(真ん中やや下ですが)ことにビックリして衝動で一気に書きました。短いよ。

模擬戦の決着までなので、2000字くらいです

次回は少し遅れます。(今までがハイペース)


決着

 

 はっきり言おう。この模擬戦、最初から僕は勝つつもりが無かった。最強の技を見せ、一輝の力を観戦席の人に、引いては動画で各学園に知らしめるのが目的。

 変化は劇的だった。ステラ・ヴァーミリオンとして生きてきて、何人もの騎士を見て、何人もの努力を感じ取ってきた。その中でも、黒鉄一輝という騎士は、とびきりの光を放っていた。

 

『努力すれば、天才にだって勝てる』

 

 そう、自信たっぷりに僕に挑んできた騎士は、数多くいた。だが決まって最後にはこう言った。

 

『これだけ努力しても、才能に負けるのか』

 

 あなたに何が分かる。そう言いたかったし、前世でのステラの気持ちがよく分かった。僕がやってきたトレーニングを、あなたは一つでも習熟できるのか?剣舞を一から創り上げたことはあるか?無数の剣術を模倣し、剣の理を暴くことはできるか?生存本能(リミッター)を意図的に破壊できるか?

 

 『満足した時点で、あなたは本当の意味で努力していない』

 

 一度、一人の騎士にそう突きつけた。結果は逆上されたけど。僕自身、皇国にいた頃は心が荒んでいくのが分かっていたし、言ったのは一番酷いときだった。

 

 

 

 だからこそ、黒鉄一輝(かつて)の輝きに対面した今、僕の心は歓喜しているのだろう。

 

 《一刀修羅》。かつての僕の切り札にして、最弱(さいきょう)の技。

 一分でいい。その一分は誰にも負けないようになろう。誰にでも勝てるようになろう。そう、最弱たる僕の考えた、最強の自爆技。全ての生物が持っている生存本能(リミッター)を意図的に破壊し、本来手が付けられない魔力にも手を出す禁忌。命を削るような自殺行為。

 だが、いやだからこそ、その技が放つ蒼白い魔力光はどこまでも強く輝く。

 その光が、一輝の諦めない意志の表れだから!

 

「僕の最弱(さいきょう)を以て、君の最強を打ち破る――!」

 

 前世で僕が愛用した、全力を出すときの宣言。

 一輝(かれ)自身への誓いであり、決意の言葉とともに、一輝の身体がブレた。

 だが、僕の目は正確に一輝の姿を捉え、光の刃で攻め立てた。

 

「ッ!その急激な身体強化――っ!明らかに普通の方法じゃないわね!」

「普通の方法じゃ、君からの試練は超えられないし、この先必ず何処かで限界が来る。だから僕は、普通じゃない方法で。今この瞬間に全力を賭けるんだ」

 

 そうだ。それでこそ、黒鉄一輝(さいじゃく)だっ!

 

「そんな心構えだけで、魔力が増幅するなんてあり得ないわ!」

 

 高く跳躍した瞬間を狙い、光の刃を薙ぐ。一輝は空中で身体を逸らし、間一髪で避けてみせると、着地と同時に疾走。一瞬とはいえ、僕の視界からも振り切られた!

 

「確かにそうだ。でも、心構えじゃなかったら?ステラさん、僕は昔から疑問だったんだ。例えば百メートル走を全力で走ると言って、走った後に()()()()()()()()()()()

 

 全力で、つまり持ちうる全ての力を出し尽くし、死力を尽くしてこそ、全力。にも関わらず、余力が残っているのは可笑しいだろう。そう言いたいんだろう?ならば答えよう。

 

「そんなの生存本能のリミッターがあるから……あなた、まさか!」

 

 我ながらかなりの演技に自画自賛する余裕もなく、一輝を攻め立てる。こうして対面してわかる、一輝の強さ。底力は本当に計り知れない。僕が前世で培った技術を一切使ってないからこそ、彼の努力と身につけた力が浮き彫りになる。

 

「あぁ、そうさ。この魔力は上がったんじゃない。生存本能(リミッター)を意図的に破壊して、本来は使えない魔力に手を出してるだけさ!」

「あなた分かってるの!?それは…そんなの自殺にも等しい博打じゃない!」

 

 気づいたら、かつて七星剣舞祭の決勝で、ステラに超えられた記憶が、一輝の輝きを否定していた。博打は博打。失敗すれば、待つのは死だ。

 

「だとしても、()()()()()()()()()!!」

「ッ!」

「一分で良い。最弱の僕はそんな多くは求めない。でも、この一分間ならステラさんだって超えてみせる!」

 

 元々、この技を使った時はその場から動かないと決めていたので、どうしても攻めきれない時があり、一輝が外周付近を逃げるのをやめ、攻めに転じる時に対応が遅れてしまった。

 

 それが、最後だった。

 

「《一刀修羅》!」

「ぁ―――」

 

 ザンっ!と。

 《幻想形態》で切られたことによる特有の脱力感を感じながら、僕の口元は緩んでいた。恙無く…とは行かなかったが、概ね予定通り模擬戦を負えられたから。

 そんな、ある種の満足感を感じながら、薄れゆく意識の中、僕は誓った。

 

 

「次は、負けてあげ…ない、よ……」

「あぁ。次は、ステラさんも手を抜かないでね」

 

 あはは…やっぱり、バレてたんだ。さすがに一歩も動かないんじゃバレるよね。攻めの動きも単調にしてたし。

 

 

「勝者、黒鉄一輝ッ!」

 

 訓練場内が騒然とする中、理事長の勝者宣言を聞いたのを最後に、僕の意識はブラックアウトした。




ボツバージョン

 一輝がトドメの一撃を食らわせる瞬間にステラが魔力で再現した《一刀修羅》を発動。
 原作でエーデルワイスさんがやってみせた、魔力を完全に作用させた状態になって《陰鉄》を受け止める。
 一輝の《一刀修羅》が切れるまでの時間、一輝が倒れなかったら一輝の勝ちとしてギリギリまでフルボッコにするステラさん。
 土壇場で成長し、不完全ながら魔力の無駄を少なくしてなんとか猛攻を耐えきって一輝の勝利。

 やりすぎは良くないなーと思ってボツ。
 ボツにはあと一つ理由あるけど、ネタバレは厳禁なのでやめておきます。
 尤も、理由が明らかになるまで続くは不明。
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