書いてたら長くなったんで、半分で切って投稿。
続きは手直しが終わってないし
需要無いと思うのに日間ランキングにランクインしました。ありがとうございます_(._.)_
目が覚めると、懐かしい感触と、初めて見た低い屋根。答えを言ってしまうと、二段ベッドの下段。前世は上段を使っていたから、同種のベッドの懐かしい感触と初めて見たの下段の景色があった。
「目が覚めたか、ヴァーミリオン」
唐突に声がかかり、そちらを向くと紫煙を吹かす理事長先生がいた。寮内、禁煙なんですが。でも今は、そんなことを言う気力も沸かなくて。
「ここは…寮室ですか」
「あぁ。お前が倒れたのは、《幻想形態》で殺傷されたことによる極度の疲労だからな。iPSカプセルに運ぶほどでもないと判断し、こうしてベッドに寝かしていたというわけさ」
その言葉に、ちゃんと僕の敗北になったことを悟り、少しホッとする。
「ということは、私は負けたんですね」
「あぁ。お前が、手心を加えたからな」
あぁ…きっと今の僕は、ギクッ!って擬音が付きそうな表情をしてるだろうな。
「その顔では図星か。いや、存外に上手く隠していたと思うぞ?手心と言っても、《
「それに、理不尽に立ち向かう一輝の姿に大半の人が目を奪われてましたから、生徒にバレる可能性は低いと思ってましたよ」
実際、部外者として一輝の輝きを見ることができて、かつての自分の在り処に目を奪われたから。
「手加減したことは、否定しないんだな」
「バレてますからね。一輝が起きたら、謝らないといけませんね。理事長室で言った同等と認めない発言、嘘ですから」
模擬戦に漕ぎ着けるための嘘八百な出任せをネタバラシすると、理事長先生は深い深いため息をついた。幸せ逃げますよ?
「お前な……。本音を言えと言ったろうが」
「許してくださいよ。一輝とは最初から模擬戦をしてみたかったんですよ。でも言いにくいじゃないですか。『模擬戦をしたいだけ』なんて」
「戦闘狂かなにかかと思うな」
「でしょう?」
「ならヴァーミリオン。なぜ、ワザと負けた?模擬戦をするのが目的であれば、むしろ勝敗に拘って然るべきだろう?」
前世に沿って決めた、なんて言っても、意味なんてないだろう。電波を受信したと疑われそう。
「模擬戦を通して、見極めたかったんです。黒鉄一輝という人間を。生まれながらに決まってしまう
嘘は言ってない。最初は(ステラかどうか)見極めたかったんだから。それに、ステラとして再び生まれたことで、黒鉄一輝の輝きを間近で見てみたくなったのだ。
「黒鉄家」
「ッ!………知っていたのか」
ポツリと呟いた一言で、理事長先生はすべてを悟った気がした。
「『サムライ・リョーマ』を輩出した家ですし、連盟日本支部でもかなりの発言権を持っている家名ですからね。そして、これまで数多くの優秀な
………一輝の名前を聞いたときから、気になっていました」
何故、一族の恥になる存在を、それでも魔導騎士の専門学校に通わせるのか。
でも、答えを分かっていながら、知らないはずのこと故に、理事長先生に問いかけた。この質問は、本来上にいる一輝にするべきだと分かっていながら。
「一輝が留年した理由、能力値が低いからじゃ、ないですよね?」
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一日一回の大技である《一刀修羅》を使った反動で今の今まで眠っていたのだが、目が覚めるとすぐ近くから話し声が聞こえてきた。
「一輝が留年した理由、能力値が低いからじゃ、ないですよね?」
目が覚めて、最初に耳に入った言葉が、これだった。突然のことで数秒間理解できなかったが、ベッドの横には理事長先生が立っていて。下段にはステラさんがいる。彼女は、理事長先生に今の質問をしたのだろう。
僕の目が覚めたことにステラさんは気付いていないだろうが、一瞬理事長先生と目があった。
理事長先生は僕の様子に気付かない振りをして、ステラさんの言葉をただ聞いている。
どのタイミングでステラさんに声かけよう…。
「黒鉄という日本の名家が、能力の乏しい
凄いな。僕の名前だけで、ここまで正確に僕の境遇を読んできた。この分じゃ留年の理由も気付いているだろう。
「でも相手は黒鉄家。想像でしかありませんが、学園上層部に圧力を掛けたんじゃないですか?
例えば―――」
「黒鉄の家から出奔したはぐれ者。黒鉄一輝を卒業させるな」
ステラさんの言葉は、理事長先生によって続けられ、それが正解であると裏付けていた。というか理事長。いくらステラさんが自力で気付いたからって、人の込み入った事情を話す気ですか。
「正解だよ、ヴァーミリオン。名家ゆえの
本当にマルっと全部話しましたね、理事長先生…。いや、事実ですから、嘘を言う必要も無いですけど、包み隠さず話す必要も無かったんじゃないですか…?
「正直、『バカらしい』とは、一概にも言えませんね。実力の高い者と低い者を平等に扱っても、高い者は伸びず、低い者は怪我をする恐れがあるし、劣等感が生まれる。ならば、一定の力量以上で区切ってしまった方が良い。そんな考え方もできますから。……尤も、
「『学園はあくまで生徒を教育する場であって、無理な指導をするべきではない。彼に通常の指導をすれば、最悪死ぬ恐れがあった』………確かに、前理事長も似たような言い訳を言っていたよ。私が理事長に就任した際に、お前と似た言葉を送り、ヤツに賛同する者と共に追い出したが」
そう、だったのか。前理事長の時の理不尽は、まだ鮮明に思い出せるが、それでも表向きの理由がないと、もしもの時に自分を擁護できないもんね。そして、その
「ランクとは、あくまで生まれ持った才能を視覚的に分かりやすくしたモノにすぎません。努力次第でどこまでも大きく成長できる。それに、」
「それに、なんだ?」
「………いえ、なんでも。国は常に強い伐刀者の存在を求めているはずなのに、
うん、ステラさんの言い分、皇女様だから言えることでもあるよね。今は理事長(と僕)しか聞いていないとはいえ、ハッキリと連盟本部と日本支部の両方を批判してるし。
「お前の考えには理解できるがな。己の立場や利益を欲する腹黒がいれば、理解を示さない愚か者もいる。皆がみんな高潔な訳じゃない」
「分かってますよ。でも、才能があることに傲り、いざって時に命を懸けられないような人間に、背中を預けたくはないじゃないですか。その点、一輝なら信じられるわ」
「理事長室でも言ったが、随分と高く黒鉄を買っているな?惚れたか?」
ッ!?ちょっ、理事長先生何言ってるんですか!?
「一輝のことなら最初から好きですよ、Likeの方ですけど」
「なんだつまらん」
「人の感情に面白さを求めないでください?一輝の事は、本当に凄いと思ってるんですから」
一瞬、ドキッとしちゃったんだけどステラさん…。倒置的な言い回しやめよう?心臓に悪い…。
「それで?まだ私はお前から核心を聞いていないが、いつになったら話してくれるんだ?」
………途中で目が覚めたんだけど、二人共、思いっきり僕関連の話しかしてなかったよね?
「模擬戦をワザと負けた理由、でしたっけ」
あ、それ話してたんだ。何をどうしたら僕の話になったのか甚だ疑問だけど。
でもやっぱりそうか。剣での勝負をやめた辺りから、おかしいとは思ってたけど、最初から勝つつもりが無かったんだね。
「ああ。黒鉄と黒鉄本家の確執に仮説を立て、あいつを見極めようとしたのは分かった。が、負ける理由にはならないだろう。嘘から行った模擬戦でも、そろそろ真相を話してもらおうか」
え?嘘からって何?理事長室の会話のことだよね?えぇ?何処からが嘘だったのステラさん…。
でも、ワザと負けた理由については僕も気になる。ステラさんは大技を使ってから、一歩も動かなかった。大技ゆえに隙は大きくなるし、動かないなら接近すればただの的。それに、ステラさんは《一刀修羅》を使った僕を
でも得るものは多かったんだよ。僕以上の剣技を見て、また鍛え直そうと思えたし、ステラさんのトレーニングなんかも参考にしてみたいと思ってる。だけど、最後に勝たせてもらったという気持ちが強くて、なんとなくスッキリしない。
「一つ訂正しておくと、今回に限っては、本当に勝敗より一輝の輝きを見ることが目的だったんですよ。あとは、一輝みたいな凄い騎士が、本当の実力を知らしめられる場も無く留年したことに
圧倒的な才能の力を最後に見せたのも、そのためなのか。僕にも“足掻け”って発破を掛けたし、ステラさんが抱いた怒りと、ステラさんなりの形で僕のことを考えてくれた結果なのかな。
「つまり、
「一言で言えば、そうなりますね」
自分の戦績に傷がつこうと気にもせず、あはは…と小さく笑い声を上げるステラさんの様子に、理事長(と僕)は毒気を抜かれたような呆れた表情を浮かべる。
なんというか、ステラさんって……
「お前、アホだろう。もしかすると、自分の価値を貶める可能性すらあるだろうに」
もったいないことする人だなぁ、ステラさん。
「人から向けられる感情や、他人が決める私の価値なんて、元より操作できない不確定なものですよ。事実、尊敬の視線を向ける人がいれば、『人生イージーモードで羨ましい』と妬む人もいます。そんなモノ、いちいち気にしません。
それに、」
「それに、なんだ?」
「それに、私の価値は、私が決めます。私の価値も可能性も
あ―――。
『その悔しさを捨てるな。それは、テメェがまだ諦めてない証拠だ。自分ってやつをな』
かつて、両親も親戚も邪魔者として扱ってきた自分に、諦めなくていいと言ってくれた黒鉄龍馬の言葉。その言葉があったから、僕はこれまで
「だから今日の模擬戦で手加減したのも、敗北したのも私の過失です。手加減なんてする必要無かったと、久しぶりに悔しさを思い出せたから―――
だから、次は負けないわよ?一輝」
間を開けて言ったステラさんの声が、下からじゃなくすぐ横から聞こえたので、反射的にそちらの方に目を向けると……目があった。
「………え?えぇぇぇええ!?い、何時から気付いてたの!?」
「一輝が留年した理由を聞いた時からよ。気配でわかったわ?」
「最初から気付いてたんだ…」
ベッドに横になっている僕のすぐ横から顔を出して、したり顔を向けるステラさんの茶目っ気に脱力する。
ビックリした…最初から気付いてたなら、あえて無視して話してたってことだよね?
「先生もなんで言ってくれなかったんですか。声かけるタイミングを完全に逃してたんですけど」
「お前の過去話で適当に介入すれば良かっただろうに。お前が何も言わないから、私が話してしまったぞ?」
「あの時か……」
「何時になったら話すのかなーってワクワクしてたんだけど…介入してこないから、こっちから仕掛けたわ。理事長先生にも身振りでお願いして」
うわー、すっごくいい笑顔を向けてるけど、真剣な話をしながらドッキリ仕掛けるって、何してるのさ。その心意気を模擬戦にかけてほしかったよ……。何二人して『ドッキリ大成功〜』ってハイタッチしてるんですか。仲良しか。
途中から一輝くん視点でお送りいたしました。
昨日、久しぶりに本屋に行って、来月の新刊予定表の中に落第騎士の
一万五千字いったところで「やべー」ってなって半分で切りました。
新刊は2019年4月12日らしいです。出たらダッシュで買う。投稿より購読。ファンの鏡(自尊)
鏡といえば私が好きなキャラは、かがみんです。
どーでもいいね。私事に需要はない。
前書きにも書いたけど。
次回は少し遅くなります。これは本当。