Primal Apocalypse-プライマル アポカリプス 作:てゐと
シエスタ「物語が交わることは想定していました…。ですが…、こんなことが…」
映し出した空間には街を蹂躙するデッドレア。業火に呑まれ、次々と建物が崩れる。瓦礫となった今ではなんの建物かわからない
???「また想定外?多いわね」
シエスタ「氷空さん…!いつから…」
遥 氷空(はるか そら)「今さっき。デッドスパークも一緒」
明星 暁(みょうじょう あかつき)「そう呼んでくれるなよスペードスナイパー。女神様がお困りだぞ」
小綺麗な浮浪者。そう表現できる服装の二人が現れた。とても普通の職についているようには見えない
シエスタ「暁さんも…。正直まだ驚きが隠せません…。こんな私の事を信じてくださるなんて」
氷空「それはこっちのセリフよ。でもなぜかしらね?」
シエスタ「…もしかしたら氷空さんと暁さん。お二人の物語が原因なのかもしれません」
暁「ほぉ?前に言ってた不干渉って奴か」
シエスタ「はい。本来お二人の物語は他の物語とほぼ関わりません。暁さんに至っては所謂外伝とされています。そのため壁が他より厚く出来ているので影響を極端に受けにくい不干渉が強いのでお二人は驚かず、世界が統合された今はすんなり受け入れられるのかと…」
暁「まぁいくら本来の物語とか世界が統合されたとか言われても今が現実だからな。受け入れるしかない」
氷空「そういうことね。現実主義なのよ、きっと」
シエスタ「そのスタンスに助かってます。ところで…」
氷空「あの女の子の叫び声ねじ曲げたみたいな鳴き声してるバケモンのことでしょ?」
シエスタ「はい。あのヤプールの謀略に人々は呑まれ、超獣の足元で意見割れによる争いが起こっています。ウルトラ戦士も手が出せないこの状況…。どうにかしなければこの世界は滅び、物語は…」
暁「…。なぁ女神様、こういう時どうするか知ってるか?今あんたの手元には俺達含めて沢山のカードがある。奴は言うなればブラックジャックの20でチップをかけてやがる。正直勝ち目は一つしかない、それは21を出すことだ。女神様ならそれが出来ると思うが…?」
トランプを巧みに扱って例えを作る暁。ハットをくいっと指で上げて目配せをする
シエスタ「確かにそれは可能でしょう。ですがそれはこの世界の、散らばった物語の均衡を破りかねない行為です…。万が一私が干渉することで皆さんの世界にヒビが入ったら…その世界は二度と元の物語を辿れないでしょう」
氷空「そう言ってももう手遅れだよ。普通に考えてみなさいよ?怪獣が暴れ、それに対してウルトラマンが戦うのはわかるよ、防衛軍だってね。だけどあの巨大なロボットはどう説明つけるんだ?私達は防衛軍内部に精通してるのにその存在を知らなかった。つまり、あのロボットは怪獣じゃない別の何かを撃退するためのものを防衛軍とはまた別の組織が管理してる…。だろ?」
シエスタ「えぇ。正解です。そうですよね…。もう手遅れなら破れかぶれです。今この時だけでも…!」
翌朝
デッドレアは朝日が上がると同時に動きが鈍り、朝六時頃には完全に動かなくなった。防衛軍はこのタイミングでデッドレアを包囲、市民を避難所へ誘導していた
『避難所はこちらです。落ち着いて避難してください。繰り返します…』
衣理「あ…!円!」
円「衣理…」
避難所へ向かう途中。二人は偶然にも出会った…
衣理「大丈夫じゃないよね…。円すごいげっそりしてる」
円「え?そんなことないって…。やだなぁ…」
衣理「あの散流無って子の事だよね?」
円「わかっちゃうよな…。はは…。っ…なんで…なんでだよ!!なんで散流無が…!」
衣理「円…」
円「夢ぶっ潰されて!鬼に殺されかけて!次はバケモノの体内!?なんなんだよ!?あの子がなにしたんだよ…!神様のバカやろう…!!」
やり場のない怒りが衣理の胸にぶつけられる。そこへ二人の少女が現れた
???「ふぅん?あんたが話に聞いてた円っての?」
円「そう…だけれど?」
???「こんな泣き虫だったのか。そんなのだから散流無があんなことになっちゃったんだよ」
衣理「あなたは?いきなり話し掛けてきて喧嘩腰に」
???「そうよ莉愛(りあ)、そんな言い方って無いと思うわ」
螺吹 莉愛(ねじぶき りあ)「うるさいよ飛鳥(あすか)。私だって話聞いてたぐうたらがこんな様ならここまで口尖らせてないさ」
衣理「あなた…!いい加減に…!」
女南 飛鳥(めみなみ あすか)「言い過ぎよ、謝りなさい」
閉じた目を少し開けて莉愛の肩を持って謝罪を促す飛鳥。莉愛は謝ることなくそっぽ向いて歩きだした
莉愛「円っての。顔面ぐちゃぐちゃになるくらい泣いて悔しいなら散流無を救ってみせなよ。今のあんたはただ何もせず泣き散らしてるだけだよ」
飛鳥は二人に「ごめんなさい」と一礼すると莉愛を追いかけて歩いて行った…
飛鳥「莉愛!本当に言い過ぎよ!」
莉愛「うっさいな。ああいうその場その場でウジウジしてる奴大嫌いなんだよ。私は」
飛鳥「それは知ってるけど初対面の相手に…」
莉愛「関係ない。言うことは言ってやらなきゃ何も変わらないし」
飛鳥「…。散流無のため?それとも円さんのため?」
莉愛「どっちもだよ」
飛鳥「素直じゃないんだから」
『聞こえますか…?』
莉愛「!。飛鳥…じゃないよね?」
飛鳥「えぇ。聞こえたわ…莉愛じゃない誰かの声…」
秋人「なんだ…?誰か喋ったか?」
「いえ?秋人さんお疲れなのでは?」
秋人「…。違うな、確かに聞こえた…!」
紅(なに…?誰の声だ…?)
シエスタ『今、私の声が聞こえている人は限られています…。あなたたちの力をお借りしたいのです』
隆治「力ぁ…?力ってなんだ!?答えろ!」
シエスタ『力とはあなた方がそれぞれ持っている強大な何かに立ち向かえるもの…。それを結集してあの悪魔を撃退しなければいけません…』
家鈴「刹那さん。徳川親衛隊を召集してください。陣触れです」
刹那「はい。すぅーっ…起きろぉぉぉお!!陣触れだぁぁぁっ!!」
シエスタ『お願いします。皆さんの力を貸してください…!』
それを最後に言葉は途切れ、声が届いた者たちの中へ道標が灯った
???「…!「待てよ」」
???「何処に行く気だ?」
???「ゼロさん…。決まってます!今の声に答えに行くんです…!」
ウルトラマンゼロ(人間体)「へっ、止めとけ。今俺達が手を出すのは野暮って奴だぜ。ブレイブ」
ウルトラマンブレイブ(人間体)「ですが…!」
ゼロ「かつて、俺の親父の仲間が残した言葉がある。地球は我々人類、自らの手で守りぬかなければならないんだ…ってな」
ブレイブ「ではなぜ僕達にまで声が…」
ゼロ「今はこんな状況だがよ、本来なら俺達は地球人が力一杯戦い抜き、それでもダメだった時に初めて力を貸すんだよ。つまり…そう言うことだ」
???「さて、どうしよっかな。私としてはこんな苦しみしかない世界は滅んでも良いと思ってるんだけどね」
???「ふぁ~あ…。どこだい?ここ」
シエスタ「っ…はぁ…!まったく!あの人はこの世界でもあいっかわらず風来坊なんですから!!転移させてこないと何処にいるかわかったものじゃないんです!!」
暁「めちゃくちゃ怒ってるな…」
シエスタ「次は別の人を直談判に行ってきます!!どの世界でも世界に勝手に絶望してるひねくれ者さんを!!」
氷空「怖っ…。行くよ暁。女神様の指示通りに」
円「…衣理。頼みがあるんだ…」
衣理「うん。良いよ」
円「まだ何も言ってないだろ…?」
衣理「わかるよ。友達だもん。だから…」
円「ありがとう。だからこそ言わせてほしい。頼む、私は散流無を救いたい!力を貸してくれ!」
衣理「もちろん!」
シエスタ「協力、お願いしますよ…!?本当ですよ…!!」
???「わ、わかったって。そんな怖い顔しないでさ、あはは…」
シエスタ「他のお二人もちゃんと連れてきてくださいよ!?いいですね!?ふぅ…」
???「(寝てないとこうなんだよね…この女神様…)」
シエスタ「だったら寝させてくださいな…?有理香(ゆりか)さん?」
蝶宗我部 有里香(ちょうそかべ ゆりか)「うげっ…超能力者じゃあるまいし思考詠むのは止めてよ」
シエスタ「それはごめんなさい。では再三お願いします」
有理香「なーんでそんなに必死になるんだか…。シエスタ…お昼寝ってことは…。夢…かな?」
氷空「見つけた」
???「んあ?誰だい?」
氷空「女神様にかわってあんたを迎えに来たのさ。錦 椛(にしき もみじ)」
椛「あたしを知ってるのか。きな臭いな」
氷空「私は遥 氷空。初対面で悪いが力を貸してほしい」
椛「別にいいけどぉ…。条件がある」
氷空「なんだ?」
椛「お前、強いだろ?あたしと一発手合わせしてくれよ。あたしは強い奴とやりあうのが大好きでな、やってくれるならその後いくらでも手を貸してやるよ」
氷空「後払いにしてほしいって言ったら?」
椛「前払いに決まってんだろ?」
氷空「…。断っておく、私の本業はスナイパーだ、だから望みに答えられるかわからないぞ」
椛「安心しな。あたしが強いって言った奴が弱かった試しはねぇからさ」
シュルッと棒の先端にある布に付けた紐を解いて布を取るとそこには四つ叉に分かれた矛が姿を露にした
氷空「銃刀法が息をしていないわね」
椛「お互い様だろ?行くぜっ!!」
シエスタ「はぁぁぁぁーっ…。あんの戦闘狂さん…」
暁「止めてこようか?」
シエスタ「氷空さんに秒で終わらせてほしいとお伝えください…」
暁「氷空!早くそいつを大人しくさせろ!」
氷空「簡単に言わないでくれる?こんなのにわざわざ近接してる身にもなりなさいよ」
椛「ナイフ一本でやるじゃないか!あたし相手にそんな小さいので戦えたのはお前が三人目だよ」
氷空「一刻を争うのはわかってるのよ。女々しく口だけで文句言うくらいなら男らしく手伝いに来なさい」
暁『俺が付くまでにはお前なら終わらせるだろ』
氷空「第三者は所詮そうとしか言えないのよ」
強引に通信が切れると氷空は椛の攻撃に合わせて跳躍。靴の先で武器を持つ手を蹴った。するとバチィッという音がして椛は矛を手から離してしまった
椛(靴先にスタンガンか…!)
氷空「ふんっ」
矛を踏みつけ、勢いを付けて椛の顔を狙って飛び蹴りが炸裂した。それを椛は片手で受け止めていた
椛「まさか四叉矛(よつまたほこ)をはたき落とされるなんて驚いた。この勝負はあんたの勝ちだ」
笑って手を離すと地面にめり込んだ矛を片手で引っこ抜いて先端をまた布で括りつけると氷空に手を向けた
椛「久しぶりに熱くなれた。ありがと」
氷空「満足してもらえたようで何より…」
椛「それじゃあ…。錦 椛。義によってあんたに味方するよ」
氷空「ありがたいね。それじゃあ行こうか」
シエスタ「やっと終わってくれましたか…。それでは行きましょうか…」
暁「御愁傷様」
シエスタの声を聞いたものたちは皆、とある場所を目指していた。そしてそこへ衣理と円が徒歩で到着。そここそ…紅皇子家だった…
葉百合「衣理!円さん!」
衣理「葉百合!えっと…。あの人たちは…?」
シエスタ「それについては今から皆さんに説明します」
そこに光と共に舞い降りたのはシエスタだった
シエスタ「皆さん、改めてお初にお目にかかります。私の名はシエスタ。皆さんに声をかけてここに集めたのは私です」
秋人「私は」
シエスタ「日輪 秋人さん。私は皆さんの名前を全て知っています。どういった人なのかも」
葉百合「単刀直入にお聞きします。あなたは何者なのですか?」
シエスタ「ある世界に存在する一人の人間が生み出した世界を見守る者…夢の管理者、それが私です。だけれどその人間は次第に大人になってその夢を思い出に変えて封印しました。そして私も思い出の鍵となって遠い記憶へ…。そうなるはずでした」
家鈴「なるはずだったとはどういうことですか?」
シエスタ「この世界はその思い出が形を変えて甦った世界。時折しか交わらなかった11の物語。それが無理矢理形を変えて一つになってしまったのです」
秋人「簡単に納得できないな…。想像の限界を越えている」
葉百合「この世界が無理矢理作られたというなら何か理由があるはずです。それはいったい…」
シエスタ「ごめんなさい、私にもわからないのです。ただ言えることは二つ。一つは最近までは違和感なく静寂を保っていたこの世界に危機が訪れてたこと。もう一つはこの世界を守るために、今回だけでいい。皆さんの力をお借りしたいんです」
秋人「あの超獣を倒すのか?それなら防衛軍やウルトラマンに…」
シエスタ「ごもっともです。ですが皆さんが今日まで撃退してきた存在は元の世界でも撃退していたものなのです。定められた存在同士がぶつかり合えば破壊と再生の対消滅が起きて世界を傷つけることはない…。ところがあの悪夢は本来のストッパーであるウルトラマンの力さえはね除け、彼らだけでは止められないほど力を増してしまいました。あれを止めるには他の力も借りなくてはならないのです…」
衣理「やろう!」
葉百合「衣理…!」
衣理「私は誰かの大切なものや人を守りたい!それが例えこの世界でも!夢だったとしても!」
シエスタ「衣理さん…。(やはりあなたが…最後だったんですね…)」
秋人「私たちSEASONも出来る限りの力を貸そう。おそらくあなたの声はあの子達(ガイアーディアン)にも聞こえている。そうじゃないか?」
シエスタ「はい。聞こえています。それと先日あなたたちに捕まった人たちにも…。彼女達の力も必要です」
秋人「なにっ…!?」
家鈴「我が徳川もお力になります。兵たちはすでに待機させています」
シエスタ「ありがとうございます。それでは作戦なのですが…」
秋人「突貫だな…。しかも一発勝負か…」
家鈴「さらに時間にも限りがあるとなればなおのこと急がなければいけませんね」
衣理「無茶でも何でもやらなきゃ…!でしょ?円」
円「あぁ。もうウジウジ悩んだりしてる時じゃない。散流無は必ず救い出す!」
葉百合「ではシエスタさん。号令を!」
シエスタ「これより皆さんのお力をお借りします。作戦名は…ドリームテイカー!(夢を奪い返すもの)お願いします!!」
次回予告
散々すれ違って来たんだ
いつも思いが合わなかったんだ
同じことを思っているはずなのに
だけど今わかったよ。どうしてなのか
さぁ。目を覚まして
次回 Primal Apocalypse 第十三話 光指す明日へ
お疲れ様でした。シエスタが言ってる事はほぼ全てリアルです。この物語がどういう存在なのか、そのままの意味となります