Primal Apocalypse-プライマル アポカリプス 作:てゐと
この物語は限りなく現実に近いフィクションです。
前回までのあらすじ
高校生となった主人公、澪岸 衣理(みおぎし いのり)は転入早々怪獣災害に襲われ、ウルトラマンブレイブとウルトラマンコスモスによって救われた。その後、学校や近隣地域で続出する「何かが巻き込まれる怪事件」によって親戚を傷つけられた少女、雉列 円(きじれつ まどか)と友達になり、一緒に事件を調査した、そこで事故にあったリムジンから運転士と一人の少女を衣理は勇気を振り絞ってかろうじて助け出す。そこに「螺巻鬼(ねじまき)」と名乗る死鬼が現れ、成敗と称して衣理たちに襲いかかる!そして突如現れた光によって衣理は「ガンバレッド」に変身。ウルトラマンティガの助けもあってどうにかその場を離れることができた…
ウルトラマンティガ「チャッ!」
現在、ウルトラマンティガは劣勢だ、元は炎魔戦士 キリエロイドと戦っていた彼は衣理たちを踏み潰そうと巨大化した螺巻鬼とも対峙していた
螺巻鬼「ウルトラマンティガ…か、てめぇが二面鬼を倒した奴だな?だがよ…」
地面に手を突き刺すと巨大なこん棒を取り出し、豪快に振り回してティガを指差す
螺巻鬼「俺はアイツみたいにゃぁいかねぇぜ…!覚悟しな!」
キリエロイド「キリイッ!(邪魔をするな!ウルトラマンティガは我々キリエルが倒す!)」
今一度戦いが始まった!こん棒による振りかぶりを軽快なジャンプでかわすとティガは螺巻鬼をキックで蹴り飛ばし、続いて襲いかかるキリエロイドとすばやい格闘の応酬に入った。
ウルトラマンティガ「(くっ!以前より強い…!)」
キリエロイド「(当たり前だ!貴様が邪神と戦った後、我々は宇宙で新たに力を手に入れた!この力でウルトラマンティガ!貴様を倒してこの地球を我らキリエルの民のものにするのだ!!)」
ティガを蹴って距離を離すとキリエロイドは手からの炎「獄炎弾」でティガを痛め付ける。だがすぐに空中からレーザーがキリエロイドを攻撃する。ウルトラマンティガと共に戦う防衛チーム「GUTS」のガッツウイング1号と2号による援護射撃だ。ティガは頷くとGUTSの援護を受けながらキリエロイドと螺巻鬼に立ち向かっていく!
???「やはり出たか、死鬼め…!桜庭!行けるか?」
???「はい、この子も行けるって言ってます!」
???「よし。桜庭、お前の相手は死鬼だ、もう片方の白黒の奴はウルトラマンに任せろ。」
???「了解です!」
「誤差修正、カタパルト、オールグリーン」
「五番、八番、九番ゲート。解放!」
「射出準備完了しました!」
???「行け!桜庭!」
春姫「ガイアーディアンHS!桜庭 春姫(さくらば はるひ)!コンディション・グリーン!!」
体高48m、重量207tの巨体が急上昇式のリフトから勢い良く地上を目指す!スラリとしたシルエットに桜色のボディ。どこかイルカを思わせる形のした頭部。肘に付いている突起は目と思われる部位と体のラインを流れる線と同じく青、それは近づきつつある地上を察してか上を向いて構えをとる
衣理「わわわっ!?地震!?」
円「すごい揺れってか真下…!?」
なんと学校の運動場から四本の柱が生え、その中から丸い巨大なハッチが地砂をかき分け姿を現し、開いたその場所から真上に何かが飛び出す…。そう、これこそが地球が産み出した守護神。季節を司る機械天使。…その名もガイアーディアン…!!
衣理「って落ちてくるっー!?」
高々に空から落ちてくるガイアーディアン!だが着地音と突風はすれど揺れの一つもなかった。その理由は…!
春姫「ふぅっ…危ない危ない、さぁて…バリアも好調だし…。行こうか!君!」
足元にバリアを展開し、そこに着地したのだ。着地の衝撃で校庭の桜が舞い、ガイアーディアンを彩る。そして目と思われる機関を赤に光らせると足元にバリアを展開しながら街を踏まないように死鬼へと走ってジャンプ!バリアを拳に纏わせて急降下しながら殴り付ける!!
螺巻鬼「ぐぼっ!?」
春姫「お前の相手はボク達だよ!」
高らかに指を指し、ガイアーディアンと春姫は挑発してウルトラマンティガから螺巻鬼を引き離した!
螺巻鬼「なめやがって…!このっ!」
ガイン!ガン!ガン!ゴワァン!
こん棒による打撃を全て手に纏わせたバリアで無効にするガイアーディアン。
自身の自由落下にもものともしない強固なバリアで攻守ともに優勢に立つとその巨体で軽々と宙を舞う。
春姫「鬼さんこちらっと。よし、だいぶ学校とウルトラマンから引き離せたね。ここらへんならもう避難も終わってるし…気楽に本気出せるねっ!」
秋人「GUTS隊の方々。私はSEASON(シーズン。Seasonal Earth Savior Knight。季節と地球を救済する騎士の意)の日輪 秋人(にちりん あきと)です。あの鬼…死鬼は我々にお任せください。あなた方はウルトラマンティガと共に引き続き戦闘をお願いします、ご健闘を」
カラータイマーのなり始めたウルトラマンティガはGUTSと共にキリエロイドと戦い、連携攻撃で徐々に追い詰めていく。旗色が悪いと感じたキリエロイドは足元を爆発させ、爆煙と共に不気味な笑い声を残して姿を消した…。ウルトラマンティガは周囲を警戒すると残り少ない時間にも関わらずガイアーディアンに加勢し始めた!
螺巻鬼「うぉっ!あの野郎…逃げやがったのか!」
ウルトラマンティガの乱入に驚く螺巻鬼、その隙をガイアーディアンと春姫は見逃さなかった!
春姫「ヴァリアスラッシュ!!」
エネルギーを凝縮した頑強なバリアをウルトラマンが使用する八つ裂き光輪のように投げつけ、螺巻鬼のこん棒を切り壊す!それに続くようにティガはパワータイプに変身、螺巻鬼の頭が下になるように持ち上げるとウルトラヘッドクラッシャーで思いっきり地面に叩きつける!
螺巻鬼「ぐっ…ちく…しょう…!」
角が折れ、完全にグロッキーにされた螺巻鬼は立ち上がるが…
春姫「トドメっ!」
大きく跳躍するガイアーディアン!そしてバリアを足場にした反動で螺巻鬼めがけて狙いを定める…!螺巻鬼がガイアーディアンに気を取られている隙にティガはパワータイプのままゼペリオン光線を放つ!それと同時にガイアーディアンもバリアを蹴り、螺巻鬼へ跳び蹴りの体勢に入った!
春姫「春風!桜花蹴りいいぃっ!!」
光線が命中すると同時に蹴りが決まり、爆発の瞬間バリアが螺巻鬼を包んだ!そして爆発が消え去った頃、バリアは光る桜の花弁となって美しく舞い散った…
春姫「ふぅっ、秋人さん。これで終わり?」
秋人「あぁ、周囲に死鬼の反応は無い。よくやった」
春姫「それじゃあ回収お願いします」
ピッと通信を切ると春姫は飛び去るウルトラマンティガに手を振ってその姿を見送り、ガイアーディアンのコックピットを優しく撫でる…
春姫「お疲れ様、君のおかげだよ」
外から見たガイアーディアンの目は…戦闘時の赤色とは対照的な優しい青い色になっていた
翌日…
衣理「おはよー、円」
円「おはようさん。昨日は…その…ありがとな!」
衣理「ううん。友達として当然のことだもん」
昨日…あの後、私たちは危険が去ったとして各々の自宅へ送還された。火事場泥棒なんてのもいるしどさくさ紛れの人拐いなんてのもあるらしい。その意味では自衛隊の人達が家まで送ってくれるのはすごくありがたい。そして…
衣理「…」
どうやらこのブレスレットは私の意思で出したり消したりできるらしい。今は学校だから消してる。
崎谷「おーし、それじゃあ出席取るぞー」
この世界は変わってる。いやまぁこれが普通の世界なんだけど
大昔、ウルトラマンが来る前から怪事件の絶えない世界。人が消えたり死ぬのは当たり前。
国民的ヒーローである「仮○ライダー」とか「ガ○ダム」「ポ○モン」なんかは怪獣災害で傷付いた人の事を支えてきた。ウルトラマンと違って現実には存在しないけれど人畜無害な事もあって別のベクトルで好かれてる。
みんながみんなウルトラマンの事を好きだとか感謝してるわけじゃない。中には巻き込まれて家族や自分の体の一部を失った人もいた。
ウルトラマンじゃなくても行方不明者や怪死事件が誰かを襲う。宇宙人の仕業だとか言う人もいるけれど原因は定かでは無い。
もしかしたら昨日の鬼…「死鬼」のせいかもしれない。あの一件は終わったけど。また違う死鬼による事件が起きるかもしれない。私のこの力はそれと戦うため…?
お昼頃…
円「衣理、一緒に昼食べようよ」
衣理「うん。いいよ」
私はそう言って円の机と自分の机を合わせる。そして気になる子へも声をかけてみた
衣理「あの…夏目古川さん。もしよかったら一緒にお昼…食べない?」
そう。私の左隣の席の夏目古川さんだ、物静かな雰囲気と銀縁メガネに片目を隠した黒い髪が綺麗な子だ
未来「…構わないけど…。私、食べるときは無言だよ…」
衣理「それでも大丈夫!一緒に食べることに意味があるんだしさ」
寄せて寄せてと夏目古川さんの席も自分達の席に寄せる。実は彼女からはささやかな気遣いやアドバイスを貰っている。昨日も今日も。だから表には大きく出さないだけでいい人なんだと伝わってくる
未来「…ありがとう」
衣理「ありがとうなんていいよ、友達なら当然でしょ?」
そう言葉を返すと彼女はまたぼそりと呟いた
衣理「?。なんて言ったの?夏目古川さん」
未来「…未来(みき)。私の名前…」
衣理「ぁ…」
私と円は互いの顔を見て頷く
衣理「よろしくね、未来、私の事も衣理って呼んで」
円「私も円って呼んでくれよ。未来」
未来「衣理…。円…。その…よろしく…」
その時。教室のドアが開いて顔に包帯をぐるぐる巻きにしてる女の子が入ってきた。突然の事にざわめく教室、だがその子はどこ吹く風と私の前にやってきた
???「澪岸 衣理さん?」
衣理「え、あ…。はい…」
いきなりフルネームで呼ばれて少し怯んでしまった。なんだろうと思っていたら私はこの子をどこかで見たような気がした
???「昨日はありがとうございます。おかげで助かりました」
衣理「あー!昨日の!リムジン乗ってた!」
そう。包帯のせいで最初はわからなかったが昨日助けた女の子だった
葉百合「葉百合です。紅皇子 葉百合(こうおうじ はゆり)」
その一言に円が飲んでいたスポーツドリンクを吹き出した!
円「ちょっとまっ…!ええっ!?(;゚Д゚)紅皇子って…あの紅皇子…!?」
葉百合「まぁ、ご存知なんですね」
円「ご存知どころか知らない人いないよ!」
衣理「えっと…どちらさま…?」
またしてもその一言に円につられてクラスのみんながずっこける
未来「紅皇子…現在の日本を支える三大企業の一つだよ…」
衣理「え゛っ」
思わず変な声が出る。いやまぁリムジンに一般人が乗ってるわけは無いとして…まさかこの子がそんな大物…!?どうみても包帯のせいで可愛いミイラにしか見えない。ちなみに左目と口以外はほぼ包帯で隠れてる
衣理「あれ…?昨日ってそんな怪我してたっけ…?」
葉百合「これですか?今朝、螺旋階段から転げ落ちてしまって…」
恥ずかしそうにそう言う紅皇子さん。いや、なんで生きてるの?もしかして本物のリビングデッド?
衣理「いやいやいや…私のところ来る前に病院行ったほうが…」
葉百合「幸いこの程度ですんだのでお礼をと~」
円「どゆこと!?この程度の概念ってなに!?」
未来「…理解不能」
葉百合「それで澪岸さん。その…もしよければだけど…」
衣理「お礼なんて…当然のことしただけなのに…」
円「衣理、お礼させてあげなよ。せっかく人を介さず自分で来たんだ。立派だよ」
未来「…。断ったら…紅皇子さんが恥かいちゃうよ…」
衣理「み…みんながそういうなら…」
気恥ずかしく衣理は答える。恐らく誰かに本格的なお礼をされるのが慣れてないのだろうかすごく緊張しているように見える
葉百合「ありがとう!っと…もうこんな時間…。それじゃあ放課後迎えに来るから!」
そう言って手を降りながら彼女は教室から出た。その5秒後!
ドタドタガッシャーン!ガン!ゴロゴロ!!ビターン!!
全「何の音!?」
凄まじい激突音が聞こえて教室から出ると階段の下で頭から血を流してる葉百合がいた
葉百合「大丈夫ー!それじゃあねー!」
走り去った葉百合を見た三人はやや顔面蒼白で顔を合わせる
円「これは放課後まで生きてるかが問題だね…」
衣理「いや…まぁ…。…たぶん怪獣災害爆心地でも生きてそうな生命力してるけど…不安だね…」
円「私…嫌だよ…、放課後に霊柩車がスタンバってたら…」
未来「別の車でも葬儀所行きかも…」
衣理「今だから苦笑いだね…」
放課後…
円「まさか怪獣災害で午後の授業潰れるとは予想してなかったな…」
未来「東京に比べるとマシとは聞いてるけど…大阪も大概だね…」
衣理「まったくだよ…。私この学校でちゃんと授業受けれるのか心配になるよ…。…ところで気になったんだけど…聞いてもいい?」
円「おう。なんだい?」
衣理「円たちって大阪生まれ?」
未来「私は違う…。中学2年までは神奈川県で育った…」
円「あたしは大阪だね。どうして?」
衣理「二人とも標準語でしょ?東京から来た私ならともかくとして関西弁じゃないんだって思って」
円「あー、よく言われるかも。あたし…実は将来は東京に行きたくてさ。それで関西弁ってその…誤解招きやすいじゃん?だから標準語使ってるんだよ」
衣理「そうなんだ。何を目指すの?」
円「それは…」
葉百合「澪岸さーん!」
その時。リムジンの窓から紅皇子さんがこっちに手を振っていた。私達も手を振り返してリムジンへ向かう。
葉百合「さっ、乗って乗って!」
恐れ多くリムジンへ乗る私達。うわぁ…なんだか普通の車とはなんか…高級感が…
葉百合「車、出してください」
「かしこまりました。お嬢様」
運転士さんがエンジンをかける。この間の人ではないみたい…
葉百合「改めまして…先日はありがとうございます。おかげで私達は命を救われました」
衣理「いやその…当然のことだし…」
葉百合「まさか選ばれた人がこんな近くにいるなんて思ってもみませんでした」
衣理「え…それ…どう言うこと?」
葉百合「あなたが手首にしてるブレスレットのことです」
未来は頭にはてなを浮かべるが私と円はぎょっとした。嘘…変身してるってバレてる…!?
葉百合「お礼にお話しします。そのブレスレット…エールブレスについて…」
葉百合「そのブレスレットはエールブレス。…とは言っても発見されたのは大阪城の隠し地下室。同室にあった書物には努力と祝福の腕輪と記されていました。これは全部で8つ有り、その全てが私達、紅皇子が現在厳重に所持しています。戦国時代から続く伝記によればエールブレスは死鬼と呼ばれる妖怪や異形の侵略者などを退けた勇者の所有物と伝えられています」
円「そんな骨董品がどうしてまぁ衣理に?」
葉百合「このブレスレットは所有者を失うと次の所有者を自らが決める自我に近いものを持っているとされます。恐らく…どういった状況かはわかりませんが澪岸さんの何かに反応してその一つが宿ったのでしょう…」
それを聞いて昨日を思いだす衣理と円。衣理のほうは深刻そうな顔をしている
衣理「…昨日。私は必死だった…と思う…」
衣理「目の前の命を、友達の円を助けたくて、ただひたすら必死だった…。そしてあの死鬼の攻撃を自分だけ受けて三人を助けたかった、その時…」
円「エールブレスが衣理に反応した…?」
葉百合「そのエールブレス、出してもらってもいいですか?」
衣理「あ、うん」
隠していたエールブレスを具現させてそれをみんなに見せる。その腕輪をあるラインは薄い赤色。それ以外はほぼ銀白色に包まれている
衣理「あれ?よく見るとなんか昨日と違うかも。昨日はもっと明るい色してたと思う…」
葉百合「と…いうことは…。間違いないですね…」
席の足元を叩くと座席下からアタッシュケースが出現。指紋や目での認証が終わると開いたその中には…
紅皇子「これが…残り七つのエールブレスです」
なんと全て虹色のエールブレスが収納されていた。
未来「…きれい」
円「カラフルだなー…」
葉百合「これは本来の色ではありません。エールブレスは所有者によって色が変化すると言われています。そして力を使っていない休眠中は色が薄くなるとも伝記に記されていました。理由は不明ですが…」
「失礼します、お嬢様。そろそろお着きします」
葉百合「わかりました。…続きは私の家でお話しします。」
窓を見るといつのまにかすごい豪邸の前にいた。そして門を抜けて玄関だと思われる所でリムジンのドアが開いた
「「「お帰りなさいませ、葉百合お嬢様。ようこそいらっしゃいました、ご友人の方々」」」
数十人のメイドさんや執事さんが出迎える。それに目が点になる私たちの手を引いて葉百合は歩きだした
葉百合「ただいまです。いつも皆さんありがとうございます」
笑顔で返す葉百合とともに豪邸に入る。が…私達とは育ってきた環境が違うからかやや気後れしてしまう
衣理「すっごいね…なんだか日本じゃないみたい」
円「がっつり大阪だぜ…」
葉百合「こちらです」
案内された部屋に入るとやはり広い…
???「へぇ、葉百合が友達を連れてくるなんて珍しいねぇ」
衣理「ふえっ!?」
突然後ろから聞こえた声に驚く私達。話しかけた赤い髪の女の人は「ごめんごめん」と笑いながら謝る
葉百合「紅(くれない)お姉ちゃん!?」
紅「よっ。元気にしてたかい?」
葉百合「どうしてこっちに?今日はたしか…」
紅「あぁ、知ってのとおり、えげつないスケジュールだったけどさ、今日の「アレ」のせいでほとんどキャンセルだよ」
葉百合「…ごめんなさい」
紅「葉百合のせいじゃないって。来ちゃったもんはしゃーないだろ?」
衣理「紅皇子さん…その人は…?」
紅「おっと、自己紹介が遅れたね、あたしは赤色 紅(せきしき くれない)。葉百合とは従姉妹ってところ。よろしくね。えっと…」
衣理「澪岸 衣理です。こっちは円と未来です」
紅「へぇ。なかなか礼儀良いじゃん?それで?葉百合。どこまで話したんだい?」
葉百合「え゛っ」
紅「やれやれ。こりゃまだ話してないか。あんたらさ、この子が怪我した理由聞いた?」
未来「一応は…」
紅「なら話は早いや。この子は生まれつきとんでもない体質でね。最強の幸運と最凶の不幸を対等に持ってんだよ。たぶんあんたらもこの子に怪我の理由聞いたと思うけど普通の人間なら死んでる。だけど葉百合は"偶然"急所を外して致命傷だけにはならない。そんな体質なのさ」
葉百合「お姉ちゃん…」
紅「大丈夫だよ。この子たちそんなのでビビるような子じゃないみたいだし。っとこんな時間かぁ…よし。それじゃあ行ってくるよ」
葉百合「お願いします…」
堅苦しい挨拶をする葉百合の肩をぽんぽんと叩きながら紅は笑顔で部屋から去っていった…
衣理「その…紅皇子さん。いや、葉百合。私とちゃんとした友達になってくれる?」
葉百合「え…?」
衣理「私…昨日の夜から考えてた。これが夢じゃないなら、この力を使えば。多くの命を助けられるって。あなたは私が初めて救った命…。これからも友達としてあなたを助けたい。だから教えて。この力のこと。そしてさっき紅さんと話してたこと」
葉百合「…わかりました。不思議ですね…前にもこんなことあったみたい」
衣理「まさか、私達出会ったばっかじゃんか」
その受け答えで思わず笑いを起こすと葉百合は目付きを変えて真面目に話を切り出した
葉百合「率直にいいます。その力は…世界を救えます」
葉百合「これが現在見つかっている資料です。全て大阪城から見つかってます」
円「ってことは…もしかしてこれが…?」
葉百合「はい。恐らくこれが…徳川埋蔵金の正体。と私は思っています」
未来「…思うって…?」
葉百合「実は…徳川家の末裔の方に確認したのですがその方にもわからないと…。確かに徳川家康が江戸幕府創設の際に当時の…戦国時代に選ばれた方々から未来の平和のためにと預けられたと伝わっているらしいのですが…たしかなことはわからないようです」
円「まぁ…預かりものが埋蔵金だなんて言われたら預けた人達がうかばれないよな」
葉百合「それに江戸城からはエールブレスに関する資料は一つも見つからないのです…。どうもこの大阪のみのようで」
衣理「あ…昨日、円が言ってた大阪に鬼が住んでいたって話…。これと繋がるんじゃない?」
未来「…?」
円「その前によ、よくよく考えたら何も知らずに文句の一つも無しに着いてきてくれた未来に説明しようぜ」
衣理「ってことなの。わからないことは?」
未来「理解完了…。それなら役にたてるかも…。私のお姉ちゃん…そういうのに精通してるから…」
葉百合「夏目古川さんにもお姉さんがいるのですね」
未来「…知ってるでしょ?」
葉百合「いえ?初耳ですけれど…」
未来「衣理と円はさすがに知ってる…」
衣理「え?」
未来「…担任なのに」
円「は!?もしかして…」
未来「崎谷先生…私の叔母…。だけど年が近いから実質お姉ちゃんとして見てる…」
衣理「うそぉ!?」
未来「私のお母さんとは13歳差…。私とは6才差だね…」
葉百合「私も親戚が多いですけれど…それほど叔父や伯母の年齢が近い方はいませんね…」
未来「…さっきの赤色さんも…今の日本を支える三大企業の一つだよね…」
葉百合「よくご存知なんですね、そうです。紅お姉ちゃんは赤色家の三番目に産まれた後継者、三つ子の長女でもあります。そのため昔から面倒見がよくて人を纏めるのが得意なのです。とても頼りになります」
円「はい、ちょっと待った、脱線しはじめてるぞ。ガールズトークも一旦路線戻そうか」
葉百合「あっ、ごめんなさい。私としたことが…」
恥ずかしそうに焦る葉百合。だがすぐに切り替えて目付きを変える
葉百合「…ということは。死鬼は大阪を中心に活動してるとみて大丈夫そうですね…」
円「あぁ、理由はわからないけれどそういうことだな。」
衣理「人間を成敗するって意味もわかんないよね…謎だぁ…」
未来「…そこは私からお姉ちゃんにお願いしてみる…。後でコピーさえ貰えるなら渡しておく…」
手元の資料を整理しながら死鬼への対策を練る。だが情報はまばらで少ないため最低限「行動を阻止する」という結論に至った
葉百合「…死鬼やエールブレスについては一度ここで話を切りましょう。時間的にも、次が紅お姉ちゃんと話してた内容です」
そう言ってまた別の紙を取り出す葉百合。上質そうな真っ赤な紙には…
衣理「こ…これって…」
拝啓、紅皇子の方へ。
4月11日。午後九時。そちらの家宝とされるゴールドダイヤモンドを頂きに参ります。
これは現代に失望した私からの現代へ送る挑戦状である。
恨むならば私ではなく退屈を与えた現代を恨め。
現代のアルセーヌ・ルパンより
紅「さぁーて…。いよいよだ、身内ん家に盗みに出りゃあ私達は犯人候補から閉め出される…」
???「お姉、準備できてるぞ」
???「私たちの挑戦状…やっぱり十回目の挑戦だと警察とかの気合いの入れようが違うね…」
紅「はっ!甘いよ、あの程度じゃあたしらにゃあ到底敵わないね。あたしたちはアルセーヌ・ルパンの正当後継者!本気で捕まえたいならシャーロック・ホームズか明智小五郎でも連れてきなってんだ!」
???「どっちも実在しないじゃない…」
紅「廃れきった現代にそんなもんいないってことさ、現代は腐ってる。町中死臭だらけだ。人が人を潰しあって誰もが貧乏。そしてそんな人達を踏み台にする奴等を私達は許さない。それが世界であろうと…!」
???「不公平なこの世界。上に立つものも不公平であるべきだ、そうすれば誰もが公平になり、支えあえる」
???「そして私たちの立場も変わればそれは証明となる…。頂点までもが公平であると…」
紅「だからこれは攻撃でも宣戦布告でもなく。不公平を生み出したこの世界への…逆襲だ…!!」
???「…姉さん。それアウト…」
紅「バレなきゃセーフだってのに!これがアウトならこの世にユーモアとパロディーと○魂は存在しねぇーんだよぉっ!!」
???「バカお姉!せめて後ろのところ隠せや!!」
紅「なにが問題だぁっ!?金か銀の違いだろぉ!?」
???「それが問題なんだろーが!!」
次回予告
「現代のアルセーヌ・ルパン」の挑戦に立ち向かう葉百合。友達のために衣理達は立ち向かうことを決心する!だが紅達は巧みに包囲網を潜り抜け、ゴールドダイヤモンドへ近付いていく…。そして衣理は約束のために再びガンバレッドへの変身を試みる!
次回 Primal Apocalypse 第三話 赤と紅(あか)の衝突
お疲れさまでした。次回からは今までの半分ほどのサイズで投稿してみようと思います。感想やブクマもお待ちしております