Primal Apocalypse-プライマル アポカリプス 作:てゐと
衣理「また出てきた…」
葉百合「衣理!あっちは任せて私たちはルパンへ…!」
衣理「うん!…って言ってもどこに…」
不知火「…危ない。なかなか良い洞察力してる…」
天井にある通気孔の中。不知火は静かに潜んでいた…
不知火「(電気を落として部屋に侵入…。フラッシュグレネードで目眩ましした後に足跡付けずにこのダクトへ…。後は籠城予定だったけど…。怪獣がでたなら早いところにげる方が勝ちだね…。…紅姉さん…篝姉さん…いい感じに時間稼ぎお願いね…)」
そおっと物音立てずにダクトの中へ消える不知火。一方、衣理は…
衣理「上も下も、警官隊が見張ってる以上。どんなに凄腕でもあの短時間に足跡無しは無理だよ…。空でも飛べるわけじゃあるまいし…」
葉百合「こうしてるあいだにもルパンは…」
円「出入口を全部閉じればあいたっ!まだ間に合う!」
そう言ったのはまだ若干目が見えてない円だ
衣理「円!まだ目が見えてないのに…」
円「んなことどうでもいい!葉百合!今すぐ出入口を封鎖して!早く!」
衣理「それ柱だけど…」
葉百合「今はボケてる場合じゃないですね…!わかりました!」
葉百合が緊急スイッチを押すと建物内にブザーが鳴り始める!
不知火「なっ…!?」
紅「(うっそぉ…!?)」
篝「(封鎖…!?この状況で…!?)」
衣理「って私たちも出られないじゃん!どうするの!?目の前に怪獣もいるのに!!」
円「だからだよ、こんなところで怪獣なんか出たら絶対逃げるしか選択できない。例えば混乱に乗じてこのビルに隠れることも!」
葉百合「それ…花瓶ですけど…」
衣理「確かに…。だけど時間との勝負だよね」
未来「停電にできるってことは…この封鎖状況をアンロックできるかもってこと…?」
衣理「たぶん、そうだと思う。そしてリミットはウルトラマンが怪獣を倒したらかも…」
葉百合「そうなる前にルパンを捕まえましょう。それではお願いします!」
紅「あんたら!待ちな!勝手に行くのは許さないよっだぁ!」
篝「痛って!バカお姉!!」
声を頼りに目が見えてない二人は柱にぶつかって倒れる。そして辺りどころが悪かったのか気を失ってしまった
葉百合「姉さん!」
衣理「ごめんなさい!行こう!みんな!」
それぞれ衣理と円、未来と葉百合。目が見える者と見えない者が手を取り合ってルパン捜索に乗り出した!四人は二手にわかれて階段で上と下を捜索しに行く!その姿が階段から消えたとき…
紅「…。篝、いくよ」
篝「あぁ、お姉」
気絶したふりをした二人が立ち上がって走り出した!もちろん目潰しされていたのも演技によるものだ
紅「不知火。聞こえる?追跡者はあんたに近づいてる。絶対に物音立てたらダメだよ」
篝「お姉、どうする?」
紅「決まってる、こうなりゃ睡眠ガスで寝かせるしかない。予想外すぎるでしょ…。怪獣災害の頻繁といい…、ただのガキどもにギリギリのカーチェイスなんざ趣味じゃねぇんだよ…!クソッ…」
タロウ「タァァァっ!!」
ジョーニアス「ショワッ!!」
勢いよく空中を舞う二人のウルトラマン。怪獣たちがたじろぐとタイラントに向かってタロウはスワローキック!ジョーニアスは凄まじい気迫で空中から全身と全体重を乗せたニードロップでドラゴドスにダメージを与える!
ネオス「テヤァァッ!!」
パワード「シャッ!!」
ピコン!ピコン!
ネオス「(くっ…!時間が…!早く倒さないと…!)」
パワード「(だがこうも乱戦では怪獣たちも個々のダメージが少なく、むやみに光線を撃てば誤射の可能性も出てくる。せめて…!一体だけでも…!)」
ジョーニアス「(こうなれば…!パワード、どれでもいい、怪獣を一体、上空に投げることはできるか?そうすれば私が宇宙の果てまで運びされる)」
パワード「(そう易々とさせてはくれないようだぞ、厳しいものがある。せめて…、どれかが孤立すれば…)」
???(僕らが行きます!)
タロウ「(ダメだ!君たちはまだ…)」
???(タロウ。大丈夫だ、ゾフィー兄さんからの指示でもある)
タロウ「(そういうことなら…!わかりました、お願いします!)」
「ブレーイブ!!」
「ジィィィィヴァっ!!」
「セイントオオォッ!!」
四つの光が四人のウルトラマンの目の前に降臨!形を成して雄々しく佇む。
タロウ「(兄さん!)」
初代ウルトラマン「(タロウ。ジョーニアス、パワードにネオス。それぞれ分断して怪獣たちを引き離すぞ!)」
タロウ「(わかりました!ジョーニアス、私たちはドラゴドスへ!)」
ジョーニアス「(了解だ!)」
ウルトラマン「(ブレイブ!私たちはタイラントだ!)」
ブレイブ「(はいっ!)」
パワード「(ジーヴァ!テレスドンへ…!)」
ウルトラマンジーヴァ「(御意!)」
ネオス「(いくぞ!セイント!)」
ウルトラマンセイント「(はい!)」
円「なぁ衣理!本当に上でよかったのかよ」
衣理「たぶん、この状況で逃げるなら上だと思う。ヘリや警察、軍隊が怪獣の出現で注意散漫になってるなら、地上よりよっぽどマシ!」
円「もし下だったら?」
衣理「葉百合と未来を信じる!」
紅「不知火!付けたな!?」
不知火「おっけー…」
紅「アディオス!いい夢見てろ!」
深紅「全員無事か?!」
「全員命に別状はありません、ただ目潰しがかなり効いたのか半数の視力がいまだ安定した回復もしていません」
深紅「仕方ないな…。無事な警官を半分に分けてビル内を捜索!ここにいるものは視力が回復しだい任務に戻れ!そし…て…」
次々と警官達が倒れていく。深紅は強く意識を持とうとするが…
深紅「いかん…せめて…あの子たちだけでも…!」
最後の力を振り絞って携帯電話を取り出して葉百合へメッセージを送る
深紅「無事で…」
ドサっと倒れる深紅は眠りへと誘われた…
葉百合「深紅兄さんから…?っつ!?睡眠ガス!?」
未来「どこか窓とか開けれるなら…」
葉百合「衣理と円にも伝えないと…!こっちに窓がある部屋が…」
衣理「睡眠ガスぅ!?」
葉百合「はい!早く屋外へ!それか窓のある部屋へ…!」
衣理「ねぇ!ガンバレッドならこういうのって無効にできたりする!?」
葉百合「わかりません!でも可能性はあるかと!」
衣理「なら…!努力変身!!」
シーン…
衣理「…。あれ?」
円「どうしたよ?」
衣理「変身…できない…!?」
ジーヴァ「ドゥアアアッ!」
ウルトラマンジーヴァが真正面からテレスドンの体を持ち上げる!暴れて離れようとするテレスドンは口から火炎を放とうとした
ジーヴァ「ドゥッ!(やらせん!!)」
ガシッ!ガシッ!っとテレスドンの口と暴れる体を手が掴む!そしてそのまま小さくジャンプしながら地面へ叩きつけて瓦礫が宙を舞う!
ジーヴァ「ドゥア!!」
起き上がったテレスドンが見たジーヴァは…肩と脇あたりから腕が出現しており、まるで阿修羅のように雄々しく構えをとっていた
ウルトラマンジーヴァ
感情によってスタイルチェンジするウルトラマン。いつもは「マイルスタイル」だが感情が高ぶると「グリースタイル」冷静になると「ティアスタイル」にスタイルチェンジする!さらに腕が最大六本になり、器用かつ物量による攻撃を可能としているが腕が二本の時のほうが腕力や握力は上だったりするぞ!
パワード「(今だ!)」
ジーヴァの腕によるパンチラッシュ!テレスドンが怯んで後退するとパワードはパワードボムで目潰し!錯乱したテレスドンは手当たり次第に熱線を吐き散らす!その飛び火は他の怪獣にも直撃!さらにはビルの一角を削り取ってしまった!
タイラント「ア゛ア゛ア゛ッ!! 」
背中に熱線を受けたタイラントは激怒!ブレイブとウルトラマンを軽く蹴散らすとドスドスとテレスドンへ向かい、鉄球で殴り飛ばす!
???「ッチ…。やはり仲間割れを起こしたか…、使えない怪獣が。まぁいい…、カードは無限に作り出せる。あの程度の怪獣などいつでも替えは作れる。だが…、無駄使いは好ましくないな…」
タイラント「ア゛ア゛ア゛ッ!!」
テレスドンを蹴り飛ばしたりアロー光線でボコボコにするとタイラントは鉄球の鞭でテレスドンを捕まえ、ウルトラマンとブレイブに向かって投げ飛ばした!
ウルトラマン「シャッ!!」
ブレイブ「シュアッ!!」
それを飛んで避けるとウルトラマンは八つ裂き光輪を放つ!タイラントはわざとしゃがむと長い尻尾で八つ裂き光輪を払い飛ばして続いて飛び蹴りをしてきたブレイブを背中からの催涙ガスで迎撃!痛々しく地面に落ちたブレイブを蹴り飛ばしてウルトラマンへぶつけた!
タロウ「(いかんっ!。ジョーニアス!ドラゴドスを地上から引き離してくれ!)」
ジョーニアス「(了解した!)」
タロウ「(皆!タイラントから離れろ!)」
深紅に燃えるタロウ。ジョーニアスは一瞬の隙を見つけてドラゴドスを抱えて空へ飛び去り、暴れまわるタイラントをタロウが抑え込む!
タロウ「ウルトラ…ダイナマイト!!」
ウルトラマン「(タロウ!よせ!)」
タロウ「(うおおおっ!!)」
凄まじい爆発に瓦礫と粉塵が舞い、その威力にウルトラマンたちは周囲のビルに叩きつけられ、衣理たちがいるビルの窓は全て粉砕。おまけに先はどテレスドンが削った場所からビルが破壊され、崩壊しかけている!…だが…、中にいる衣理たちはそんなことを知るよしも無かった…
ウィーウ!ウィーウ!とカラータイマーを鳴らしながら復活するタロウ。だが限界なのかすぐに倒れて消えていく…
タロウ「後は…お願いします…」
タイラントが倒されるとウルトラマン達と同じく吹き飛ばされたテレスドンとドレンゲランにパワード達は狙いをつけた!
ネオス「(今だ!セイント!)」
セイント「(はい!)」
パワード「(ジーヴァ!)」
ジーヴァ「(心得た!)」
ウルトラマンセイントが交互に腕をクロスさせ、それを下から横に広げて光の十字架を作り出す。そして握りこぶしを作って腕を曲げ、カラータイマーから放つ光線を光の十字架で増幅して放つ!
それと同時にウルトラマンジーヴァも六本の腕のうち、真ん中の腕をつき出すと腕の間に光球が生成。残りの腕からエネルギーを浴びてその球は徐々に肥大していく!
ネオス「(ネオマグニウム光線!)」
パワード「(メガ・スペシウム光線!)」
セイント「(ホーリーレイズ!)」
ジーヴァ「(イクスパニッシャー!)」
必殺光線がドレンゲランとテレスドンに直撃!二つの爆発がまた瓦礫と粉塵を散らす
ネオス「ダァッ…(くっ…!)」
パワード「(私たちは…ここまでのようだ…すまない…)」
ネオスとパワードが徐々に消え、地上には四人のウルトラマンが残された…
ジョーニアス「ショワッ!!(プラニウム光線!)」
爆音を鳴らしてドラゴドスが爆ぜる。激しい空中戦を制したのはジョーニアスだった
ジョーニアス「(…。今のドラゴドスは…。無人操作…?いや、それにしては反応が素早すぎる。まるで…自我を持っていたかのようだ…。機械のように精密で、生き物のように俊敏な動きの両立はロボット怪獣にはほぼ不可能なはず…)」
ジョーニアスはこの戦いの途中、ずっと抱えていた違和感について考えていた。恐らくこの違和感にタロウとウルトラマンは気がついていた。ネオスとパワードも薄々感じていたかもしれない。先ほど戦ったタイラント、ドラゴドス、ドレンゲランにテレスドン。この四体は本来生息圏も食生も生態も全く異なる。なんならテレスドン以外は宇宙怪獣の類いにふるい分けられるだろう。ドラゴドスに至っては操作タイプのロボット怪獣だ
ジョーニアス「(脈絡もなく出現したにも関わらずあの連携は統率がとれ過ぎている…。普通、あのような統率を取るためには怪獣の中にボスがいるはず…。だがタイラントがテレスドンから攻撃を受けたあと、それを咎める怪獣がいなかった。その仲間割れに乱入もしなかった。むしろ別個で攻撃を続投してたということは…。タイラントではない…。)」
???「(お悩みごとか?ウルトラマンジョーニアス)」
ジョーニアス「(誰だ!)」
???「(カラータイマーがイエローゾーンにも関わらず余裕なのだな)」
ウルトラマン「(むっ…!)」
ジョーニアス「(ぐっぬ…!)」
ブレイブ「(ジョーニアスさん!)」
???「(U40最強とはこの程度か…。他愛ない)」
ジョーニアス「(みんな…!気を付けろ…!)」
消えゆくジョーニアス。それを見たジーヴァは怒りをあらわす
ジーヴァ「(ハンデ有りで勝ってその態度かよ。俺たちならほぼノーハンデだぜ?やるか?)」
ブレイブ「(…!お前は…!)」
???「(…?)」
ブレイブ「(覚えてないのか…!僕の事を!僕の家族を奪ったくせに!)」
???「(…。覚えなどないな)」
ブレイブ「(僕はお前達の侵略によって故郷を滅ぼされたN87星のウルトラマンだ…!ほんの数ヶ月前だろう!!白々しい!!)」
???「(知らないな。消えゆく者など覚える必要もない)」
ジーヴァ「(なんだと!?)」
セイント「(聞き捨てなりませんね!)」
腕から光の剣を出すと切りかかるウルトラマンセイント!敵はそれを見ると腕で受け止めるが切りつけられた箇所から光が漏れる
???「(貴様…。まさか…)」
セイント「(私はセイント!ウルトラマンセイント!!あなた方のような闇に堕ちた者に強き光!)」
ウルトラマンセイント
頭に六本のウルトラホーンを携える戦士で、このウルトラホーンには聖なる力が宿っており、闇に特効を持つ!彼自身も基礎が纏まり、ステータスも高水準。ただし他のウルトラ戦士以上に燃費が悪く、昼間だと約三分。夜だと最大二分半しか行動できないぞ!
シャーン!シャーン!シャーン!
セイント「(っ…く!)」
???「(威勢はいいが時間オーバーのようだな。消える前に我が名を覚えておくがいい)」
ダークネス「(我が名はウルトラマンダークネス。偉大なる方に仕えし暗黒のウルトラマン)」
ウルトラマンダークネス
暗黒に身を染めた黒いウルトラマン。彼ら暗黒のウルトラ戦士は地球上では昼間や光が強いと三分。夜や光が弱いとほぼ無制限で活動ができる。各々の攻撃が通常のウルトラ戦士にとって特効を持ち、昼間でなければ光線も打ち負けないほど強くなる!
ウルトラマンブレイブ「(覚えたぞ…!ウルトラマンダークネスっ!!次はお前が覚える番だ!僕の名はブレイブ!!ウルトラマンブレイブ!!覚えておけ…!この名がお前達を倒す…!ウルトラマンの名だああっ!!)」
次回 Primal Apocalypse 第五話 使命とプライドと心と
お疲れ様でした。モチベーションを平均にするのが精一杯ですが私は私がやりたいから小説書くのを辞めません。だって自分の書いた小説が好きですもの。いつか共感してもらえたらいいな