Primal Apocalypse-プライマル アポカリプス 作:てゐと
数分前…
衣理「変身…できない…!?」
円「もう一度やってみなよ!もしかしたら変身ポーズ間違えてたり…」
衣理「うん!努力変身!!」
しかしなにも起こらない。サァーッと冷や汗が衣理の額や頬に垂れる
円「こうなりゃ仕方ない…!逃げるよっ!」
走り出した円を衣理は目一杯追いかける。しかし徐々に距離ができ、衣理は息があがってきた
円「衣理っ!はやくっ!」
衣理「ぜぇ…ちょっと待っ…!円っ…!はやっいっ…!」
そう。決して衣理が遅いのではない。円の走るスピードがめちゃくちゃはやいのだ。
円が青いポニーテールをたなびかせているの一方、桃色のツインテールが力なくへなへなと揺れる衣理。二人の身体能力の差が赤裸々になっていた
円「うわっ!」
いきなりの地響きにビルが揺れる。外ではウルトラマン達が怪獣と戦っている。その余波が襲いかかる!
葉百合「衣理…大丈夫でしょうか…」
未来「変身できないって聞こえた…。そんなことあるの…?」
葉百合「何か変身にはトリガーがあるのかも…。ともかく今はこの状況をどうにかしないと…!」
未来「あ…」
葉百合「あ…あなたはっ…!?」
円「…何の音…?」
衣理「光線…。!!まどかっ!」
ドンッと強く押された円は体制を崩して尻餅をついた、その直後に円と衣理の間に怪獣の熱線が走り、溝を作る
円「痛た…。げほっ!げほっっ!!粉塵が…」
瓦礫と埃に視界を潰されてる円は衣理を呼び掛ける。
円「衣理ーっ!聞こえるかぁ!!」
だが返答が無い。外では怪獣が仲間割れをしていた、このお陰で睡眠ガスから逃れることはできたがかなり不味い状況に立たされている
円「向こうがどんな状態かわかんないな…!くそっ!」
イラつきを徐々に落ち着かせて頭の中で自分に言葉をかける。「クールになれ!円!」
円「そうだ…、こんな時だからこそ…クールになるんだ!」
徐々に晴れる景色、倒れた衣理を捕捉すると円は後ろに大きく距離を取ってクラウチングスタートの体制に入る
円「衣理は…、私を助けてくれた。初対面にも関わらず、信じがたい話を、私を信じてくれた。今度は私が…!衣理を助けるんだ!!」
走り出した円!失敗したら死ぬ。確実に死ぬ!だけども…!友達のために…!
円「衣理!今度は私が!がんばるからぁぁぁぁぁっっ!!!」
その時!青い光が円を包み込んで凄まじい大爆発の衝撃が直撃する刹那!衣理も包み込んで間一髪衝撃を無効にした…!
円「と…届いたのか…?!」
後ろを見る。軽く数メートルの溝があり、とても幅跳びで越えられそうにない
円「…。ん?、なんじゃこりゃ!?」
円の姿はガンバレッドと酷似した姿になっていた、違うのは色だ、青色をしている。
円「はぁー…、これがガンバルンジャーってか…。不思議な感じ、なんかこう…力が沸いてくる」
その時、なにかが歪んで軋む音が響いた。同じタイミングでまたしても大きな爆発が起きる!
円「いっそがしいな!ともかく逃げるっ!」
葉百合「甘く見てました…。まさか窓を全部割られるなんて…」
未来「倒壊してないのがすごいと思う…」
葉百合「ですけどあの黒いウルトラマンが光線を打てばビルに直撃する可能性が…、どうすれば…」
ダークネス「(4対1…か、悪くはないが分が悪い。こちらも…今できる奥の手を使わせてもらう)」
ブレイブ「(なにをするつもりだ!)」
ダークネス「(抹殺だ)」
ゴロゴロと赤い雷が黒い雲に模様を作る。その雲へダークネスが手を挙げると雷がダークネスへ降り注いだ!
ジーヴァ「(自滅…?いや…違う…!?)」
ダークネス「(ゼットン…!パンドン…!その力…、使わせてもらうぞ!!)」
雷をたどって二つのエネルギーが暗雲へと放たれる!そして黒い塊となって地上に落ちてきた!
ダークネス「(合体魔王獣…ゼッパンドン!!)」
蒼い目にゼットンを模した黄色い部位。全身はパンドンのように赤く、肩が燃えるように競り上がっている。ゼッパンドンは一吠えするとそのままウルトラマンへと歩みを進める。ブレイブ達のことなど知ったことではないと言わんばかりに真横を素通りしていく
ブレイブ「(やらせるかっ!)」
「邪魔だ、どけ」そんな台詞が似合うほどに一蹴されるブレイブ。一方、標的にされてるウルトラマンは堂々といつものファイティングスタイルで迎え撃つ!
ダークネス「さあ、三人まとめてかかってくるが良い」
円「んあ?衣理の携帯か?」
ポケットから取り出すと着信は葉百合からだった、勝手に人の電話に出るのも気が引けるがこの状況ではそうも言っていられない
円「葉百合?私!円だ!」
葉百合「よかった!今どこです?!」
円「わかんね!とりあえずまだビルん中!今は衣理が気絶しちゃってるから担いで走ってる!」
葉百合「そのビルはもうじき崩れるかもしれません!逃げて!」
円「中の人たちは!逃げれたのかよ!?」
葉百合「もうじき全員です!早く!」
円「わかった!」
電話を切ると揺れが二人を襲う!なんと彼女達の後ろからビルは崩落していた
円「走るっ!」
なにも考えることなく足を動かす!円の変身したガンバブルーは即決に言ってしまえば脚力強化。走る早さやキック力が上昇する。だからこそ…
円「走れえええっ!!」
重力に逆らっての壁走り!一気に下へ向かう!
円「なにも考えるなっ…!ここは床だぞ!円!!」
割れた窓を踏まないように鉄骨だけをつたう!
円「行けるっ…!わえっ?!!」
葉百合「円っ!」
???「あぶない!」
その時
円は躓いた
体が一回転してそう遠くない地面が見える
高まる絶望視、いくらガンバルンジャーでも強度に限界はあるだろう。そう思ってた他人の絵空が自分の身に降りかかろうとしていた
円「衣理だけでもぉぉぉぉっ!!」
ぽふっ
目を瞑って庇おうとした友人と共になにか地面ではないところに落ちた、よくみるとまだ宙だ、そして赤い地面。
円「あっ…!」
彼女たちを間一髪救ったのは、深紅の戦士。ウルトラセブンだった
セブン「ジュワッ」
優しく頷いたセブンはゆっくりと円達を地面へ下ろしてあげた、そして倒壊してきたビルの一角を受け止めてそれも丁寧に人気の無い場所へ下ろすとウルトラマンと対峙するゼッパンドンの背中へアイスラッガーを直撃させる!
ウルトラマン「ヘアッ!ダアッ!!」
ゼッパンドンが怯んだところに押し蹴り!後退するゼッパンドンへセブンがドロップキック!跳ね返った胸元へウルトラマンの水平チョップが炸裂!これにはたまらずゼッパンドンも横転する
ウルトラマン「(すまない、助かった)」
セブン「(いや、ちょうど人命救助をしていたところだ、だが…まさかタロウがウルトラダイナマイトを使うとは思わなくてな…)」
ウルトラマン「(そのお陰で助かったのも事実。あまりタロウを責めないでやってほしい、もう末っ子ではないのだからな)」
セブン「(心配性はまだ治らないようだ、難儀なものだな)」
苦笑するセブン、起き上がるゼッパンドンを見るとすぐに切り替えて立ち向かう!
セブン「(談笑はここまでだ、いくぞ!)」
ウルトラマン「(あぁ!)」
葉百合「円ーっ!」
円「二人とも!無事だったのか!」
未来「ウルトラセブンが助けてくれた…」
葉百合「あ…あなたはっ…!?」
セブン「私はウルトラセブン。このビルに取り残された人を助けに来た」
未来「…ホンモノ…?」
セブン「もちろん。近隣のビルも私の仲間や防衛チームの皆が救助に当たってる。さぁ行こう!」
未来「というわけ…」
円「セブン…。かっこいいなぁ…!ありがとー!!」
衣理「うっ…。ここは…」
円「気がついたか衣理!」
衣理「円…?うっうえっ!?なにその姿!」
円「どっかの誰かさんを助けようとしたらさ、こうなれたってわけ。差し詰めるなら…。疾風(はやて)の勇気とど根性!瞬く努力は青い色!ガンバブルー!!って感じ?」
キラッっとピースウィンクをして変身解除する円。それを見て衣理は自分のエールブレスを見る
衣理「なんで?なんで変身…」
未来「それについて…もしかしたらだけどわかったかも…」
紅「なんとか成功かね。まったく…ひやひやさせるよ」
篝「今回の条件は…?」
紅「後で決めるよ、ともかく合流だ」
紅「くぅおおっらぁ!!あんたら!危ないから勝手に行くなって約束しただろ!」
葉百合「紅姉さん!篝姉さん!」
篝「必死に探し回って眠って…爆発で起きて急いで避難した。すごく心配した」
素っ気なく言うがかなり心配をかけたようでみんなで謝礼する。紅さんはぷんぷん怒ってはいるが葉百合の頭をわっしわしと撫でたくっている
深紅「みんな!無事だったか!!」
葉百合「兄さん!」
深紅「よかった…みんなが無事で…。もし死人を出していたら俺は…自分を許せなかった」
葉百合「怪獣災害ですし…兄さんの責任じゃないですよ」
紅「そうだぜ兄貴、それに聞いたところじゃ防衛チームとかウルトラマンが助けてくれたんだろ?持ちつ持たれつって奴だよ」
深紅「すまない…」
篝「悄気る前に、まずここから離れた方がいいんじゃないか?」
近くで戦闘するウルトラマンたちを指差す篝、辺りを見ると防衛チームが陸上兵器や空中戦闘機を配備、まさしく辺りが怪盗事件の現場から戦場に変わる合間が見えている
深紅「それもそうだな…。総員!近隣の安全を確保!一般人の完全な避難を優先!!防衛チームやウルトラマンをサポートするんだ!!紅、篝。お前達は葉百合達を紅皇子家まで送り届けるんだ。頼むぞ」
篝「了解した、いくぞ」
セイント「シャッ…(くっ…!)」
ジーヴァ「(こいつ…さっきの怪獣と比べ物にならねぇな…!)」
三人のウルトラマンはダークネスに一人に格闘で劣っていた。あまりにも強い、だが三人の心は一つだった
ブレイブ「(お前がどんなに強くても諦めない!この地球を…!僕たちの星のようにだけは…させない!!)」
カラータイマーを鳴らしながら戦う三人。特に早い段階からカラータイマーが点滅を始めたセイントはかなりギリギリの戦いを強いられている
セイント「(これ以上の長期戦は不利ですね…!)」
ブレイブ「(なら…!やるよ!みんな!)」
三人が一斉に必殺光線を放つ。しかしダークネスは姿をくらませて光線を避けた
ブレイブ「(どこだ!)」
セイント「(くっ…!ごめんなさい…二人とも…!)」
ジーヴァ「(セイント!)」
一番早くカラータイマーが点滅していたセイントが離脱。するとまたダークネスは姿を表す
ブレイブ「(わざと時間切れを狙ったのか…!)」
ダークネス「(ウルトラマンにとって、防御のある相手は天敵となる。弱点を突いてこその戦いだ)」
もっともであるがウルトラ戦士の天敵と挙げられることの多いゼットンが強いと呼ばれる理由。その一つが防御力だと言われている。光線が通用せず、体術でも引けを取らず、なおかつ数々の超能力は他を圧倒する。現在のこの世界では宇宙警備隊の入隊するための最終テストとして実際ではないがゼットンに勝利することが必須となっているほどだ。
ブレイブ「(それでもウルトラマンか!)」
ダークネス「(だからこそこう戦える。むっ…?)」
ビュンビュンと飛んでくるZATのスカイホエール、コンドル一号によるミサイルの雨霰、陸上メカのビーム攻撃!それがダークネスを急襲した!これは予想外だったのか避けきれず、カラータイマーへ偶然スーパーGUTSのゼレットによるビーム攻撃が直撃した!
ダークネス「グッ…!(油断したか…)」
暗雲が舞い降り、ダークネスとゼッパンドンを包むとそこに彼らの姿は無く、静寂が戻っていた…
セブン「(逃した…いや、助かったと言うべきか)」
ジーヴァ「(正直…危なかったです。地球人にはなんとお礼を言えば…)」
ウルトラマン「(そんなに気取る必要ないさ、我々は…仲間なのだから)」
ブレイブ「(くっ…!ですが…、僕は悔しいです!仲間を守れず…逃げられて…!)」
セブン「(…ふっ。レオと似ているな)」
ウルトラマン「(ブレイブ、我々にも不可能はある。届かない思いもあれば、守れないものもある)」
セブン「(だが…最後まで諦めず、不可能を可能にする。それが…真のウルトラマンだ、君はそれになればいい)」
ブレイブ「(はいっ…!)」
ジーヴァ「(ブレイブ、次はみんなでアイツに勝とう。力を合わせて!)」
ブレイブ「(あぁ!次は負けない!)」
結局その日、私たちは現代のアルセーヌ・ルパンに宝石を盗まれた。だが不思議なことに宝石は無条件で返却されたのだった。届いたメッセージには「今回は怪獣災害による不本意な脱出を余儀なくされた。フェアでは無いためゴールドダイヤモンドは無条件でお返しする。いつかまた挑戦状を届ける。現代のアルセーヌ・ルパン」と記してあった。
衣理「これって引き分け?」
葉百合「というより…ノーコンテストかと」
円「まぁあの状況じゃあ警察だって追うに追えなかったし怪獣のせいでビルが崩れるのにみんな眠らされてたりで特殊すぎる状況だったしなぁ」
未来「セブンが来なかったら私たちも無事では無かったかも…」
衣理「最高の不幸はビルが崩れて、最高の幸運はウルトラマンが直接助けてくれる…って感じ?」
葉百合「かもしれませんね…」
未来「でも…また来るなら…今度はちゃんと捕まえなきゃね…」
円「今度はアタシがルパンの首根っこ捕まえてきてやるよ!」
葉百合「また皆で行きましょう!もうこんなことしてほしくありませんから…」
衣理「うん。今度こそ、皆で止めよう」
未来「…水を差すところ悪いけれど…」
そこに未来が手をあげる。三人は未来の方を見るとこれから未来が何を話そうとしているのかが大体わかった
未来「衣理が変身できなかった理由…話すね」
次回予告
未来は衣理たちにエールブレスについての仮説を立てる。そして変身できない真実を知るために衣理たちは葉百合の紹介で今を生きる徳川家康の末裔、徳川家鈴の元へと赴くことに。その会いに行く当日、彼女達のクラスに留学生が現れる
次回 Primal Apocalypse 第六話 参上!徳川親衛隊!
お疲れ様でした