Primal Apocalypse-プライマル アポカリプス 作:てゐと
???「…。二つが目覚めましたか…」
???「はい。こうなった以上、あれの復活は免れない可能性が…」
???「かつて、死鬼を退けた英雄たちの末裔の元に、エールブレスは戻ってきませんでした。私もその一人…」
???「家鈴(かりん)様…」
家鈴「気にしなくても良いのです。こうして死鬼が目覚めた中、エールブレスが復活してくれただけでも江戸を離れた大お祖父様の判断は正しかったのです」
その時、木造の廊下からドタドタと騒がしい音が鳴り、部屋の中にいた四人の中、二人が廊下の方へ向く
???「伝令です!家鈴様!」
???「焔(ほむら)!何事か、家鈴様の御前であるぞ」
ギラリと座りながら長槍が廊下から来た人物へ向けられる。向かい側の眼鏡をかけた少女は「ひゃっ!」と臆病な声を上げる
焔「蜻蛉切を向けるな八重(やえ)!危ない!そんなことより家鈴様!紅皇子家より伝令です!」
家鈴「焔、これはメールというのですよ。…まぁ!なんてこと…」
???「ど…どうかしたのですか…?」
家鈴「エールブレスに選ばれた方々が会いに来られるそうです」
???「えー、マジっすか」
焔「なんの用かわかりませんが戦でしょうか?」
家鈴「焔、戦はいけませんよ~。だからその赤備えは仕舞いましょうね」
???「いーつ持って来たの…」
ちょっとチャラい感じの少女が棒飴を舐めながらつっこみをいれた。「むー」と言って少女は赤い鎧を脱いでしまいこむために廊下に出ていった
家鈴「刹那(せつな)」
刹那「はい。家鈴様」
月明かりに照らされて美しい黒髪。さらりふわりと風に髪がなびく
家鈴「心配なのでここへエールブレス保持者が来るまでその保持者を監視するように。お願いしますね。あの件も…」
刹那「はい。服部 刹那(はっとり せつな)我が主の命に従い、行って参ります」
衣理「私が変身できなかった理由…?」
未来「衣理は円と一緒だった時。…どうして変身しようとしたの…?」
衣理「それは…。ただ助けたかった、がむしゃらだったしハッキリした事を言えなんて言われたらうまく言えないけど…」
未来「たぶんそれだね…、円も同じだったでしょ…?」
円「んー…確かに、すっごい助けたかったし必死だった」
未来「もしかしたらエールブレスは…ただ選ばれるだけじゃなく…。信念の強さが変身に関わっているのかも…」
円「なるほどね。それじゃあ…ふんっ!!努力変身!!」
衣理「円!?」
円「疾風の勇気とど根性!瞬く努力は青い色!ガンバブルー!!」
葉百合「できちゃった…」
衣理「…!努力変身!!」
シーン…
衣理「どうして…」
円「…。あたしはさ、せっかちだし早とちりだからできたのかも。その…変身ってさ、あたしは重く受け止めちゃうんだよね、ここでやらなきゃ、ダメなんだって…。そう思うと必ず変身しなきゃって…」
衣理「変身するのに必要なのはみんなを護れる力じゃないの?」
葉百合「だからこそ、自分じゃなくて他人の危機に衣理は変身できたんじゃない?きっと円が変身できなかったなら、また衣が変身してたと思うわ」
衣理「…ちょっと不安だよね、そうは言ってくれてもいざ変身できなきゃ私はただの女の子だし…」
未来「まぁ…これは仮説だから…。他にもあるのかもね…」
葉百合「…!。次の日曜日って皆さん空いてる?」
衣理「私は大丈夫。二人は?」
円「行けるよ、問題ない」
未来「右に同じ…」
衣理「どうしたの?」
葉百合「確信に触れるために元所有者の血縁者に直接聞こうと思います。もしかしたら何か知ってるかも…」
未来「それって…まさか…」
葉百合「お察しのとおり、あの徳川家康の正統な血縁者。子孫である徳川家鈴(とくがわ かりん)さんにアポイントを取ります」
円「そんな簡単に取れるのかよ?そもそも日曜日なんて…」
葉百合「取れます。徳川家鈴さんは私たちと同じ学校でひとつ上の学年です」
円「マジかいっ!?うちの学校ってそんなえらい人おったんか!?」
葉百合「おそらくエールブレスの現状も気付いていらっしゃるでしょう。あちら側もこちらとは会いたいはず…っと。後は返信待ちですね」
衣理「なんかすごいことになっちゃってるね…。自分達のことだけど」
円「鬼が現れて怪盗と対峙したと思えば今度は天下人の子孫ときた、まぁウルトラマンとか宇宙人や怪獣が跋扈する現実で言ってもなんというかパンチが無いよな」
未来「そうかもしれないけど…。この件はウルトラマンには頼りきれない…。話に聞いた巨大な鬼から助けてくれたのも…昨日のウルトラセブンも…。偶然居合わせたから助けてくれたにすぎない…」
葉百合「えぇ…。もしもあの時…そう思うときはいくらでもあります。でも自分達の事は自分達で解決しなきゃ、いけませんから…」
衣理「…そうだね。安易に巻き込めないし」
翌日…
衣理「おはよ、円」
円「オッス。そういや聞いたか?」
衣理「なぁに?よいしょっと…」
円「このクラスに新しい奴が来るらしいよ」
衣理「私が来て一週間もたってないような気がするんだけど…」
円「そっか…、衣理んところはあんま無かったか」
そう言って円は静かに息を吐いた。それに対して衣理はきょとんとした顔で見つめる
衣理「円?」
円「たまによ、あるんだよ。怪獣災害で家とか学校が犠牲になってやむなく別のところにくる奴。その類いじゃねぇかな…。…みたいに…」
衣理「そうなんだ…。ところで円、最後になんて言っ…」
崎谷「席につけー。成績をぶっ殺すぞー」
円「ミンチよりひでぇ脅迫…」
崎谷「今日は転入生だ、澪岸と同じように怪獣災害で入学式が間に合わんかったらしい。入ってきていいぞ!」
???「シッケイシマース!!」
ややおかしな日本語で入ってきたのは黄色い髪に薄茶色のカチューシャでおでこをだした女の子だった
崎谷「長ぇ」
カツカツと黒板に名前を書く先生。ちょっと愚痴が漏れたような気がするが私が書いてたら同じこと言うと思う
サーシャ「サーシャ・マタニティ・ガロン・バロム。ヨロシクデース!」
崎谷「マタニティはロサンゼルスから来た。日本語がまだおぼつかないからしっかり教えてやれ。ちなみに変な日本語教えた奴は国語の成績落として補習授業な。マタニティ。あのピンク髪の変なツインテールの後ろがお前の席だ」
衣理「センセェ!?」
サーシャ「ヨロシク!」
衣理「よろしく、マタニティさん。…?(円…)」
円「(エールブレスが反応してる…どういうことだ…?)」
突如として二人にはわかった。サーシャが近づいたときにエールブレスが少し起動した。
衣理「…(わからないことが多すぎる…変身についても…鬼についても…)」
サーシャ「ほいっ!」
円「なんのっ!」
未来「右から左へばすばすと…」
衣理「ドッジボールってこんなアクティブだっけ…。もっとゆるゆるしてるイメージが…」
円「やるやんか!サーシャ!!」
サーシャ「Yoo too!!マドカ!!」
お互いに素が出てしまっているくらいに白熱する二人。全く反動しないボールがバスンと痛い音を鳴らして右往左往するさまを脱落した私たちは見守るしかなかった
円「これでっ!!」
サーシャ「Damn it!?」
僅かにずらしたボールがサーシャの腕を掠めて地面をバウンド!円はガッツポーズで喜ぶ
衣理「まだっ!!」
円「えっ、あっ」
サーシャの機転は凄まじかった。バウンドしたボールが地面に落ちる時、それを片手で掴んで隙だらけの円に投げ返したのだ!!
円「ぐえっ!!」
見事に直撃して受け身も取れずアウトになりサーシャの勝ちが決定した
サーシャ「カチマシタネ!?」
衣理「すっごぉい!!サーシャさんすごい!!」
サーシャ「トキマタデース!マドカもgood fight!!」
円「痛てて…ありがとな。すげぇ機転だったよ」
握手する二人、クラスメイトからは拍手が喝采した。それと同時に鐘が鳴り、授業が終わりを告げた
サーシャ「コクゴだけはニガテデース…」
未来「…日本語が怪しいよね」
サーシャ「マドカやミキはウマイデス…jealousy…」
衣理「日本語って私たち日本人でも難しいって言うもん。仕方無いよ」
サーシャ「ソウナンデスカネ…」
円「そういうもんだよ。まぁ頑張ればあたしらより日本語うまくなるって」
サーシャ「ガンバリマス!ワタシはニホンがスキでキタンデス!」
衣理「怪獣災害とかじゃないの?」
サーシャ「うーん…ハンブンはソレデスネ…。ビバリーヒルズがmonsterにオソワレテ…」
円「そっか…。それわかるよ。あたしも…そうだったし…」
衣理「…(円も怪獣災害でなにかあったのかな…)」
サーシャ「アリガトウ…。それでパパがニホンのschoolにカヨッテみるかって…」
未来「…あったね。ビバリーヒルズ…この間、怪獣による襲撃…。って…」
円「ちょっと待て…ビバリーヒルズ…?」
衣理「…?」
円「もしかして有名人…?」
サーシャ「No.ワタシのfamilyはフツウダヨ。シンセキがすごいダケ」
衣理「へぇー。そうなんだ、っと…電話だ。葉百合…?もしもし?葉百合?」
葉百合『衣理?!大変なの!エールブレスが一つ消えて…』
衣理「えっ…!?どこの方角とかわかる?」
葉百合『いいえ…気がついたら無くなっていて…』
衣理「そっか…どうしよう…徳川さんに会いに行くのにエールブレス一個紛失なんて…」
葉百合『もしかしたら所有者を決めて飛んでいってしまったのかも…』
衣理「もしかしたらだね…。その方が幾分か安心だよ」
葉百合『とはいえ…徳川さんに報告はしなければいけませんね…』
円「どったの?」
衣理「エールブレスが一個どこかへ飛んでっちゃったんだって…」
円「マジで…!?それでどうするの…?」
衣理「聞いてみる…。葉百合、どうする…?」
葉百合『予定どおり徳川さんに会いに行きます。幸か不幸か今日でも大丈夫だと言われましたし…。これももしかしたらですが…徳川さんなら何かわかるかも…』
サーシャ「ミキ、イノリたちはなにをハナシテいるのデス?トクガワがナントカ」
未来「…。社会見学に徳川家康の子孫に会いに行く…」
サーシャ「oh…ウラヤマシイ…。アレ?ウラオモテナイでしたっけ…」
未来「うらやましいで有ってるよ…」
サーシャ「ついてイキタイってイッタらダメデスか?」
未来「(つんつん)…衣理…」
衣理「未来?」
未来「サーシャがついてきたいって…」
衣理「…葉百合?カクカクシカジカ…」
葉百合『マルマルバッテン…わかりました、徳川さんには追って連絡します。それで許可が出たなら同行してもいいと思います』
衣理「大丈夫かもだって」
サーシャ「ヤッター!ニホンのテンカビト!!」
刹那「…家鈴様。ご連絡です」
家鈴『はい。刹那さん』
刹那「来るのが一人増えます。しかし…その者は奴ではないようです。情報によると今日転入してきたとのこと。バックもアリバイもありますのでお誘いしてもよろしいかと」
家鈴『わかりました。ありがとうございます。引き続き監視をお願いしますね』
刹那「お任せください」
家鈴「…狼藉者はいつの世も…ですか…。天下統一をしても罪人が出ない世の中には…できなかった。貧しさを取り除けなかった。…家康大お祖父様、悲しいですね…」
ぎゅっと握りしめたのは赤い紙。そこに書かれていたのは…
拝啓、徳川家鈴様へ
指定した日にあなたのもっとも大切な徳川の宝をいただきます。
これは現代に失望した私からの現代へ送る挑戦状である。
恨むならば私ではなく退屈を与えた現代を恨め。
現代のアルセーヌ・ルパンより
次回予告
同行を許されたサーシャを含めた五人はいよいよ徳川家鈴と面会する。そして語られる伝説…。その裏で暗躍する影…、大阪城を舞台に激震が走る!
次回 Primal Apocalypse 第七話 ネクストサクセサー
お疲れ様でした。さあて次々!