モカちゃんわ~るど~   作:永遠の孤独者

5 / 7
イベント2000位以内は入れた~


修羅場るのは人目のない所で 中編

 

 

 目が覚めたら膝枕……というご都合主義のウルトラ羨まけしからん状況になるわけなく、綺麗に清掃したばかりの冷たい床の上で目が覚めたら僕は有無を言わされずに本来の目的である昼食をとるために連行されていた。

 

 

「………イタイ」

「だ、大丈夫光琲くん?」

「いいよつぐみ、無視して。自業自得だし」

「今回ばかしはアタシは何も言えないなぁ」

「ねー!いつもヘタレなこうひくんが豹変しちゃってびっくりだったよ!」

 

 

 心配してくれるつぐみは大天使は勿論として、苦笑いをする巴さんはいい。

だが蘭さんや、あんた最近僕に辛辣すぎねぇか?そしてひまりのヤローは絶対に許さん。

 

 確かに今回の件ばかりは自業自得だと割り切ってる。いや、九割九分じいさんが悪いが、そんなこと言ったら更に変な目で見られるだろう。

 

 

『ノリに乗ったお主が悪いじゃろうに』

 

─────でたな、自己暗示を促す悪神め!

 

『おっ?そんなこと言ってええのか?』

 

─────ふっ!もう僕は貴様の提案など二度と乗らな───

 

『せっかく筋力強化を付与させてやろうと思ったのに~』

 

─────よろしくお願いします神様。毎日二回、聖地に向かって祈ります

 

『手の返し早っ!でもいいよー』

 

─────さっすが神様!さすかみっス!

 

 

 何故、僕が屈辱的なセリフを吐いているのかというと理由がある。

 

 

『手の返しはっや!Ver.2』

 

 

 どうせ僕の信仰とか必要ないじいさんを無視して、こう見えて脳内で葛藤を繰り返している僕は現実に目を向けた。

 

 

「こーくんは昔からおかしなことするもんね~。でもー、今日のはモカちゃんの純情ーを弄ばれたわけなのですよー」

「…………はい」

「とりあえず責任としてー、私を連れてくのだー」

 

 

 若干の憤怒を含んだご機嫌な様子のモカの鼻歌交じりの声が耳元から聞こえる。

 その要因としては、僕がafterglowのメンバーと共に昼食をとることに対して、連れてけーと最初はご機嫌斜めだったモカだった。

 いやね?最初は奢れってことだと思いましたよ?勿論、今回の償いのため金欠でも奢る覚悟はしていましたが、「じゃあ行こうか」「こーくん連れてってー」「だから連れて───」「おんぶで」という、幼馴染でも理解不能なモカの暴投よろしくな無茶振りが今の現状打を招いた。

 

 モカから放たれる謎の圧力に負けて、渋々とモカを背中に乗せた僕だったが、それが悪かった。

 

 冒頭で嘆いた”イタイ”と言う言葉に含めた意味。

 スラリと伸びた足を振ってご機嫌さを表にあらわしたモカを背負う筋肉の悲鳴。

そして、周りからの視線だ。

 人通りがそこそこある道を進行しているため、微笑ましく見てくるお爺ちゃんお婆ちゃんとかの視線がいたくて仕方がないのだ。

 

 

─────……ついでに精神耐性とかつけられない?

 

『お主が儂を本気で信仰するなら考えんでもないぞ?』

 

─────あ、じゃあいいです。

 

 

 元々モカは重くはなかったが、じいさんの補助によって上昇した身体能力で残りの道のりを俯いて歩いて行った。

 

 

「──それでね~。あの時こーくんは───」

「……なんだかブラックコーヒー飲みたくなってきた」

「私もー」

「………グリーンピースとシイタケを混ぜてやる」

「「…………(無言の圧力)」」

「じょーだんです」

「む~、聞いてるのー?」

 

 

 あの、モカさん?

 僕が葛藤しているのは貴女様が身体を密着させているからで更に抱きついてこないでください。

 少しデジャブを感じましたが、明らかに昔より成長してるでしょあーた。

 

 

 無言の圧力をくらって、何故か全員分の食事代を背負うことになり、精神耐性のない僕は筋力強化されても何故か背負うものが重く感じた。

 

 

***

 

 

 やって来ましたー人気ハンバーガーチェーン店!

 今日が休日ということで混雑していることを予想していたが、いざこざがあったため時間がかなり経過していたため席は確保できる人数だ。

 

 本来ならバイト中のため時間がないことに焦らないといけないんだが、ライブハウスを出る前にオーナーである婆ちゃんからゆっくりしてきな、と謎の処置を下したためのんびりやって来た。

 

 店の中に入って、僕はまず注文を行う受付を確認した。

 

 

「居ない、か」

 

 

 メニューを見ずに何故そこを見たかって?

 何故なら此処は色々とあって知り合ったアイドルの先輩がバイトしている場所だからだ!

 別に下心があったのではない。

 だが、僕のような外面の表情が乏しい人間が呟いたのが不味かった。

 

 

「へぇー。そんなに彩さんと会いたかったんだー。つぐにも手を出して浮気性だねー」

 

 

 さすがに店の中は駄目だということで僕の背中から降りたモカだったが、隣にいたため僕の呟きが聞こえたらしい。

 店内は明るいのに、何故か光沢のない真っ暗な瞳で僕を見ている。

 

 

「いや、そう言うつもりじゃないぞ。誰だって知り合いが働いている場所に行くと探さないか?」

「ふーん。卑しいこととか考えてないんだー」

 

 

 あたりまえやん。

 彩さんの0円スマイルを注文したいなーとかは卑しいことではないない。

 

 

「0円スマイルは卑しい考えに入るよー」

「……べ、べつに考えてたわけでは」

 

 

 べぇーわー。まじべぇーわー。思考読まれちったよ。もう以心伝心レベルじゃんか。片方だけ妙に精度が高いが。

 っと、そんなこと考えている暇はない。

 どう言い訳しようと必死で思考していた僕だが、思わぬ助け舟に驚愕した。

 

 

「こうひくーん!注文するから財布だしてー!!」

「ほ、ほら行くぞモカ」

「……はーい」

 

 

 ナイスタイミングだひまり。

 だがな、大声でそんな誤解されるようなこと言うなよ。僕が財布を出すだけの男みたいに勘違いされるから。

 現に店員さん方から可哀想な目で見られているから。

 

 一応の助け舟に乗っかり、ジト目のモカを動かして僕は軽くなった財布を片手に大量のバーガーを持って移動した。

 皆様手加減してください………。

 

 

「悪いね。あたしたちも奢ってもらって」

「そう思うなら少しは遠慮してくれ。母さんがモカの母親と旅行に行ってて用意された金で数日過ごすにはキツイんだ」

「……外堀埋められてない?」

「言わないでくれ」

 

 

 六人席を確保して、僕は蘭とモカに挟まれるような位置になった。

 モカが手を洗いに行った際に珍しくも蘭から心配の声が見られたが、じいさん以外にも言われて本当に頭を抱えてしまった。

 

 

「話は変わるけど、あんたギター出来るんでしょ?モカから聞いた」

「あれは何故か出来ただけだ。メンバーに入るとかなしだ」

「それも聞いた。だから、コーチ役してくれない?一応、オーナーに宛があるか聞いたらあんたの名前が上がったから」

「婆ちゃんが?」

 

 

 ウチの婆ちゃんには楽器の整備だけできるとしか言ってないんだが。長年の勘かな?

でも、まぁ、

 

 

「そこまで詳しくアドバイスは出来ないが」

「いいよ。客観的なアドバイスが欲しいから。技術面は気づいたら教えて」

「わかった」

 

 

 いやいやいやん。わかってないから。

 なんか流れでアドバイザーになったでござる。だいたい、僕なんかが音楽詳しいわけないのに。

 

 

『ぎくぎくぎくっ!』

 

─────なんだよじいさん。フラグなのかこれ

 

『ぎくぎくぎくぎっく!ってやば、腰痛い』

 

─────安静にしとけ。もう来なくていいから

 

『だが断る』

 

 

 そう言いつつもマジで腰が痛いとボヤくじいさんからの通信は途切れてしまった。

 ってあれ?なんの話してたっけ。まあいいや。

 

 

「戻ってきたよ~」

「よーし!じゃあみんな揃ったから食べようか!」

「僕の奢りだからな。忘れるなよ」

「わかってるって。サンキューな光琲」

「ありがとう光琲君」

 

 

 モカが戻ってきて全員で一斉にハンバーガーの山に手を出した。

 機嫌が直ったモカもご機嫌な様子で次々とハンバーガーを食してる。早いなおい。

 

 

「うまうま~」

「モカ、口元ついてる」

「ん………。ありがとーこーくん~」

 

 

 高校生という歳で口元をソースで汚すモカ。丁寧にその口元を拭くと上機嫌となってまた新しいハンバーガーに手を伸ばした。

 食べるスピードに関しては何も言うまい。

 

 そんなことをしていると視線が刺さったので辺りを見ると全員が苦笑いしていた。

 

 

「どうした?」

「いや。同じ幼馴染でも年期が違うなってな」

「ねー。巴ちゃんがあこちゃんの口元を拭いている時と同じだったよ」

「まあ、今のモカはあこと同じ表情をしてたな」

 

 

 おお、なんだかわからないがシスコンの巴さんがモカをあこちゃんと同等にしたぞ。

 まぁ、確かに、

 

 

「モカは妹みたいだからな」

「光琲。それは地雷」

 

 

 なにをしれっと言うのですか蘭や。

 べつに事実を言ったまでで、

 

 

「…………へー。妹みたい、なんだー」

「え?あ、いや、その」

 

 

 ………お願い蘭さん。何が地雷だったか教えてプリーズ。

 

 

「自分で考えたら」

 

 

 際ですか。ついでにサラッと思考読まないでね?

 やけ食いの領域で食べ続けていたモカを全員見ていたが、突如、その手が止まったことで皆疑問を浮かべた。

 

 

「……そー言えばこーくん。今日、こーくんママ居ないよね」

「あ、ああ。モカのお母さんと旅行に行ってるからな」

「だから泊めてねー」

 

 

 うむ?泊めて?

 いやいやダメでしょ。

 

 

「モカ。僕らは高校生だからその辺を」

「いいじゃーん。妹なんでしょ?泊めて」

「いや、たとえだから。それにしっかり境を―――」

「泊めて」

「………はい」

 

 

 圧力にまたしても屈服しました。

 もう完全に尻に敷かれた。何故だろう結婚もしてないのに。

 

 

「………ドンマイ、こうひくん」

「ひまりからの言葉に感動するなんて」

 

 

 普段弄ってばっかでごめんなひまり。今度コンビニスイーツ奢ってやるよ。

 

 僕の手の返しの速さと、財布の減り具合の速さを改めて認知したお昼であった。

 

 

 尚、普通の女子高生五人と男子高校生一人では食べきれない量のバーガーは全て完食しました。

 

 

 

 

 

 




次に持ち越します。

評価してくださった

ミツネ/さん、ユニバースファントムさん、だいたい四人の公王さん、あんず丸さん、峰風さん、ゴリおさん、クエン3さん、ゆーてぃあさん、saekoさん


ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。