数十分後、『よるたか』は浦賀水道の数十キロ手前まで航行した。
「髙山、今のところ何も映らないのか?」
『はい、今のところ陸地とメガフロートしか見えないですね。・・・・・・ちょっと待って下さい。レーダーが水上目標を探知しました。おいソナーなにか聞こえるか?』
「並木!ウイングからなにか見えるか?」
「艦長!インディペンデンス級が三隻、近づいてきます!」
『艦長!国際無線で対象から通信が来てます!』
「俺が出る!」
『こちらブルーマーメイド日本支部横須賀地方隊所属『みくら』である。貴艦の所属と目的を問う』
ブルーマーメイドと言う組織名は俺の記憶のなかには存在しない。とりあえず所属と目的を答える。
「こちらは海上自衛隊所属航洋護衛艦FFG-902『よるたか』。本艦は補給物資の備蓄の関係上、予定ルートを外れて航行している。出来れば横須賀港に向かいたい」
会話の後、数分間反応がないまま肉眼で確認出来るほど接近してきた。本艦と三隻のブルマー艦が並走する。
『艦長!対象から新たに通信です!』
一方、『よるたか』の左舷30mを航行している『みくら』の艦内ではタヌキ耳のカチューシャを着けた『みくら』の艦長『福内 典子』とその補佐役の『平賀 倫子』は『よるたか』の対応に追われていた。
「海上自衛隊?何言ってるのかしら?」
「新手の海賊かしらね?見た目の武装は凄い立派見たいだけど」
「臨検するわよ。向こうに停船して降伏するように求めて」
「了解」
向こうからコンタクトを待っているとTAOが指示を求めて来た。
『艦長、武器はどうしますか?』
「万が一に備えて主砲は撃ち方用意。但し砲塔は回すなよ!VLSはアスロックを発射用意だ。」
艦内通信を切り国際無線に切り替える。
『こちらの指示に従い停船し投降しなさい。貴艦を臨検します』
「ちょっと待て!我々は平和的に解決したい」
『つまり戦闘の意思はないというわけね』
「ああ、出来れば話し合いがしたい」
『分かりました。ではこちらから派遣隊を送ります』
「分かりました。賢明な判断、感謝します。」
無線を切り、吉岡に停船するよう求める。停船ししばらくすると見たことない水上バイクの進化系みたいなものに乗りこちらに近付く。クレーンでスキッパーと呼ばれる乗り物を釣り上げる。降りてきた女性隊員が頭に着けているものが気になった。
「あの・・・・・・なんでタヌキ耳着けてるんですか?」
「ああ、これはインカムよ」
「そうなんですか。へー」
「名乗っておくわ。私はブルーマーメイド日本支部横須賀地方隊『みくら』艦長、福内 典子よ」
「海上自衛隊航洋護衛艦『よるたか』の艦長、加賀 光介です」
「あなた随分若いみたいだけど何歳?」
「今年で15歳です」
「若っ!あなた本当に艦長?海洋学生じゃないのに?」
「あの失礼ですがブルーマーメイドって言うのはなんですか?海上保安庁じゃなくて?」
「ブルーマーメイドは海を守る国際組織よ。あとあなたのさっきから言ってる海上自衛隊とか海上保安庁とかってなんなの?民間の軍事会社?」
大きな疑問を持つ。海を守る国際組織の人間が海上自衛隊や海上保安庁を知らないのはおかしい。しかしあのアメリカの最新鋭のフリゲートを乗っているということは嘘を言っているようではない。
「俺は恐らく異世界から来た人間です」
「本当に?まあいいわ。詳しいことは後で聞くから。このことは私の判断で上には伝えないから。とにかく今は私たちの指示に従って横須賀まで着いて来て」
「分かりました。ご配慮感謝します」
そう言って福内さんはスキッパーに乗り『みくら』に戻って行った。
「どうだった?」
「艦長は15歳、武装は最新式じゃないけどかなりの数がある。そして彼は異世界から来たそうだわ」
「えっ異世界?」
「無線の内容覚えてる?海上自衛隊とか海上保安庁って言ってたでしょ。それが彼のいた世界の海上警察だそうよ」
「本当にそれ大丈夫なの?」
「分からない。だけど一応宗谷校長に聞いてみた方がいいわね」
「そうね」
そんなことを言いながら四隻のフリゲートが夕陽に映える横須賀港に入って行った。
戦闘描写はまだまだ先になりそうです。
岬艦長からの主人公の呼び名は?
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光介くん
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コウくん