狙撃手の少年は   作:サンコン(マウントベアーの山の方)

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どうも、マウントベアーです。

1日2話投稿はネタがつきそうになるからもうやらない()

あと、少しの間下垣君はおやすみです。

それでは最新話どうぞっ


第13話 ①

・12月1日(WA2000)

 

智樹がまだ目を覚まさないから代わりに私、WA2000が日記を書くわ。

 

最初の頃は皆悲観に暮れていたけど、さすがに少し慣れて来たのかいつも通りに戻っているわ。

任務も何回かあって出撃もした。

けど、やっぱり智樹がいたときの方がやりやすいわね。

 

今日は私は1日ロッジで智樹の面倒を見ていた。1ヶ月近く眠り続けているせいか、だんだんと痩せてきている。

 

点滴を打っているから栄養失調の心配はないけど、これだとリハビリが大変ね。

 

それと、面倒を見ている間に必ずやっている事。智樹の手を握って、話題は何でもいいからとにかく話しかけること。

 

これはチームメンバー全員がやっている。

効果があるのかはわからないがこうしていれば、いつか目を醒ましてくれると信じている。

 

握る手に力を込めれば智樹のぬくもりが感じられて安心できた。

 

ちゃんと生きていると実感できるから。

 

本来ならしっかり看病したいけれど立場上どうしてもそういうわけには行かない。

 

こうして1日、2日くらいしかみれないのだ。

 

最後に部屋の花瓶の水を入れ替えて窓際に置いて看病は終わる。

 

部屋を出る前に智樹をの手を握るのも忘れない。

 

明日は目覚めているといいなーー

 

★★★★★★★★★★

 

・12月2日(映像付き)(WA2000)

 

「グリフィンの前線基地をテロリストが占拠。本部のエリート部隊サマと合同で指揮官の救出任務に当たれ……ねぇ」

 

私はそうぼやいて窓の外を見る。

自分たちチームリーパーの乗るステルスホークの側には4機のブラックホークが随伴していた。

 

指揮をしているのはこれまた本部配属のエリート思考の強い指揮官。

 

まぁ、最低限本部配属でも恥ずかしくない程度の指揮能力は有しているがそれだけだ。

よほど自分は素晴らしいと思っているのかいちいち言い方が上から目線な上に完全にこちらを見下している。

 

とはいえ、随伴部隊のひとつ。FN小隊はあくまで今回に限り貸し出されているようだが、それも自分の実力あってこそと言いふらしているらしい。

 

鬱陶しいことこの上ないが、命令書の上では救出を行うのは自分たちチームリーパーなので気にしなければ問題ないが。

 

「はぁ……やだなぁ。あ、ランディングゾーンまであと5分だよ」

 

アーキテクトは嫌そうな顔を隠そうともしない。本部の指揮官がアーキテクトとゲーガーを見るなり馬鹿にしたような目で見ていたから無理もないが。

 

『あーあー……聞こえているかね?今回は我々エリート部隊の実力を知らしめるまたとないチャンスだ。たかだかテロリストごときにやられ捕虜になっている出来損ないの救出など本来ならやりたくないがね……』

 

また始まった。いちいち余計な一言を挟むのをやめてほしい。こっちの士気が下がる。

 

『で、コネで最精鋭部隊の称号を貰ったリーパーの諸君、せいぜい足を引っ張らないようにな。……それでは健闘を祈る』

 

言いたい放題言って通信は切られた。

 

「ねぇ……帰っちゃだめ?今からでも引き返そうよ」

 

「気持ちはわかるけど我慢よ。流石にそんな理由で引き返す事はできないわ」

 

「わかってるよー…わーちゃんは真面目だなぁ」

 

「わーちゃん言うな。……真面目というよりも、智樹の顔に泥を塗るような事をしたくないだけ」

 

これは本心だ。彼が目を覚ますまでの間は自分が隊長。

 

彼が目を覚したときに胸を張っておかえりと言ってあげられるように自分がしっかりとしなければいけない。

 

「前から思ってたけどさ……わーちゃんって他の人に聞くに典型的ツンデレで他人を寄せ付けないオーラあるってイメージだったんだけど、お兄さんにあってからパッタリなくなったよね」

 

「だからわーちゃんって……は⁉誰がツンデレよ‼…いや、そうね。一時期そんなこともあったわ。でも……智樹に会ってからはね。あいつと会話してたら馬鹿らしくなったのよ。弟ができた気分だった。…………正直今はそんな感情じゃないのは確かね」

 

「惚れた?」

 

「かもね………」

 

「うわぁ‼わーちゃんが素直だ‼今日は崩壊液マシマシの雨が降るに違いない‼‼」

 

「あんた帰ったら覚えておきなさいよ……っと、到着したようね」

 

姦しく、恋話(?)に花を咲かせているうちにランディングゾーンに到着したようだ。

 

ドアを開けて着陸に備える。

 

ヘリはゆっくりと降下していき、軽い振動とともに地面に降りた。

 

すぐにヘリから降りて基地に向かう。

基地周辺には武装したテロリストが既に何人もいて、警戒をしていた。

 

事前の打ち合わせでは4部隊が激しく撃ち合っているスキにチームリーパーが裏口から侵入して捕らわれた指揮官を救出する事になっている。

 

『おっと、チームリーパーにはFN小隊も着ける。自分たちだけ美味しいところを持っていけるとは思わない事だ』

 

流石にこの命令には怒りすら湧いてこない。

なんだろう、やはりこの指揮官はこの救出作戦は上層部へ実力をアピールするためのイベントだとでも思っているのだろうか。

 

「指揮官、申し訳ないけどそれは了承しかねるわ」

 

『なに……?命令無視でもするつもりか?』

 

FN小隊の隊長、FALが指揮官の指示を突っぱねる。

 

「なにを勘違いしているか知らないけど私達の指揮官は貴方じゃないから。ま、一人くらいならつけてあげるわ」

 

『ふん……』

 

やがて会話が終わるとメンバーに淡々と命令をしだした。

 

「さて、一応言われたからには仕事するわよ。FNCとFN49は私と正面。Five‐sevenはリーパーのサポートをしてちょうだい」

 

「ハイハイわかったわよ……というわけで宜しくね?」

 

「えぇ宜しく」

 

私はFive‐sevenと握手を交わす。

 

優秀な副隊長だと風の噂で聞いているが実際のところどうなのか……

 

「あ、貴方達と同じようにできるかはわからないけど足は引っ張らないわ」

 

どうやらこっちの考えていることはお見通しだったようだ。

 

その場で軽く打ち合わせをすると、チームリーパーはメイン部隊と分かれて基地の裏口に回り込む。

 

裏口にも敵はいたが正面よりは少なく、問題なく突破できそうだ。

 

「そういえば……皆同じロケットをつけてるけど、中には写真が入っているの?」

 

ふと、Five‐sevenがそんなことを聞く。

ロケットは智樹が倒れる原因となった任務が始まる3日前に注文したもので、任務後に届いたものだ。

 

「写真入ってるけどドッグタグよ。開けたら中に名前が刻んであるわ」

 

「へぇ……ねぇ、一瞬見せてもらってもいい?」

 

「…今任務中よ」

 

「お願い」

 

「はぁ……ちょっとだけよ」

 

そう言ってFive‐sevenに中身をみせた。

中にはいい笑顔のチームメンバーがヘリを背に写っていた。

 

「あら?この男の人は……?随分若いみたいだけど」

 

「うちの隊長よ。訳あって今は昏睡中」

 

「そう……」

 

それ以降は特に会話らしい会話はなく、メイン部隊から合図があるまで待機をしていた。

 

じっと身を潜めて合図を待つ。

 

『作戦開始‼』

 

指揮官の声がヘッドセットから聞こえるのと、銃声がなり始めるのは同時だった。

 

チームリーパーも影から飛び出して見張りを一気に片づける。

 

救出作戦が開始された。




いかがでしたか?

アンケートの結果ですが……
大差をつけてWA2000に決定。がんばって書いていくつもりです‼
ご協力ありがとう御座いました‼

よかったら感想と評価お願いします‼

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