狙撃手の少年は   作:サンコン(マウントベアーの山の方)

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遅くなってしまった……

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第2話

・4月14日

 

つ、疲れた…

昨日は結局3時間以上VR空間で狙撃対決だった。

 

あらゆる状況を想定してのスコア勝負。

1000m先の鶏のトサカを撃ち抜けなんて言われた時には流石に驚いて変な声を出してしまった。

 

10羽撃つ中で6羽のトサカを撃ち抜けたからまぁ、良いかなって。

 

え、他の4羽?……………ほ、ほらあれだよ。

 

その〜……お、お頭に命中しちゃって…その、首から盛大にトマトジュース(意味深)が…

 

WA2000さんは5羽だったよ。

 

と言っても他のもので勝ったりしてるから引き分けなんだけどね。トータルスコアは。

 

なんかめっちゃ悔しそうな顔で

『一応は認めてあげる』

って言われた。

 

ツンデレなのかな?言ったら叩かれそうだから言わないけど。

 

まだ任務もないし、疲れて銃の試射をする気になれなかったから少し寝ることにした。

 

起きたら毛布が掛かってた。自分でかけた記憶ないから首を傾げているとベットの脇でケイティがうたた寝していた。

 

どうやら彼女がかけてくれたようだ。

 

お礼代わりに頭をなでてから布団を出た。

さて、試射しますか……

 

・4月14日

 

今日は俺とカーラ姉さんとケイティの入社式だ。

 

と言っても3人しかいないから社長室で静かに行われるけど。

 

姉さんとケイティは製造時に着ていたものを、俺は支給された制服を着ている。

真っ赤だね。

 

てかヘリアントスさんのを見る限り丈の長い上着だと思ってたけど幹部じゃない人は普通の赤い6つボタンダブルブレザーのようだ。

 

いや〜こんなしっかり着込んだの高校の卒業式以来だね。

まぁ数ヶ月前だけど。

 

とりあえずぺえぺえのぺへぺへで直ぐに入社式は終わったからその後はせっかくだから姉さんとケイティを連れて食堂に。

 

栄養摂取用のスティックを貰おうとしたらなぜか一緒についてきたヘリアントスさんに止められて入社祝いという名目でパンを奢ってもらった。

 

こんなに良くしてもらって逆にプレッシャーになってきてしまった。

 

それを察してくれたのか食事中に高校時代の事とかを色々と聞かれたので話してたら緊張は抜けていた。

 

感謝。

 

ただ、話している時にやたらと視線を感じたのは気にしないでおこう。

 

今日も着替えたら射撃場に行って撃とう。

今回はバレットで良いかな〜

 

部屋に帰ったらベットでケイティが寝ていた。

自分の部屋があるんだからそっちで寝なよ……

 

・4月15日

 

チームメイトがささやかな歓迎会を開いてくれた。

 

飲み物を飲みながら会話しただけなんだけどね。

 

ケイティと俺はジュース、他のメンバーはアルコールを摂取していた。

 

まぁ……あれだ、酒は飲んでも呑まれるなってやつだな。

 

最初は良かったんだ。アルコールが入ってダネルさんもいつもより陽気になって話しやすくやったしWA2000さんもツンデレのツンが取れて楽しく話せたし……

 

問題はその後だ。

 

ダネルさんもWA2000さんも結構良い勢いで飲んでたもんだから暴走し始めて……

 

ダネルさんは笑い上戸、WA2000さんは泣き上戸だったようでダネルさんは些細なことで爆笑を始めて俺のことバシバシ叩くわWA2000さんは号泣し始めるわでカオス極まりない空間へと変わってしまった。

 

幸いというかケイティは事前に察したカーラ姉さんが避難させてくれていたから巻き込まれることはなかったけど、俺はガッツリと絡まれてしまった。

 

流石に未成年だから酒を飲まされるわけにはいかないのでそこはなんとか死守したが、叩かれるわ不用意に抱きつかれるわでメンタルは死亡した。

 

後で唯一まともだったSV‐98に慰めてもらった。今度なんかお礼しなきゃ

 

・4月16日(映像データ付き)

 

今日は初の出撃だった。なんでも強力なE.L.I.Dが紛れ込んでいたらしい。

 

それで今日出張ってた小隊が追い込まれたようで俺達緊急即応部隊にお呼びがかかったってわけだ。

 

俺達ともう1つの小隊が出動する。

俺達は後ろから狙撃で援護、もう1つの小隊が前に出て直接援護だ。

 

直ぐに装備を整えて待機していたブラックホークに乗り込む。

 

関係ない話だけど1世紀近く前に初飛行の機種なのに未だに使われるって相当な傑作機なんだと思う。

 

もちろん情勢に対応するために低燃費化などの改良は加わっているが。

 

救出対象のいる場所から3キロほど離れたところに降ろしてもらう。

 

そして速やかに移動を開始した。

 

市街地での戦闘だ。

 

自分達は建物に入って救出小隊の援護をする。

 

俺の1発が作戦開始の狼煙となるから少し緊張したが、カーラ姉さんが背中に手を当ててくれたおかげで適度な緊張で撃つ事ができた。

 

作戦自体はうまく行って、特に自分達に損害を出すことなく撤退を終了することができた。

 

初陣としては上出来だとヘリアントスさんからのお褒めの言葉も頂いてテンション上げ上げだ。

 

ただ、1体だけ妙にゴツいやつが居てそいつの頭を撃ったんだけどめり込んだだけに留まって少し驚いた。カーラ姉さんもびっくりしてたし。

 

多分あれが強力なE.L.I.Dとか言うやつ何だろうな。

 

だとしても7.62mm弾を止める頭蓋骨って……

近距離で戦ったらヤバそう(小並感)

 

今日はもう寝るんだよ〜

 

……ケイティは自分の部屋で寝るべし

 

・4月17日

 

いや、いつかやる時は来るだろうと思ってたけどね。

 

今日はVR空間で人を撃つ訓練をやった。

トマトジュース(意味深)や白子(意味深)もバンバン飛び散るやつ。

 

オフの日だったにも関わらずチームメンバー全員が立ち会ってくれた。

 

いい人達だなぁ。

 

んで早速訓練を始めた。

 

当然人を撃った事なんてないから手が震えちゃったんだけどね。

 

みんな励ましてくれるからなんとか落ち着いて自己暗示かけまくって撃ったんだ。

 

弾けたね、言葉通り。

 

設定としては数人のテロリストを全員無力化する訓練だったんだけど1人撃った時点で強烈な吐き気が来ちゃって。

 

慌ててVR機器を取り外して洗面台に行って情けない事に泣きながら吐いてしまった。

 

吐いている間はSV‐98さんが背中をさすってくれていた。

 

ありがたい。

 

なんとか落ち着いて戻ったらみんなが慰めてくれた。

 

あのWA2000さんまでもが飲み物をくれたりと気に掛けてくれた。

 

言ったら叩かれそうだから言わないけど。

 

…PMCに所属する以上人を撃つ機会も出てくるだろうしいつまでも甘えているわけにはいかない。

 

これからは徐々に慣れていかなくては。

…人を撃つことに慣れるっておかしな話だけど。

 

改めて今の世の中のきびしさを実感させられた1日だった。





まぁ、いくら射撃の技術があっても人を撃つことになれるのとは別問題だよねって

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