狙撃手の少年は   作:サンコン(マウントベアーの山の方)

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どうも、マウントベアーです。
今回から2059年に突入ですよ‼

(ネタが)ないです

それでは最新話、どうぞっ


第15話

・12月25日(WA2000)

 

今日はクリスマスというイベントがあるらしい。

もともとはイエス・キリストの誕生を祝う日らしいのだけど、今はもはやお祭り騒ぎをする口実のようになっている。

 

あとは……恋人と仲良くする日?

 

あんまり詳しくないけどそういうことらしい。

 

で、アーキテクトが

 

“せっかくだからプレゼント交換しよう‼”

 

とか言い出したから街まで買いに行くことになった。

幸いな事に、チームリーパーは今日1日休みだからゆっくりと選ぶことができる。

 

選ぶとしたら……無難にマフラーだろうか?

クリスマスだから赤で……

 

案外あっさりと決まって早いとこ基地まで帰り、プレゼント交換があるまで自室でのんびりと過ごした。

 

定期的に変な任務が舞い込んでくるせいでここまでのんびりとしたのは割と久しぶりだったりする。

 

首に下げてるロケットを手元で開けたり閉じたりしながらぼんやりと考え事をしたりして時間をつぶした。

 

銃の整備をしてもいいけど流石にこう言う日くらいは銃から離れたい。

戦術人形がこんなことを言うのも変な話ではあるけど。

 

しばらくしたらお呼びがかかったから食堂に向かった。

 

いよいよプレゼント交換だ。

何が回ってくるか少し楽しみだ。

 

・12月26日

 

久しぶりにみんなで智樹の眠っているロッジにお見舞いにいった。

アーキテクトが作った人形が掃除やらなんやらの世話をしてくれているおかげでロッジの中は適温・清潔に保たれているし智樹の世話もしてくれているから汚れが酷いなんてこともない。

 

とりあえず一人ずつ、智樹の寝るベットの側に座って話したいことを話すことになった。

一人あたり30分。

 

私は1番最後にしてもらった。

特に理由はない。ただ、なんとなくそうしたかっただけ。

 

いよいよ私の番になり、智樹の側に座っていざ話し始めようと思ったが言葉が出なかった。

 

話す内容は事前に決めていたはずなのに言葉が浮かんでこない。

 

眠る智樹の顔をじっと見つめる。

1ヶ月以上も眠り続けているせいか少しやつれて来ているように見える。

 

そっと智樹の手を握る。

 

 

暖かかった。

たしかに生きているんだと実感できる。

 

それからポツポツと最近の話しをし始める。

任務のこと、みんなの様子…自分のこと。

 

こんな事を一人の人間にするなんてツンツンしていたときじゃ考えられなかった。

 

何故か知らないけど、側にいると安心できる。

 

ーーこの気持ちはなんだろうか?

 

・1月1日(WA2000)

 

あけましておめでとう。

 

2058年も終わり、いよいよ今年から2059年だ。

今年もできれば自分たちの出番がないのが1番だけど、こんな世の中だ。確実に来ることだろう。

 

ちなみに今回は智樹のロッジで新年を祝うパーティをやっている。

 

といってもささやかなものだが。

ジュース片手に談笑しているだけだ。

 

アーキテクトとケイティが一発芸をやったり、ダネルとゲーガーが腕相撲を始めたりとなかなか賑やかなものだった。

 

私はカーラとずっと話をしていたけど。

雰囲気が柔らかいから話していて楽しいのだ。

 

彼女と同型の人形……スプリングフィールドとは何回かあったことはある。

 

もちろんそのスプリングフィールドも穏やかだったのだが、智樹という弟と過ごした影響だろうか。

 

他のスプリングフィールドにはないものを持っている。

 

パーティも終わりに近づき片付けをしている間、私はカーラに智樹を任されたから様子を見ていた。

 

もういつもの事となっているが、智樹の手を握る。

 

本当にいつまで眠っているつもりだろうか。

智樹がいたほうが、部隊の雰囲気もいいのに……

 

祈るような気持ちで握っていた。

 

 

 

 

ふと、握り返される感じがして智樹の方を見ると…………

 

 

智樹が目を開けて私の方をみていた。

 

・1月2日(WA2000)

 

昨日は大騒ぎだった。

まぁ、当たり前よね。なんせ1ヶ月以上眠っていた智樹がようやく目を覚ましたんだから。

 

ケイティは泣いてしがみついていたし。

 

まぁ、私も泣きそうになったけど。

昨日パーティをやったばかりなのに早速お祝いパーティが開かれた。

いきなりお祭り騒ぎで智樹もはじめは困惑していたけど最終的には楽しんでいたように思える。

 

みんなから今まであったことを聞いたりして談笑していた。

 

やっぱりまだ身体は動かしづらいようで立ち上がったりするのに苦労していた。

まぁケイティがつきっきりで補助していたから大丈夫だろう。

 

ふとカーラの方を見ると何かを心配するような目で見ていた。

でも気持ちはわかる。

 

私も違和感を感じていたところだ。

 

なんで………………

 

 

なんでそんな、貼り付けたような笑みをみんなに向けているのだろうか。

 

あれじゃあ、安心させるためだけに作り笑顔をしているだけだ。

 

一体何が……

 

・1月3日(WA2000)

 

やっぱり、昨日感じた違和感は間違っていなかったようだ。

智樹から……表情が消えた。

というより感情がなくなったというべきか。

 

もちろん話しかけたら最低限の反応はしてくれるし無視をしたりとかそういった事があるわけでもない。

 

常に真顔。

それに感情の起伏がない。

 

怒るわけでもなければ、笑うわけでもない。不愉快そうに顔をしかめる事もしない。

 

まるで………まるで前時代の人形のようだ。

人形よりも人形らしいとはおかしな話だ。

 

それと、前にも増して苛烈なトレーニングをするようになった。

もうリハビリとかそんなレベルじゃない。

時間が許す限り自分を痛めつけているようにも見える。

 

さすがのアーキテクトもそんな様子に違和感を感じたのか心配そうに見ていた。

 

やっぱり……最後の肉親を目の前で失ったせいで心が壊れてしまったのだろうか。

 

ずっと前から智樹と過ごしているカーラやケイティでさえ、智樹の心を癒やす事はできないのだろうか………

 

このまま…自身を痛めつけ続ける智樹を何もできずに見続けることしかできないのだろうか。

 

 

私は……どうすれば…





おや……?
下垣君の様子が……?

次回からまた下垣目線に戻ります。

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