狙撃手の少年は   作:サンコン(マウントベアーの山の方)

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ふう、とりあえずできた……

今回は短めで内容が薄いです。

後編どうぞっ


第6話 後編 (修正済)

・5月12日 続々(映像データ)

 

視点は再び下垣達へーー

 

ボスが引き金を引こうとした瞬間だった。

 

「て、敵だ‼」

 

部下の1人がボスの後ろから慌てふためいて走ってくる。腕を負傷したのか押さえながら走っていた。

 

「なっ…!マンティコアだと⁉」

 

ボスが振り返るとそこには鉄血工造製の多脚自動戦闘車、マンティコアがノシノシと歩いてきていた。

 

車体の下に50ミリ機関砲を装備。本来ならそれだけなのだがこのマンティコアは特別性なのか、12.7ミリ重機関銃を2門装備していた。

 

「クッ……撤退用意‼応戦しながら下がるぞ‼」

 

もう俺達の事は眼中にないのか、必至に逃げようとしている。まぁ、いくら人数がいたところで5.56ミリや7.62ミリの装備じゃマンティコアの装甲を抜くのは難しい。

 

ましてやここは地下の下水道。

安易に爆発物を使用しようものなら崩れて自分達も生き埋めだ。

 

俺はこのタイミングでメッセージの内容を実行に移した。

 

「よし、全員識別信号を切るんだ。これでレーダーは潰せる」

 

もちろんグリフィン本部にある作戦室スクリーンからも反応が消えてしまうので、もっと増援は期待できなくなるがこの際仕方ないだろう。

 

「あれ〜?なに逃げようとしてるのかな〜?」

 

テロリストが必至にマンホールを登ろうとしているところに女性のものであろう高い声が響く。

 

テロリストの動きがピタリと止まった。

 

コツコツと靴の音が響き、だんだんとその人物のシルエットがハッキリとしていく。

 

「逃がすわけないじゃん?」

 

「………アーキテクト?」

 

鉄血工造製ハイエンド戦術人形アーキテクト。

少し前に俺が助けた人形だった。

 

「あ、やっぱりお菓子くれたお兄さん‼久しぶり〜‼メッセージちゃんと受け取ってくれたみたいだね‼」

 

ニコニコとしながら彼女は俺に向かって手を振る。

 

相変わらずJK感が半端ない。

 

というか敵を目の前にしてこの余裕。

考えあってのことなのか、それともただのアホの子なのか……

 

なんにせよヘッドセットに割り込んでメッセージを残したのは彼女のようだ。

 

なんでわざわざそんな事をしたのか理由はわからないがもう少しで殺されるところを助けて貰った。

 

1つ貸しができてしまったな。

 

「ほう、お前が」

 

また声がしたかと思うと、彼女の隣にもう一人人形が現れた。

 

「私の名前はゲーガーだ。この前はこのバカを助けてもらったこと感謝している。こんなでも仲間だからな」

 

「こんなって何さー‼」

 

どうやら彼女の同僚?らしい。

見た感じ、アーキテクトが割と適当やってゲーガーがそれを抑えているって感じか。

 

いわゆる苦労人のポジションだな。

 

「はぁ、こいつを入れる為の穴を開けたのは私だぞ。全く……」

 

まともかと思いきや、なんてことしてるんだ。結構めちゃくちゃやりおる。

 

「くそが……無視してんじゃねぇ!」

 

テロリストのボスが突然叫んだかと思うとライフルをアーキテクトに撃つ。

 

自分から逃げ出そうとしたのに無視された瞬間激昂して発砲し始めるとは……

ちょっとでもできるやつかと思った俺が間抜けだったようだ。

 

しかし構えた瞬間に間に割り込んだマンティコアが、そのライフルの弾丸を弾いた。

 

「煩いなぁ……“ゴンゾウくん”やっちゃって」

 

え……名前あったの……………

 

てかゴンゾウくんて……

 

唖然としていると急に何かに抱えられて一瞬でマンティコアの後ろまで運ばれていた。

 

見るとダネルさんもSV‐98さんもいる。どうやらゲーガーさんが運んでくれたようだ。

 

俺達がいなくなるとマンティコアが発砲を始めた。流石に50ミリは使わないが備え付けの12.7ミリでテロリストを次々に射殺していく。

 

連中はやけになったのか脱出を断念してマンティコアに向けて応戦し始める。中には手榴弾を投げようとするやつまで出てくる始末。

 

まぁ、投げる前に死んでいたが。

 

結局、下水道に降りてきていたテロリストは一人残らず死体となった。ボスもまとめて蜂の巣である。

 

「お掃除完了‼……お 兄 い さ〜ん‼」

 

「グハッ⁉」

 

アーキテクトは死体など目もくれずに俺に抱きつく。いや、抱きつくというよりはタックルに近いが。

 

今日はよくぶつかられる日だな〜と現実逃避していると、アーキテクトが上目遣いでこちらを見上げた。

 

アーキテクトに限らず戦術人形は皆美人なもんだからドキッとしてしまった。

 

「ねぇ…………………お菓子ある?」

 

知 っ て た

 

俺みたいな地味めがモテるわけないよね〜

 

地味にダメージを受けつつもポーチから甘い味付けがされた栄養補給ゼリーの入ったスティックを取り出して渡す。

 

「おいおい、大丈夫なのか。それ結構大事なんじゃ……」

 

「ん?一本くらいならな。危ないところ助けてもらったしこれくらいはいいさ……」

 

ダネルがゲーガーに応急処置をしてもらいながら心配そうに声をかけてきた。

 

でも実際このくらいなら問題ない。

そんな事よりさっさと移動したほうが良さそうだ。

 

「よし、とりあえずここを離れよう。アーキテクトが開けたっていう穴のあるところまで行こうか」

 

「良いよ〜都市の関所に近いところに開けたからすぐに帰れるよ‼」

 

ナイスだ。

実に最高のタイミングだ。

 

ダネルさんも負傷して正直これ以上の戦闘はリスクが高すぎるから安全に帰ることができるならそれに越したことはない。

 

「よーし、早速行こう‼」

 

「ちょっ…⁉」

 

何を思っての行動なのかはわからないが、アーキテクトがいきなり俺を持ち上げて担いだ。

 

「早く帰りたいからね。人間の速さに合わせてたら結構時間かかるから担いだ‼」

 

あれ〜?なんだろう。

とっても嫌な予感が…………

 

「よーい………ドン‼」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

次の瞬間、アーキテクトは猛烈なスピードで走り出す。

 

当然風圧も凄まじく、捕まっていないと振り落とされそうな程だ。

 

てかこんなペースで走っていたらゴンゾウくんことマンティコア置き去りになるんじゃ……

 

って追いつくんかい‼

車輪内蔵してるのかよ‼

改造し過ぎぃ‼

 

俺の心の叫びを知らないであろうアーキテクトはハイテンションで走り続ける。

 

「はい到着ぅ‼」

 

荒々しく急ブレーキを掛けて停止する。

慣性でふっとばされるかと思った。

 

上を見るとたしかにゴンゾウくんが通りそうなスペースの穴がポッカリと開いていた。

 

アーキテクトはジャンプして外に出るとゆっくりと俺をおろす。

 

穴を見るとゴンゾウくんとダネルさん達も這い上がってきていた。

 

この穴どうするつもりなんだろう…

 

見た感じ関所……ゲートまで5キロってところだろうか。

 

近いには近いがもう少し近かったら良かったんだが……

 

ちらりと横を見ると当の本人は先程渡したゼリーを呑気に食べていた。

 

それを見たら気が抜けて座り込んでしまった。

 

ふと、顔を上げて前を見ると前方で砂埃がたっていた。

 

自然の風でのものじゃないな……

 

そう思い、俺は義眼の望遠機能を使って拡大する。

するとそこには先程のテロリストの残党と思われる連中がテクニカルに乗って向かってきていた。

 

「うわ、しつこいなぁ」

 

アーキテクトも気づいたのか露骨に顔をしかめる。

 

まぁ、それに関しては激しく同意だ。

奴ら、逃げても逃げても追っかけてけるからなぁ。

 

「ゴンゾウくん、また出番だよ」

 

アーキテクトに命令されたゴンゾウ君は俺達の前まで出ると機関砲を僅かに動かしてテクニカルに向ける。

 

「あ、50ミリ撃つね。お兄さんは耳塞いだほうがいいよ」

 

慌てて耳を塞いだ瞬間轟音とともに50ミリが発射される。

 

再び望遠でテクニカルを見ると50ミリが直撃して乗っていた戦闘員ごと粉微塵になっていた。

 

ヒェッ……

 

「ふふん、破壊☆粉砕☆大喝采‼流石ゴンゾウくん‼一生懸命魔改ぞ…ゲフンゲフン。手をかけて作ったかいがあるぞ〜‼」

 

こいつ今魔改造って言ったよな……

 

なんかアーキテクトと関わってから口調が荒くなったような気がする。

 

……いや、疲れているんだ。

そうに違いない。

 

色々あったが、ようやく帰ってくることができた。

時間にしたらそんなに長くないけど取り残されたり何なりで疲労がすごい。

 

ジャミングもないことだし、話すのも疲れて面倒だからテキストメッセージで済ませてその場に横になる。

 

迎えが来るまで少しでも身体を休めようと俺は瞼を閉じた。




突貫で第6話全体の人称を3人称から下垣視点に変更しました。
後日しっかりと修正をする予定です。
修正が終わったら、目次のタイトル後ろに(修正済)と書いておきますので修正後のものも見てくれると嬉しいです‼

あと、地味にUAとお気に入りが増えて嬉しい限りです‼
ありがとう御座います‼
これからも頑張ります

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