ついに...パソコンを使う時がきたのだ。
私の名はセル。皆ご存知の人造人間だ。
私は急速な電子化の波に対応するためパソコン教室に予約した。
私にも子ども(セルジュニア)がいるしな...
そしてついに今日が体験当日なのだ。
私は自動ドアのスイッチを押し、店へと入る。
「いらっしゃいませ!」
20代後半だろうか。
若い女性がカウンターで待ち受けていた。
「ああ。私は先日予約した、セルという者だが...」
「あ!セルさんですね!少々お待ちください」
しばらくすると部屋の奥からまたまた若い女性が出てきた。悪くないな...
「私、セルさんの担当となります。糸田と申します。よろしくお願いします」
「よろしく頼むよ。せいぜい私を楽しませてくれ」
しっ しまった!私としたことがつい煽り癖を披露してしまった...
「はい!ご期待に応えられるよう頑張ります」
なんというプロ精神だ。
私の失言を受け止めただけでも賞賛に値するぞ。
「では早速始めましょうか」
私はパソコンの前に連れてこられた。
私も元はコンピューターによって生まれたのだ。
つまり、私はお前の兄弟だ。
「セルさん?電源のつけかたは分かりますか?」
私の無限大究極パワーをみくびるな!
そんなもの見れば分かるだろう。
「ここだ!」(ポチッ)
「あ!そこは違います!それはスペースキーなんですよ」
ぶるぁぁぁ!
なぜだ...完全体であるこの私がボタン一つで...
「笑えよ糸田」
「いえそんな...大丈夫ですよ。ここに来られる方は最初はこんなものです。悲観的にならず頑張りましょう!」
「まあ...そうだな」
「では説明しますね。これが電源ボタンです。これを押すとパソコンが立ち上がります。あと一番注意してほしいのが一度ボタンを押したらそれ以上押さないでくださいね。パソコンが壊れてしまうので」
「なに?たったそれだけで壊れるのか。出来損ないめ」
「ははは。それだけ繊細なんですよね」
聞いた感じだとどうやらパソコンを扱うのは思った以上に難しそうだ。
そして糸田が電源ボタンを押した。
(画面が)「変わった...」
「この画面をログイン画面といいます。ここでパスワードを入力してログインするのですが何か仮のパスワードをお決めになられますか?」
パスワードか。いいだろう。私のセンス溢れる全力のパスワードを教えてやる。
「パーフェクトボディ だ。」
決まった。私のこのパーフェクトなボディを見た者しかこのパスワードの素晴らしさがわからんだろう。
「え(汗)あ、はいわかりました...」
糸田がパスワードを打ち込んだ。
え?あの糸田の反応はなんだ?
何かおかしなことでも言ったか?
まあいいだろう。私は早くやりたいぞ!
「今日はここまでにしましょうかね」
「なに?どうした?さっきまでの勢いは...」
「時間制なもので...すみません。また来週お越しください」
まあ楽しみはとっておくとするか...
「さらばだ」
私はそう言って空へ飛んでいった。