ワールドトリガー ~ I will fight for you ~ 作:ルーチェ
本部基地南東地区では鈴鳴第一の村上鋼(むらかみこう)が3体のラービット相手に苦戦していた。
村上は手傷を負いながらも一秒でも長く敵を引きつけて友軍を助けようとしている。
「!?」
村上に襲いかかったラービットが一刀両断された。
「よう、村上。俺、忍田さんにこいつら斬ってこいって言われてんだ。
「…どうぞ、太刀川さん」
村上の危機に現れたのは太刀川だった。
忍田の許可を得たことでラービット殲滅にやる気満々である。
「旋空弧月!」
太刀川は残り2体のラービットを一瞬にして斬り捨てた。
[国近、新型撃破数ランキングはどうなってる?]
太刀川は自隊のオペレーター国近柚宇(くにちかゆう)に訊く。
[嵐山さん3体、風間さん3体、小南2体、霧科2体、B級合同2体、木虎1体、ミクモ?1体。太刀川さんは今の3体でトップタイだね]
[俺のから2匹村上につけとけ。けっこうダメージはいってた]
[了解~]
トリオン兵撃破数は戦闘員の給与に直結し、さらに論功行賞で報奨金が出たり、ポイントが加算されるために重要なものとなっているのだ。
「さて、次はどこに行きゃいいんだ?」
太刀川が村上に訊く。
「風間さんが
「たしかにそのふたつはかなり面白そうだが、今回の指揮官は俺じゃないからな」
そう言って忍田に指示を仰いだ。
[慶は東部地区へ向かえ。風間隊に代わって東部のトリオン兵を排除しろ。C級と市民を守るんだ]
忍田の指示に根付や鬼怒田が意見する。
風間がやられた以上、
[風間と東の報告によれば人型
忍田の狙いは
しかし人型
[人型がC級と市民を狙って市街へ向かった場合は交戦を許可する。お前が斬れ]
[太刀川、了解]
太刀川は
◆◆◆
本部基地南西地区で戦闘中の遊真と嵐山隊のもとへ迅がやって来た。
「悪いけど、嵐山。
遊真の頭をもしゃもしゃしながら嵐山に訊く迅。
「それはもちろん構わないが…、おまえが動くってことは、この先何かが起こるのか?」
「メガネくんと千佳ちゃんが心配なんだ。今、ちょうど未来の分かれ道っぽくてな、『最善』から『最悪』まで不確定な未来がいくつも見える」
「オサムのとこにはこなみ先輩が行ったんじゃないの? こなみ先輩が負けるような相手がいるってこと?」
遊真が迅に訊く。
「小南が負けなかったとしても『最悪』になることはある。未来を決めるのは勝敗だけじゃないからな」
「『最悪な未来』だとどうなんの? チカがさらわれるとか?」
「…いや、それは『最悪』の一歩手前だ」
「…!?」
「…『最悪』の未来では…メガネくんが死ぬ」
「三雲くんが…!?」
「オサムが死ぬ…!?」
嵐山と遊真の顔から血の気が失せる。
それだけ衝撃的な迅の言葉なのだ。
「いやいや、まだ決まったわけじゃない。最悪の場合そうなるってだけの話だ。そんでもちろんそう
「遊真を連れて行って城戸司令とかは大丈夫なんですか?」
それまで迅たちの会話を冷静に聞いていた時枝が訊く。
「さっき本部で話はしたよ。警戒区域を出なきゃOKだそうだ」
「それじゃ結局助けに行けないじゃないか!」
「警戒区域出るギリギリまで行って、そこでオサムたちを待つってこと?」
嵐山と遊真はもどかしそうに言うが、迅が彼らに説明する。
「いや、メガネくんたちも基地に向かってるからな。俺たちと合流する頃には警戒区域に入ってるはずだ。レイジさんたちがメガネくんをそこまで連れて来てくれる」
そして付け加えた。
「そしてもうすぐ頼もしい援軍が到着する」
「援軍? それは ──」
嵐山が迅に尋ねようとするが、答えを聞く前にそれが誰なのかわかった。
「なるほど…確かに頼もしいな」
嵐山の視線の先には追って来るバムスターやモールモッドを蹴散らしながら走って来るツグミの姿がある。
「もう、なんてしつっこいのよーっ!!」
ツグミが
そしてうんざり顔の彼女は仲間たちの姿を見つけて駆け寄ってきた。
「お疲れー。新型相手によくやったな」
迅の労いの言葉にツグミは笑顔を取り戻す。
「ホントにお疲れですよ。雑魚はわんさと襲って来るし、なぜかわからないんですけど新型なんて4匹ですよ、4匹。新型はC級を狙っているはずなのに…って、それよりもオサムくんとチカちゃんは!? 忍田本部長から応援に行けって命令受けたんです」
「メガネくんはC級を連れてこっちへ向かっている。途中で木虎がやられたが、キューブの状態で回収された」
「キトラちゃんがやられたなら滅茶苦茶ヤバイじゃないですか! 早く助けに行かなきゃ!」
「いや、おまえは嵐山隊とこの周辺のトリオン兵の討伐に当たってくれ。
「じゃあ、どうするですか?」
「俺と遊真が行く。今、レイジさんたちが人型と交戦中で、C級たちが逃げる時間稼ぎをしてもらっているからな。だがそれにも限界がある。俺たちが援護しながら本部までメガネくんたちを送り届けるつもりだが、ひとまずおまえの戦力は温存しておく。最後におまえの力が必要になる時が来るだろうからな」
「わたしの力が必要になるのはまだ先なんですね?」
「そうだ。
「もちろんです!」
「よし。じゃあ、頼んだぞ。…行くぞ、遊真」
「あ、ちょっと待って。ジンさん」
遊真はそう言うと、ツグミのところへやって来た。
「きりしな先輩にもちびレプリカを渡しておく。これがあればおれやオサムと交信できるから」
「ありがとう、ユーマくん。…いってらっしゃい、ユーマくん、ジンさん。気をつけて」
ちびレプリカを受け取ったツグミは笑顔で遊真と迅を送り出す。
そして迅は遊真を連れて修たちの救援に向かった。
「それじゃ
嵐山は答えた。
「きみは自由にやってくれ。きみは
「了解です。嵐山隊の邪魔にならないように戦いますね。…さあ、来い、雑魚ども!」
ツグミはそう言うと両手にトリオンキューブを浮かべ、やる気満々で自分に迫りつつあるトリオン兵の群れに向かって歩みだした。
◆◆◆
南部地区ではランバネインと東率いるA級B級合同部隊が交戦中であった。
ランバネインのトリガー
攻撃力はシールドや障害物による威力の減衰が期待できないほどに高く、射程や弾速、速射性も含めた上でボーダーの射撃用トリガーとは段違いの性能を持っている。
トドメを刺すところまで追い込んだが、ミラのトリガー
ボーダー隊員の目的は
そこでフリーになったA級トリオは本部の指示で逃げているC級のサポートに向かい、B級合同部隊は南部地区の防衛に戻ることにした。