ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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163話

 

 

「だったらみなさんがミリアムの(ブラック)トリガーと同等かそれ以上の価値のあるものを持って帰ればいいじゃありませか?」

 

ツグミはそう切り出すと話を続けた。

 

ボーダー(わたしたち)近界(ネイバーフッド)へ遠征してトリガーの技術を得るように、キオンのみなさんも近界(ネイバーフッド)にはない()()や知識・技術を持って帰ることができればミリアムの(ブラック)トリガーを奪い損ねたことの埋め合わせができると思うんです。トリオンに代わるエネルギーとか生産性の上がる農業技術とか現在の近界(ネイバーフッド)に必要なものが玄界(ミデン)にはいくらでもあるんじゃないでしょうか? 探せば(ブラック)トリガー以上に価値のあるものがたくさんあるはずですよ」

 

近界(ネイバーフッド)の国々は程度の差はあれどもどの国であってもトリオンやトリガーを根幹とした技術はこちら側の世界よりもはるかに優れている。

異次元の世界から(ゲート)を開いてこちら側の世界へやって来ることができ、トリオン兵という武器は既存の兵器では太刀打ちできないのだから。

しかし一般市民の暮らしぶりとなるとこちら側の世界の中世から近世にかけての封権社会に近いもので、近界(ネイバーフッド)の国々とこちら側の世界を単純に比較することはできないが、少なくとも一般民衆の生活水準は非常に低いと言わざるをえないのだ。

ひと握りの権力者が多くの民を支配し、人間由来のトリオンが文明の基本であるから少ない人的資源を奪い合う戦争が絶えない。

近界(ネイバーフッド)の国が「(マザー)トリガー」を核として成立しているという()()()を変えることはできないが、近界民(ネイバー)がトリオンやトリガーに頼らずに済む文明を手に入れたら世界のルールさえ大きく変えてしまうことになるだろう。

ただそれで愚かな戦争がなくなるのであれば意味のあることだとツグミは考えているのだ。

 

ゼノンたちも近界(ネイバーフッド)には存在しない数々の技術や階級のない市民の生活に感銘を受けていた。

近界民(ネイバー)にとって玄界(ミデン)は人的資源の()()()でしかなかったが、実際にその中に身を置くと自国にはない優れたものがたくさんあることに気付いてしまった。

なによりもトリオンという人間由来のエネルギーに頼らずとも文明は成立するということで、自分たちよりもはるかに豊かな暮らしをしている玄界(ミデン)人を羨ましいとさえ感じている。

もし玄界(ミデン)の文明の一端でも取り入れることができればキオンの同胞たちの生活レベルは向上するに違いないと、彼らも考えていたのは事実である。

 

各々が考えるところあってか黙り込んでしまったものだから、ツグミは迅の顔をちらりと見た。

すると同じタイミングで迅もツグミの顔を見たものだから目が合ってしまい、彼女は微笑んでから目をそらした。

 

(良かった…。ジンさんの様子だと悪い未来が視えた様子はない。この後どうなるのかはわからないけど、今のところは話を進めても大丈夫みたい)

 

C級と自身の身柄交換を考えただけで迅が悪い未来を予知してしまったものだから、ツグミは慎重になっている。

しかし迅の表情に変化はないようで、ツグミは続いて林藤の顔を見て訊いた。

 

「林藤支部長、続けてもよろしいですか?」

 

「ああ、続けてくれ」

 

林藤もツグミを止める理由がないものだから、彼女のやりたいようにさせてみることにしたようだ。

 

「では、話を続けます。これまでわたしが得た情報では、キオンは極寒の地であるために農作物が育たず、よって他国を侵略して従属国とし、そこで生産されたものを徴集して自国民を養っているということです。そうなると従属国の国民は農作物の大部分をキオンに奪われてしまい、自分たちが育てたというのに十分に食べることができないという不満を抱くと同時に食糧不足に陥ってしまう。ならば限られた耕作地での収穫効率を上げることによって多くの農作物を得られて従属国の国民にも十分に行き渡るでしょう。キオンの他国への侵略の理由が食料事情にあるというのなら、この問題が解決すれば無駄に戦争を行う必要はなくなり、戦争に使うトリオンを日常生活に回すことも可能となります」

 

さらにツグミは言う。

 

近界(ネイバーフッド)ではしばしば国家間の戦争が起きていますが、そのもっとも大きな原因は近界(ネイバーフッド)の文明の基本がトリオンで、それが人間の生み出す一次エネルギーというところにあります。何もかもがトリオンに由来するものですから慢性的なトリオン不足に陥り、それを補填するためにトリオン能力の優れた人間が大勢必要となるのですが食料不足や戦争によって人口はなかなか増えず、よって『トリオンを生み出す道具としての人間を略奪する戦争』が繰り返されるという悪循環に陥ってしまっているのです。その悪循環を断つ手段さえあれば、近界民(ネイバー)たちは今よりもずっと()()()()()生き方を許されることでしょう。限りある資源を国家間で奪い合う戦争というものはこちら側の世界でもありますが、その問題を解決しようとする努力も続けられています。そこでわたしが考えたのはこちら側の世界でも近年重要視されている再生可能エネルギーです。近界(ネイバーフッド)では自然現象もすべて『(マザー)トリガー』の生み出すものだということですが、その太陽光や風力といった定常的に補充されるエネルギー資源にはできないでしょうか? 仮に発電が可能であればトリオンに依存していた部分の一部を転換して、トリオン能力者を他国からさらうという手段を使わずに済みます」

 

「……」

 

「もちろんこれは近界(ネイバーフッド)の事情をほとんど知らない玄界(ミデン)の小娘の絵空事に過ぎません。ですがまったくの荒唐無稽な話ということでもありません。100%不可能だと証明されたわけではありませんから、試してみる価値はあると覆います。そしてどんな人物がキオンのトップなのかわかりませんが、賢明な方であれば興味を示すことでしょう。それにゼノン隊長たちがもたらしたものがミリアムの(ブラック)トリガー以上に価値があると判断されれば罰どころかご褒美が貰えるかもしれませんよ」

 

最後の言葉は余計だと思ったが、ツグミは言いたいことを堂々と述べた。

これは遠征艇の燃料を準備するのに10日と言われ、それでは時間が足りないと判断したツグミの咄嗟の大言壮語であるのだが、まったくの()()()()というわけではない。

それに現実的でなくてもこうして希望を持たせるようなことを言えばゼノンも自分の考えを改めざるをえなくなり、自分ひとりだけが罰を受けておしまいにすることができなくなったはずである。

そして彼らには別の道を模索する時間が必要だと考えたものだから、帰国を延期させてその間にツグミは何らかの方法を考えて行動に移そうというのだ。

 

(いざとなればまた何かと意見して引き伸ばしをするつもりでだけど、ひとまず時間稼ぎはできた。なにしろ食料となる農産物の収穫率の向上とか再生可能エネルギーによる発電なんてまったく知らない素人だもの、ここで具体案を出せって言われてもお手上げ。詳しい人を探していろいろ話を聞いてみたいけど、そういう人脈は…やっぱ唐沢部長、かな?)

 

自分の知りうる限りで一番()()()()のが唐沢だと考えたツグミ。

もちろん理由を話す時にゼノンたちのことも言わなければならないが、彼なら近界民(ネイバー)に個人的な恨みはないだろうから力にはなってくれるはずである。

 

(なにしろ唐沢部長にはいくつもの()()を作ってあるんだから、わたしのお願いを無碍にはしないはず。それにもしダメだったら他にも方法はある。やれるだけやってみて後悔のないようにするだけ。一時は敵だったゼノン隊長たちだけど今はわたしの友人なんだから)

 

「さあ、ここで休憩にしませんか? せっかくの紅茶が冷めちゃいますし、わたしの自信作のレアチーズケーキを早くご賞味いただきたいですから」

 

ツグミはそう言って話を中断した。

紅茶やケーキ云々も正直な気持ちだが、話が長引くと自室の掃除や荷物運びなどの途中で修たちが帰って来てしまう恐れがあるから早く済ませてしまいたいのだ。

そして彼女に促され、迅たちはケーキを食べ始めたのだが、各々の心中は複雑である。

 

 

ゼノンは帰国すれば軍法会議で有罪判決が下され、強制収容所で最期を迎えることが避けられない運命であると考えて諦めていた。

 

(ツグミが俺たちの行く末を案じてくれていることは知っていたが、玄界(ミデン)の小娘ひとりが動いたところで運命を変えることなどできるはずがない。しかし彼女の頭には『諦める』という言葉がないらしい。俺たちが罰を受けるのを哀れんでのことだろうが、彼女の提案はキオン一国に留まらず近界(ネイバーフッド)の国々にも益となる壮大なものとなるに違いない。彼女の構想が可能であれば、慢性的な食糧不足は解決し、人口増加も促され、さらにトリオンに代わるエネルギーが恒常的に生産できるならトリオン能力者を奪い合う戦争も起こりえない。これらの知識や技術はミリアムの(ブラック)トリガー以上の価値あるはずで、手に入れることができれば俺たちは処分を受けずに済む。いや、テオとその家族は安定した暮らしを手に入れられるし、リヌスも結婚して新たな家族を作ることもできるようになるだろう。こんな希望を抱かせるようなことをされたら、俺の決心は鈍るどころか誤っていたと反省するしかないだろ…)

 

ゼノンの顔に自嘲的な笑みが浮かんだ。

そもそもゼノンたちは織羽が祖国から持って逃げた(ブラック)トリガーを奪取すべくこちら側の世界にやって来た。

そしてツグミが織羽の娘で、彼女が持っているだろうという憶測で彼女を拉致し、持っていないと知ると彼女の身柄と引き換えに渡すようボーダーに要求してきた彼女にとっては「敵」である。

ツグミの機転で最悪の事態は免れゼノンたちは捕虜となったのだが、両者の関係が良好なのは彼女の意識によるもの。

ゼノンたちが紳士的に接したことで、彼女自身も精一杯の思いやりで返した。

お互いにそれぞれ事情があって不幸な出会いをしてしまったわけで、相手を個人的に憎んだり恨んだりしているのではないことから、ツグミがゼノンたちの行為を許せばそこで両者の間のわだかまりは消える。

なにしろゼノンたちも任務の失敗はツグミのせいであると恨むことはなく、むしろ彼女の機知と度胸に感服させられ気に入ってしまったものだから両者の間に壁が存在するはずがない。

ゼノンはツグミの気持ちに感謝し、ケーキを平らげた。

 

 

迅は黙ってケーキを食べている。

ツグミが突拍子もないことを言い出したものの、彼女の身に危険が迫ることやこちら側の世界に悪い影響が及ぶといったマイナスの未来は視えないものだから、ひとまず様子見をするにしたようだ。

隣の席でケーキを食べているツグミの横顔をちらりと見る。

 

(ツグミが自分とC級との身柄交換を考えただけで俺には最悪の未来が視えた。だがこの件については今のところ良い未来も悪い未来も視えない。このまま様子を見るだけで良さそうなんだが、こいつは俺たちが想像もしないようなことを急に言い出すから困るんだよな。それに…)

 

次に視線を向けたのはリヌスである。

ツグミの正面の席で幸せそうな顔をしてケーキを食べている姿を見ていると、悪い未来は視えないが忌々しい光景が視える。

 

(こいつ、間違いなくツグミに気がある。このままツグミのやりたいようにさせていれば、ツグミとこいつとの距離は今以上に縮まる。いくらこいつがツグミに惚れてもツグミ自身が俺以外の男に惹かれることはないから安心なんだが、俺としては自分の恋人が他の男と仲良さげにしているのは胸糞悪い。ここでツグミにやめてくれと言ったら笑われるだろうな…)

 

たしかにリヌスはツグミに好意を抱いており、それはゼノンやテオと違う感情である。

しかし自分がいずれは帰国して処罰される立場であり、さらにツグミには恋人がいるのだから叶わぬ想いであると諦めていた。

だから迅が不安になることはないのだが、ツグミ自身が確定した未来ですら覆してしまう()()()のようなものであるから、ふたりが結婚する未来が視えたとしても現実となるまでは安心できないのだ。

 

 

リヌスはというとツグミの演説に胸がいっぱいになって、彼女の作ったケーキの味もこれまで食べたすべての料理の中で一番美味しいと感じていた。

 

(隊長が私に玄界(ミデン)に残るように言ったのは、きっと私のツグミに対する気持ちを察してのことに違いない。もし彼女に恋人がいなければ、私は玄界(ミデン)に残りたいという気持ちになったかもしれないな。すべてを捨てて亡命し、玄界(ミデン)の人間となって彼女を妻にできたら、きっと幸せな生涯を送ることができることだろう。オリバが玄界(ミデン)の女性と結婚して幸せな家庭を築いたからこそ、彼女のような素晴らしい女性が生まれたのだろうから。私もそうなりたいと幾度思ったことか…。しかし現実には叶わぬ夢にすぎない。せっかく諦める決心をしたのに…彼女とのふれあいを想い出にして残りの短い人生を送ろうと決めたというのに、彼女は私に希望を与えようとしている)

 

リヌスはツグミをちらりと見るがツグミを目が合ってしまい慌てて視線をそらした。

 

(彼女の言うようにいくつかの問題が解決すればキオンだけでなく近界(ネイバーフッド)はもっと住みやすく()()()世界になるかもしれない。元来エウクラートンやキオンの人間は争い事を好まない温厚な者が多いものだからトリガー使いが少ない。だから戦争にはトリオン兵を大量に投入しなければならず、よってトリオンが不足気味になる。そして多くの人間が貧しい生活を強いられるという悪循環を繰り返していたのだが、それが解消されるかもしれないという希望の光が差し込んできた。…しかし希望と言っても私が彼女と結婚できるなんて大それたことは考えていない。ただ…あと少しだけ彼女との想い出を作ることを許されたと思っている。彼女と同じ時間を過ごし、楽しい会話をすることくらいならかまわないですよね、ジン?)

 

 

テオが考えるのはキオンにいる家族のことだ。

 

(もしツグミの言うようにオレが罰を受けないなら家族も三等市民にならずに済む。そうすれば次の任務で挽回して一等市民になる夢を捨てなくてもいいんだ。それに隊長とリヌスと一緒にまた任務ができる。ふたりはオレと血の繋がりはないけど大事な家族だから任務であっても一緒にいられるのは楽しいし幸せだ。そんな幸せな時間を続けていいって言われたようで、オレは今すごく嬉しい。ツグミには感謝してる! でもな…)

 

自分たちが罪に問われないようにしようといろいろ考えてくれていることをありがたいとテオは心の底から感じている。

それにこれまで玉狛支部で暮らしている間ずっとツグミが食事の用意をし、快適な生活が送れるようにと細やかな気遣いをしてくれたことにも感謝していた。

しかしその気持ちを素直に言えないのにはワケがある。

 

(『ありがとう』って言えばいいだけってわかってるんだけど、なんか悔しい…。だいたいオレたちがこうなったのは全部こいつのせいだし、こいつがお節介を焼いているだけなんだからな。それにオレ、こいつより年上なのにいつも弟扱いされてて、『ありがとう』なんて言ったら絶対に笑われるに決まってる。そんなの恥ずかしいじゃないか…)

 

 

思わぬ経緯から始まった友好関係は玉狛支部の「近界民にもいいヤツがいるからなかよくしようぜ主義」に合致するものだから、このままゼノンたちを帰国させてしまってはせっかく生まれた「絆」が断たれてしまうのでなんとか避けたいと林藤は考えていた。

そこでゼノンが自分ひとりだけで罪を背負うという話を聞けば、ツグミは絶対に何らかの反応をするだろうと考えて彼女を()()することにして、結果的に林藤の思惑どおりとなりツグミは()()()のだった。

 

(これでツグミが城戸さんの機嫌を損ねずに上手く立ち回ってくれりゃ万事OK。俺が表立って動きゃ城戸さんも立場上黙ってはいられないだろうが、自分が好きにしていいと承認したツグミが()()()()動くことに文句は言えねぇだろ。正式にはキオンの連中は3月5日、つまり今日付で解放したことになっている。とはいえ人道的な面からこのまま後10日ほど玉狛支部(ここ)で預かることにしたというだけで、ツグミのやることを俺は一切知らなかった、知らなかったから城戸さんにも報告しなかった、ということにすればいい。とにかく俺のシナリオもここまでは順調だ)

 

林藤は自分が直接ゼノンたちに力を貸すことはできないものだから、ツグミにやりたいようにさせることにした。

()()()()()()()()()が個人的にやっていることを玉狛支部長が知っているはずがなく、仮に知っていても止める権限はない。

 

近界(ネイバーフッド)においてキオンはアフトクラトルと対抗できる貴重な国だ。そんなキオンという国との接点ができたんだから、これを利用しない手はない。キオンにとってもアフトは敵であるから『敵の敵は味方』でお互いに手を結ぶこともやぶさかではないだろう。アフトとの全面戦争になりかねない遠征の前に『玄界(ミデン)とキオンが手を結んだ』ということにして圧力をかけることができたらどうだろう? 同盟を結んで2国が連携して戦うということまではできないだろうが、ボーダーが遠征をするタイミングでキオンがアフトに侵攻するという気配を見せることで、アフトの連中はボーダーに()()戦力を集中させることはできなくなる。それで少しでも遠征部隊の連中が楽になればいい。そういうシナリオだってことがわかれば城戸さんだってツグミのやることを認めるしかないはずだ)

 

林藤がツグミを見ると、彼女は無邪気にケーキを食べているが、この少女がたった今大人たちを相手に大胆な構想を披露した同一人物だとは思えない。

 

(ツグミは既存の価値観を壊す勇気を持っている。新しいことや経験のないことに挑戦するには不安が付きもので誰もが躊躇するものだが、こいつにはそれがない。たぶんその不安を上回る期待や希望があって、不可能を可能にしてしまうという意思の強さが後押ししているんだろうな。行動するにしてもこいつの頭の中に蓄積された膨大な知識や経験値が裏付けしているから自信があって、途方もないようなことでもやり遂げてしまう。それがさらに経験値となり次のステージに進んでいく。自分だけでなく他人にも希望を与えてしまうってトコがすげぇんだが、きっとその分こいつは自分の中にいろんなもんを溜め込んでいるんだろうな…。本人が誰にも愚痴を言ったり泣きついてくるようなことがないから普段は気にも留めないが、こうして何かきっかけがあるとこいつが多くのものを背負わされており、俺自身が背負わせている側のひとりであることに気が付くんだ。申し訳ねぇな、ツグミ)

 

 

三者三様ならぬ五者五様に考えるところあって黙り込んでいるのだが、ゼノンがひとりで帰国すると言い出した時の重い空気は払拭されていた。

それはツグミが与えた希望と美味しいレアチーズケーキのおかげであろう。

希望といっても蜘蛛の糸のようにか細くて頼りないものではあるが、確実にそこにある。

まだ手探りの状態であっても彼女の不可能を可能にしてしまう強い意思があれば、理想を現実とするのも不可能だと一笑に付すことはできない。

5人の男たちの想いを16歳の少女ひとりに背負わすのは酷というものだが、本人がそれほど苦に思っていないところがせめてもの救いであった。

 

 

 

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