ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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ここからはツグミと親しい隊員たちとの過去の話になります。
以前に番外編で香取葉子と唯我尊のふたりとの「因縁」について描きましたが、本編とは直接関わってこないために番外編に入れました。
この「過去・ツグミの想い出語りと交友録」に登場する隊員は本編に大きく関わってくる人たちです。
まずはA級1位太刀川隊隊長にしてNo.1攻撃手(アタッカー)個人(ソロ)総合1位のボーダー現役隊員最強クラスの実力者太刀川慶のエピソードをどうぞ。




168話

 

 

霧科ツグミと太刀川慶の出会いは第一次近界民(ネイバー)侵攻の約半月後のことであった。

旧ボーダー本部の建物内に道場があってツグミはそこで忍田から剣術を教わっていたのだが、ある日その道場に忍田はひとりの少年を連れて来た。

ボサボサの髪に少々ぼんやりとした表情と武道に嗜みがあるとは思えないガサツな立ち居振る舞い。

ツグミは「こいつが真史叔父さんに剣術を習うって…? 絶対無理無理ありえない」と思い、冷たい態度で挨拶もそこそこにひとりで素振りを始めてしまう。

一方、太刀川は「俺よりも4つも年下のガキのくせに忍田さんの一番弟子で、俺の()弟子になるなんて気に食わねえ」で、彼女のことを敵視する気満々であった。

現在のふたりの関係は良好なものだが当時のふたりは非常に仲が悪く、忍田は常に頭を悩ましていた。

 

ふたりのファーストインパクトは最悪のものであったが、それ以降も不仲は続いていた。

なにしろ太刀川は第一次近界民(ネイバー)侵攻の際にトリオン兵に襲われ、弧月を鮮やかに振り回しながら次々とトリオン兵を倒していく忍田に助けられたことから彼の勇姿に憧れて弟子入り志願をしたのだ。

忍田は太刀川の存在がツグミにとって良い刺激、ライバルになると考えて入門を許可したのである。

しかしライバルといっても腕を競う以前に「忍田の取り合い」で険悪な状態になってしまった。

憧れの人を師匠と仰いで剣術を学ぶことが許されたのだから、太刀川は忍田のそばから離れようとしない。

何かと理由をつけて稽古の時間以外にもつきまとい、挙句の果ては家にまで押しかけようという勢いである。

そうなると「世界で一番素敵な男性は真史叔父さん」であるツグミからすれば太刀川という()()()なんて「消えてしまえ」となってしまうのだ。

忍田とツグミは叔父と姪の関係で、実質的には父娘として一緒に暮らしていることを知られたら、太刀川からの嫉妬と憎悪でライバルどころか敵同士にもなりかねない。

よって同じ家に帰るにもツグミは忍田と別行動しなければならないのだが、忍田は小学生のツグミをひとりで帰すことに抵抗があった。

11歳の彼女にとって小児性愛の傾向がある男の方が近界民(ネイバー)よりもはるかに危険であるから送り迎えは必須。

仕方がなく忍田は稽古の際は迅にツグミの送迎を依頼することで太刀川の嫉妬を和らげることにしたのだった。

 

 

 

 

ツグミと太刀川が会話らしい会話をしたのは、太刀川が入門してひと月も経った後であった。

それまでほとんど口を利かず、辛うじて()()()()()()()()挨拶をするだけ。

さらにツグミが忍田と「地稽古」をしていると太刀川は不機嫌そうな顔で彼女を睨みつけていたし、太刀川が嬉々として忍田と「切り返し」をする様子をツグミはつまらなそうにアクビをしながら見ているものだから、これではマズイと思った忍田がふたりを連れて焼肉屋に行くことにしたのだ。

冬場なら鍋というところだが、季節は夏であったものだから「焼肉を一緒に食べることでコミュニケーションを図ろう」と考えたのである。

この()案は席に着く段階で破綻した。

4人掛けの長方形のテーブルであるから一辺にふたりずつ腰掛けることになるのだが、誰がどこに座るのかでツグミと太刀川のふたりに争いが勃発する。

忍田の隣りにツグミが()()といった感じで腰掛けたものだから、太刀川が彼女の身体を乱暴に押し退けた。

 

「どけよ、チビ。ここは俺の席だ」

 

この時、ツグミは小学6年の11歳で太刀川は高校1年で15歳。

確かに年齢と身長では太刀川が優っており、ツグミは太刀川よりも「チビ」であることに間違いはないが、彼女には自分が姉弟子であり剣の腕前も()()()()上だというプライドがあるものだから、キッと太刀川を睨み付けて言い返す。

 

「あんたこそそっちの席が空いてるでしょ? そっちへ行きなさいよ。礼儀のできてないガキは師匠の隣に座る資格なんてないんだから」

 

「何だと!?」

 

自分よりも4つも年下の少女から「ガキ」と言われて激高しないはずがなく、太刀川は今にもツグミをぶん殴りそうな勢いである。

 

「やめなさい、ふたりとも!」

 

忍田が一喝するとツグミと太刀川はすぐに大人しくなるが、お互いを睨み合いながら文句を言いたげな顔をする。

 

「だって忍田さん ──」

 

「黙りなさい、慶! だって、じゃない!」

 

言い訳をしようとする太刀川が忍田に叱られると、それを見ていたツグミが「ざまあみろ」という顔でせせら笑う。

すると今度はツグミが忍田に叱られる。

 

「ツグミ、私はおまえをそういう品のない子供に育てた覚えはないぞ」

 

「はい、ごめんなさい」

 

素直に謝るツグミは恥ずかしそうに下を向いてしまった。

そうなると今度は太刀川がツグミのことを嘲笑う。

 

「慶、おまえも同じだ。私に弟子入りしたいと頭を下げた時、礼儀正しく品位のある行動をすると約束したのを忘れたのか?」

 

「…すみません」

 

ツグミと太刀川はふたり並んで忍田から叱咤され、店の中にいた客たちの注目の的になってしまったものだから居心地が悪くて仕方がない。

とはいえ入店してしまったのだからそのまま帰るわけにもいかないということで予定通り食事をすることにした。

そして結局…

 

「ツグミ、慶、おまえたちはそこに並んで座りなさい。私はこちら側にひとりで座る」

 

ということで、ふたりは嫌とは言えないものだから渋々並んで腰掛けた。

 

「さあ、ふたりとも好きなものを注文しなさい。遠慮はしなくてもいいぞ」

 

忍田にそう言われても()()に近い状態のふたりは食欲が湧くものではなく、それぞれ自分のメニューリストを黙って見つめているだけ。

仕方がないものだから忍田が適当に注文することでその場は収めた。

しかしトラブルは続く。

なにしろ隣同士でテーブル中央にあるひとつのロースターを使うとなれば自然と身体が近付いて肘がぶつかってしまう。

その度に「どけ」とか「邪魔」といった文句を言い合い、ツグミと太刀川は肉を食べているか文句を言っているかのどちらかで口の休まる暇がない。

そして自分の食べる分は自分で焼くというルールであるから、それぞれが自分のペースで自分の食べたい肉を焼いていたのだが、その均衡を打ち破る()()が発生したのだ。

ツグミが自分で食べるために焼いていたロースターの中央にあった上カルビ肉を太刀川が箸でつまんだ。

 

「それ、わたしが焼いていた肉よ。網の上に戻しなさい」

 

ツグミが太刀川に文句を言うが、太刀川はそれを無視して肉を自分の皿に載せる。

ただでさえ嫌っている相手がルール違反をしたのだから、ツグミはこのまま引き下がる気はない。

 

「自分の肉は自分で焼くってことになってたでしょ? そんな簡単なルールすら守れないなんて武道を学ぶ者として失格よ」

 

ツグミは忍田まで巻き込んで騒ぎを大きくしているのにも気付かない。

彼女にとって肉がどうこうというのではなく、太刀川の傍若無人さを許せないのだ。

 

「うっせー、おまえがボヤボヤしてるから俺が食ってやろうって言うんだよ。これじゃ焼き過ぎだぞ」

 

「わたしはレアよりもミディアムの焼き具合が好きなのよ。あんたみたいな生焼けじゃ嫌なの」

 

「いちいちうるせーな。忍田さんは俺が取っても怒んなかったぞ」

 

「あー、それって自分の分じゃないってわかってて勝手に取ってるってことじゃないの! 自分の分は自分で焼きなさいよ!」

 

目の前で弟子同士が言い争いをしている様子を静観していた忍田だったが、さすがに肉を取った取られたというくだならないことで喧嘩をしているふたりに我慢ができなくなった。

 

「ふたりとも静かにしなさい! 周りの客に迷惑がかかるだろ!」

 

「「……」」

 

忍田に注意されツグミと太刀川は口論をやめるが、腹立たしい気分は消えないとばかりに口をへの字に曲げたり眉間にシワを寄せたりして忍田を見る。

 

「おまえたちはどうしてそんなに仲が悪いんだ? 些細なことで喧嘩して、慶は高校生にもなって小学生の女の子に乱暴なことをするなんて言語道断だ。ツグミは子供だから子供っぽいことをするのは仕方がないが、だからといって火に油を注ぐようなことをしてはいけない」

 

「「……」」

 

「慶は年長者なんだから年下の子を労わってやる立場にある。それにツグミは年少であってもおまえの姉弟子になるのだから敬意を示せ。そしてツグミ、おまえは自分の方が先に弟子入りしていたからといってもおまえが慶よりも偉いのではないぞ。弟弟子の慶に対してもっと見本となるように接することはできないのか?」

 

「「……」」

 

「もしおまえたちがこのまま喧嘩ばかりするようなら、私はふたりとも破門する」

 

「「ええーっ!!」」

 

突然の忍田の破門宣言に泡を食ったふたりは声を上げた。

 

「静かに焼肉を食べることすらできないおまえたちに教える剣はない。それが嫌ならおとなしく食え」

 

そう言って忍田は自分の焼いていた牛タン塩を摘んでパクリと食べる。

 

忍田が本気で怒った場合はこの程度では済まない。

周囲の目がある店内だから我慢をしているだけなのだ。

これが道場であったなら、ふたりは床に正座させられて3時間や4時間説教を聞かされることになる。

だからこれ以上忍田を怒らせないようにと、ふたりは黙々と自分の肉を焼いて食べたのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

焼肉屋での一件があった翌日、ツグミが忍田を相手に「掛かり稽古」をしていると、そこに太刀川が遅れてやって来た。

期末考査の成績が非常に()()なものだったので、追試を受けていて稽古の時間に遅れたのだ。

道場から十数メートル離れた場所からでも竹刀で打ち込む音とツグミの掛け声が聞こえてくるほど熱の入った稽古をしているところに太刀川は入って来たのだが、その光景を見た瞬間に目を大きく見開いた。

「掛かり稽古」とは、基立ちとなる相手が空けた部位に対して即座に打ち込んでいくことを繰り返す練習法で、決められた時間内はフルパワー・フルスピードで行うという激しく荒々しい稽古である。

まだ初心者の太刀川は一度もしたことがないものだが、ツグミは毎日の稽古の中盤で行っていた。

だから彼女の様子を毎日見ており特に珍しいものではない。

しかしその日に限って太刀川はツグミの気迫が違っているように思えたのだ。

それもそのはずで、理由はふたつあった。

ひとつ目の理由はツグミがこれまで以上に気合を入れていたことである。

昨日の一件で忍田から「弟弟子の慶に対してもっと見本となるように接することはできないのか」と言われてショックを受けていた。

武道とは心身を鍛えるためのものであるから、剣の技術が上がっても品位のない行為や言動をするのでは他人から尊敬されるはずがないし、忍田が認めてくれるわけもない。

見本となるよう、というのは太刀川が自然と頭を下げるようになる「心技体すべてにおいて優れた人間」になることだと考えたのだ。

今まで以上に稽古に励み、さらに日常の行動においても他人から蔑まされるようなことは絶対にしてはいけないと彼女自身が気持ちを改めたことによる変化である。

ふたつ目は太刀川がツグミのことを年下で女の子であるという理由でバカにしていたことを反省したことである。

性別や年齢に関係なく武道を学ぶ上でツグミは先輩であることに間違いはなく、その部分は認めざるをえないと考えたものだから、彼女の稽古の様子を見て素直に「すげぇ」と感じたのだ。

太刀川はツグミたちの邪魔をしないようにと静かに入り、壁際で正座をして稽古の様子を見学する。

昨日までは彼女が忍田と稽古している様子を睨みつけるように見ていたのだが、人が変わったように冷静に彼女の一挙一動を注意深く観察するようになった。

続いてツグミと太刀川が入れ替わり、忍田が太刀川に足さばきや踏み込みの指導をする。

それをツグミは正座をして見学をしていて、太刀川の稽古に対する姿勢が変わったことに気付いた。

昨日までは単に強くなりたいという気持ちしかなかったものの、目の前にいる太刀川の剣には「剣の技術を身に付けるだけでは忍田は自分を認めてはくれない。だから心も鍛える」という気持ちが入っているように感じられたのだ。

そして剣には心の変化が如実に顕れるもので、ふたりの変化は当然忍田も気付いている。

失敗したと思われた食事会であったが、ツグミと太刀川の内面の変化を促したという点では成功と言える。

しかしこのふたりの諍いの原因は「忍田のことが好き過ぎてお互い相手に嫉妬している」というものだから、そう簡単に仲直りはできないのだが。

 

 

◆◆◆

 

 

喧嘩やいがみ合いはないものの、お互いに相手を「対等な人間である」と認めるようになるのは難しいのか相変わらず会話は少ない日々が続いた。

なにしろ性別・年齢・生い立ち・趣味…そういったものに何ひとつ共通する点がなく、忍田を巡るライバル同士であるからお互いに距離を置いている。

忍田は太刀川がツグミを見習って腕を磨き、ツグミは弟弟子ができることで手本になるようさらに稽古に励むだろうと目論んでいたのが完全に外れてしまい、頭を抱える毎日であった。

ここでもしツグミが忍田のことを「わたしの叔父さんで一緒に暮らしている」などと言ってマウンティングしようとすればツグミと太刀川の関係は流血の争いに発展していたかもしれないが、ツグミが「大人の対応」をしてくれたものだから回避できている。

 

そうこうしているうちに夏休みになった。

高校生の太刀川は学校に行かなくて良いものだから張り切って毎日道場へと通って来る。

しかし忍田とツグミは現役のボーダー隊員であるから太刀川ほど暇ではない。

この頃のボーダーは旧体制から新体制への移行の時期で、本部基地を現在の東三門の放棄地区に建設をしている途中であり、新規隊員募集、いくつもの公的機関との折衝、運営資金の確保…といった()()()()()()がたくさんあって、その中心メンバーである忍田は稽古の時間を増やすことなど不可能だ。

したがって自主練習の時間が増えるのだが、ツグミと太刀川をふたりきりにすればどうなるか目に見えているのでどうしようかと悩んでいた。

すると忍田の様子に気付いたツグミが自分は迅に頼んで稽古をつけてもらうから、忍田には太刀川の指導をしてやってほしいと言い出したのだ。

ツグミにとっては忍田と一緒にいられる時間を太刀川に譲るということになり、本来ならそんなことは絶対にしたくない。

それは忍田もわかっており、ツグミが殊勝なことを言うものだから感激して泣き出す始末。

しかしこの提案には裏があった。

ツグミは稽古の時間が減っても家に帰れば忍田と一緒にいられるのだし、ここで忍田に対して()()()()()おけば後々役に立つだろうと考えたものなのだ。

太刀川に対しては貸しを作ることになるし、さらに迅と一緒にいる時間を()()()手に入れられる。

すべて計算尽くのものであったのだ。

この頃から彼女は悪知恵がはたらくというか抜け目のない部分があったのだが、誰もそのことに気付いてはおらず年を経るに従ってますます磨きがかかっていった。

それは数年後近界民(ネイバー)に拉致された際、自らの命を守ることに繋がるのだが当然本人は知る由もない。

 

そういうことで、道場を半分に分けて一方を忍田と太刀川が使い、もう一方を迅とツグミが使うということになってそれぞれが稽古をする。

間に壁や仕切りはないからお互いの稽古の様子は丸見えになってしまうのだが、それが太刀川にとって良い影響を与えることになった。

というのもツグミたちは実戦を想定した()()であるからトリオン体に換装し、弧月による文字通り「真剣勝負」をしているものだから迫力が違う。

それまでツグミは()()()()()()()()竹刀での稽古を続けていたが、ボーダー隊員として実戦を経験している彼女には弧月による訓練こそが必要なものである。

いずれ太刀川も日本刀を使っての稽古に移行するのだが、いきなり素人に日本刀を持たせても無理があるために竹刀から始めているだけなのだ。

なにしろ剣道の技術など実戦ではまったく役に立たない。

まず一般的な日本刀の重さは1.5キログラムほどあり、500グラム前後の竹刀の3倍である。

さらに握り方も違う上に、剣道の技は日本刀では使えないものが多い。

なにより剣道は「競技」であるからルールの中で行われる()()()()()()剣術で、そんなものが近界民(ネイバー)相手の実戦に役立つはずがないのだ。

ならばなぜ竹刀による稽古をするのかというと、刀による戦いにおいて重要な相手との間合いの攻防、勝負におけるかけ引き、足さばき、体さばきなどを学ぶためである。

つまりツグミはその段階をとっくの昔に()()しており、太刀川の前ではその初歩の初歩を忘れないために繰り返し行っていたにすぎないのだ。

太刀川は自分よりもはるか先を進んでいるツグミの姿を見せられてショックを受けてしまった。

彼女が弧月で格上の迅と対等にやり合っているということは、忍田の厳しい稽古に耐え抜いた()()でもある。

竹刀で相手から一本取ったところで勝ったと喜んでいるレベルでは、自分が憧れた忍田の足元どころかツグミとまともにやり合う資格すらないと思い知らされたことで、太刀川の意識は大きく変わった。

これまで憧れの人に稽古をつけてもらえるというだけで舞い上がっていて、腕の上達よりも毎日道場に通うこと自体に価値をおいていた太刀川。

ツグミを年下の少女であるというだけでバカにしていた自分を恥じ、一日も早く「弧月を握る」ことができるようになろうと稽古に集中することになったのだった。

彼の意識の変化は忍田も気付いており、弟子のこの良い変化を歓迎していた。

元々()()()()と感じていたものだから、太刀川がこのまま真面目に稽古を続けていけばそう遠くない未来にボーダーの戦力となるだろうという確信を得た。

それが最愛の娘(ツグミ)のおかげだと思うとますます嬉しくなり忍田は彼女を溺愛するようになる。

ツグミ本人にとっても嬉しいことであったのだが、同時に父親の未来に不安を覚える原因となるとはこの時はまだ想像もしていなかったのだった。

 

 

 

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