ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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216話

 

 

アフトクラトルへの遠征部隊選抜試験の受験者が本部基地の会議室に集められた。

ロの字型に並んだ机と椅子はいつもの隊長会議の時と同じ配列だが、参加者の顔ぶれと室内に漂う緊張した空気が選抜試験前であることを証明している。

もっとも緊張した空気の元凶は「近界民(ネイバー)と同じ空気を吸うのは我慢ならない」といった表情の三輪で、チームメイト以外は誰も彼に声をかけられずにいた。

しかし定刻になって忍田がツグミを伴って入室して来たことで場の雰囲気は一気に変わったのだった。

隊務規定違反によって遠征には参加できないツグミが選抜試験と関わる理由に心当たりがなく、ざわめきが起こるのも無理はない。

 

「静粛に! …ただ今から遠征参加希望者による選抜試験を行う。その前に試験内容について責任者から説明をしてもらう。頼むぞ、ツグミ」

 

「はい」

 

忍田に促されたツグミはさも当然といった顔で説明を始めた。

 

「これから行われる選抜試験は ──」

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

ツグミの説明を遮って声を上げたのは風間であった。

 

「なぜおまえが選抜試験の責任者という立場にあるのか、本題の前に説明してもらいたいのだが」

 

誰もが心の中で思っていたことを代表して風間が訊いたのだ。

 

「はい、わかりました。アフトクラトルへの遠征に関してはこれまでにない大規模なものとなります。忍田本部長はその最高責任者で引率者となることも決まっています。通常の仕事の他に遠征関係の仕事も増え、その大量の仕事の中で他の人間でもできるものについては何人かの隊員や職員などで分担して行うことになりました。本日行う試験内容はわたしが提案したものであり、S級になったことで通常の防衛任務のローテーションから外されて時間がたっぷりあるものですから最後まで責任を持ってやれ、というでこの選抜試験に関してはわたしが忍田本部長に全権を委任されたわけです。何かご不満があるようならここで承りますが、なければ試験内容の説明を続けます」

 

「……」

 

「声が上がらないようですので皆さんから承認いただけたと判断します。…では続けます」

 

そう言ってツグミは室内の照明を落とし、会議室の正面の壁にあるモニターに映像を投影した。

するとそこに映った景色を見た受験者たちがざわめく。

それもそのはずで、映し出されたのは中世ヨーロッパの国に見られる頑丈な城壁に囲まれた街並みであったのだから。

ヒュースだけは見覚えがあるものだからひどく険しい顔をしていたが、室内が暗いので誰も彼の表情の変化には気付かない。

 

「これは()()()()()から得られた情報を元にして作られたアフトクラトルの街並みです。それもベルティストン家、つまり先の大侵攻の大ボスのハイレインが統べている城郭都市で、かなり本物に近い状況を再現しています」

 

ゼノンたちのことは公にできないため()()()()()と情報源を濁しているのだが、この場にはエネドラッドのことを知っている者が多いので、情報源はそれであろうと勝手に勘違いしているようであった。

 

「今回の遠征ではトリオンで造られた頑丈な城壁の中にいると思われるC級隊員たちを救出することが目的です。今のところ彼らがそこにいるという確証はありませんが可能性は非常に高いです。ですから本格的な奪還作戦の前に城郭都市内に潜入して情報収集をし、その情報を元に策を練ることになります。そこで選抜試験の内容ですが、この敵地を模したマップを使うことにしました」

 

ツグミは映像を切り替えた。

画面の左半分には円形の図があり、右上には黒い小さな四角が記されている非常に簡易なマップである。

 

「これは大雑把な位置関係の図です。この左側の円形は城郭都市、右上には黒い小さな四角は遠征艇と思ってください。城郭都市の大きさは直径約2000メートルのほぼ円形で、中央にはベルティストン家の居城があり、その周囲には配下の貴族の館、市民の生活する市街地が広がっています。東西南北にそれぞれ城門があって出入りはそこからしかできません。城壁の外は農地や何もない荒地となっていて、城郭都市の中心から約5000メートル離れた場所に森林が広がっているそうですので、実際に遠征を行う際はこのような森林地帯に遠征艇を停めて行動することになりそうです」

 

そう言ってひと息つくと、本題に入ることになった。

 

「さて、みなさんにはこの城郭都市に潜入した状態で試験を開始します。受験者は部隊(チーム)になっていますので、部隊(チーム)がバラバラにならないように転送しますが、どこに転送されるのかはわかりません。ベルティストン家の居城の近くかもしれませんし、遠征艇から最も離れた南西側かもしれません。それは運任せですね。その位置から45分以内に部隊(チーム)全員で遠征艇へ帰還することがクリア条件です」

 

受験者たちは想定外の内容に驚いているようであった。

 

「みなさんの想像もしていなかった試験内容なのでびっくりしているみたいですね? 帰還するだけですがフィールドは敵の本拠地なのですからいつどこで敵兵士と遭遇(エンカウント)して戦闘状態になるかわかりません。そこでこの試験では運悪くアフトクラトル側に潜入者がいることがバレれてしまったというシチュエーションで開始します。敵潜入のアラートが都市全域に鳴り響くと同時に城門は閉ざされ、兵士が4つの城門付近にある詰所から出動します。バッグワームを使用していればレーダーで居場所がバレることはありませんが、城壁の外に出る際には城門を抜けることになるので、どうしてもそこでアフトクラトルの兵士たちに発見されてしまうでしょうから戦闘は避けられないと思います。そして2部隊(チーム)を1単位として4回行い、組み合わせについてはすでにこちらで決めてあります」

 

「質問があるんだが、いいかな?」

 

レイジが手を挙げて訊く。

 

「はい、どうぞ」

 

「そのマップだと遠征艇が遠すぎてオペレーターとの連絡は取れないし、この距離では緊急脱出(ベイルアウト)も圏外で不可能だ。その状況で敵と戦うというのは無茶じゃないのか?」

 

「遠征に参加したことのなるあなたならおわかりになると思いますが、近界(ネイバーフッド)での行動はその多くが隠密裡に潜入するために遠征艇は街から離れた場所に隠しておかなければなりません。これまでも実際にオペとの通信ができない状態で任務を遂行してきたはずです。そもそもオペだって指示を求められても答えようがありません。なにしろ城内の情報は皆無といっていい状況なんですから。普段の防衛任務やランク戦でオペが活躍できるのは、戦場がどのようなものか把握しているからです。もっとも今回のアフト遠征において隊員に的確な指示ができるような敵地の情報を持っている方がいればその人にお任せしますけどね」

 

「……」

 

緊急脱出(ベイルアウト)も同じです。緊急脱出(ベイルアウト)をすることを前提にして3000メートル以内に遠征艇を停めることにすればすぐに見付かってしまいます。この試験はできる限り実戦に近いシチュエーションで行うことにしています。実戦で起きうる可能性が非常に高いのであればそれを取り入れて対応できるか判断するのに何か問題があるでしょうか? オペレーターとの通信と緊急脱出(ベイルアウト)不可の状態での試験が無茶だと言うのなら、遠征自体も無茶だとしか言いようがありません」

 

「それは…」

 

「逆にこの条件をクリアできる人間であれば、実戦でも危機的状況を切り抜けられるというもの。それにオペレーターとの通信はできなくても部隊(チーム)内の内部通話は可能ですし、城郭都市を出て遠征艇から3000メートル以内に入れば自発的に緊急脱出(ベイルアウト)できるのですから問題ないでしょう。…まあ、たしかにB級になってわずか2ヶ月ちょっとの隊員にとっては厳しい条件かもしれませんが、彼らが自分の後輩だからといって甘やかしてしまっては本人たちのためにはなりませんよ」

 

名前は出さないが、修たちのことを指していることは間違いない。

他の受験者たちもわかっているようで、だからこそツグミが玉狛支部にいた時に世話を焼いていた玉狛第2のメンバーに対して情けをかけずに公平に判断してくれるものだという確信を得たようだ。

 

レイジが黙り込んでしまうと、今度は影浦がツグミに質問をする。

 

「そんで、敵の数は? 武装は?」

 

「それについてはお教えできません」

 

「何でだ?」

 

「B級ランク戦であれば前もって対戦する敵の戦力や地形の情報を精査して作戦を考えて戦うのが普通です。しかし実戦ではそうはいきません。敵の本拠地に乗り込んでどこにいるのかわからないC級隊員32人をひとりも欠くことなく生還させるのが今回の遠征の目的です。まずは隠密裡に潜入して情報を集め、それを元にして作戦を練るのですが、この試験はその潜入調査の途中で敵に発見されてしまったというシチュエーションですからこの時点ではまだ敵の情報はありません。その状況でいかに臨機応変に行動できるかどうかが試験の合否に繋がるポイントとなるわけです。ですがこの試験のクリア条件は『45分以内に部隊(チーム)全員で遠征艇へ帰還すること』ですから戦って敵を全滅させなければならないというものではありません。()()()()()()()使()()()()遠征艇に帰還できればそれでOKです」

 

「フッ…なるほどな。わかった」

 

影浦も試験の趣旨がわかったことで納得してくれたようだ。

 

「他にありませんか?」

 

すると今度は修が手を挙げた。

 

「霧科先輩、この試験での敵役は誰がやるんですか?」

 

「それはもちろんアフトクラトルのトリガー使い…」

 

「え?」

 

「…に扮した非番の正隊員の方にお願いします。皆さん快く引き受けてくださいましたよ。ですから使用する武器(トリガー)はボーダーのノーマルトリガーのみになります。先ほど影浦隊長が敵の武装について質問されて教えられないと答えましたが、敵役が誰なのかわかれば自ずと使用する武器(トリガー)が何なのかはわかってしまいます。そこで敵役の戦闘体は誰なのかわからないように顔を隠すことにしました」

 

「そうなると受験するぼくたちの武器(トリガー)構成は敵にバレてしまっているということになりますけど…」

 

「先の大規模侵攻で戦った隊員の情報はアフトクラトル側に知られていますからね。ですから敵の武装がわからないだけでなく、こちらの手の内はバレバレという()()()()厳しい条件になりました。でも使用するのは(ブラック)トリガーではなくノーマルトリガーですし、実戦経験の少ない部隊(チーム)でも少し頭を使えばクリア可能ですよ」

 

「試験は2部隊(チーム)を1単位として4回行うと言っていたけど、その組み合わせはどうなっているのかしら?」

 

加古が訊いた。

 

「組み合わせと順番はすでに決まっていますが、公平性を期すために受験者は全員作戦室で順番が来るまで待機してもらいます。そして開始15分前に呼び出しをしますので、転送の準備をして待っていてください。なお、組み合わせはわたしの個人的判断で、順番は忍田本部長にあみだくじを引いてもらって決めました。組み合わせに関しては別にお互いが敵同士になって戦うのではありませんから何の問題もありませんよね?」

 

たしかに選んだ2部隊(チーム)が戦うのであれば総合的な戦闘能力を考慮して組み合わせるべきだが、敵は他にいるというのだから組み合わせは関係はないように思える。

しかし場合によっては部隊(チーム)内の連携だけでなく場合によっては部隊(チーム)同士の連携も重要になってくる。

よって組み合わせと順番を直前まで教えないことにしたのは先に受験する部隊(チーム)と後から受験する部隊(チーム)に不公平が生じないようにというツグミの配慮なのである。

 

「ええ、了解したわ」

 

「この試験では合格者の人数は決まっていません。ミッションクリアさえすれば全員合格もありますし、場合によっては全員不合格もありえるものです。もっともみなさんはA級やそれに準ずるレベルの猛者揃いですから、これくらいのことで不合格になるはずがありません。この試験の目的は近界(ネイバーフッド)という過酷なアウェイの状況で臨機応変に立ち回れるかどうかを確かめるため。わたしとしても全員が合格して次のステップ…遠征のための短期集中訓練に進んでもらいたいと思っています。…ではこれで質問がなければ一旦解散です。第1試合は〇九四〇時からで、みなさんはそれぞれ自分の作戦室で準備をしてお待ちください」

 

ツグミがそう言うと受験者たちは三々五々と散って行った。

 

「忍田本部長、わたしは玉狛第2に大事なことを伝えなきゃいけないので、彼らの作戦室に寄ってからコントロールルームへまいります」

 

ツグミは忍田にそう言い残して玉狛第2が使用する作戦室へと向かった。

 

 

 

 

「雨取隊員とヒュース隊員は遠征参加が決定しておりますので試験は免除。この試験は三雲隊長と空閑隊員のおふたりだけで受験してください」

 

4人全員が戦闘体に換装してやる気満々でいたところにツグミがやって来て修と遊真のふたりだけで参加しろというものであったから修のショックは非常に大きかった。

 

「どうしてそんな重要なことを今になって…」

 

「だって他の受験者の前では言えないでしょ? 特にヒュース隊員が試験免除で遠征参加できる理由が『アフトクラトルの捕虜で道案内をしてくれるから』だなんて公表できませんから」

 

「だったらヒュースも一緒に試験を受ければいいだろ? そうすればバレないじゃん」

 

遊真が口を挟んだ。

しかしツグミは厳しく言う。

 

「この試験は実戦に限りなく近い条件で行うことに意味があり、これは本格的な戦闘の前に敵の事前調査をするために潜入した…という設定だと何度も言っていますよ。ヒュース隊員が参加する理由は遠征部隊をアフトクラトルまで案内をすること。アフトクラトルに着いた時点で役目を終えたことになり、遠征部隊を離脱して主人の元へ帰ってしまうのですから、潜入作戦には参加できるはずがありません。そうですよね、ヒュース隊員?」

 

ツグミがヒュースに訊くと、彼は迷うことなく頷いて言った。

 

「ああ」

 

「ヒュース隊員にとって重要なのはC級の救出ではなく、自らが主人の元へ帰還すること。もしハイレインたちに彼がボーダーの味方になって遠征部隊を引き連れて来たなどということがバレたら、彼の主人の立場がますます危ういものとなる。だからアフトクラトルに着いたらその瞬間に離脱してしまい、潜入調査に参加するはずがない。一方、雨取隊員は機関員として遠征艇で待機することが役目で艇から一歩も外へ出られませんから彼女も潜入調査には参加できません。よって三雲隊長と空閑隊員のふたりだけで受験をしてもらうことになります。三雲隊長、不満はありませんよね?」

 

「……」

 

試験の趣旨を理解すれば千佳とヒュースが参加しないのは当然である。

玉狛第2の4人全員で遠征に参加することになっても、現地に着けばヒュースが離脱し千佳は遠征艇から外には出られない。

そのことはわかっていたはずなのだが「B級上位2位までに入り、遠征選抜試験を受ける」ことで頭がいっぱいだったものだから修はすっかり失念していたのだ。

 

「この試験は単に近界(ネイバーフッド)へ行くことの現実を知ってもらうためだけのものです。そのことをしっかりと頭の中に入れておけば不合格になる人は出ないでしょう。逆に言えばこの試験で不合格になるということは近界(ネイバーフッド)へ行く資格はないということになります」

 

「……」

 

「なお、この試験に関することはすべてわたしに一任されていますので、合否判定もわたしが行います。クリア条件を達成できなかったら不合格。後でいろいろ物言いをしても一切受け付けませんし、忍田本部長や城戸司令といった上層部に訴えても取り合ってもらえませんから、必ず合格するように頑張ってください。…では、これで用件は済みましたので失礼いたします」

 

そう言ってツグミは作戦室を出た。

 

 

 

 

「ぼくの認識が甘かったんだ…」

 

修が俯きながら呟いた。

直前まで4人で全力を尽くして試験に合格するぞと気合を入れていたというのに、ツグミの来訪の前後で作戦室は空気がまったく変わってしまっていた。

試験内容を聞かされた時点で()()()()()()と気落ちしていたというのに千佳とヒュースが参加しないとわかったものだから、すべて白紙の状態から始めなければならず、さらに開始時間までもう10分を切っている。

受験する隊員の氏名は公表されていたから、玉狛第2は修を中心にしてどのような状況でも対応できるようにといろいろ作戦を練ってきた。

しかしマップは市街地や工業地区といったランク戦で使用される()()()()()()()のものを使用しており、すべての作戦は千佳とヒュースを含めた4人で戦うことが前提のものであったから的外れなことをしていたことになる。

修のワイヤー地帯に敵を誘い込んで遊真が点を取るとか、人を撃てるようになった千佳とヒュースのトリオン量を活かした火力押しの攻撃など()()()()()()効果のあった作戦もこの試験でまったく意味のないものになるわけだから落ち込みもする。

栞のサポートもなしに初見のマップと武装のわからない敵と戦って勝てる自信などなく「玉狛第2という部隊(チーム)全員で参加する」という目的を掲げて努力してきたことが全部無駄になってしまったかのように修は感じていたのだった。

 

「大丈夫だ、オサム。おれがおまえを守ってやる」

 

「空閑…」

 

遊真から力強い言葉をかけられた修は顔を上げた。

 

「要はおれとオサムが協力して敵地から脱出して、遠征艇に戻ることができればいいんだろ? 敵と遭遇(エンカウント)しないように注意して動けばいいんだし、キリシナ先輩が言ったように敵を全滅させなければならないというものではないんだからそんなに難しいものじゃない。それに先にもう一方の部隊(チーム)が敵に見付かったとすれば敵の目はそっちに向くからその隙に逃げるって手もある。戦闘状態になったらオサムひとりじゃ無理かもしれないけどおれがいるんだから大丈夫だ」

 

遊真に励まされると修は気力を取り戻したかのように強く拳を握った。

 

「ありがとう、空閑。今さら試験内容に不満があったところでどうしようもない。与えられた課題をクリアすることだけを考えて全力でやってみるよ」

 

「うん、その意気だ」

 

そんな修と遊真のやり取りを見ていた千佳が言う。

 

「修くん、遊真くん、わたしはふたりのこと信じてるよ。一緒にアフトクラトルに行こう!」

 

「千佳…ぼくは必ず合格してみせる。見ていてくれ」

 

続いて栞が修にエールを送った。

 

「アタシはサポートできないけど、ここから応援しているからね。大丈夫、絶対に合格できるよ」

 

「宇佐美先輩、ありがとうございます。これまでの努力を無駄にしないように頑張ります」

 

仲間たちに勇気づけられた修の瞳にもう迷いはない。

 

(ぼくはひとりだけじゃない。空閑がいて、千佳がいて、ヒュースがいて、そして宇佐美先輩がいる。みんながいるからぼくはここまで来られたんだ。でもここはゴールじゃない。道はまだずっと続いていて、ここで止まるわけにはいかないんだ。ぼくのできることはみんなの期待に応えることしかない。合格することだけを考えてやるべきことをやるだけだ。これまでやってきたことを全部無駄にしないために!)

 

 

遊真たちが修を囲んで()()()()()になっている様子を少し離れた場所でヒュースは冷ややかな視線を送っていた。

 

(こいつら、まだ気付いていないのか…? なぜツグミがこのような試験を提案したのか、その真意に気付かないようではダメだ。このままでは試験に不合格になっても気付くことはないだろう。たぶんツグミはオレが気付いてもそのことを修たちに教えてやることはないと考えているに違いない。…いや、それよりもこの試験がツグミの提案によるものだというのだから、オレ()()はボーダーの中でツグミのことを一番警戒しなければいけないことになる。ツグミはこの遠征に参加しないことになっているが、それが逆に不安を掻き立てる。いったい何をやろうとしているんだ…?)

 

ヒュースが別のことで不安を覚えていると、転送開始60秒前のアナウンスがあった。

 

 

 

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