ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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218話

 

 

三輪隊は東門を突破する策を選んだようで、三輪・米屋組と奈良坂・古寺組に分かれて行動をしていた。

玉狛第2と違って戦うことを前提としているので、自分たちにとって有利な位置に陣取ることが必要とされる。

特に狙撃手(スナイパー)ふたりは城門前で戦うことになる三輪と米屋の援護ができる場所で待機するわけだが、街の外縁部は平屋や二階建ての低層家屋ばかりで狙撃地点として相応しい場所がなかなか見付からずにいた。

一方、東門の見張り小屋には穂刈が待機しており、指示があればいつでも狙撃OKという状態にある。

 

三輪と米屋が東門に一番近い民家までたどり着くと、壁に隠れて辺りを伺った。

すると東門の正面には手持ち無沙汰の様子の黒ずくめの兵士 ── 正体は生駒 ── がひとりで立っていた。

 

「誰かわからないけどひとりだけみたいだな? これならオレと秀次のふたりだけでイケるじゃん?」

 

米屋は楽勝といった顔でいるが、三輪は渋い顔をしている。

 

「いいや、他にもいる。城門の上にある小屋、あそこが怪しい。たぶんあそこに狙撃手(スナイパー)がいて俺たちを狙っているぞ」

 

三輪の勘は当たっている。

しかしそこにいる穂刈も()()()()()半崎同様に近付いて来る敵を監視するだけで、狙撃はしないことになっているのだからその点はハズレだ。

 

「今のところ敵はそれだけのようだが、この試験を立案したのが()()霧科なんだから必ず何か裏がある」

 

「秀次、深読みしすぎなんじゃないか? 単に街へ捜索隊を出してしまって居残りがあいつと狙撃手(スナイパー)()()しかいないってこともありうるし」

 

「それはないな。俺は霧科のことを良く知っている。昔から人の考えの斜め上を行く突拍子もない策を考えるのが好きで、ランク戦でもあいつの策に乗せられてひどい目に遭ったことが一度や二度ではないんだ」

 

旧東隊時代にツグミに「いいように利用されてきた」苦い経験がある三輪だからこそ慎重になりすぎてしまう。

 

「戦術においては東さんの弟子なんだ、油断すると痛い目を見ることになる。城門を出て緊急脱出(ベイルアウト)が可能なポイントまで全速力で走れば5分とかからない。時間はまだある。もう少し様子を見よう」

 

過去の経験から「彼女が何かを企んでいる」という刷り込みがなされていて、三輪は少々臆病になっていた。

たしかに「何かを企んでいる」のは間違いないのだが、三輪程度ではツグミの考える奇策を読み取ることなど不可能である。

そしてしばらく傍観している間に北門から出発した木虎が東門に到着してしまったのだった。

 

「おいおい、敵が増えちまったじゃねーか。このままだとどんどん増えて面倒なことになりそうだぞ。オレはもう待てねえ!」

 

消極的な態度の三輪に米屋が業を煮やして立ち上がった。

三輪は米屋を抑えることができず、渋々行動を起こす。

 

「行くぞ」

 

 

 

 

「どちらの部隊(チーム)も戦闘状態に入ったようだな。しかしなぜ狙撃手(スナイパー)を使わないんだ? 北門と東門、どちらも標的(ターゲット)をロックオン可能な状態に捉えているというのに」

 

忍田もごく当たり前の疑問を抱いたようで、ツグミの意図が読めずに苦労している。

 

「半崎隊員、穂刈隊員、ふたりともあの距離なら間違いなく頭を撃ち抜ける技術を持つ狙撃手(スナイパー)です。ですが狙撃手(スナイパー)というものは一度狙撃をしてしまえば居場所がバレてしまいますから、ここぞという時まで温存しておくべきです。大丈夫、ちゃんと彼らには仕事をしてもらいますから。…それにこの状況で撃たれて戦闘体を破壊されてしまったら、その人のいる部隊(チーム)はこの試験に不合格決定となります。戦闘体が破壊されたら緊急脱出(ベイルアウト)はできなくなりますから、遠征艇まで生身で走って行かなければなりません。そうなると残り時間から考えてギリギリか、タイムオーバー。少なくとも生身の体力のない三雲隊長はここで戦闘体を失ったらおしまいですね」

 

「では三雲くんを合格をさせるために…?」

 

「本部長はわたしがそんなことをすると本気で考えているんですか? わたしは彼だけでなく他の隊員に対しても公平に扱っていますよ。遠征に参加する資格がある隊員はすべて合格にしたいと思っています。だってアフトクラトルで本格的に戦争を行うってわかっていて志願してくるくらいですからやる気は評価できます。でも気持ちが先走っているだけで実力が伴わなければダメ。それを判断するのに試験を行うわけで、こちらが手を抜いたり甘くして合格させても意味はありません。むしろ厳しくしてダメな人間はすべて振り落として合格者ゼロにするくらいでなければいけません」

 

「ゼロでは困るんだが…」

 

苦笑しながら言う忍田にツグミは困ったような顔で答えた。

 

「ええ、引率者としては困るでしょうね。ですが中途半端な隊員で構成された遠征部隊が全滅してしまってはもっと困ることになりますよ。忍田本部長、あなたは今回の遠征の最高責任者なんです。あなたにとって一番重要なことは何かわかりますか?」

 

「それは…もちろん遠征を成功させることだ」

 

「その成功とは?」

 

「連れ去られたC級隊員全員と遠征部隊のメンバー全員が無事に帰還することに決まっている。さっきおまえが言っただろ?」

 

「ならばこのまま試験終了までじっくりと見物していてください。いずれわたしがこの試験を何のために行っているのかがわかりますから」

 

ツグミは忍田の疑問に明確な回答をせず、再びモニターに視線を戻した。

 

 

 

 

遊真と緑川の激しい戦闘は続いていた。

それは一対一の戦いであり、双方の力量が拮抗しているからで、どちらか一方でも加勢があればそのバランスはすぐに崩れて勝敗がきまるだろう。

ここで修が遊真のサポートができれば良かったのだが、今の彼は何の役にも立たない。

唯一できるのは遊真の邪魔にならないようにすることと敵の増援がないことを祈るだけで、改めて自分の不甲斐なさを嘆くしかない。

 

(前に二宮さんからまともな手順で近界(ネイバーフッド)へ行く気なら空閑をどこか別のA級部隊(チーム)に入れるのが一番マシな選択だと言われたことがあった。たしかに空閑は元々A級レベルの実力はあるし、近界(ネイバーフッド)での実戦経験も豊富だ。それに比べてぼくはひとりでは何もできない。B級ランク戦で勝ち上がって来られたのは空閑と千佳とヒュースと宇佐美先輩がいたからで、それなのにぼくは自分自身が強くなったって勘違いしていたんだ)

 

修はB級に昇格してから玉狛第2の隊長としての役目を果たそうと奔走してきた。

そのことは誰もが認めているし、ツグミもわかっている。

しかし彼がB級隊員・三雲修としての修練を積んできたかと問われたらはっきり「NO」と言わざるをえない。

遊真は頻繁に本部基地へ行って緑川や影浦や村上といった猛者たちと個人(ソロ)ランク戦を行い、自らの技を磨く努力をしてきた。

一方、修は太刀川隊や嵐山隊へ赴いて射手(シューター)の技術を学ぶことはしていたが、それは「玉狛第2に不足していて彼にでもその穴埋めが可能な手段」を身に付けただけである。

木虎から学んだワイヤー陣も遊真たちが戦いやすいフィールドを作るためのものであり、部隊(チーム)には貢献できるようになったものの()()()では何の意味もなさない。

今回の試験では部隊(チーム)単位でバラバラにならないよう転送されたから修は遊真と行動を共にできたわけだが、いつものランク戦のようにバラバラの位置に転送されていたらオペレーターのサポートのない手探りの状態の中、遊真と合流する前に敵と遭遇(エンカウント)となってそこで試験終了となっていたかもしれないのだ。

 

(今回の遠征が部隊(チーム)単位での参加となっているからといって、必ずしもぼくが空閑たちと行動できるとは限らない。不測の事態に陥ってバラバラになってしまったとすれば、空閑や他の隊員たちは自分ひとりの力でなんとか切り抜けられるだろうけど、ぼくでは無理だ。ぼくは今まで緊急脱出(ベイルアウト)のできない状況での戦闘を想像したこともなかった。これは試験だから戦闘体が破壊されてもそれだけで済むけど、実戦だったら生身の状態になって戦闘不能に陥り敵の捕虜になるか殺されるかしかない。ぼくなんてトリオン能力が低いから兵士にもなれず、トリオン器官を抜かれて殺されるだろう。ぼくはそういう世界へ行こうとしているんだ)

 

修はそう考えて身震いをした。

そんな彼はツグミの指示によって()()()()()()()とも知らず、自分のことをじっと見ている半崎の存在にはまったく気が付いていない。

 

 

「遊真先輩、急がないと時間切れになっちゃうよ」

 

緑川が遊真を挑発するように言う。

遊真も戦いながら時間の経過を気にしていたのだが、そろそろ()()()と感じていた頃合であった。

 

「そうだな。オサムを待たせているから、早くおまえを倒さないといけない。…本気でいくぞ」

 

ふたりはパッと間合いを取るが、緑川は両腕を挙げて握っていたスコーピオンから手を離す。

その姿は「降参」を意味しているようで、遊真は唖然とした。

 

「ホントは最後まで戦いたいんだけど、遊真先輩ボロボロじゃん? このまま戦って先輩が勝っても緊急脱出(ベイルアウト)できる場所に着くまでトリオン体が保てなくなっちゃうでしょ。生身で走って行くのは大変だよ」

 

「だから?」

 

「ツグミ先輩はオレたちに受験者と戦うように指示してるけど、倒しちゃいけないって言われてるんだ。どういう意味なのかわからないけど、たぶんみんなを合格にしたいんじゃないかな。不合格者が出たらそれだけ遠征部隊の人数が減って、改めて希望者を募集しても結果は似たようなものになる。それよりも全員合格にして早く遠征用の訓練に入った方が効率が良い…ってオレは考えてんだけど」

 

「つまり見逃してくれるってことか?」

 

「オレは見逃す気なんてないよ。オレは遊真先輩に負けるつもりはないから、このまま戦い続けてオレが遊真先輩を倒してしまうとツグミ先輩からの指示に違反しちゃうからね。ここでおしまいにすべきだと思ったんだ」

 

遊真の戦闘体はボロボロだが、緑川の戦闘体も同様にボロボロになっている。

このまま戦闘を続ければ共倒れになってもおかしくはない状態だ。

単純なトリオン量で判断すれば遊真の方が多いものの、彼はこの後に城外へ出て緊急脱出(ベイルアウト)可能なポイントまで走って行かなければならない。

それを考えたら今すぐに戦闘をやめて修と一緒に城壁を乗り越えるべきなのである。

 

「理由はともかくおまえに戦う意思がないならここでおしまいだな。決着をつけられないのは残念だが」

 

「また近いうちに個人(ソロ)戦やろうよ。今日の続きはそん時に」

 

「おう。この借りは必ず返してやるぜ。じゃあな」

 

遊真はそう言ってグラスホッパーで大きくジャンプした。

 

「遊真せんぱ~い、頑張ってね~!」

 

地上で大きく手を振る緑川を残し、遊真は修と合流した。

 

「待たせたな、オサム」

 

「いや、ぼくこそ何もできなくて悪かった」

 

「気にするな。じゃ、降りたら全速力で走るぞ。遠征艇の位置はここから北東だったな?」

 

「ああ。城の外の北側はずっと雑草の生えている平地だから走っていると目立つ。城門の上にあるのは見張り小屋だと思うんだが、さっきからずっと動きはない。イーグレットの射程範囲なんだから空閑を狙撃してくると思っていたが、その気配はなかった。たぶん誰もいないんだろう。でも念のために城壁沿いに進んだ方が見付かりにくいはずだ」

 

「灯台、元暗しか。うん、こういう時にはオサムは頼りになるな。任せたぜ、隊長。…行くぞ!」

 

修と遊真は城壁の頂面から草地に向かって一気に飛び降りた。

 

 

 

 

東門では三輪隊と生駒・木虎組の戦闘が繰り広げられていた。

攻撃手(アタッカー)万能手(オールラウンダー)同士の戦いは互角だが、そこに三輪隊は狙撃手(スナイパー)ふたりが加わるのだから三輪隊に有利なのは一目瞭然である。

しかし穂刈は動かない。

それがツグミからの指示であるから仕方がないのだ。

そして生駒と木虎はそれぞれ単独での戦いになり、特に普段はチームメイトとの連携を得意としている木虎だから本来の力を出せずにいる。

もっともツグミは敵役の隊員たちが連携して戦わせないためにと部隊(チーム)をバラバラにして待機させたのだから、彼女の狙いどおりに事は進んでいるのである。

 

戦闘は有利に進めているものの、三輪隊は追い詰められていた。

生駒や木虎は別に三輪隊を倒さなくてもかまわない。

いや、倒してしまわないようにツグミから言われているからこれで十分である。

しかし三輪隊にはタイムリミットがあり、時間内に遠征艇に戻らなければそこでおしまい。

それも隊員の誰かひとりがクリアすれば良いというものではなく、全員揃って帰還せねば意味がないのだ。

 

[そろそろやべぇんじゃねーか、秀次?]

 

米屋が木虎のスコーピオンを交わしながら三輪に訊く。

 

[ああ。だがこいつらを倒さなければ門を開けることができない。何とかして ──]

 

三輪がそこまで言いかけた時だった。

彼の相手をしていた生駒が弧月を鞘に収めたのだ。

そのまま居合抜きをする構えに移るかと思えて三輪は警戒したが、生駒は木虎に合図を送って詰所に戻ってしまったのだった。

 

「どういうことだよ、これ?」

 

米屋が三輪のそばまで走って来て訊いた。

 

「俺にわかるはずがないだろ。…敵は何を企んでいるんだ?」

 

すると間もなく城門の扉がゆっくりと開き、そこから草原の広がる景色が見えた。

 

「もしかして『敵さんは降参』ってか?」

 

「罠だろ、普通」

 

米屋がふざけたことを言うが、これは千載一遇のチャンスだ。

残り時間は少なく、城門を通り抜けなければ外に出られない状態の三輪隊である。

開け放たれた城門を見れば罠とはわかっていても他に道がないとなれば気持ちが揺れるのも無理もない。

三輪は奈良坂と古寺を呼び寄せ4人で一緒にいると、詰所の中からひとりの兵士が出て来た。

 

「出てってもかまへんで。これは罠やないから安心せえ」

 

「もしかしてイコさん?」

 

関西弁の言葉と声の様子で兵士の正体を生駒だと判断したのは米屋だった。

 

「正解や」

 

そう言って生駒はフードと覆面を外した。

 

「どういう訳なんだ!? わかるように説明してくれ!」

 

一方、三輪は動揺しているのかそれとも怒りによるものなのかトリオン体の身体がプルプルと震えていた。

 

「わかった。…これは試験の責任者のツグミちゃんの指示で、受験者を足止めするのが俺らの役目なんや。そやけど倒してはアカンと言われてたもんやから本気出せずにおった。すまんかったな。で、さっきツグミちゃんから『もういいから門を開けて三輪隊を外に出してやってくれ』っちゅう通信が入ったもんやから城門を開けた、ってわけや」

 

すると三輪は怒りで両手の拳をきつく握って叫んだ。

 

「ようするに俺たちはあいつのお情けで合格させてもらわなければならないってことか!?」

 

なかなか決着がつかないものだから、このままでは時間切れで不合格になると判断したツグミが生駒に指示を出したのだと思ったのだ。

 

「それはわからんが、早う行かんとホンマに時間切れになってしまう。ツグミちゃんの考えてることは俺にはようわからん。おまえたちの好きにせえ」

 

生駒が嘘を言って騙し、油断したところに斬りかかってくるなどという卑怯な手は使うはずがないと、三輪たちは黙って城門の外に出た。

ツグミの意図がわからず、彼女の恩情によって合格を許されるなどと三輪にとっては我慢ならないことだが、それでもこの試験に合格しなければ話は始まらない。

文句を言いたければ遠征部隊のメンバーに選ばれてから言えばいいと奈良坂に諭された三輪はものすごく悔しそうな顔で目の前に広がる草原を見渡した。

遥か先までただ草原があるだけで、敵が潜んでいるような気配はない。

 

「行くぞ!」

 

三輪の合図で4人は全速力で駆け出した。

 

 

 

 

修と遊真が城外へ出たのを確認したツグミは半崎に指示を出した。

 

[玉狛第2のふたりが外に出ました。どちらでもかまいませんから()()()()()()()()()()()()撃ってください。できれば脚、または腕の1本を使えなくするようなカンジにしてくれると助かります]

 

半崎はツグミの意図がわからないまま、言われたとおりに遊真の右脚を撃ち抜いた。

さすがはトップクラスの狙撃手(スナイパー)で、動く的であっても撃ち抜くのは造作もないことである。

突然の背後からの狙撃で防御も回避もできなかった遊真は右脚の膝から下の部分を失い、勢い余って前につんのめってしまった。

 

「空閑、大丈夫か?」

 

修はレイガストを(シールド)モードにして遊真に駆け寄り、彼を庇いながら手を貸して立たせた。

 

「右脚をやられた。このままだとヤバイがスコーピオンを使えば何とかなる」

 

そう言って遊真はスコーピオンで傷口を塞ぎ、さらに脚ブレードで失った右脚の代わりを作った。

 

「これで走ることはできる。…しかしここで狙撃されるとは想定外だった。やっぱ見張り小屋(あそこ)には狙撃手(スナイパー)がいたんだな」

 

「ああ。ぼくが誰もいないと判断したのは間違いだったようだ。すまない、空閑」

 

謝る修に遊真は言う。

 

「オサムのせいじゃない。だけど敵の腕が良かったらトリオン伝達脳か供給機関をやられておしまいだったな。生身じゃ緊急脱出(ベイルアウト)できないから時間内に遠征艇に戻るのは不可能だった」

 

「ああ。この先は背後を防御しながら慎重に進もう。他にも狙撃手(スナイパー)がいるかもしれない」

 

修と遊真はそれぞれレイガストとシールド2枚の両防御(フルガード)で背後を守りながら城郭都市を離れた。

狙撃が一度きりだったことを不信に思いながらも、ふたりは試験に合格することしか頭になかったのでひたすら走り、ようやく緊急脱出(ベイルアウト)が可能なエリアまでたどり着くと()()()()()()緊急脱出(ベイルアウト)して無事に遠征艇へと帰着したのだった。

 

 

一方、三輪隊の方でもツグミが穂刈に半崎と同じ指示を出して古寺が左脚を失った。

そして米屋が古寺を担ぎ、三輪と奈良坂がシールド2枚の両防御(フルガード)で4人の背後を守りながら走って行く。

こちらも狙撃は一度で終わり、三輪隊もなんとかギリギリであったものの全員で緊急脱出(ベイルアウト)して遠征艇へと戻ることができた。

三輪にとっては無念な結果であるが、それでも合格は合格なのである。

 

 

◆◆◆

 

 

コントロールルームで一部始終を見守っていたツグミと忍田。

ツグミはこの試験の結果が彼女の思惑どおりになったものだから満足気な笑顔でいるが、忍田は最後まで何がなんだかわからないといった表情だ。

 

「第1試合は全員が無事に遠征艇へと帰還できましたね。()()()()これで三輪隊と玉狛第2は合格とします」

 

「いちおう…?」

 

「はい。それについては第4試合が終わった後の総評でご説明します」

 

ツグミはそう言って三輪隊と玉狛第2の作戦室へそれぞれ合格である旨を伝えた。

そして同時に全試合が終わった後に受験者全員にもう一度会議室に集まってもらい、そこで詳しい説明をするとも伝えておいた。

試験が終わった両部隊(チーム)は他の試験を見物することを許されたが、他の受験者との接触は避けるように言われているため作戦室での観戦となった。

試合と試合の間は30分の休憩、第2試合と第3試合の間には50分昼食を挟み、第4試合が終了したのが一五〇〇時。

その10分後に受験者は全員会議室に集合し、ツグミによる総評を受けることになるのだった。

 

 

 

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