(どちらから話をしましょうか?)
(身近な方からということで、まずは黒トリガーからお願いします)
ツグミにとって母トリガーはまったくの未知の存在なので、黒トリガーから先に説明してもらうことにした。
(わかったわ。…黒トリガーとは優れたトリオン能力を持つトリガー使いが命と全トリオンを注ぐことで作られるトリガーのこと。元になった人間の人格が反映されるため使用者を選ぶ性質があり、その能力は通常のトリガーをはるかに上回る特殊な能力を備えているわ。でも条件が揃っていても必ずしも黒トリガーになれるとは限らない。そこまでは理解しているわね?)
(はい)
(ではなぜ優れたトリオン能力を持つトリガー使いにしか作ることができないのか、さまざまな能力を持つ他にふたつとない武器なのか、なぜ誰にでも使えるものではなく限られた適合者のみとなるのか…そういった理由を教えましょう。まずはなぜ優れたトリオン能力を持つトリガー使いにしか作ることができないのかだけど、これはその人間が持つトリガーを命と全トリオンを注ぐ『器』にするからなの。トリガー使いの身体が変化するのではなく、器となるトリガーの性質や能力を変化させることで黒トリガーになるわけね。注ぐトリオンの量が少ないと変化をさせることが難しいので、結果的に膨大なトリオンを持つトリガー使いでなければ黒トリガーにはなれないということになるのよ)
(なるほど…)
(そしてもうひとつ理由はある。それはふたつ目の疑問の『さまざまな能力を持つ他にふたつとない武器なのか』と関係があるわ。仮に優れたトリオン能力者であってもトリガー使いでなければ黒トリガーは作ることはできない。トリガーを使ったことのない人間にトリガーを与えて作れと言っても無理でしょ? だってトリガー使いでなければどうやって武器として使うのかがわからないからもの。元になったトリガー使いが刃トリガーを得意とするならできあがった黒トリガーも刃トリガーになり、弾丸トリガーの使用者なら黒トリガーは弾丸トリガーになることが多いのはそういった理由があるからよ)
(そういえば最上さんは刃トリガーの使い手だったから、風刃も刃トリガーなんだ…)
(黒トリガーは元になった人間の人格が反映されると同時に『こういったトリガーを作りたい』という最後の強い思念が加わるため、特殊な能力を持つトリガーになる。私の場合は私が弾丸トリガーを得意としていて、キオンの数千というトリオン兵が大地を埋め尽くしているのを見たことで『とにかく一度でたくさんのトリオン兵の機能を停止させたい』と考えたものだから、細かく分割した弾丸を敵の弱点であるトリオン器官やトリオン伝達脳やトリオン供給機関を正確に撃ち抜くという能力のトリガーとなったわ)
(風刃は近距離攻撃しかできない刃トリガーに遠距離攻撃もできるように斬撃を飛ばす能力を付加したから、あんなタイプの黒トリガーになったんだわ。シールドのような防御の装備がないのは最上さんが『攻撃こそ最大の防御である』と考えていた人だからなのかも)
(私はそのモガミという人を知らないからわからないけど、その人間がどのような戦い方をするのか、または戦いにおいて何を重要視しているのかなどのいくつかの要素が絡み合って黒トリガーはできあがる。だから3つ目の疑問の『なぜ誰にでも使えるものではなく限られた適合者のみとなるのか』は自分と似たような考え方や戦い方をするトリガー使いでなければ使いこなせないと黒トリガー自身が判断するから。まあ、私のように適合条件を満たしてはいるものの『この人間には使わせたくない』と考えて起動させない例もあるけどね)
(それはわたしの父のことですか?)
(そうよ。オリバに使わせたらあの子も死ぬまで使い続けてしまい、エウクラートンの同胞たちにも被害が出たかも知れないから。私は黒トリガーになった時に使用者本人にも影響を与えるようなものにしたいなんて願わなかったんだけど、外部から何らかの意思が働いて使用し続けると次第に理性を失っていき、暴走状態となってトリオンが切れるまで止まらないという致命的な欠陥が生じてしまったわ。おまけに敵味方の区別がつかなくなり、使用者の視界の範囲内にいる敵兵、トリオン兵、友軍といった自分以外の存在すべてを巻き込んでしまう。使用者の意思で制御できるうちならいいのだけど、限界を超えたなら周囲の人間が無理矢理にでも拘束してトリガーを取り上げてしまうといった感じで制止しなければ味方までもが命を落とすことになってしまうわ。トリオン切れになれば使用者の暴走は止まるけど、トリオン器官に負荷がかかりすぎてしまったことで意識不明となり、目覚めることなく衰弱して死亡する。実際に最初の適合者は衰弱死してしまったもの)
(……)
(私が貴女を所有者として認めたのは、貴女が私を使用しないという使い方をすると約束したからよ。貴女を信じているからこそ貴女に委ねたのだということを忘れないでね)
(はい、わかりました。約束は必ず守ります)
(うん、いい返事ね。…ただここまで話したことは私が技術者の頃に研究していた結果と、私自身が黒トリガーになってみて初めてわかったこと。でもすべての黒トリガー同じ理屈なのかどうかは不明よ。黒トリガーについてはまだ謎が多いけど、これから話す母トリガーはそれ以上に謎が多いわ)
(はい)
(…といっても私にも詳しいことはわからない。ただトリガー使いでなくても母トリガーにはなれる。トリオン能力者で『母トリガーになる強い意思』さえあれば誰でも良いらしいんだけど、そもそも母トリガーを新しく生み出さなければならない状況って滅多にないから、誰も母トリガーがどのようにできているのかなんて知るはずがないのよ。わかっているのは『神』に関することだけ。それだって謎が多くて、伝えられていることの真偽は不明なの)
(それでもかまいませんので知っていることを教えてください)
(正直言って『神』についても不明な点は多い。『神』とは母トリガーを維持するためのエネルギーみたいなもので、その人間の持つトリオン能力によって母トリガーの寿命や発揮できる力が決まる。だから『神』には高いトリオン能力を持つ人間を、ってことになるわ。そして『神』の寿命が尽きると母トリガーも活動できなくなって国が滅びてしまう。だからその前に新しい『神』を探すのに必死になるというわけ。神を厳選しない国では母トリガーの寿命が尽きかけていてもアフトみたいに大騒ぎはしないわ。もちろんしょぼい能力しかない人間が『神』になると国自体が衰退してしまうから、そこそこの人間を犠牲にすることになるけど)
(そうなると『神』になる人の意思はどうなんでしょうか? 母トリガーになる場合は強い意思が必要だということですけど、誰も好き好んで『神』になりたいとは思わないでしょうから)
(普通に考えればそうなんだけど、いろいろな理由で『神』になる決心をするのよ。家族を人質に取られたり、洗脳したりと人道にも劣る行為によって無理やり『神』にさせられるということもある。でも私の知る限りこれまで『神』になった人たちは悩んだり迷ったりした末に自分で決めたという話だから、きっと祖国と同胞のために命を捧げるという尊い行為を選んだのね)
(わたしは自分の命を捧げることが必ずしも尊い行為だとは思いませんが、他に方法がないのなら仕方がないですよね…)
(ええ。近界の国々の国土は母トリガーから供給されるトリオンによって形作られ、自然現象もトリオンを使うことで起きる。大地から野菜や果物が育って収穫できるのも、全部母トリガーから供給されるトリオンによるものよ。だから優れたトリオン能力者によって支えられている母トリガーからはたくさんのトリオンが供給されるから国土が広くなったり、農作物がたわわに実る豊かな大地になったりするけど、母トリガーが貧弱だと小さくて貧しい国にしかならない。それに母トリガーから供給されるトリオンは国土の維持だけではなく、その国で使うさまざまなものの源となるの。国民が日常生活で使う明かりや煮炊きするための燃料としてや、他にも荷物を運ぶため、道具を作るため、そして軍備を拡張するため…。アフトクラトルでは軍事のためにトリオンを使う割合が大きいし、国民の不満を抑えるためにトリオンを大量消費するからすぐに母トリガーの寿命が尽きてしまうのよ)
ここまでのミリアムの説明を聞いて、ツグミは頭の中で整理をした。
黒トリガーがそれぞれ特殊な能力を持つのは元になった人間の『個性』の反映によるものだから一点ものになるのも理解できる。
さらに元になった人間がどのようなトリガーにしたいかという強い思念が加わっているという点は有吾が残した黒トリガーが良い例となっている。
有吾は瀕死の状態の遊真の命を救いたいと願い、彼の肉体をトリガーホルダーの中に収めて延命措置をし、トリオン製の仮初めの肉体で生活できるようにした。
これは普通の武器として使う黒トリガーとは成立する経緯が大きく違う特殊な例であり、黒トリガーがさまざまな可能性を秘めている証拠でもある。
つまり黒トリガーが「大切なものを守りたい」という強い意思によって攻撃用の武器としてだけでなく防御用になったり、トリオン体を構成する元になったりするということなら、母トリガーも同じように「神」の意思が反映されるから各国がそれぞれ違う風土や気候、民族の習慣などが違うものになるわけだ。
エウクラートンが小さくとも豊かで恵まれた国であることも、キオンが面積は大きくても1年のほとんどが雪に覆われる厳しい国であることも、母トリガーに取り込まれた人間が死んでいるとも生きているとも言えない状態でいるからその人物の性格や意思が反映されてそうなったのだと思えてくる。
近界の国々の国土は母トリガーから供給されるトリオンによってすべてが賄われている。
そして母トリガーは元になった人間のトリオン能力によって供給できるトリオンの量が決まるということなので、限られたトリオンを国土の維持と国民の日常生活に振り分ける必要があり、アフトクラトルはどちらにも大量のトリオンを必要とするために神を厳選していて、生贄を投入するサイクルが他の国より短いのはトリオンの大量消費によるものである。
ここまで来てふと新たな疑問が浮かんだツグミはミリアムに訊いた。
(そうなると母トリガーから供給されるトリオンをどんな配分で使うかを調整する人が必要ですよね?)
(ええ、もちろん。それぞれの国で呼び方や継承の仕方は違うけど、多くの国は『王家』の人間が『神官』を輩出し、その国の政府によって決められた計画によって母トリガーを制御するわ。母トリガーを制御するのは誰もができるというものではなく、血統が重要になってくるらしいから代々王家の人間が神官を努めることになるの。エウクラートンにも『オーラクル』という名の王家があって、その一族は女系で女王が神官となって母トリガーを制御する。そして優秀な男性を婿にして、彼女の娘が次の女王になって…というように繰り返していくわ。男子が生まれるとその子はトリガー使いになることが多い。王家の一族はトリオン能力が高い人間の生まれることが多いから。だから母トリガーの寿命が尽きかけている時期に王家に男子がいるとその子が次の『神』となるよう育てられることもある。残酷だけどそれが王家に生まれた者の定めなの)
(そうなるとアフトクラトルでは次の『神』を見付け出した人間が次の王となるという話ですから、神選びがあるたびに王家が変わるということですよね?)
(ええ。あの国は特別だから。普通の国は母トリガーを長持ちさせたいからトリオンの供給を十分に考えて計画的に行うわ。それも国土の維持と国民の日常生活に大部分を使い、国防…つまりトリガーの開発や軍の装備の拡大などは最小限に抑えることにしている。その配分を決めるのが政府の役目で、指導者として相応しい人間が元首となって善政を敷くことができれば国は豊かになって発展するし、圧政を強いるようだと内乱が起きて国は疲弊する。アフトクラトルの場合は王が元首を兼ねるようなものだから、王の独裁ですべてが決まってしまう。国を私物化して領主たちから高額な税を徴収して贅沢三昧したり、他国を侵略して支配できる範囲を広げるとか好き勝手し放題。そういう国だから王になりたいと思って優れたトリオン能力者探しに躍起になるってわけよ。ただ神官の役割は血統によるものだから、王家とは関係なく代々どこかの一族が担っているんだと思うわ)
(そうですか。いろいろ教えていただきありがとうございました。こういった近界の基礎知識を知らずにキオンという大国の元首を相手に交渉をするなんて無謀というもの。黒トリガーは現物を見たことはあるしボーダーでも使っているからある程度の知識はあったつもりでしたが、ミリアムさんの話を聞いていて謎だった部分も納得できました。母トリガーについての知識はほとんどなかったですから、初めて聞くことばかりで驚くことが多かったです)
ツグミがそう言うと、ミリアムが意外なことを言い出した。
(ボーダーにも母トリガーはあるのに今まで何も教えてもらっていなかったの?)
(え?)
(その様子だと意味がわからないというカンジだけど、ボーダーの本部基地の地下には母トリガーがあって、トリガーの開発や作成、遠征へ行く時の艇のエネルギー、訓練で使うトリオンは全部その母トリガーから得ているのよ。もしかしてそのことも知らされていなかったの?)
(……)
(それじゃあ、貴女はボーダーで使用する大量のトリオンがどこから供給されているのかって考えたことはなかったのかしら?)
(…はい)
(玄界では国土の維持にも国民の日常生活にもトリオンは不要だから、すべてをボーダーの活動で使えるわよ。だから配分を考えて調整するための神官はいなくてもトリオンの抽出はできる。たぶんトリオン抽出の方法はオリバが伝えたんでしょうね。そうでなければボーダーで使う大量のトリオンはどこから湧いて出てくるのかしら?)
ミリアムの言うことはツグミにも理解できる。
トリオンは人間の身体の中にあるトリオン器官から生み出される生体エネルギーで、他の手段では得られないものである。
よってボーダーの活動を行うためには何らかの手段でトリオンを大量に集める必要があったわけだが、彼女はその供給源について考えたこともなかった。
大規模侵攻で破壊された本部基地の補修の際、鬼怒田は「トリオンは有限であるから優先順位を考えて工事をしろ」と言っていた。
ツグミはトリオンが蛇口を捻れば水が出てきたり、スイッチを入れたら照明が点灯するというものと同等に考えていて、節水や節電と同じく「節トリオン」のように考えていたのだが、たしかに水や電気と同じで何もないところから勝手に湧いて出てくるものではないのだ。
ボーダー本部基地の地下に母トリガーがあって、そこからトリオンを吸い上げているというのならボーダーで使用する大量のトリオンの出処がはっきりとする。
(たぶん城戸司令たち上層部の人間はみんな知っていて、戦闘員や職員には知らされていないトップシークレットなんだ、きっと。もちろんそれを非人道的だとか責めるつもりはないけど、いつか今の母トリガーにも寿命がくる。それは間違いないことで、その時ボーダーはどうなるんだろう…?)
城戸たちが母トリガーの秘密について旧ボーダー時代からの隊員であるツグミたちに何も話していなかったのは要らぬ不安や心配を抱かせないためであっただろうからとツグミも彼らのことを非難はしない。
ただ…知ってしまった以上は知らなかった状態に戻ることはできないが、彼女なら自身の記憶を封印してしまうことも可能だ。
(でもこれは知らないことにすべきではない。知った上で行動しなければいけない大事なことなんだから)
ツグミがショックを受けていることを察したミリアムが言う。
(今日はこれくらいにしておきましょう。貴女もいろいろなことを知って気持ちが動転しているみたいだから)
(はい、そうしてください、知りたいことはまだたくさんありますが、わたしたちにはたっぷり時間があるんですものね)
(そうね。じゃあ、おやすみなさい、ツグミ)
(おやすみなさい)
そう言ってツグミは換装を解いた。
そしてミリアムの黒トリガーをバッグの中に戻すと再びベッドで仰向けに寝転がる。
自らミリアムに頼んだとはいえ衝撃的な内容の話を聞かされたので目が冴えてしまってなかなか寝付けない。
そうなると考えてしまうのが本部基地の地下にあるという母トリガーの正体であった。
(ボーダーの創設は20年前に有吾さんとお父さんが三門市に現れたことがきっかけとなっていて、ゼロの状態から組織を立ち上げたことになっている。本部となる場所の取得などの運営にかかるお金は霧科文蔵つまりおじいちゃんが出資し、財政面では問題はなく進んだだろう。でもトリガーや遠征を行うための艇を造るためには相当量のトリオンを集める必要があり、トリオンという概念さえなかった世界でどうやって組織を維持できたのだろうか?)
ここで仮にだが有吾かオリバが母トリガーもしくはその代用品となるものを持ってこちら側の世界へとやって来たのだとしたら、これらの疑問は一気に解決する。
(母トリガーは国土を維持するくらい強力なトリガーなんだから、小型の艇では運んで来ることができるはずがない。小型艇で運ぶなら人間が抱えられるくらいの大きさでなきゃ中に入れることができないもの。それなら母トリガーとほぼ同じように作られる黒トリガーだったらどうだろう? 黒トリガーと母トリガーの違いって片方が戦闘用の武器で、もう一方が国土を維持するエネルギーの供給源というくらい。どちらも核となるものにトリオン能力者がトリオンと命を注ぎ込んでいるという点では同じじゃないの。黒トリガーなら大きさに問題ないし、適合者がいなくて使えないものだったら母トリガーの代用品として使おうと考えるんじゃないかしら? それを持ち込んで何らかの手段を講じてトリオンを抽出していたら、旧ボーダーの初期の頃なら使うトリオン量も大したことはなさそうだから十分賄えるんじゃないかな。お父さんはエウクラートンでトリガー使い兼技術者だったということだから、黒トリガーや母トリガーについても詳しい知識はあったはずだもの)
故人に話を聞くことはできないが、ボーダーの初期メンバーとしては城戸がいる。
城戸なら何かを知っているのではないかとツグミは考えるが、彼が話をしてくれるかどうかは微妙だ。
それにツグミが本部基地の母トリガーの秘密を知ってしまったことが彼に都合が悪いことであれば記憶封印の措置をする可能性もある。
(ミリアムさんも本部の母トリガーの存在は知っていても詳しいことはわからないみたい。だから知るためには城戸司令に訊くしかないけど、話してくれないだろうな…。たぶんわたしの仮説は当たってると思う。そんな気がする。でもそうなると問題なのは現在の巨大化したボーダー本部基地を維持するトリオンを供給する母トリガーの正体。5年前の遠征で何人かが黒トリガーになったということだけど、実際に使用されているのは風刃だけ。それなら他の黒トリガーは今どうなっているの? 隊員の数があれだけ増えたのだから適合者を探したらそれだけ戦力がアップするのだから適合者を探さない理由はない。ミリアムの母トリガーのように使用すると使用者に危険が生じると言うのなら封印してしまうだろうけど、そうでなければ適合者を探して使うはずよ。その適合者がいないなら母トリガーの代用品にするかも。…でもミリアムさんが嘘をつくはずがないんだから、母トリガーがあるのは間違いない。ならばその母トリガーはどのようにして作られて、神は誰がなったものなんだろう…?)
そんなことを考えるツグミだが、これはすべて彼女の想像のものであって証拠になるようなものは一切ない。
真相を知るには城戸に訊くしか方法はなく、帰国してからの課題とすることにした。
今はボーダー本部の母トリガーのことよりも優先すべきことがあるのだから。