ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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303話

 

 

試験が終わったことでひとつの区切りとなったのだが、これがゴールではなくスタートであることは誰もがわかっている。

おまけに試験官側からは遠征に参加する資格があると認められているだが自分たちはその試験の結果に満足がいくものではなく、忍田から遠征に参加するか否かは自分で決めろと言われては素直に合格を喜ぶわけにもいかない。

近界(ネイバーフッド)という未知のフィールドだというだけでなくアフトクラトルの敵の本拠地に乗り込んで戦うことは承知していたが、経験したことのないことだからその困難さがピンとこなかった。

そのせいで普段の訓練や防衛任務で身に付けた知識や技術で十分であろうと考えていて、遠征に向けての特別訓練でも「玄界(ミデン)でなら通用する戦い方」をそのまま用いていて、その訓練の結果が上々なものであるから大丈夫だと慢心していたのだった。

しかしそのせいで「近界(ネイバーフッド)における実戦に限りなく近い設定での戦闘」では散々な結果となってしまったわけで、これで合格だと言われても納得できるはずがない。

その試験内容を考えたのが自分たちと同じように玄界(ミデン)での戦闘しか経験したことのないツグミであり、あらゆる状況を想定していろいろ考えて行動する彼女に比べるといかに想像力が乏しいのかを思い知らされてしまっていた。

 

受験者たちはそれぞれ自分自身に「遠征に参加しても良いのか?」と問う。

立場や遠征に対する姿勢が違うから考えることもそれぞれ違うが、やはり緊急脱出(ベイルアウト)のできない戦いが苦戦を強いられることになった原因であるから全員がそのことを避けて通るわけにはいかない。

緊急脱出(ベイルアウト)ができないということは、すなわち戦闘体が破壊されて換装が解けてしまうと戦場の真っ只中で生身の身体のまま逃げ惑うことになる。

この試験では実際にその経験をしたことになり、()()()バムスターに手も足も出ずに逃げることしかできない無様な自分を思い出すと悔しいやら情けないやらでムシャクシャしてしまう。

その矛先を試験官、特にこの試験内容を提案したツグミに向けてしまえば楽になれるのだが、そんなバカなことをするような人間はこの中にはいない。

なにしろこれが試験ではなく実戦であった場合、同じ目に遭わされたとして敵に怒りの矛先を向けたところで何の意味もないとわかっているからだ。

ハイレインたちを相手に同じ戦いをしたら今頃は遠征部隊の全員が捕虜になっていたはずで、自分たちの未熟さに唇を噛むしかできないだろう。

それを遠征出発の前に知ることができたのだから幸いであったと考えるような前向きの姿勢でいるべきだ。

常に「勝つ」よりも「負けない」戦いを心がけ、勝つためには戦闘体を失ってもかまわないというランク戦での戦術など役に立たないのだと自らに言い聞かせることで、さっきの試験の時のようにバムスターに追いかけられるという無様な姿は見せずに済むだろう。

 

ひとりひとりが自分の判断で答えを出し、席を立つと会議室を出て行った。

そして遠征参加もしくは辞退の意思を忍田に告げるために本部長執務室へと向かう。

太刀川のように深く考えずすぐに席を立つ者がいれば、東やレイジのように「自分の判断が仲間の生命を左右することになる」という責任を持つ者は熟考してから忍田の元へ行った。

そしてその結果、()()()参加辞退者はひとりもおらず、受験者は全員遠征に参加することに正式決定したのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

遠征艇居残り組の修と千佳にも同様に自分自身で参加を決めるように忍田に言われていたのだが、このふたりに関しては少々事情が違うようである。

千佳は近界(ネイバーフッド)へ行くだけでなく生還することを含めて自信がついて納得した上で参加することに決めたが、修はそんな彼女の姿を見ていて逆に自信を失ってしまったようなのだ。

千佳はこの短期間でボーダー隊員としての戦闘技術だけでなく精神的にも成長が目覚ましいと修の目にはそう映った。

一方自分自身は伸び悩んでいて「千佳を守る」という麟児から課せられた使命を果たすことができるのか不安で胸が押しつぶされそうになっている。

なにしろ修はアフトクラトルで戦うことに自信がないのだ。

彼が今までやってきたのはすべて「B級ランク戦で勝って遠征に参加する資格を得る」ための努力でしかなく、ならばその資格に相応しい実力を伴っているかと問われたら答えに窮する。

それが同じように努力してきた千佳は遠征に参加する本隊メンバーのために十分な後方支援ができるようになっていて、修はそんな彼女を守れるほどの力がないと考えてしまう。

千佳は一緒に戦う仲間であり、すでに同等の存在になっているというのに、彼は未だに千佳のことを「仲間」ではなく自分が守るべき「弱き存在」として見てしまうからここで悩んでしまうのだ。

たしかに千佳の見た目は年齢の14歳よりもはるかに年少に見えるし、ずっと「自分が守らなければいけない」と考えてきたのだから無理もないのだが、ボーダー隊員であるなら人を撃てなくてはいけないという問題を解決した以上は一人前の防衛隊員である。

いつまでも守ってやらなければならない弱い少女ではなく、今では弱い市民を守ることのできる立場にあるのだから、修が守ってやるという考え方はおかしい。

千佳を大事に思う気持ちはわかるが、いつまでも保護者の立場にいるから自分よりも成長した彼女にどう接するべきかわからなくなるわけだ。

単純に彼女を守るべき対象から一緒に戦う仲間であると考えればいいだけのことなのだが、それが今の修にはできずにいる。

 

ここで修は大きな思い違いをしている。

麟児が鳩原たちと共に近界(ネイバーフッド)へ密航してしまった事件の直後、修に届いたメールには「千佳のそばにいてやってくれ」と書かれていた。

そして麟児が失踪して泣いている千佳の姿を見て、己の無力に対する憤りからボーダーへの入隊を決意した。

しかし麟児は修に「千佳を守れ」とは言っていない。

千佳は過去に何度もトリオン兵(ネイバー)に狙われていたから、修は自分がボーダー隊員になって彼女を守ってやらなければという考えを持ってしまった。

その思いが強すぎるために「そばにいて見守ってやる」だけでいいことを「近界民(ネイバー)から守る」ことに置き換えてしまい、それが絶対的な命題になってしまっていたわけだ。

それが高じてB級ランク戦でも千佳に危険が及ばないように極力危ないマネをさせないようにし、得点のチャンスであってもそれを捨てて彼女の安全を優先していた。

千佳に対する修の思い込みと過保護が自分の中に矛盾を生んでしまったのだから、そこを解決しなければ修はいつまでも同じところをぐるぐると回って前に進むことはできないだろう。

修が千佳を守るだけの実力を身に付けたという自信があったなら何も悩むことはなかったのだが、昨年の5月に入隊して1年の半分を無駄に過ごしていた彼には無理なこと。

おまけに修自身が千佳に対する認識を改めれば済むことだがそれが非常に難しく、誰かがきっかけを与えなければ気付きそうにもない。

そのきっかけを与えられそうな人物はひとりいるのだが、()はチームメイトの修がそんなことで悩んでいるとは知らずに影浦や村上といったライバルたちとランク戦ブースで個人(ソロ)戦の真っ最中。

 

この時、修が遠征参加の意思を明らかにするタイムリミットの一四〇〇時まで1時間を切っていた。

 

 

 

 

本部基地の食堂で昼食を済ませた修はまだ悩んでいた。

彼が今回のアフトクラトル遠征に参加したいという理由は遊真とレプリカを再会させるためなのだが、本来の遠征の目的は「さらわれたC級隊員を救出する」ことである。

修は記者会見場で自らそう公言したのだからそれが最優先の目的でなければいけないというのに、遠征に参加するという「手段」が目的となってしまっていた。

彼には近界(ネイバーフッド)への興味や近界民(ネイバー)への恨みなどなく、そもそも部隊(チーム)を組んだのも千佳と一緒に近界(ネイバーフッド)へ行くことと、遊真に生きる目的を与えるためであった。

しかし千佳の近界(ネイバーフッド)へ行きたいという願いは叶ってワンステップ前に踏み出せたのだし、遊真もボーダー内に友人ができて毎日が楽しそうだ。

そして修は遠征に参加する資格を得たのだから目的はすべて果たされたようなものなのだから、もう彼が悩んだり迷ったりする理由はないはず。

仲間たちと一緒に近界(ネイバーフッド)へ行くことができるようになったことを素直に喜べないのは、やはり千佳を守る自信がないからなのだ。

 

 

修が食器を返却口まで運んで食堂を出ようとしたところで入れ替わりに嵐山隊のメンバーが入って来た。

早朝からの市内巡回を終えて遅い昼食をしようということらしい。

修は嵐山たちに一礼して通り過ぎようとしたところ、嵐山の方から修に声をかけた。

 

「三雲くん、遠征参加が決まったそうだね。おめでとう」

 

詳しい事情を知らない嵐山は修も午前中の最終試験を受けたと思っていて、全員合格という話を聞いていただけだから修も合格して参加が正式決定したと思い込んでいたのだ。

 

「あ、ありがとうございます…。でもぼくは本隊ではなく千佳や非戦闘員の人たちと一緒に遠征艇に残って留守番をするんです」

 

「そうだったのか。でも遠征には行くんだよな?」

 

「そのことなんですが…」

 

嵐山隊にはB級ランク戦の際にいろいろと協力してもらっていて恩があり、いずれわかることだからということで事情を説明することにした。

試験官からは合格判定が出ても最終的には自分自身で行くかどうか決めろと言われていて判断できずにいるということと、自分が千佳を守ることができるのかが不安であるということを話した。

 

「なるほど…。それできみは悩んでいるということなのか」

 

嵐山は修の話を真剣に聞いてくれて、何か知恵を貸そうとしてくれているようだ。

一緒にいる時枝、佐鳥、綾辻も話を聞いてくれていたようだが、木虎だけが少し様子が違う。

バカバカしいといった感じで、嵐山に声をかけた。

 

「嵐山先輩、そんなくだらないことに付き合っていないで早く食事を済ませましょう。このあと広報の仕事があるんですから」

 

木虎の「くだらない」という言葉に修が反応した。

 

「くだらないとは何だよ。ぼくは本気で悩んでいるんだ」

 

すると木虎も言い返す。

 

「くだらないからくだらないって言ったのよ。あなたには遠征に行くだけの実力もないのに行きたいだなんて言い出して、それで行けるとわかったら今度は自分に自信がないって悩むなんて馬鹿げているわ。だいたい最初からあなたが近界(ネイバーフッド)へ行くなんて無謀なことだもの。本隊に加わったって他の人の足を引っ張るだけ。遠征艇の居残り組だとしても近界(ネイバーフッド)へ行けるんだからそれで十分じゃない」

 

「木虎、それは言い過ぎじゃないのか?」

 

嵐山が木虎を諌めるが、彼女は平然と続けた。

 

「何を言っているんですか! 彼はまだ遠征に参加できるレベルではないことは明らかで、それでも彼の意思を尊重して参加させようとした結果が本隊ではなく遠征艇の居残り組だということです。それに不満があるのではなく、不安があるって…。おまけに『ぼくには千佳を守りきる自信がない』ですって? 彼女はあなたになんて守ってもらわなくても大丈夫だと思うわ。遠征参加の資格を得た上に自分自身で行くと決められるくらいなんだから、あなたよりもずっと立派なボーダー隊員じゃないの」

 

「……」

 

「彼女がまだ民間人だった時に近界民(ネイバー)に狙われているから守ってやらなければいけないとあなたは考えてボーダーに入隊したという話は聞いて知っているけど、今は彼女もボーダー隊員なのよ。いつまでもあなたに守られている弱い人間じゃないわ。あなたはいつまで保護者気取りでいるのかしら? 一緒に戦えるようになった彼女に対してまだ守ってやらなければなんて上から目線で言えるなんてどれだけ図太い神経なの?」

 

「……」

 

「それに自信がないって言うのはあなたがこれまでにやってきたことが全部B級ランク戦に勝つためのことだからよ。以前に嵐山隊(私たち)射手(シューター)の技術を教えてもらいに来た時に『ひとりでも点をとれる方法』が知りたいと言って嵐山さんに稽古してもらったり、『目標は今期の遠征部隊に入ること』だって言うから私がスパイダーの使い方を教えてあげたことを覚えているわよね?」

 

「ああ…」

 

「だから私たちは()()()()()()()()()()()()を教えてあなたはそれを覚えた。でもそれで勝てるようになったものだから自分たちが強くなったって思い込んでいたでしょ? たしかにランク戦は実戦に向けての訓練を兼ねているけど、そこで覚えた技が実戦で使えないことも多い。それがなぜかわかる?」

 

「それは…」

 

「わかってはいるみたいね。そう、ランク戦と実戦では戦う目的が違うからよ。B級ランク戦で玉狛第2が2位になれたのはルールがあるおかげ。ひとり倒せば1点取れるというもので、得点が多い部隊(チーム)が勝ちとなる。どの部隊(チーム)も1点でも多く得点したいからそこに罠があるとわかっていても飛び込んで行くしかない。だからあなたのワイヤー陣は効果を生んだ。でも実戦では違う。だって実戦は決まったルールの中で行う点取りゲームじゃないから。大規模侵攻の時のことを思い出してみなさい。とにかく市民への被害を抑えることとC級隊員をさらわれないようにと考えて戦ったはずよ。そして最終的には奴らを近界(ネイバーフッド)へ追い返すということで終わらせた。おかげで市民には犠牲者は出ずに済んだけど、ランク戦だったら最後まで戦って敵を全部倒さなければ点取りゲームとしては勝てたとは言えない。いえ、別の言い方をすればランク戦では全滅してしまってもそれまでに多くの得点をしていれば勝つことは可能だけど、実戦では全滅してしまったら負けになるのよ。それに大規模侵攻の時にあなたがスパイダーを使えたところで何か効果を出せたと思う? あなたの張った罠で効果が出るのは敵がその罠に飛び込んで来てくれるのが前提で、無視されたら何の意味もないんだから」

 

「……」

 

「あなたは自分が弱い人間でボーダー隊員としては未熟であることを自分自身で認めている。この遠征に関する訓練や試験で思い知らされたはずだから。だったら今の自分に何ができて何をすべきかもわかるはずで、ここでまた誰かに答えを与えられてそれで問題を解決したような気になってはいけないわ。忍田本部長が自分自身で答えを出せって言った意味はそういうことなんじゃないかしら」

 

「……」

 

「だいたい今回のアフトクラトル遠征はC級隊員の救出が目的であって近界民(ネイバー)の殲滅を目指しているわけじゃない。あなたは戦力としてでなく他の面でサポートできるようになればいいのよ。本隊のメンバーだってあなたのことを戦力として期待してるわけじゃないんだから、せめて他の隊員たちが全力を尽くして自分に与えられた役目を無事に遂行できるように縁の下から支えるくらいのことはしなさい。誰もあなたを遠征部隊から外せと言わないのは、あなたにしかできないことがあってそれを期待しているからだと思うわ」

 

一方的に言いたいことを言う木虎。

その様子をそばで見ていた嵐山たちはあっけにとられて見ているだけだ。

 

「木虎、今日はいつも以上に三雲くんに対して厳しいな」

 

時枝が代表して感想を言う。

 

「時枝先輩、私は当たり前のことを言っているだけです。それに遠征部隊に入るという目標のために必死になって訓練をして、やっとその目標に手が届いたというのに、この期に及んで『ぼくはどうしたらいいんでしょうか?』みたいな態度で辛気臭い顔をしているからイライラするんですよ。後輩の悩みごとに相談に乗ってやるという先輩たちの姿勢は好ましいと思いますが、自分で答えを出さなければいけない問題にまで手助けしようとするのはダメだと思います。三雲くんの()()()()は本人に解決させなければ意味のないことなんですから。…さあ、彼のことなんて放っておいてさっさと行きましょう」

 

木虎はそう言い残すとひとりで食券の自動販売機のある一角へと歩いて行ってしまった。

その姿を目で追う修。

そんな彼に嵐山が声をかけた。

 

「木虎は厳しいことを言っているが悪気はないんだ、許してやってくれ」

 

「いえ、彼女の言うことはもっともです。ぼくが意気地なしで大事なことを自分自身で決められずにウジウジしていたからいけないんです。それにぼくが彼女のようにボーダー隊員としての実力とプライドを持っていたら、こんなことで悩んだりはしないはずなんです。これまで遠征に参加するための努力しかしてこなかったから実戦で戦えるかどうか不安になり、そんな弱い自分が千佳を守りきることなんてできないんじゃないかって…」

 

「……」

 

「でも木虎に言われて目が覚めました。誰もぼくを遠征部隊から外せと言わないのが、ぼくにしかできないことがあってそれを期待しているからなら、ぼくはその期待に応えられるようにできることを探してそれを精一杯やろうと思います。たしかにこの遠征に非戦闘員のオペレーターのみなさんが参加しているのも戦闘員だけが重要だというのではなく、直接戦うことはできなくても任務遂行に必要な仕事があるからです。そんな後方支援でぼくにできることがあればそれをやることで参加してもいいんじゃないかって思えてきました。もちろんぼくは防衛隊員のひとりですからいざとなれば全力で戦いますけど、それ以上に役に立てるようやってみます」

 

「つまり遠征に参加すると言うんだな?」

 

「はい!」

 

「そうか。きみが自分自身でそう決めたならそれでいいと思う。おれたちは遠征に参加しないが、きみたち遠征部隊が三門市のことを心配せずに任務遂行できるように努めることが役目だと信じて全力を投じるつもりだ。だから安心して行ってくるといい」

 

「ありがとうございます」

 

修はそう言って嵐山たちに深く頭を下げて礼をすると、続いて木虎を追いかけて行く。

 

「木虎、待ってくれ」

 

名を呼ばれて振り返る木虎は怪訝そうな顔で修を見た。

 

「何か用?」

 

「さっきはありがとう。やっと自分で答えが出せたよ。それもきみのおかげだ」

 

「別に私はあなたのために何かしてあげたという意識はないわよ。ただもう二度と私の目の前でみっともない姿を見せないでっていう警告のようなもの。…まあ、それであなたに良い影響を与えたというのなら感謝してくれてもいいけど」

 

「うん、感謝しているよ。じゃあ、これから忍田本部長のところに行って報告してくる」

 

修は嬉しそうな顔でそう言い残すと走って食堂を出て行き、そんな彼と入れ替わりに木虎の元へ嵐山たちがやって来た。

 

「なんだかんだって言いながら、結局のところ三雲くんには木虎のサジェストが一番効果あるんだよな」

 

ニコニコしながら言う嵐山に木虎は呆れたように言う。

 

「私はそんなつもりで言っているわけではありません。ただ受け取り側がそう感じて意味のあるものにできればそれでいいんじゃありませんか。私には関係ないことですけど」

 

「木虎は自分にも厳しいけど、三雲くんのこととなるとさらに厳しいよな~。もしかして気があるとか?」

 

佐鳥が調子に乗って言うと、木虎の氷のような冷たくて鋭い視線と言葉が彼の胸を貫いた。

 

「佐鳥先輩、『口は災いのもと』って言葉、知ってます? ご存知ないようでしたら私がこれからその身体に教え込んであげますけど、いかがですか?」

 

「いえ…遠慮します」

 

佐鳥はそう言って嵐山の陰に隠れた。

 

 

 

 

締切時間ギリギリになって修は忍田に遠征に参加する旨を報告したことでアフトクラトル遠征参加メンバーが正式決定し、翌日の記者会見に向けての準備が始まった。

 

 

 

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