ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

338 / 721
319話

 

 

遠征部隊本隊のメンバーはまたもや()()()()()()()()()()()に陥ってしまった。

土地勘がなく敵地であるというフィールドで、敵本拠地への潜入、C級隊員を脱出させて城外へと連れ出し、最終的には遠征艇まで護衛しながら帰還するという「これまでに誰もやったことのないミッション」を一から考えて成功させなければならないのだから戸惑うのも無理はない。

しかし別働隊が調べ上げた情報が提示されているのだから材料はあるのだし、東という優秀で上司や同僚・後輩からも信頼されている指揮官がいるのだからそう難しいとは思えない…と誰もが考える。

東なら自分たちと同じ立場であり、一緒に戦闘訓練を積み重ねてきたのだから自分たちの気持ちも理解できるはずで、ツグミの考えた作戦よりも()()()()()()()()()()作戦を考えてくれるだろうという安心感もあり、場に混乱は見られない。

ただひとりだけ不安を抱えていて困惑している人間がいた。

もちろん東春秋、その人である。

いくら彼が戦史を勉強していて戦術面に明るいとはいえ、彼にとっても生まれて初めてのミッションであるから仲間をまとめて成功をさせる作戦を組み立てる自信などないのだ。

 

(経験がないのは霧科も同じことだ。それなのに彼女は自分で情報を集めてもっとも成功率が高いと思われる作戦を編み出した。たぶん彼女はこの短い期間にいくつもの作戦を考え、その中で想定外の事態を想定して頭の中で何回もシミュレーションを行ったはず。それと同じことを短時間で俺にやれというのは酷というものだぞ)

 

東は頭を抱えてしまう。

しかしC級救出作戦は可及的速やかに行わなければならないことで、まずは別働隊の集めた情報を整理することから始めた。

 

「忍田さん、霧科の資料を見せてください」

 

忍田から受け取った資料をひと目見て東は驚いて苦笑する。

 

(霧科らしいな…)

 

几帳面な文字で書かれた城郭都市で得た情報がA4サイズのレポート用紙3枚にまとめられていて、さらに市街地の詳細な地図が添付されている。

それはかつて東がツグミや月見に戦術を教えていた頃、彼が生徒たちに課題を与える時の資料に酷似していた。

 

(つまり俺にこの資料を見て今回のミッションを成功させるという課題をクリアしろと言いたいんだな。いいだろう、やってみようじゃないか)

 

ツグミの報告書には城郭都市のどこにどのようなものがあるのかを自分の足で歩いて調べ、白地図に詳しく書き込まれていた。

そして幼年学校の学生寮に射手(シューター)銃手(ガンナー)狙撃手(スナイパー)が18人、攻撃手(アタッカー)14人はヴィザの屋敷のすぐ近くの民家で生活していることや、ランバネインが城を出て北エリアの民家に住んでいることなど、自身で確認した事実と伝聞であることを分けて明確に書かれている。

 

(キオンの諜報員からレクチャーを受け、現地の協力者がいたとはいえ、素人の彼女が短期間でここまでやるとは驚きだ。おまけに現地の少女に化けて警戒の厳しい幼年学校に潜入して脱出経路まで探し出しているとは…。たしかにこの地下道を使って城外へ出ることによって目撃される恐れはなくなるな。地下道があることは事前に知っていたとしても、その出入り口を見付けるのはそう簡単なことではない。彼女の強化視覚(サイドエフェクト)が成せる技…いや、そんな能力を持っていたとしても想像力がなければ手掛かりを掴むこともできずに見当違いな場所を探し回るだろう。さすがだな、霧科)

 

弟子の成長に目を細める東だが、その弟子に挑戦状を叩きつけられたようなものである。

さっそく与えられた情報を元に頭の中でプランを組み立て始めた。

 

(現地の協力者の話によると敵は最大で大規模侵攻とほぼ同数のトリオン兵を投入できるらしい。これは本人が確認したわけではないが信用できる情報だとして彼女も計算に入れている。たしかにあの規模のトリオン兵を全部動かすことはなかろうが、この他に少なくとも例の(ブラック)トリガーが3人と俺たちが戦った雷の羽(ケリードーン)の使い手がいて、さらにノーマルトリガー使いと一般兵を合わせれば人型は50人以上いるらしい。これではいくら市街地戦に持ち込んだところで多勢に無勢。霧科が戦闘を避けたいと考えるのも無理はないな)

 

仮に市街地戦に持ち込んで周囲の被害を無視した条件で戦うとしても、最終的には遠征艇までC級隊員を避難させなければならないのは変わらない。

ならば市街地で戦って人型の大多数を減らせたとしてもボーダー側の被害がゼロというわけにはいかないだろう。

戦闘体を破壊された時点で戦うことができなくなるどころかC級隊員たちと同じ「守られる側の存在」になってしまうわけで、戦闘を続行できる隊員たちの負担が大きくなるばかりだ。

 

(城外に出ることができてもそこから5000メートル以上走って逃げなければならず、城外なら敵は大型のトリオン兵をどんどん投入できる。最終試験ではシステムの都合上3匹までしか出せなかったが、ここではそんなことにはならず100や200のモールモッドやバンダーなどが一斉に襲ってくるわけだ。C級や換装の解けたメンバーを守りながらそれらと戦うとなればかなりキツイ。こっちは全戦力を投入していて援軍はないのだからな)

 

援軍を期待できず現状の戦力で耐え忍ばなければならないのだが、戦闘が進めば単に戦力が減るだけでなく身を守る手段すらない生身の仲間を守らなければならないという点が一番の弱みとなる。

仮に戦闘不能となった際に緊急脱出(ベイルアウト)できたとしてもC級隊員を置き去りにすることとなり、本来のC級隊員救出が失敗となってしまう。

ツグミがアフトクラトルでの戦いにおいて緊急脱出(ベイルアウト)ができないことを強調していたのは遠征艇の場所がバレてしまうのはもちろんのこと、C級隊員を残して緊急脱出(ベイルアウト)されてしまっては身も蓋もないからである。

 

敵の情報を知れば知るほどC級隊員救出というミッションがいかに難しいものなのかがわかってくる。

 

(キオンやアフトの協力者がいなければ霧科だってこれだけの情報を集めることができなかったはずだ。本来なら俺たちが情報収集から始めなければならないことだった。彼女がトリオン体の容姿と服装を現地の人間に似せたものを用意させ、常にバッグワームを起動したままでも違和感なく街の中に溶け込めるようにしたのは俺たち本隊メンバーにC級の居場所や敵の様子などを調査させるつもりだったからだと迅は言っていた。当初は本隊だけで遠征を成功させなければいけないことだったが、協力者の出現によって別働隊を編成することができ、俺たちの仕事をだいぶ減らしてくれたことになる。…実際に俺たちが城郭都市内に上手く潜入できたとしても何から手をつけて良いのかまったくわからない上に、これだけ大勢の人間が長期間滞在すれば敵に存在がバレる確率は高い。今のところ敵は()()()()()()()()()ボーダーの遠征は計画の変更を余儀なくされたとガロプラの偽の報告によって油断をしている。それなのに俺たちの行動がバレたら敵は最大級の警戒をし、C級救出は今よりもずっと難しいものとなるだろう)

 

失敗は絶対に許されない非常に困難なミッションであることを改めて思い知らされ、東は難しい顔で頭を抱えてしまう。

 

(チャンスは一度だけ。それを逃せば次はもっと難易度の高いミッションになる。だから絶対に失敗はできないと彼女もわかっていて、最も成功率の高い作戦を立てたのだろうが、それと同じことを俺にやれと言うのは無理だ。いくら情報があっても俺はあの街の実情を知らない。彼女が何日も滞在して見聞きした経験という重要な要素を俺は持っていないんだからな。…いや、逆に何も知らないからこそ民間人を巻き込んだ戦闘ができるのだと彼女は言いたかったのかもしれない。彼女は俺たちに人殺しをさせたくはないと強く訴えていたが、本隊(俺たち)の総意が民間人の犠牲は仕方がないこととして戦うというのならそれもやむなしと…)

 

ツグミは自分の正義を信じて行動しているが、それを他人に強引に押し付けたりはしない。

ただきちんと説明をし、相手に考える時間を与えるという手順は踏むものの、彼女の思いどおりになるよう誘導していて最終的には「自分の意思でそう判断した」と思わせるのが得意なのである。

だからツグミは本隊メンバーの中でも人望があり正しい判断のできる東に希望を託すのだが、それすらも彼女の策略のひとつで、彼女が考えた作戦を東が考えたものであるとすり替えることで「東さんの言うことだから信用できるし正しいに決まっている」と「自分の意思でそう判断した」と思い込ませる。

その結果、ツグミの作戦は実働部隊のメンバーが自分自身で判断をしたと形となって実行される…ということになるわけだ。

もし東がツグミの意思と別の考え方を持ってそれを他の人間に広めたとなれば彼女の思いどおりにはならないのだが、東が彼女のことを良く知っているように、彼女も東のことを良く知っている上での行動である。

 

(俺の思考パターンを熟知した上での丸投げか…。俺のことを信頼しているからこそできるのだろが、俺だって万能じゃない。異論が上がった場合、俺だけで押さえ込めるとは限らないだろ。…いや、そっちも既に手を打ってあるか。俺だけで手に負えない場合は木崎や風間、二宮が味方してくれるだろうし、なによりも迅が未来視(サイドエフェクト)云々言えば流れを変えるのは容易い。おまけに最終的には忍田さんの判断に委ねられているとなれば勝算はある。なかなかの策士だな)

 

ツグミから投げられたボールは東の手元にある。

それをどう投げ返すのかは彼の意思で、どのようなボールが返ってくるのかをツグミは待っているのだ。

 

(結果は同じであってもそれに至る道筋が大事だってことだよな。手のひらの上で踊らされるのは癪だが、この遠征を成功させるには多少のことには目を瞑ろう)

 

 

 

 

「みんな、作戦会議を再開するぞ!」

 

東の準備ができたということで、一時解散していたメンバーは再び同じ場所に集まった。

 

「別働隊が調べ上げた情報を元に俺も自分なりにいろいろ考えてみた。城郭都市内にいるC級隊員を脱出させるにはまず俺たちの誰かが彼らと連絡を取り合わなければならない。居場所はわかっていて、地図によるとこことここの2ヶ所だ」

 

東はツグミの資料を元に地図の2ヶ所に赤ペンで丸をつけた。

 

「こっちの攻撃手(アタッカー)組14人とは比較的楽に接触できるが、こっちの幼年学校の寮に住まわされている射手(シューター)銃手(ガンナー)狙撃手(スナイパー)の18人は俺たちでは潜入できない。霧科はこの学校の職員になることでC級隊員のひとりと連絡を取り合っているらしい。俺たちの中にはその役目のできる者はいないから、この点はどうしても彼女に頼むしかない。これは理解してもらえるな?」

 

「はい」

 

全員が頷いたり返事をするなどの反応をした。

いくらツグミのやり方が気に入らないといっても彼女の代わりができる人間がいないのだから仕方がない。

 

「C級隊員はそれぞれ東エリア、西と北のエリアの境にある建物で暮らしているわけで、城外へ出るためには4ヶ所の城門のどれかを出て行くしかない。しかし城門には常時トリガー使いの番人がおり、人の出入りは厳重にチェックされているからいくら変装をしたところで32人もの人間が一斉に出ていけば目立つどころか怪しまれない方がおかしいというもの。逆に少人数で出ようとすれば時間がかかってしまい、その間に俺たちの存在がバレる可能性が出てくる。この救出作戦は短期決戦が必須条件だ。ただし南門に限っては例外で、現地の協力者の管轄であるからそこを通ることは可能らしい。そうなるとそれぞれ別のエリアから南門までの間は市街地を抜けることになるが、敵に発見されやすくなる。俺たちは変身トリガーで現地の人間に似せた容姿をすることができてもC級たちは日本人顔のままだから目立ってしまうだろう」

 

東は続けた。

 

「霧科は城外へ出る手段として地下道を使うことを推奨している。この地下道は一部の限られた人間しか知らないもので、城内の主要な施設に出入り口が設置されていて幼年学校の敷地内と、攻撃手(アタッカー)組の住んでいる民家の近くにある礼拝堂の納棺室にそれぞれ出入り口があるそうだ。どちらも人目につく場所とは言い難いのだが、普段は人が立ち寄らない場所だから発見されたら面倒なことになるのは必至だ。そこでこの時期特有の霧に紛れて移動するのがベストで、地下道を使って南門を出るとしても決行は早朝から午前中という時間帯となる。これは決定だな」

 

聞いているメンバーは現地のことをまったく知らないでいるから、東の話すことは間違いないと信じている。

さらに早朝の霧については自身が経験しており、視程が十数メートルしかないことは敵に発見されにくいということでもあるから早朝決行案は賛成である。

しかし敵に発見されにくいのは良いが、慣れない土地の入り組んだ市街地を移動するとなれば迷ってしまう恐れがあるということ。

初めて足を踏み入れた街で地図を片手にウロウロしているとそのうちに霧が晴れてしまって身を隠すものがなくなり、敵に発見された段階で戦闘開始だ。

そうなったらたちまち激しい市街地戦となり、そのうちに自分たちが今どこにいるのかもわからない状態となって城外へ出るどころではなくなるだろう。

 

「地上を行く場合でも敵に発見されずに済めば俺たちだけでもC級隊員を城外へ連れ出すことはできる。ただし発見されたら城門が閉ざされてしまい外へ出るのが非常に難しくなるだろう。不可能だと言っても過言ではないな。一方、地下道を使用した場合は南門の南約500メートル地点までは敵に発見されずに済むだろうが、俺たちの中に地下道を案内できる者はいないから、地下道案を選ぶとなれば道案内は別働隊に頼むしかない。その点を覚えておいてもらって、次に移るぞ」

 

東は地図の南の耕作放棄地を指示棒で指した。

 

「この辺りまで逃げてくることができたらひと安心…と言いたいが、まだ気を抜いてはいけない。城壁から1000メートルも離れてしまえば狙撃手(スナイパー)による攻撃は届かないが、みんなが心配しているように大量のトリオン兵が行く手を阻むだろう。さらに人型が50人以上いるということだから圧倒的に不利な状況に追い込まれる。だから霧が晴れないうちに遠征艇まで戻らなければならないが、ぶっつけ本番では非常に難しい。しかしだからといってリハーサルができる状況でもない。すなわちきちんとした段取りができていなければどのような手段であっても成功は不可能だ」

 

「……」

 

「よってここにいるメンバー全員で必ず成功させることができる作戦を考えようじゃないか? みんな、忌憚のない意見をどんどん言ってくれ」

 

東はそう言うが、自分から意見を()()()ような人間は数名しかおらず、その数名も東が何を考えて仲間たちをどこへ導こうとしているのかを知っているから手を挙げることはない。

 

「東さん、いいですか?」

 

手を挙げたのは古寺であった。

 

「このC級救出作戦は大きく分けてふたつの方法があって、成功確率の高い方を選べばいいんですよね? やはり戦闘を避けるべきだと思うので、できるだけ敵に発見されにくい地下道案を支持します」

 

東はホワイトボードに「地下道使用」「地上移動」と書き、地下道使用の下に()()()の一画目を記入した。

地下道案に一票という意味だ。

続いて手を挙げたのは二宮だった。

 

「俺も地下道案に一票だ。面倒事は勘弁してもらいたいからな」

 

次々に地下道案へ票が入っていくが、当然のことながら地上案を支持する者も現れる。

 

「俺は地上案に票を入れる。戦うことになった時のことを考えれば市街地戦で人型を減らしておくべきだ。トリオン兵だけなら数が多くてもなんとかなるだろ」

 

そう言う三輪の意見に賛成をする者たちは頷いて手を挙げる。

たしかに戦闘を避けるのが難しいのであれば市街地戦で人型近界民(ネイバー)をできる限り減らしたいと考えるのは当然だ。

 

「人型を減らしたいという意見にはぼくも賛成だけど、C級を守りながらの市街地戦はけっこう厳しいと思う。敵の戦力を減らすことはできるだろうけど、こっちの戦力がどれだけ温存できるかわからない。ぼくはまだどっちが良いか判断はできないな」

 

菊地原が言う。

彼の言い分ももっともだから、一度手を挙げた者も腕を半分位まで下げてしまった。

 

「城の外で戦うとなればヴィザって爺さんの星の杖(オルガノン)が面倒なことになる。アレは周囲の物体をなぎ払うタイプの攻撃だから、狭い市街地では本領を発揮しにくいだろ。自分たちの街は壊したくないだろうから。そういうことでおれは地上案に賛成だ」

 

米屋は地上案を推すようだ。

ヴィザの星の杖(オルガノン)が非常に厄介であることは直接戦った遊真やレイジは身に染みている。

だからその性能を生かすのが難しい市街地戦でヴィザを倒しておけば城外へ出た時にだいぶ楽になるという考えは正しい。

しかしそれは倒せたらという仮定の話であり、さらに市街地戦でヴィザを投入しないという作戦もありうる。

それに気付いたのは奈良坂だった。

 

「俺は市街地戦で星の杖(オルガノン)は使わないと思う。陽介の言うように自分たちの住む街を破壊することは考えにくいからな。星の杖(オルガノン)がなくても敵には他にも卵の冠(アレクトール)窓の影(スピラスキア)といった(ブラック)トリガーがある。今の俺たちなら対抗策はあるが(ブラック)トリガー以外のトリガー使いの数が多すぎる。実働部隊は21人で、敵は50人以上。単純な数でいえば敵はこちらの倍以上いるということになる。城外で戦うのは不利かもしれないが、少なくとも地下道の出口までは敵に発見されないのだから、俺は地下道案に賛成票を入れる」

 

それぞれが自分の意見を言い、それを聞いた者はその意見について自分自身の考えと比べてみる。

そして自分の言葉で他の人間を説得しようとする。

それを繰り返していき、地下道案と地上案のどちらも一長一短があると気が付いたのだが、まだ「アフトクラトルの民間人に犠牲が出る可能性」についての発言はまだ出ていない。

 

(やはり無理か…。大規模侵攻では民間人にも被害が及んでいる。死者は出なかったものの負傷者は重軽傷合わせて90人。警戒区域内で戦ったにも関わらず民間人を巻き込むことになってしまった。もし市街地戦を行うならばアフトの民間人にも同様の被害は出ることは誰でもわかるはずなのに誰もそのことには触れない。気付いていないのか、あえて気付かないフリをしているのかわからないが、ハイレインたちのように目的達成のためなら無関係な人間が何人死のうとかまわないという考えで戦うようになってしまってはダメだ。俺はこいつらに敵味方に関わらず人の命を軽んずるような戦いをさせたくはない)

 

東がそんなことを考えていた時だった。

意外な人物から手が挙がったのだ。

 

「東さん、わたしにも言わせてもらってもいいですか?」

 

その場には遠征部隊のメンバー全員が集合しているわけだが、その一番後ろで遠慮がちに座っていた千佳が立ち上がって言ったのである。

すぐそばにいた修や遊真ですら彼女が自分からすすんで意見を言うとは想像もしておらず、驚いた顔で彼女を見上げていた。

 

「雨取か…いいぞ、遠慮なく何でも言ってみろ」

 

「はい」

 

千佳は意を決したかのように口を開いた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。