ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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今回からB級ランク戦が始まります。
そこで前もっていくつかご注意とお詫びを。

オリ主は毎回トリガーを入れ替えて勝負に臨みます。
普通はトリガーの入れ替えをすると不都合が生じるようですが、彼女はその点なんの問題もありません。
トリオンの量も平均よりかなり多いので、8枠すべて入れても大丈夫です。

オリ主が本部時代にA級特典で改造したトリガーが出てきます。

オリジナルのステージを考えてストーリーを組み立てました。
(Round3と4がオリジナルステージです)

原作で詳しい記載のない隊(常盤隊とか漆間隊など)は勝手に想像・解釈して登場させました。

隊員たちが見物する場所を『観覧室』、その上にある「玉狛第2の初戦の後、唐沢がタバコを吸いながら迅と話をしていた場所」「玉狛第2の第3戦を出水と二宮が見ていた場所」を『談話室』と表記しています。
(名称がわからなかったので。もしわかる方がいらしたら教えてください)

玉狛第2の試合もオリ主が少々関わっているのでダイジェストで書いてあります。

相変わらず文章は拙いですが、これらのことをお許しくださる方はどうぞご期待下さい。





B級ランク戦・Round1
37話


 

 

2月1日、B級ランク戦・新シーズン開幕。

初日の組合せは昼の部1(午前の部)が15位の松代隊、16位海老名隊、20位常盤隊で、昼の部2(午後の部)が17位の茶野隊、21位タイ玉狛第3(霧科隊)。

夜の部が18位吉里隊、19位間宮隊、そして21位タイ玉狛第2(三雲隊)である。

本来なら三つ巴か四つ巴戦になるのだが、新規参入の部隊(チーム)が2つあるために下位8部隊をいきなり四つ巴戦にするのは無理があるということになり、初戦のみ3-2-3という分け方となった。

こうなると隊員数の少ない玉狛第3と茶野隊が組まされるのは自然な流れだ。

そして注目されているのは新規参入の玉狛支部の2部隊(チーム)で、特に完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)の肩書きを持つツグミと、ランク外対戦でA級緑川を8-2で下した遊真のふたりのことが開始前から噂になっている。

ツグミのことを良く知る者はもちろん、知らない者も彼女の再デビュー戦を見ようと、観覧室は開始1時間前から席が埋まりつつあった。

 

 

 

 

ツグミが本部基地の廊下をひとりで歩いていると、前方から忍田が向かって歩いて来た。

 

「こんにちは、忍田本部長」

 

ツグミが挨拶すると、忍田は笑顔を返す。

 

「ああ、今日がランク戦の開幕日だったな。どうだ、自信は?」

 

「初戦で手間取っていては次に続きません。今日は()()()()本気で戦います」

 

「そうか…。では城戸さんたちと一緒におまえの戦いを楽しませてもらうよ」

 

「はい。では、失礼します」

 

ツグミは敬礼し、忍田もまた同様に敬礼して、ふたりはすれ違った。

 

 

本部所属の部隊(チーム)にはそれぞれ専用の作戦室があり、玉狛支部はランク戦のためにひと部屋間借りしている。

ランク戦を行うにはオペレーターが指示を出したり、緊急脱出(ベイルアウト)用のベッドを置く場所として必要なのだ。

そしてツグミが作戦室に入ると、そこには栞がいた。

 

「お待たせしてすみません、シオリさん」

 

「謝ることないよ。アタシは久しぶりのランク戦だからテンション上がっちゃって早く来ちゃっただけだから」

 

「わたしも同じです。昨日の夜から楽しみでなかなか寝つけませんでした」

 

「だよねー。で、ねえねえ、観客席見た? そうそうたる面々が集まってるよ」

 

栞はキーボードを操作して観覧室の様子をモニターに映し出した。

そこには太刀川隊の出水、風間隊の風間・歌川・菊地原、草壁隊の緑川、嵐山隊の嵐山・木虎・時枝・佐鳥、三輪隊の米屋・奈良坂・古寺といったA級の顔ぶれが揃っている。

さらにB級も彼女の師匠である東や荒船ら狙撃手(スナイパー)仲間の姿がある。

もちろん修・遊真・千佳の3人もベストポジションを確保していた。

 

「これじゃ無様な戦いをしたら総スカン食らいますね。だからというわけではありませが、いつもより気合入れていきます」

 

「うん。じゃ、最終確認しよっか」

 

ツグミと戦うのは茶野隊。

茶野隊は銃手(ガンナー)の茶野と藤沢がで同じトリガーセットで同時に攻撃を仕掛けるという特徴がある。

そしてツグミの()()()トリガーはメインにイーグレット、通常弾(アステロイド)、弧月、旋空、サブに通常弾(アステロイド)、シールド、弧月、旋空がセットしてある。

 

「トリガーはそれでいいのね?」

 

「はい。いちおうわたしは完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)。初日ですからトリガーも普通に全ポジション入れておきました」

 

「でも弧月の二本持ちってツグミちゃんとしては珍しいわね?」

 

「ちょっとやってみたいことがありまして。実行するかどうかはその時の条件次第ですけど」

 

「う~ん、見てみたいな。それで作戦は?」

 

「これといって特にはないです。でも今日はシオリさんに楽してもらえると思いますよ。のんびり観戦していてください」

 

「ほほぉ~、自信たっぷりだねぇ?」

 

「だって下位グループで苦戦していては先に進めませんよ。それよりも普通なら3-4人の部隊(チーム)が三つ巴とか四つ巴になるというのに、今回は1対2の合計3人。どうしたって盛り上がりに欠けてしまうんですよね…」

 

ツグミにとって茶野隊との試合はこれから始まる長くて苦しいB級ランク戦の初戦で、勝つのは当然であるから「いかに効率良く、また観客をあっと言わせるか」が重要となる。

 

「茶野隊の特徴は隊員ふたりが同じトリガーセットでの同時攻撃ですから転送直後の各個撃破が定番ですが、それじゃ全然面白くない。まあ、そこは工夫して盛り上げてみせます。それより夜の部の方が確実に盛り上がりそうですよね。ユーマくんとチカちゃんは本部でも有名人だし。オサムくんが出ないのはちょっと残念ですけど」

 

大規模侵攻の際の怪我で修はデビュー戦に参加できず、玉狛第2は人数や経験値の点で不利である。

しかしそれでも勝利は疑う余地はない。

 

そして昼の部2(午後の部)開始の時間となった。

 

 

◆◆◆

 

 

「ボーダーのみなさん、こんにちは! 海老名隊オペレーター武富桜子(たけとみさくらこ)です! B級ランク戦新シーズン開幕! 初日・午後の部を実況していきます!」

 

ハイテンションの桜子が初日・午後の部の開始を告げる。

 

「今シーズンはB級部隊(チーム)が22部隊(チーム)となり、上位7・中位7・下位8という分け方となりました。そこで下位8部隊(チーム)の第1戦目は特別に3-2-3と分け、3試合行われます。これから行われるのは茶野隊と新設部隊(チーム)玉狛第3の試合! 観客席のいたるところにA級隊員の姿も見受けられます」

 

観覧室のメインモニターに観客席の様子が映る。

A級隊員の姿が映るたびに、C級隊員たちは歓声を上げた。

それだけスター級の隊員がこの試合を見守っているということなのだ。

 

「本日の解説者は個人(ソロ)総合・攻撃手(アタッカー)1位の太刀川隊太刀川隊長と、元S級『ぼ〇ち揚食う?』でお馴染みの迅さんです!」

 

「「どうぞよろしくー」」

 

「…こう言ってはなんですが、下位グループであり2部隊(チーム)、戦闘員わずか3名というかなり地味な試合ですが、おふたりはこの試合の解説をしたいと自ら名乗り出てくださいました。いったいこの試合のどこにおふたりを惹きつけるものがあるというのでしょうか?」

 

「桜子ちゃんは知らないだろうけど、玉狛第3の霧科ツグミは2年前…きみが入隊する少し前まで本部で活躍していた元A級なんだぜ。それも旧東隊のメンバー」

 

迅の言葉に桜子が驚く。

 

「旧東隊の元A級!? …でもなんでそんな人が玉狛支部のB級に?」

 

「まあ、いろいろ事情があってな…。だが実力は間違いなくA級レベルで、ボーダーにふたりしかいない完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)。そして太刀川(こいつ)が負けるほどの実力者だからな」

 

そう言って迅は太刀川を指差す。

 

「太刀川さんが負ける…ってマジですか!?」

 

桜子だけでなく観客席のC級隊員たちも驚きざわめいた。

なにしろ太刀川の名は新入隊員ですら知っている。

その個人(ソロ)総合・攻撃手(アタッカー)ランク1位、A級1位部隊(チーム)の隊長という雲の上の存在だと思っているほどの人物を負かしたと言われてもにわかに信じがたい。

 

「ああ…この前、模擬戦で負けた。それも2試合連続で。まあ、こっちが油断していたというのもあるが、敗因は俺の慢心と無知だ」

 

太刀川本人が認めるのだから真実なのだろうと皆が納得し、ますますツグミへの興味が深まっていく。

 

「彼女はなかなか侮れない。なにしろ大規模侵攻ではイルガー2体撃墜(おと)した上に、ラービット7体を撃破。おまけに敵の(ブラック)トリガーふたりを手玉にとって特級戦功。すげえだろ?」

 

「本当ですか…!?」

 

桜子は慌ててツグミのプロフィールをメインモニターに映し出した。

そこにはツグミのバストアップの写真とポジション、誕生日や年齢といった個人情報が載っている。

やはりポジションの「完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)」という部分にインパクトがあり、彼女がひとり部隊(ワン・マン・アーミー)でランク戦に挑戦するという無茶ぶりにも皆が納得したようであった。

 

「するとおふたりはこの勝負、玉狛第3の勝利が確実だと考えていらっしゃるようですが、結果のわかっている試合の解説をなぜ引き受けてくださったのでしょうか?」

 

「そりゃツグミがどんな手を使って俺たちを楽しませてくれるかを特等席で見るためさ」

「それはツグミがどんな手段で俺たちを驚かせてくれるかをベスポジで見たいからに決まってるだろ」

 

迅と太刀川が同時に答えた。

久しぶりに公式戦に参加するツグミの戦いっぷりを楽しみにしているのは彼らだけではない。

観客席で試合開始を待っている彼女の顔馴染みの隊員たちも同じ気持ちなのだ。

 

「そ、そうなんですか…。…おっと、そうこうしているうちに隊員の転送がスタート!」

 

 

ツグミと茶野隊のふたりは『住宅地A』というごく普通のフィールドに転送された。

転送位置はツグミを中心として、南東300メートルに茶野、北西320メートルに藤沢がいるという位置関係だ。

 

「ちょうど霧科隊長を茶野隊長と藤沢隊員が挟み込んだ形だ! これは茶野隊ふたりが霧科隊長に逃げられないように両側から追い詰めていくのにちょうどいい! 茶野隊にとって非常に有利な布陣となりました! 茶野隊の必勝パターンは隊員ふたりの息の合った同時攻撃。いくら完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)といえど、ふたり同時に攻撃されれば両防御(フルガード)でも防ぎきれないぞ! さあ、どうする!?」

 

フィールドに目を向けると、ツグミは転送された先の民家の屋根の上で脚を投げ出して座っている。

 

(さて…どうしようかな? 茶野くんと藤沢くんはふたりともバッグワームでレーダーからロスト。でもふたりともここへ真っ直ぐに向かってきているから待ち受けていればいいんだけど…)

 

座って空を眺めているツグミの様子を見ていた桜子が怪訝そうな声で言う。

 

「どうした、霧科隊長? 転送された初期位置からまったく動かない! バッグワームも起動せず、屋根の上で日向ぼっこか!?」

 

茶野と藤沢がそれぞれツグミのいる場所に近付いてきた。

 

(うん、決めた! やっぱり()()をやろう、っと。()()はインパクトはあるものね)

 

ツグミは自分のいた民家の2階にある部屋の中へ飛び込んだ。

南側にベランダがあり、広さが8畳ほどの正方形。家具はなく、殺風景な部屋である。

窓はベランダ側にしかなく三方は壁となっていて、出入り口のドアは部屋の北西にある。

ここへは1階から階段を昇ってドアから、またはベランダ経由で窓から入るしかない。

ツグミは窓のカーテンを引くと、南側に頭を向けて中央でしゃがみ左右の弧月の柄に軽く手をかけた。

そして目を瞑る。

 

「おっと、霧科隊長は民家の中に逃げ込んだ!? しかしこれでは袋のネズミであり、茶野隊にとってますます有利な状況となっただけではないか!? これをどう見ますか、太刀川さん?」

 

「相手にとって有利な条件のように見えるが、実は彼女の好きな戦法なんだな、これは」

 

「もしかして罠を張って待ちかまえているとか? しかし何もしないでしゃがんでいるだけようですが…。迅さんは同じ玉狛支部の仲間ということで、彼女のことを良く知っていらっしゃるはず。こんなことで彼女は勝てると思いますか?」

 

迅はぼ〇ち揚をポリポリとかじりながら答えた。

 

「もちろん。まあ、見てなって。すぐに決着はつくから」

 

 

一方、フィールド内の茶野隊もツグミの行動に疑問を感じていた。

通信でふたりは相談をする。

 

[敵は姿を消さない上に転送地点からまったく動いていない。おかしいと思わないか?]

 

藤沢の考えに茶野も同意見だ。

 

[ああ。これは罠だな。オレたちをあの家の中に引き込んで何かしようっていうんだろ? 何かはわからないけど]

 

[だがこっちも近付かないかぎり攻撃ができない。行くしかないだろうな]

 

[オレたちはバッグワームを使ってるからレーダーでは位置がわからない。慎重に近付き、ふたり同時に両攻撃(フルアタック)を仕掛ける。いくら完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)だといっても両防御(フルガード)では反撃できないからな。ふたり分の火力で押し切れば勝てるはずだ。オレはベランダから窓越しに攻撃するから、おまえは階段使って行け。挟み討ちにする]

 

[了解]

 

茶野と藤沢の動きはツグミにとって理想的なものだった。

 

(…来た! 思ったとおりの素直な行動ね。まあ、この状況なら誰だって罠だと思いながらも近付いてくるしかない。なにしろ銃手(ガンナー)だからある程度は近付かないと攻撃できないし、レーダーだけじゃ正確な位置を確定できないから、目視で標的(ターゲット)を確認するしかないもの。…さて、そろそろかな?)

 

ツグミはじっと動かず、しゃがんだままで周囲の気配に注意を払う。

 

まず先に着いたのが茶野で、ツグミのいる民家のベランダの端に立っている。

それから十数秒後、藤沢が民家の玄関ドアをそっと開け、階段を昇ってドアの前で待機。

ふたりともバッグワーム展開中で足音も立てずに来たから、ツグミには気付かれていないと思い込んでいる。

 

[オレが合図したら一気に突入。両攻撃(フルアタック)をかける。いいな?]

 

[了解]

 

茶野と藤沢が打ち合わせを終え、茶野の合図でツグミに攻撃を仕掛ける準備は完了した。

 

[行くぞ、…3…2…1…]

 

「旋空弧月!」

 

茶野のカウントダウンが終わるか終わらないタイミングで、ツグミが弧月を抜いた。

彼女は両手に弧月を握り、()()()()敵ふたりに旋空を放つ。

すると彼女を中心とした半径約15メートルが一刀両断され、部屋に飛び込もうとしていた茶野と藤沢は建物ごと斬り裂かれてしまった。

旋空の起動時間は約1秒。

その短時間で一気にふたりを斬り捨ててしまった光景に観客たちは息をのむ。

 

「絶妙なタイミングで旋空弧月、出たー!! それも二刀流だ!! 茶野隊長、藤沢隊員、共に戦闘体活動限界で緊急脱出(ベイルアウト)! ここで決着! 生存点の2点を含め4得点! 玉狛第3、霧科隊の完全勝利です!!」

 

桜子が興奮して立ち上がり、ツグミの勝利を告げた。

観客たちは一瞬にして決まったツグミの勝利が信じられないという顔をしており、壁がなくなった民家の部屋の中央で弧月を握りながらすっくと立つ彼女の姿に見とれてしまっている。

 

「おっ、やっぱ決め手は旋空弧月か…。相変わらず()()()()()をしやがる」

 

太刀川の言葉に桜子が反応する。

 

「見せる戦い…ってどういうことですか?」

 

迅が太刀川の代わりに答える。

 

「彼女はランク戦や模擬戦で『いかに効率良く、また対戦相手や観客(ギャラリー)をあっと言わせるか』を考えて戦うという()()がある。彼女には対茶野隊の作戦はいくらでも思いつく。だがせっかく観客(ギャラリー)がいるのだから驚かせようってことで、今のように派手に旋空弧月で一気に勝負を決めたのさ。それも家の中で旋空弧月って、ランク戦だからこその戦法だ。放棄地区の家を壊すのさえ嫌がる彼女だから、実戦だったら絶対にそんなことをしないぜ。それに彼女は普段弧月はメインにしかセットしない。つまり初戦を派手に決めようと、メインとサブの両方に弧月と旋空をセットしておいた可能性が高い」

 

「すると格下の相手に対して余裕たっぷりで、本気は出していないってことですか?」

 

「いいや、彼女はいつでも本気だよ。相手を舐めてかかることは絶対にない。その上でのエンターテインメントだってことさ」

 

「なるほど…。しかし見事な旋空弧月でしたね?」

 

「そりゃそうさ。彼女の剣の師匠は忍田さんだからな」

 

太刀川がさらっと言う。

 

「おお、忍田本部長のお弟子さんですか。すると太刀川さんの同門、妹弟子ということですね?」

 

「いいや、違う。姉弟子だ」

 

「は? 姉…弟子、ですか?」

 

「そう。彼女は9年前、7歳の時に忍田さんの弟子になったから俺よりはるかに先輩なんだぜ」

 

「……」

 

ツグミが「ノーマルトリガー最強の使い手」を師匠と仰ぎ、攻撃手(アタッカー)ランク1位の太刀川が「姉弟子」と呼ぶ弧月使いだと知り、桜子は言葉を失った。

しかしすぐに自分の使命を思い出す。

 

「そ、それにしても絶妙なタイミングでしたね? 茶野隊のふたりはバッグワームでレーダーから姿が消えていたというのに、旋空弧月のタイミングはバッチリでした。どうやって茶野隊の接近を知ったのでしょうか?」

 

「そりゃアレだけ殺気出しまくっていたら俺だって気付くさ。なあ、迅?」

 

「ああ。モニター越しでもわかるような殺気出してたら絶対にバレるって」

 

戦闘のベテランになればなるほど敵の殺気に関して敏感になるものだ。

迅も当然だと言わんばかりの顔で答えた。

 

「どうやら霧科隊長のランク戦参加で今シーズンはいつにも増して波乱に満ちたものとなりそうです。…これでB級ランク戦初日。午後の部を終了いたします」

 

ツグミの初戦は観客たちに強烈な印象を残して終了したのだった。

 

 

 

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