ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

381 / 721
362話

 

 

「女王陛下は聡いお方だ。きっときみの気持ちは届くと思う」

 

神殿の廊下を歩きながらリベラートがツグミに言う。

 

「そうであってほしいものです。女王陛下は自分の人生のすべてを国に捧げ、王家に生まれたことを呪ったこともあるかもしれません。庶民とまではいかずとも王族でなければ自分が行きたいところに行くことも、食べたいものを食べることも自由にできたはずで、その気持ちは殿下もおわかりになると思います」

 

「ああ。私が王族でなければミリアムと結婚することもできたはずだし、彼女を(ブラック)トリガーにしてしまうこともなかったかもしれない。そう思うと王族とは特権と引き換えに個人の自由を犠牲にするしかない一族なのだな。その特権だってほしいものではなく、国民のためなどという高貴な義務に見合うほどのものでもない。むしろそんな特権など放り出し、今からでもいいから一庶民となって自由に生きられたらと強く願ってしまうよ」

 

「女王陛下の英断によってはまだできるかもしれませんから諦める必要はありません」

 

「どういうことだ?」

 

「この国の未来への道は大きく分けてふたつあります。わたしが条件付きで女王になるか、(マザー)トリガーの核を新しいものに変えてしまいそれを操作できる別の人間を探し出すかのふたつです。ですが本当はもうひとつ道があって、女王陛下がそれに気付きさえすればそれが最善の答えとなります。まさかわたしが一国の元首にそうしろと勧めることはできませんから言いませんでしたけど。そしてその3つ目の答えを選んだ時にはオーラクル家は王族ではなくなり、王族の権利は失いますが義務もなくなるというもの。ひとりの人間として自分の人生を生きることもできるようになるでしょう」

 

「まさか…!?」

 

「とにかくわたしにできるのはここまでで、後は当事者であるエウクラートンの人間が決めることです。どんな答えを出すのかわかりませんけど、聡明な女王陛下ならきっと誰もが幸せになれる道を選んで導いてくれることでしょう」

 

ツグミはそう言って微笑んだ。

 

リベラートはツグミの言う「3つ目の答え」について心当たりがあるらしく沈黙してしまった。

ツグミが女王に即位したとしても同じ結果となるが、その経緯が異なる。

そしてその経緯が重要なわけで、ツグミはこの「3つ目の答え」になるよう心から願っていた。

そうしないと彼女の人生設計が大きく狂ってしまうからで、忍田との約束を守るためにはどうしても必要なことなのである。

 

(真史叔父さんにはまだわたしがエウクラートン王家の人間だったって教えていないから、帰ったらそのことでものすごく叱られると思う。おまけにエウクラートンの女王にならなきゃいけなくなって、さらにそのためにはできるだけ早くジンさんと結婚しなきゃならないなんて言えば気絶どころか昇天しちゃいそう。大事なことを黙っていたことを叱られるのは仕方ないけど、女王にならずに済む道も残っていると報告したいものね)

 

ツグミにとって世界で一番好きな人との約束 ── 成人するまで「忍田ツグミ」でいる ── は絶対に守らなければならない。

たとえエウクラートンが滅びようともこれだけは譲れない()()で、女王が選んだ「答え」によっては女王継承問題も誰もが納得する形で解決するはずなのだ。

 

 

「ところで、午後から議会を開いてこの問題を審議することになっているのだが、きみにも出席してもらいたい。そしてその場できみがオーラクル王家の一員であり、私の孫であることを公表する。そしてその後に女王の継承についてとそれに関わるいくつかの条件の説明をしたい。もうこれ以上きみのことを隠し通すことはできないからな」

 

リベラートにとってはあまり公にしたくはない話だが、さすがに女王継承問題に関係するとなれば触れないで済ませることはできない。

 

「そうですね。議会での決議内容が女王陛下の意思決定にも影響するのですから仕方がありません。それにわたしもこの国の議会に興味がありますから見学したいと思っていましたし」

 

かつてエウクラートンは絶対君主制の国であった。

しかしそれははるか昔のことで、現在では国内各地の地方領主が議員となって国会が開かれるようになった。

国民が自分たちの代表として領主たちを中央へ送り出すのだが、選挙によって選ばれるものではない。

そもそも選挙というシステムがないのだ。

とはいえ自分たちの住む土地を収める領主を代表とするのは当然で、この点では民意が反映されていると言えるだろう。

国の運営に関して最も重要なのが(マザー)トリガーに関するものだが、どのような割合で抽出したトリオンを使うかについては1年に4回通常国会が行われてそこで話し合われる。

国土の維持等()()()()()()()()ものと国防等のその時に状況に合わせて増減するものの2種類あってその国会のたびに審議して決めるのだが、近隣の国々で戦争が起きれば国土の維持に費やす分から国防へトリオンを回さなければならないとして臨時国会が開かれる場合もある。

こうして国会で話し合われた「国民の総意」の結果に従って女王が(マザー)トリガーを操作するようになるのだが、最終的には女王に決定権があるために彼女自身が納得できなければいくら国民が望んでいるとしても聞き届けられないこともあるわけだ。

もちろん国会で決まったトリオン配分には合理的な理由があるのだから女王も無碍にはしないが、約20年前のキオンとの戦争の時には国防に回すトリオンの割合が国土の維持に使用するトリオンとほぼ同じになったという状況になり、一時期だが地面の力が衰えて作物が収穫できなくなってしまったという国の存亡に関わる事態となってしまった。

この時、女王はこのままでは国が滅びてしまうと考えて本人の判断で国防に関わるトリオンの割合を下げた。

そのことでキオンに攻め込まれ、ミリアムが(ブラック)トリガーになることで一旦キオンの大軍を退けることなったのだった。

重要なことは国会で審議されるものの最終判断は(マザー)トリガーを操作する女王であるから、女王の権限は非常に大きくて絶対である。

人口が100万にも満たない ── 近界(ネイバーフッド)ではそれが普通である ── とはいえ独立した国家の元首が私利私欲で(マザー)トリガーを使うことは許されない。

そして後継者問題によって不都合が生じたからといって彼女の意思()()で判断を下すこともできはしないのだ。

 

 

午後2時からの「臨時国会」に出席することになったツグミ。

彼女の祖母のミリアムも父のオリバもエウクラートンでは有名人であり、リベラートのたったひとりの孫で唯一の次期女王候補者となれば議会場が騒然となるのは目に見えている。

 

(他人からの注目を浴びて面倒事を負わされるという立場は願い下げだけど、王族の血筋を引くという()()は果たさなければならない。望んだわけじゃないけど誰だって生まれながらの運命から逃れることができないのは事実。本人には何の罪もないのに障害を持って生まれてしまった人だって苦労をしながらも頑張って生きているし、キオンで見た三等市民の人たちだって好きでその身分の生まれたわけじゃないけど精一杯生きている。わたしだって三門市で生まれ育ったのでなければ近界民(ネイバー)とは無関係な人生を送っていて自分の出自を一生知らずにいたかもしれないわけで、関わってしまった以上は逃げるのではなく立ち向かわなきゃ。それがわたしの願いを叶えるために必要なこととなればなおさらで今後のためにもしっかり見学させてもらうわ)

 

 

 

 

午前中はリヌスと一緒に遠征艇のためのトリオン抽出作業に携わり、昼食後に1時間ほど休憩してからリヌスと共に政庁の大会議場へと向かった。

 

「殿下、これがこの国の正装ということですけど、やっぱりわたしも着なければいけないんですか?」

 

「当然。王家の人間なのだからそれに相応しい身なりをしていなければ権威が保てない」

 

「たしかに第一印象は大事ですし、地方領主たちに侮られてしまうのは避けたいですけど…」

 

そう言ってツグミは窓ガラスに映る自分の姿を見てため息をついた。

彼女が着ているのは白地に金色と紺色の糸を使用した豪奢な刺繍のマーメイドドレスに同素材のローブ。

身体にフィットするデザインなので身体のラインが強調されてしまう上に、裾が床すれすれの長さなので歩くたびに踏んづけてしまいそうになる。

額には身分を示す(ぎょく)を使った金色のティアラが輝いて、彼女の玉は王家の人間であることを示す紺色で直径3センチほどの大きさがある。

玉といっても掘り出された鉱石を研磨したものではなくトリオンを美しい珠の姿にしたもので、高価なものではなくその色と大きさによってその人間の身分や職業を示すただの飾りだ。

ちなみに女王は同様のティアラに直径5センチくらいの紺色の玉が付いているものを着用し、リベラートは男性なのでスタンドカラーに直径3センチくらいの紺色の玉が付いているブローチを着けている。

エウクラートンでも王族の男性及び王族以外の貴族は玄界(ミデン)の中世ヨーロッパの貴族が着ていたような衣装だが、王族の女性に限ってはRPGで登場する神官や聖女のような()()()()()()()ものとなっていて、そういったものに馴染みのないツグミはゲームキャラのコスプレをさせられたような気分でいた。

唯一の救いは露出度が少ないことで、慣れないハイヒールを履いて足元に気を付けながらツルツルの廊下を歩いているのだった。

 

「格式とか伝統って大切なものだとは思いますが面倒ですよね。…それにしてもこんなサイズぴったりの衣装をいつ用意したんですか?」

 

「それは女王陛下が即位した時に着用したものだ。もう何十年も前になるが、若い頃の彼女は今のきみのように生き生きとしていた。その時にはこんな未来が訪れるなど想像もしていなかったからな。…さあ、無駄話はこれくらいにしておこう。会議に遅刻してしまうぞ」

 

リベラートに促され、ツグミは再び歩き始めた。

 

 

 

 

エウクラートンの「国会」は国内各地をそれぞれ治めている領主36人が()()()()となって行われる「一院制」で、他に有力貴族の中から選ばれた8人の大臣と議長を務めるリベラートの合計45人が一堂に会する。

会議場は地方自治体の本会議場などで見られる一般的なタイプで、中央に議長席があってその両側に大臣席、議長席の前に演壇、そしてそれらの席の向かい側に議員席がある。

ただし記者席や傍聴席はなく、議員の役目をする領主たちは世襲なので庶民が政治に参加するどころか議会で何が行われているのかを知る手段もないようだ。

しかし近界(ネイバーフッド)ではこれがごく普通のシステムなのである。

 

リベラートとツグミが会議場に到着した時にはすでに他のメンバーは全員着席していたが、緊急招集であるために場内はざわめいていた。

通常国会が半月前に終わったばかりであり、ここ数年緊急招集などなかったから不安になるのは無理もない。

そこにリベラートが王族しか着ることの許されない衣装を身にまとった見知らぬ少女を連れて来たのだから、一瞬にして場内は水を打ったようにしんと静まり返った。

そして議長席の隣に用意されていた椅子にツグミが軽く会釈してから腰掛け、リベラートも議長席に着席した。

 

「皆の者、緊急の招集をかけてすまなかった。しかし我が国の将来に関わる重要案件が発生したのだ。急ぎ審議をせねばならぬゆえに皆に来てもらった次第である。…まず皆が一番気になっていることから説明しよう」

 

そう言ってからリベラートはツグミを立たせて自分がその横に並んで立つ。

 

「彼女の名前はツグミ・オーラクル。単刀直入に言うと私の孫だ」

 

すると場内はざわめき立つ。

 

「静粛に! これでは詳しい話ができないではないか!」

 

リベラートに諫められた議員たちは再び口を閉じてツグミの顔に視線を向けた。

 

「公式には私に子はおらぬことになっているのだが、実は婚姻前にとある女性と交際しており、その女性にひとりの男児が生まれた。この事実は私自身が3ヶ月ほど前に知ったことで、それまで息子がいたことなどまったく知らずにいたのだ。そしてその息子の名はオリバで、玄界(ミデン)へ渡って現地の女性と結婚した。その娘がこのツグミである」

 

この場にオリバの名を知らない者はいないものだから、英雄の娘となれば否が応でも彼女に関心を抱いてしまう。

 

「かつて我々はキオンによる侵攻で危機的状況に陥ったが、その際に女王陛下はトリガー使いとして名を馳せていたオリバにミリアムの(ブラック)トリガーを託して他国へ落ち延びさせた。いつか必ず戻って来て国を救うという大役を担ってオリバは玄界(ミデン)へ向かったのだ。残念なことにオリバは二度とエウクラートンの地をその足で踏むこと叶わぬが、こうして娘を救国のために遣わしてくれたのだ」

 

すると場内は「おおぉぉぉっ!」と大歓声が上がる。

しかしリベラートはその歓声を鎮めてから言う。

 

「静粛にしたまえ、皆の者! ツグミはオリバの代わりにこの国へ帰って来たが、皆が考えているようなことはないのだ。彼女はトリガー使いではあるが、キオンと戦うためにミリアムの(ブラック)トリガーを携えて帰国したのではない。彼女はエウクラートンを救う救世主となるだろうが、それは戦争という手段ではなく話し合いによって近界(ネイバーフッド)の原理原則を変えようという壮大な目的のためなのである。…しかしその前に我が国が抱えている最も重要な問題に関して解決しなければならない。すべてはそれからのことだ」

 

英雄(オリバ)の娘が()()()(ブラック)トリガーを携えて帰国したのだからここでキオンと一戦交えて…と誰でも考えるものだ。

しかし武力ではなく話し合いで、さらに近界(ネイバーフッド)の原理原則を変えようというのだから議員たちは訳がわからないという顔になって椅子に座り直した。

 

「さて、では審議の前にツグミから挨拶をしてもらおう。なにしろ彼女は次期女王候補で、この後その女王の後継問題について話し合うのだからな。…ツグミ、ご挨拶を」

 

「はい」

 

ツグミは優雅な身のこなしで階段を下り、中央にある演壇まで行くと凛とした声を張り上げて挨拶をした。

 

「エウクラートンのみなさま、初めまして。ツグミ・オーラクルと申します。玄界(ミデン)で生まれ、16年間ずっと玄界(ミデン)の人間だと信じておりましたが、とある事件によってわたしの父がオリバであることが判明し非常に驚きました。そして以前にこの国を訪問した際に王家の血筋であることと、(マザー)トリガーを操作できることを確認しています。わたしにとってこの国は父や祖父母の故郷ですが、わたしにはまったく縁もゆかりもない国です。ですがだからといって女王の後継者がいないと聞けば黙って見過ごすことなどできません。ですのでわたしは玄界(ミデン)で生まれ育ったことを活かし、この国がこれまで以上に豊かで美しくすべての国民が幸せな生活を送ることができるよう努めたいと考えております。これから審議される内容はわたしがこの国の現状を知り、その上でできることを考えて準備をしてきたもので、わたしの理想を叶えるための第一歩となるはずです。…しかしたぶんみなさまにはすぐに賛同していただけるものではないと存じております。近界(ネイバーフッド)の詳しい事情も知らない小娘が何を言っているのだとお怒りになるかもしれませんが、だからといって諦める気はございませんので、まずはリベラート殿下のお話を聞き、この国のために何が最善の道であるかを良くお考えくださいませ」

 

挨拶と言うよりは挑戦状と称した方が相応しい物言いをしてツグミは自分の席に戻った。

ここからの彼女は議長や議員からの質問に答える以外は一切口出し無用で、会議場の一番高い場所から議会の様子を見物させてもらうだけである。

 

(そういえば小学校の社会科見学で三門市議会の様子を見たことがあったっけ…。あれは第一次侵攻の直前で、議題は市民プールの改修だった。でもそのすぐ後に近界民(ネイバー)が攻めて来て、改修どころか全壊してしまって今はまだ更地の状態。行方不明になった市民の救出作戦が本格的に始動するまでに5年もかかったけど、もう5年というかまだ5年というか…なんだか感慨深いな)

 

そんなことを考えている間に演壇にはリベラートの代理としてミルコが立ち、女王の容態について説明がされた。

場内はざわめくが、玄界(ミデン)から医師が派遣されて治療の目処が立っていることを説明すると安堵の表情を浮かべて静まった。

そしてそれに関連して女王の後継者の問題が発生し、これまでずっと不在だった次期女王候補としての資格を持つツグミの登場と、彼女が女王に即位するための条件の話になると議員たちだけでなく大臣たちも騒然とした。

これまで次期女王となる皇女がいないことは周知の事実であったものの、まだしばらく現女王が現役でいてくれるからと問題の先送りをしていたのだが、彼女が病に伏せっていたということを知り、次期女王候補不在というエウクラートンにとって最大の危機に直面していることを思い知らされたわけだ。

さらにその危機を救うのがツグミであり、おとなしく女王になれば問題は簡単に解決するというのに即位は条件付きであり、女王になったら自分の好きにさせろと言うのだから場内が混乱するのは当然である。

いくらキオンのテスタと密約ができていると言ってもにわかに信じることはできず、そもそも玄界(ミデン)の技術を導入して食料の増産やエネルギー改革の話をしても具体的な例を見てみなければ賛同しようがない。

だからといってこの場で証明する手段はなく、ツグミの提案はこのままだと却下される恐れもある。

しかし発言が許されていないものだから、彼女の方から何か言いたくても言えないでいて、議長席にいるリベラートに目で合図を送った。

それに気付いたリベラートは小さく咳払いをひとつしてから声を張り上げた。

 

「皆の者、静粛にしたまえ! 皆の気持ちや言いたいことはわかるが、ツグミの提案をそう足蹴にすることもなかろう。別に孫可愛さで言っているのではなく、実際に玄界(ミデン)の文明に触れたならば彼女の言っていることが夢物語ではないとわかるはずなのだ。しかし今ここでそれを証明する手段はない。そこでこれから政庁前の広場で玄界(ミデン)の優れた技術の一端を披露したいと思う。よって審議は一旦中断する。玄界(ミデン)の文明に興味のない者はここで休んでいてくれてかまわないが、見逃したことを後悔しても知らぬぞ」

 

リベラートは審議を中断し、ツグミを伴って会議場を出た。

そして廊下で控えていた従者に預けていたトランシーバーでツグミがリヌスに指示をする。

 

[政庁前広場で例のモノのデモンストレーションをします。お手数をおかけしますが準備をお願いします]

 

[了解]

 

リヌスとの打ち合わせはバッチリなのでこれだけで彼はツグミのやりたいことを100%遂行できるのだ。

 

「殿下、午前中の打ち合わせどおりにお願いします。近界民(ネイバー)のみなさんの中には玄界(ミデン)のことを非文明国だと考えている人もいるようですけど、トリオン至上主義の近界(ネイバーフッド)とは違った方向に進んでいるだけで劣っているわけではありません。玄界(ミデン)の人間から見れば近界(ネイバーフッド)の文化レベルは200年も300年も前のもので、トリオンがなければ何もできないし戦争ばかりやっている野蛮な世界ですよ。でもどちらが優れているとかいないとかは両方の世界を深く理解している人間でなければ正しい判断は下せません。わたしは玄界(ミデン)で生まれ育った人間ですから近界(ネイバーフッド)のことはまだ全然知りませんが、こうして知ろうと努力をしていてその中で玄界(ミデン)の優れている部分とそうでない部分、近界(ネイバーフッド)の優れている部分とそうでない部分は少しずつわかってきました。そしてそれぞれの優れた部分を取り入れることができたなら、お互いに今よりもっと豊かな暮らしができるようになるはずです。わたしがこの国の女王に就任するならその権力を利用して、女王にならずに済むのならこれまでのように近界(ネイバーフッド)玄界(ミデン)の文化交流をしたいと考えているんです。そのためにはまずこの国の人たちに玄界(ミデン)の文化について知ってもらわなければなりません。これはその第一段階です」

 

ツグミはそう言って自信満々の笑顔を見せた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。