ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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400話

 

 

ヒエムスへの調査隊が帰還したのは12月2日の朝であった。

出発時はレプリカを含めて6人だったが、遠征艇には他に成人の男女と3歳の少女が客人として乗っていて合計9人でボーダー本部基地内の中庭に到着した。

一同は忍田の指示で建物の中へと()()()移動し、調査隊メンバーは簡単な健康診断を受けて問題がないことを確認すると午後の報告会まで解散とし、近界(ネイバーフッド)からの来訪者3人については健康診断の後にゼノンを交えて詳細を聞かせてもらうことにする。

本部基地内で唐沢と打ち合わせをしていたツグミも急遽呼び出され、同席して話を聞くことになった。

 

 

「シノダ本部長、こちらの女性はあなた方のいう第一次侵攻でエクトスにさらわれた市民のひとりで、この男性とヒエムスで結婚をしたそうです。我々が調査をしている途中で偶然に知り合い、調査にも協力をしてくれました。そして家族3人での亡命を希望しているのでお連れした次第です」

 

ゼノンは客人をそう紹介した。

そして直接本人の口から話を聞くことになり、まずは女性が自己紹介から始める。

 

「わたしの名前は水戸涼花(みとすずか)といいます。三門市弓手町×-×に両親と双子の妹と一緒に住んでいて、さらわれた時は16歳。三門市立第一高校の1年生でした」

 

それを聞いた忍田はタブレット端末で第一次近界民(ネイバー)侵攻における行方不明者リストを開くと、そこに該当する人物を確認した。

水戸家の家族は両親の死亡が確認されていて、妹の彩花(あやか)は行方不明となっている。

 

「水戸涼花さんですね、行方不明者リストに載っていることを確認しました。それであなたのご両親のことですが…」

 

両親の死を本人に伝えなければならず、忍田はどう告げようかと悩んでいると涼花は悟ったような顔で彼に言った。

 

「わかっています。父と母はわたしと妹を守ろうとして命を落としました。わたしは妹と一緒に逃げましたが途中で離れ離れになってしまい、わたしはトリオン兵という怪物に捕まってしまったんです。それよりも妹…彩花はどうなりましたか?」

 

「妹さんは死亡者リストにはありませんので、あなたと同じく近界民(ネイバー)にさらわれたと判断しています」

 

「そうですか…。それならまだ希望はありますね。わたしみたいにどこかの国で生きているかもしれない。ボーダーの隊員の方に聞きましたが、みなさんは近界民(ネイバー)と戦ったりさらわれた市民を救出する活動をしているそうですね?」

 

「はい。現在は市民救出計画を進めている段階で、手始めに比較的近場でいくつかの情報を持つヒエムスに調査隊を送り出したのです」

 

「わたしの他に行方不明になっている人と死亡した方はどれくらいいるんですか?」

 

「行方不明者は約400人、死者は約1200人です」

 

「そんなに!? …でも、そうでしょうね。トリオン兵を倒そうとした自衛隊の戦闘機による爆撃で街は滅茶苦茶に破壊されてしまいましたし、いたるところで火事も起きていましたからトリオン兵にさらわれた人よりもそっちで死亡した人も大勢いるんじゃないかって思っていました。でも1000人以上も死亡したなんて…」

 

そう言って涼花は涙ぐんだ。

そんな彼女にツグミがハンカチを手渡すと、それを目に押し当てる。

涼花の言うように被害のほぼ半分はトリオン兵によるものではなく、自衛隊がトリオン兵を攻撃した際に破壊された建物の瓦礫による圧死が原因であった。

もちろんトリオン兵による建物破壊もあるが、もし自衛隊が反撃をしなければ被害はだいぶ抑えられたに違いないのだ。

トリオン兵には通常兵器の攻撃は通用しないことを知らない自衛隊は戦車や戦闘機による爆撃を行い、その結果トリオン兵にはまったく効果がなく街を破壊しただけで終わってしまったのだった。

トリオン兵によるトリオン器官の略奪で死亡した犠牲者の数と建物の倒壊による圧死の数はほぼ同数だということは民間人には公表されてはいない。

もしそんなことが知られたら自衛隊の責任が問われることとなり、すべてを近界民(ネイバー)のせいにすれば遺族の怒りの矛先は近界民(ネイバー)に向けられる。

実際、第一次近界民(ネイバー)侵攻後の三門市民の反応は「自衛隊の最新兵器ですら太刀打ちできなかったのだから仕方がない」と「ボーダーという謎の集団のおかげで命拾いをした」というのが大多数で、天災による被害と同じような感覚でいたのだ。

中にはボーダー隊員に対して「もっと早く出撃してくれたら被害を減らせた」と責める遺族もいたが、それは近界民(ネイバー)というどこにいるかわからない得体の知れないものではなく正体が判明している身近にいる存在へ憎しみを向ける方が楽であったからだ。

当人もそれが八つ当たりだと頭では理解はしていてもどうしようもなかったのだから誰が悪いというものでもない。

涙をこぼす涼花に忍田は言う。

 

「きみのご両親のご遺体は引き取り手がなかったということで同様の犠牲者の方と一緒に市民墓地で眠っている。後で案内しよう」

 

「…ありがとうございます」

 

その後は涼花の気持ちが収まるまで近界民(ネイバー)の男性から話を聞くことにした。

 

「オレはヒエムスのカルーロ、年齢は27歳だ。職業は鍛冶屋で、5年と少し前にスズカと結婚した。娘はリンダで4歳。さっきゼノンさんが言ったようにオレたち家族は玄界(ミデン)への亡命を希望している。それが叶うならどんな協力だって惜しまない。知っている情報はすべて話す。だからこの国で家族3人静かに暮らせるようにしてほしい」

 

カルーロはそう言って頭を下げた。

ゼノンの話によるとヒエムスは農業を主産業とした人口約30万人の国で、エクトスとは頻繁に交易をしている。

ヒエムス側からは食料、エクトス側からはトリガー使いとして即戦力となる人材や子供を産める若い女性を提供して交換をするいわゆる「物々交換」で、第一次近界民(ネイバー)侵攻でさらわれた三門市民のうちトリガー使いとして訓練された37人(男性36・女性1)及び一般人女性28人をヒエムスで1年間に生産された作物の半分と交換していた。

カルーロは比較的裕福で家族を養うことができるだけの十分な収入があったから、28人の女性の中にいた涼花を()()()のだそうだ。

()()は彼の収入の約1年分と高額であったが、ヒエムスでは結婚適齢期で未婚の女性と男性の比率が1:6であり、どうしても結婚したいともなればチャンスは金で買うしかなかったのだ。

5-6年くらい前にエクトスがヒエムスの宿敵であるレプトとも交易を始めたことが表面化して関係は悪化した。

しかしヒエムス側はレプトとの戦争に勝利すると次は第一次産業に関わる労働力の増加対策が最優先課題となり、エクトスと縁を切れないというジレンマを抱えているらしい。

ヒエムスも人身売買を肯定しているわけではないが、主産業の農業には多くの人員を導入しなければならないというのに出産可能な女性の数が圧倒的に少ないためにどうしても労働力を生む女性を他国から()()する必要がある。

子供が生まれても医療の知識や技術が未発達なために死なせてしまうという近界(ネイバーフッド)ではどこでも同様の悲劇が起きていて、この国も例外ではないのだ。

根本的な解決策が確立しなければ人間をさらう国とその人間を買う国がいつまで経ってもなくならない。

5年半前に三門市はエクトスによる大侵攻で被害を受けたが、現在ではボーダーの戦力で軍事大国アフトクラトルの侵攻を押し返すこともできるようになったからあの悲劇を二度と繰り返すことはないだろう。

ただし絶対にないとは言い切れないのだから、根本的な解決策 ── 敵性近界民(ネイバー)に二度と玄界(ミデン)の土を踏ませないことが重要だということになり、(ゲート)を閉じてしまってふたつの世界の行き来を完全に断つという道もある。

たぶん民間人はそれを歓迎するだろうが、近界民(ネイバー)がトリオンだけに依存する近界(ネイバーフッド)の原則を変えない限り近界民(ネイバー)の驚異は消し去ることは不可能だ。

人間の手によって開かれた(ゲート)だから同じく人間の手によって閉じることは可能であっても、(ゲート)を閉じたまま維持するのも人間であるから難しい。

資源の乏しい近界(ネイバーフッド)では欲しいものは他人から奪うという習慣があって、それが何百年も続いていた。

近界(ネイバーフッド)の国々だけで争っていた間はこちら側の世界に(ゲート)を開くことなどなかったが、玄界(ミデン)には大勢の人間がいてトリオンの概念がないと知ると三門市に(ゲート)を開いて人間を狩るようになった。

その方が自力で人口を増やすよりも効率良く()()()()()()()()()()()()()()()()とし、自らトリオン兵を仕向けてさらおうとする国もあれば、さらった玄界(ミデン)の人間を商品として売買するエクトスのような国が出現したわけだ。

もしボーダーが(ゲート)を閉じてしまったところで近界民(ネイバー)が「必要であれば奪う」という考え方を捨てない限りはトリオンやトリガーに関して数段レベルの高い近界民(ネイバー)によって再びこじ開けられてしまうのは目に見えている。

だからこそ近界民(ネイバー)たちにトリオン依存の考え方を改めさせなければならず、それができるのはボーダーという組織の中でも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ツグミとその強い意思に惹かれた人間たちだけだ。

忍田はカルーロの話を聞いていて気が付いた。

 

(そうか…織羽義兄さんや有吾さん、そして城戸さんたちが『近界(ネイバーフッド)玄界(ミデン)の友好の架け橋になる組織を作りたい』と言ってボーダーを立ち上げたのはお互い仲良くしようという単純なものではなく、近界(ネイバーフッド)及び近界民(ネイバー)の意識を改革することのが自分たちの役目だと考えていたからなのだろう。玄界(ミデン)の人間であった有吾さんが近界民(ネイバー)の織羽義兄さんと出会い、そこでふたりは自分たちの出会いの意味を考えて三門市へとやって来たに違いない。近界民(ネイバー)ではない我々だからできることを期待して、志半ばで倒れたふたりの願いはツグミに引き継がれていた。…いや、違うな。この子のことだから自分が理想とする未来への道が()()にも父親と同じものだったというだけなんだ。だから私や城戸さんが諦めてしまった道を自ら切り拓いて、しっかりとした足取りで進んでいる。いつまでも子供だと思っていたが、いつの間にか私よりもはるかに大人の考えを持つようになっていたらしいな…)

 

娘の成長を父親として喜びたいものの、それだけ巣立ちの日が近付いているという証拠で寂しくもある。

成人するまでは「忍田ツグミ」でいてくれると約束してくれたが、残りはあと3年。

その3年すら父娘らしい時間を過ごすことはこれまで以上に難しくなるだろう。

 

(いや、今はそんなことを考えている場合ではない! 拉致された市民が生還したことは喜ばしいことだが、これでおしまいではなくこれが始まりなのは確かだ。本人だけの帰還であれば問題はないが、現地で結婚して配偶者や子供がいる場合の受け入れについてはまだどうするか決めてはいない。過去に亡命を希望する近界民(ネイバー)の何人かを密かに受け入れているが、今回のようなケースは今後どれくらい発生するかわからない。敵対する意思はないのだから三門市民として受け入れることにボーダーとして異論はないといっても近界民(ネイバー)によって様々な被害を受けた市民にとっては快く受け入れられるものではない。ならばこの子はそれをどうやって…)

 

忍田はふとツグミの顔を見て、すぐにそれが自分に染み付いてしまった悪い癖だと気付いて首を横に振った。

 

(ダメだ! そうやっていつもこの子に頼ってしまう。この子には並の人間には想像もつかない奇策を弄して不可能を可能にしてしまう力がある。だから考えることをせずにこの子ならどんな策を提案してくれるのかと期待してしまうんだ。それではこの子が最も嫌う思考を停止した人間となってしまう)

 

ツグミに嫌われたくない忍田は猛省した。

そんな忍田の様子に気付く気配のないツグミはすでに近界民(ネイバー)の亡命希望者をどう扱うか考えていた。

 

(こういったケースの存在は想定内のこと。ヒエムスだけで28人もの女性が花嫁として売られたとなれば、彼女たちには配偶者と子供が存在する。単純に考えるとその数は28家族で、そのすべてが亡命を希望するかどうかはわからないけど、受け入れ態勢を整えていないとマズイってことは百も承知。家族を引き離すことはできないし、だからといって近界民(ネイバー)に対して抵抗のある三門市民には受け入れがたい。仮にボーダーや玄界(ミデン)にとって利益のある知識や技術を持っているとしたら役立つからと受け入れることに反対はしないとしても歓迎するということもない。受け入れたとしても肩身が狭い思いをしながらこの街で暮らしていくのは本人たちにとって不幸でしかないのだし、隠れて生きていくのも辛いだけ。さらわれた女性が近界民(ネイバー)男性と結婚させられるという話は出会いこそ不幸なものであっても今が幸せならそれでいいと思う。無理に引き離す方が残酷よ。何とかして丸く収まる手段を見付けなければいけないんだけど、人の感情を他人が思いどおりにコントロールできるものじゃない。…最適解はわかっている。だけど今はまだ無理。まだ実績が十分に積み上げられていないもの。ここで焦って強引に進めてしまえばこれまでの成果が台無しになってしまうんだから慎重に行動しないとね)

 

ツグミは「誰にとっても納得できる解決策」が頭に浮かんでいるもののそれは理想論であり、それをすぐに実行すれば解決どころか混乱が生じることも承知している。

したがって時間をかけて磐石な「信頼関係」を築かなければこれまでの苦労がすべて水の泡となってしまうため、ツグミはまだ迅や忍田、城戸にも話してはいなかった。

 

(それに他にも考えなきゃならないことはある。涼花さんのように生還したけど三門市に親類縁者のいない人を受け入れる体制がまだ整っていない。智史さんやアオバちゃんのように家族がいれば帰る場所はあるけど、涼花さんの場合はご両親が死んでしまって唯一の肉親である妹さんもまだ見付かっていない。市外に親戚がいればその人を頼るという手もあるけど、成人しているなら単身で暮らしていくことのできる援助をすべきだと思う。そうなるとボーダーの仕事の範疇を超えて三門市という行政にお願いすることになる。市民住宅は第一次侵攻の被害者でほぼ満室ってことだから、新たに建設をしてキャパを増やさなければならないとなると急いでもらわなきゃいけない。それに拉致被害者の雇用問題もあるし、救出するというところまではボーダーでできてもそれ以降は行政の仕事。怖い思いをしたからということで三門市を離れる人もある程度の数はいるだろうけど、ボーダーの存在によって安心して暮らせるとなれば慣れ親しんだこの街に住みたいと思うもの。こっちの準備は城戸司令経由で三門市にお願いしておかないといけないわね。雇用に関してはスポンサーになってくれている企業に依頼することにもなるだろうから、こっちは唐沢さんにも手を貸してもらわなきゃ)

 

ボーダーの仕事は近界民(ネイバー)にさらわれた市民を無事に連れ戻すこと()()で、そこから先は行政の仕事となる。

だから本来ならツグミがそんなことを心配する必要はないのだが、亡命を希望する近界民(ネイバー)がいるとなれば救出しただけで行政に丸投げすることはできない。

常に最悪の状況を考え、さらにその最悪の状況に備えても対応できない可能性を想像して行動するから彼女のやることはほぼ100パーセント失敗しないで済んでいるのだ。

「石橋を叩いて渡る」という言葉からの派生で「石橋を叩きすぎて壊す」や「石橋を叩き割る」というものがあり、用心深すぎる性格や用心深すぎて成果を出せないまたはチャンスを逃す性格のことを表現している。

他人から見れば彼女の思慮深さや慎重さは石橋を叩きすぎているように思えるだろうが、彼女の場合は石橋の素材や完成してからの経年劣化など逐一調べ、その上で渡る人間や荷物の重量を計算して安全だとわかればすぐに行動に移すし、もし危険だと判断したならば別の手段を考えて全員を無事に反対側へ渡すために全力を尽くすというもの。

見切り発車で失敗するようなことをすれば他人からの評価を下げて信頼を失うことになるから、そうならないように慎重になるのは当然だ。

 

(ひとまずこの家族はウチの寮で預かることになるだろうけど、これで何ヶ国目のお客さんだろ…?)

 

近界民(ネイバー)ともなれば街の中のホテルなどに滞在させてうっかり市民にその存在がバレでもしたら大変なことになるし、短期間であっても慣れない場所で生活するにはフォローが必要だ。

そこで周囲に人が住んでいない旧弓手町駅近くの寮であればその点は安心だ。

 

この後、気持ちの落ち着いた涼花から詳しい話を聞くことになった。

彼女はエクトスと思われる国へ連れて行かれてすぐにトリオン能力の検査を受けてトリガー使いの訓練を受けるはずであったようだが、ヒエムスからすぐに結婚適齢期の女性が欲しいというリクエストがあり、数日のうちに15歳から22歳までの女性28人が()()されたらしい。

この時一緒に行動していた女性たちは全員ヒエムスへ着くまでの記憶がないという。

たぶん彼女たちはトリオンキューブになった状態で運ばれ、現地で元に戻すという方法を取ったに違いない。

そしてヒエムスに着いた翌日には現地の男性が引き取りに来て、一緒にいた女性たちとは二度と会えなかったそうだ。

涼花が結婚したカルーロは首都から数キロ離れた街の鍛冶屋で、女性を大切にする習慣のある近界民(ネイバー)男性のひとりであったから、初めは意に沿わない結婚を強いられたことで反発していた涼花も次第に彼の優しさに触れて数ヶ月後に()()()結婚をした。

それまで性的関係を一切強要せず本人の意思を尊重したことでカルーロのことを信頼できる人間だと判断したのだった。

涼花は家の近くの食堂で働き、娘のリンダが生まれてからもずっと続けていた。

その食堂にゼノンたち調査隊メンバーが訪れ、涼花が拉致された市民のひとりであることを知り、ゼノンの判断で帰国を熱望する彼女と家族だけ連れて来たのだった。

 

午後から調査隊メンバーによる報告会が行われることになり、その後に「亡命を希望する近界民(ネイバー)の家族を持つ拉致被害者」への対応をどうするかの会議が開かれることが決まった。

もちろんツグミも出席することになり、それまでの時間を涼花たちの世話をすることにした。

 

 

「お昼ご飯にはまだ少し早いですけど、朝食を食べていないようですからすぐに用意させてもらいますね。本部基地内にも食堂や売店はありますけど、せっかくですから市内の店で何か買って来ます。何かリクエストはありますか?」

 

ツグミが涼花に訊くと、彼女は迷うことなく即答した。

 

「それなら○○のスペシャルシーフードピザと△△のフライドチキンが食べたいです! あと飲み物はコーラで、もし□□のアイスクリームのファミリーパックがあれば最高です。ずっと食べたかったんです」

 

「わかりました。…全部回ると30分以上かかってしまいますけど、1時間以内には戻って来られます。それまで待っていてください。それとカルーロさんとリンダちゃんの亡命に関してはわたしにはまだ判断できませんが、少なくとも結果が出るまではわたしが責任を持って保護しますから安心していてくださいね。じゃあ、ちょっと出かけてきます」

 

そう言い残すとツグミは3人のいる部屋を出て行き、約束どおり1時間かからずに戻って来て、涼花たち家族のいる部屋のテーブルの上に料理と紙皿などのカトラリーを並べた。

 

「さあ、どうぞ。わたしは午後からの説明会や会議に出席しますのでしばらく離れますが、4時か5時くらいにはここに戻って来ます。それまでみなさんはここでじっとしていなければなりませんので、暇つぶしにと雑誌や本を買って来ました。好みに合うかどうかわかりませんが、適当に時間を過ごしていたください」

 

ツグミは市内にある大型書店で週刊誌や風景の写真集、子供向けの絵本など数冊の本を購入していて、それを涼花に預けてから部屋を出て行った。

 

 

 

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