ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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403話

 

 

あとひと月もするとキオンが玄界(ミデン)に最接近する。

そうなると双方の国が十数時間で行き来することができるようになり、ボーダー側からは城戸、キオンのテスタとエウクラートンのリベラートの3人による三者会談が可能となるのだから、できることならこの機会に同盟の調印まで進めたいと思うのはツグミだけではない。

しかし城戸には三門市民救出計画を進める上でどうしても外せない会合やいくつかの団体との調整などがあり、ツグミが城戸と打ち合わせをするためには分単位でのスケジュール調整が必要だ。

ボーダーがホストとなってキオンとエウクラートンのVIPを受け入れるのだからツグミだけの力ではどうしようもない。

なにしろ近界民(ネイバー)がボーダーの「賓客」としてやって来ることになり、そんなことが民間人に知られたら収拾のつかない大混乱に陥ってしまうのは目に見えている。

そこで唐沢の力を借りながら大まかな計画ができあがると5分10分といった短い時間でも城戸のスケジュールの合間を見付けると説明をしに執務室へと向かう。

だからいつでも城戸を捕まえられるようにと毎日午前8時から午後8時の12時間を本部基地にある作戦室に詰めている。

そうなると寮母のような役割をしていた彼女も仕事を続けるのは無理だと判断し、寮内の()()近界民(ネイバー)住民たちに任せることにした。

ディルクですら三門市での生活にも慣れ、ひとりで自転車に乗って買い物に行くこともできるようになっているくらいだから彼らが近界民(ネイバー)だと市民にはバレるようなことはなく、トリガーさえ使わなければボーダー本部にも気付かれることはない。

マーナがレクスを連れてスーパーマーケットへ買い物に行く姿は在日外国人の母と()に見え、最近では店員や馴染み客と会話を交わすほど。

貴族の令夫人が庶民のように買い物に行ったり炊事洗濯をすることに対してヒュースは否定的であるが、ディルクが認めているのであれば何も言えない。

それに涼花とは貴族と庶民という差はあっても同じ子供を持つ母親の立場であるから女同士で非常に仲が良く、マーナは涼花から玄界(ミデン)の料理や習慣を教わり、逆に涼花はマーナから子育てのコツを学んでいる。

女同士で上手く付き合っているようなのでツグミは安心だ。

レクスとリンダも仲良くやっていて、元々レクスが女児のように優しく穏やかな性格なのでリンダの遊び相手にはちょうどいいし、テオも暇があると彼らに付き合って遊んでくれている。

部屋の中ではトランプやボードゲームをし、天気が良い日には敷地内で縄跳びやバトミントンといった適度な運動もしていて、必ずそこには手の空いている大人がいるので危険はない。

ディルクやリヌスはPCを自由に使えるようになっていて、玄界(ミデン)の様々な知識を得て祖国のために役立てようとしている。

そういった「結果」をツグミは城戸に報告していて、「近界民(ネイバー)たちの監視」という任務が解かれたことで三国同盟の件に専念できるのだった。

 

しかしデスクワークばかりでは身体が鈍ってしまう。

本部基地にいるのだから個人(ソロ)ランク戦で…と考えても彼女はS級隊員であり、彼女に勝負を挑もうと考えるような馴染みの隊員たちはそれぞれ忙しくて相手をしてもらうのは難しい。

おまけにこれまでの行動が()()()ものだから城戸直属となって迅のように()()しているのではないかと敬遠されてしまっているのだ。

その迅は別件で動いているので寮に帰らなければ会うことができない。

たまに唐沢が差し入れの菓子を持って訪ねて来てくれるか、遠征会議に参加を求められる時くらいしか人に会うことがない毎日が続いていた。

 

 

 

 

そんな日々が1週間ほど続き、三国同盟締結のための作業がひと段落したことで久しぶりに休暇を取っていたツグミ。

朝から晴れていたので溜まっていた洗濯物を片付け、部屋の掃除をしていると城戸からの緊急呼び出しがあった。

理由はセリウスがハイレインの使者として再び三門市へとやって来たことで、アフトクラトルとの交渉が本格化するとなれば彼女は欠かせない人材のひとりであるからだ。

セリウスの話によるとランバネインは10日後に三門市に到着するようアフトクラトルを出発することになっているという。

急な話のようだが突然本人が現れても対応できるように準備はできていたから、10日後であれば余裕で()()できるよう手配してある。

したがって何の心配もいらないのだが、城戸たち上層部のメンバーはツグミの考えた計画を認めはしたものの不安は隠せない。

なにしろランバネインを寝返らせようというのだからなんとも破天荒なことを考えたものだ。

端からダメだとかできないなどと考えることはせずに何でもやってみようと挑戦するツグミらしいといえばそうなのだが、彼女の計画にはランバネインの性格や嗜好などを利用すると書かれていた。

それはハイリスクな賭けのようなもので、根付や鬼怒田が反対で城戸と忍田と林藤が条件付き賛成、そしてなぜか唐沢だけは無条件で賛成という多数決で条件付き賛成となった計画である。

 

今回のランバネインの来訪目的はボーダーへの謝罪であるが、近界(ネイバーフッド)の国同士ではこういったことは非常に珍しい。

一般に戦争において勝敗が決まれば停戦となり、お互いの代表が自国の要求を出して戦勝国が納得する形で「手打ち式」を行うのが慣習である。

しかし今回の場合は戦争とも言い難いアフトクラトル側による一方的な侵略でハッキリとした勝敗は決まっておらず、さらにアフトクラトル側から侵攻しておきながら不覚にもボーダーに()()()()()()形となり、続いてボーダー側がアフトクラトルへ遠征を行って囚われている仲間を救出したというイレギュラーな展開なだけでなく、本来ならボーダー側からアフトクラトル側へ謝罪を要求することになるはずなのにハイレインが自ら頭を下げると言い出したのだ。

もちろんこれはボーダーを敵に回すと都合が悪いために和解しておこうというもので、これ以上玄界(ミデン)とキオンとのつながりを強固なものにさせまいというハイレインの魂胆が見え見えである。

それでも話し合いの場に引っ張り出すことには成功したのだから、ボーダーはこのチャンスを最大限に利用しない手はない。

ただし謝罪するのはハイレインではなくランバネインで、例えるなら企業の不祥事に社長ではなく副社長が謝罪会見を行うようなものだが、それでもアフトクラトル側に非を認めさせるには十分であり、もし仮にボーダー側が納得できないような謝罪であればこれ以上妥協はせず二度と話し合いに応じないという覚悟でいる。

謝罪という嫌な仕事を押し付けられるランバネインはベルティストン家の当主として正式に認められたこともあって上機嫌でいた。

四大領主のひとつであるベルティストン家の当主になれるのであれば一時の屈辱など我慢できるというもの。

それに四大領主といってもベルティストン家以外の3つの家は当主が断罪され、次期当主となる子供たちはハイレインの監視下にあるので実際にはベルティストン家の一強独裁となっている。

(マザー)トリガーの寿命が尽きて次の「神選び」まではアフトクラトル国内も安定するだろうが同時に()()()()()()()()()トリオンを抽出し放題にもなるわけだ。

当然だが(マザー)トリガーが生み出すトリオンは有限なのだから大量に抽出すれば「神」の寿命は短くなるが、少なくともハイレインの代で尽きてしまうということはありえない。

ハイレインが近界(ネイバーフッド)統一を目指して軍事力を増強することを邪魔する存在がアフトクラトル国内にはいないのだから()()しかねない状態だ。

したがってボーダーにとって最悪の未来はアフトクラトルとの関係が今以上に拗れてしまい、近界(ネイバーフッド)がアフトクラトルとキオンという二大勢力に分かれての全面戦争に発展してしまうことである。

いくらテスタが戦争を否定していてもアフトクラトルに攻め込まれたらボーダーのように反撃するのは必至で、これまで直接対決のなかったこの2国が戦闘状態になれば他の無関係な国も巻き込まれてしまう。

そうならないためにもツグミは念には念を入れて対策を講じていて、その布石のひとつがランバネインの懐柔であり、上層部メンバーも多少の不安はありながらも彼女に一任している。

 

そしてランバネインが()()()()来訪する10日後の22日に向けてツグミと対アフトクラトル・プロジェクトチームは行動を開始した。

こうしてボーダー(ツグミ)VSアフトクラトル(ハイレイン)のRound3が始まろうとしていたのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

ボーダー本部基地の大会議室にはツグミと迅、A級B級部隊(チーム)の隊長、そしてゼノン隊の3人とヒュースが集められていた。

すでにゼノンとリヌスとテオはボーダーの協力者としてB級以上の隊員には知らされていて、A級隊員にとっては遠征のための特別訓練で彼らとは顔馴染みでもある。

しかしこの面子で城戸の指示で招集があったとなれば何か特別なことがあったに違いないと誰もが考えるから、事情を知らない隊長たちは深刻な面持ちで上層部メンバーの到着を待っていた。

そして開始時間から数分遅れて城戸たちが席に着いて会議が始まった。

 

「本日はきみたちに重要な知らせがある。1週間後の22日に我々は近界(ネイバーフッド)から客を迎える」

 

城戸がそう言うと場がざわめいた。

 

「客…と言うには少々語弊があるが、国の代表として来訪するのだから相手が誰であれどのような目的であっても対応は客として扱わなければならない。たぶんきみたちはこの人物の名を聞けば驚くだろうが冷静に話をきいてもらいたい」

 

そう前置きをしてから城戸は続けた。

 

「客というのはアフトクラトルのランバネインだ」

 

驚くなと言われていても大規模侵攻の敵だった男が再び三門市にやって来て、それが「客」だとなれば無理もない。

 

「ランバネインの来訪の目的は本年1月の大規模侵攻とC級隊員32名を拉致したことに対する謝罪で、ボーダーと和解をするためであるから敵対行動の恐れはないと判断し、ボーダー(我々)はアフトクラトルの国王であるハイレインの申し出を受け入れることにした」

 

アフトクラトルの王がハイレインだと聞くとさすがに場はざわめいた。

大規模侵攻の後、(マザー)トリガーや「神」といった存在のことは自然に隊員たちの間に広まっていって隠していることはできなくなっていたために「話しても差し支えのない程度」で説明がされていた。

だからアフトクラトルにおいて何が起きていたのかを話すことで三門市への侵攻の理由も知ることとなった。

しかしその後の経過については知らされておらず、ここで9月にアフトクラトルで新しい「神」が決まり、その人物をハイレインが見付け出したことで新たな王になったことを報告したわけだ。

ここまで話せばよほど頭の悪い人間でなければボーダーがどうやって近界(ネイバーフッド)の情報を得ているのか、また誰がアフトクラトルとの仲介をしているのかなどわからないはずがない。

ツグミが近界(ネイバーフッド)において近界民(ネイバー)たちとの()()に携わっていることは内密であったが一部の人間は知っていたし、ある程度の数の人間は薄々勘付いていたがこれでハッキリとしたわけだ。

 

「城戸司令、ボーダーと和解をしたいとアフトの方から言い出したってことでよろしいんでしょうか?」

 

東が手を挙げて訊いた。

 

「ああ。ハイレインはボーダー(我々)がキオンと手を結んで活動をしていることを知っている。といっても今のところはキオンの軍の1部隊が個人的に協力をしているというレベルであり、正式な国交はない。しかしいずれボーダーとキオンが同盟関係を結ぶとなるとアフトクラトルにとっては脅威となりうると考えたのだろう。なにしろキオンは近界(ネイバーフッド)においてアフトクラトルと勢力を二分する軍事大国であり、アフトクラトルにとっては最大の敵国(ライバル)だ。ハイレインはこれ以上キオンに力を持たせたくはないと考えて自分たちの非を認めて謝罪し、キオンよりも先にボーダーを自分の味方にしてしまおうという考えなのだろう」

 

すると今度は風間が手を挙げた。

 

「しかしアフトと手を組むなんてことはありえない。上層部はどのように考えているのか説明願います」

 

「もちろん()()()アフトクラトルと手を組むことはありえない。アフト遠征においてボーダー(我々)はキオン隊の方々に大変世話になったし、現在も彼らの協力があって市民救出計画を進めている。それにまだ公にはできないがキオンとは同盟関係を結ぶためにいろいろと根回しをしていて、近いうちにキオンの元首であるテスタ・スカルキ総統と、さらにエウクラートンという国のリベラート皇太子のおふたりを招いて会談をすることになっている。ここでこの2ヶ国と同盟関係を結んでおけば市民救出計画においてもかなり有利に働くことになるだろう。なにしろかつてキオンは軍事大国としてアフトクラトルのように他国を従属させてきたのだが、現在のスカルキ総統が元首となってからはその力を行使せずにチラつかせるだけで、従う国には不利な条件を押し付けることはなく対等な関係を基本として交流している。従わないからといってその国を攻め落とすこともない。だから現在の近界(ネイバーフッド)の勢力図はアフトクラトルと従属国、キオンとキオンと友好的な関係にある国、そしてそのどちらにも与していない中立国の3つに分かれている。アフトクラトルもキオンやその友好国に対して手を出せば痛い目を見ることはわかっているから、まずは中立国に攻め入って従属させようとするだろう。アフトクラトルの新王が積極的に勢力を拡大しようとしているハイレインだと知って、キオン側についた方が守ってもらえると考えて親キオンに傾く中立国が増えているのだそうだ。キオンは玄界(ミデン)に害をなすことは絶対にないと断言している。だからこそボーダーとしてはキオンと対等な関係を築くことによって近界(ネイバーフッド)の国々にキオンの後ろ盾があるのだと知らしめることができる。それによって第一次侵攻で行方不明になった三門市民400人を取り戻すという一大プロジェクトを進めやすくなるというわけだ」

 

城戸の説明に皆が納得した。

()()()ボーダーの目的は襲来する近界民(ネイバー)の脅威から三門市民の生命と財産を守ることと、さらわれた市民を生還させることの2点である。

キオンがボーダーの味方になってくれることで中途半端な戦力しかない国は玄界(ミデン)に手を出そうという気にはならなくなるだろうし、拉致被害者たちのいる国の政府もボーダーと取引をしようという気にもなるだろう。

それに取引交渉をするにしても無理を通そうとすればキオンが黙ってはいないと勝手に想像し、素直に引き渡してくれる可能性は高くなるというものだ。

しかしここでエウクラートンというボーダーにとって関係なさそうな国の名が挙がったことで説明の補足が必要となった。

 

「エウクラートンというのはキオンの周囲を回る国家で、キオンを地球に例えるとこの国は月のような位置関係にある。そしてここにいるリヌス大尉の故郷で、ボーダーにとって恩義のある国だ。このキオンとエウクラートンとは霧科隊員を窓口として外交を行っていて、同盟締結まであと一歩というところまで進んでいる。ここにアフトクラトルが割り込んでくるとは想像していなかったが、ハイレインが武力による近界(ネイバーフッド)統一を目論んでいるとなればボーダー(我々)は奴らと手を組むことはありえない。なぜならボーダーは界境防衛機関であり専守防衛を大原則としていて、加害の意思のない近界民(ネイバー)に対して武器(トリガー)を向けることはあってはならないからだ」

 

「ランバネインが俺たちに頭下げたって許さないってことで叩き返せばハイレインが黙っちゃいないでしょう。あんなことされて『ごめん』のひと言で許すんですか?」

 

太刀川が口を挟む。

 

「謝罪は公式に受け入れる。しかしだからといって和解したことにはならない。まあ、そうなるとハイレインは不服だろうからボーダー(我々)に対して明らかな敵対行為に及ぶだろう。その場合はキオンとの衝突を避けられないため、本格的な戦争を想定して準備が完了した時点で攻め込んで来る可能性が高い。三門市に攻め込めばキオンは援軍を送らねばならず、キオン本国の守りが手薄になったところを別働隊が攻め入る。そのためには現在の戦力では不十分となり、今頃力を蓄えた(マザー)トリガーからトリオンを大量に抽出してトリオン兵を増産しているに違いない」

 

「それならどうするんです? …って、城戸司令には何か策があってのことだと思うんですけど」

 

そう言う太刀川の言葉に数人の人間が黙って頷いた。

 

「まあ、それについては計画の中心人物である霧科隊員に本人の口から話してもらおう」

 

すると視線が一斉にツグミに向けられる。

「こいつなら面白そうなことを考えているに違いない」という期待を抱いているものが約9割、「またこいつのやり方に従うのか」という不満や反感を含んだものが約1割といったところか。

そんなことにかまわずツグミは口を開いた。

 

「大規模侵攻でランバネインと直接対決した方がこの場にも数人いらっしゃると思います。わたしも戦ってはいませが二度会ったことがあります。わたしはトリガー使いではない()の彼と話をしてみて、彼が国王であり同時に兄でもあるハイレインに対して何か含む所があると感じました。彼はハイレインと違って()()()()()()()()()()()()()()な人物だとわたしは考えています」

 

「その根拠は?」

 

それまで苦々しい顔で黙っていた三輪が訊いた。

 

「ランバネインは戦闘狂のように思えますが強い相手と戦いたいという太刀川隊長のような単純な人間で、卑怯なマネを嫌う竹を割ったような性格の武人のように思えます。ベルティストン家の当主であるハイレインを兄と慕っていましたがが当主であるという点も弁えており、含むところがあっても当主に従う家臣としての立場を崩しません。ハイレインが国王となってその気持ちは一層強まったと思われます」

 

「ならば味方にするのは難しいんじゃないのか?」

 

「たしかにそのとおりです。でもこれまでの行為…エネドラとヒュースを騙して()()したり、従順で最も信頼のできる部下を生贄にするなど側近に対しての非道な仕打ちには辟易しているはず。ハイレインは自分の野望のためならどんな冷酷な行為も平気でできる人間です。もし生贄に相応しい人間がランバネインだけだったら実の弟でも犠牲にしていたことでしょう。ランバネインだって馬鹿ではありませんから、いつまでもおとなしく従っているとは思えません。もちろん国王となった兄を裏切って祖国に刃を向けるなんてことはありえませんが、こちら側からアフトのために役立つことを提案すれば聞く耳は持つくらいの常識と祖国愛はあります」

 

「……」

 

「ランバネインという男はハイレインよりもはるかに人間の心を持っていて()()()タイプです。ハイレインは冷静で冷酷、目的を達するためなら人の心の温かい部分を自ら切り捨てて淡々と行動できる。でもランバネインは情というものを捨て切れない。唯一の肉親であり当主、そして国王となったハイレインの命令に従いながらも自分の心に嘘をついていて、その矛盾で苦しんでいるんじゃないかとわたしは考えています。ハイレインが国王になったことでランバネインがベルティストン家当主になったそうですが、本来ハイレイン本人が頭を下げるべきところを弟にさせるのはどうかと思いますから、ランバネイン本人が一番モヤモヤしているんじゃないでしょうか。もしそんな彼を理解できる人間がいて『友人』になってくれるとしたらどうでしょう?」

 

「ランバネインの友人になろうというのか? それにそんなことをしてどうする?」

 

「ハイレインの弱点は信頼できる仲間や部下が少ないことです。奴が三門市に侵攻した際にはランバネイン、ヴィザ、ミラ、エネドラ、ヒュースと5人の配下がいました。ですがみなさんもご存知のようにエネドラを殺害してヒュースを置き去りにしました。さらにミラはアフトの『神』となったことで現在は奴の配下はランバネインとヴィザのふたりしかいません。ヴィザはハイレインに忠誠を誓うというよりも奴の父親の代から()()()()()()()()()仕えてきただけですし、ランバネインがベルティストン家当主となった今、ヴィザはランバネインの直属の家臣です。ここでランバネインをハイレインから引き離してしまえば自動的にヴィザもハイレインから引き離すことになります。したがってランバネインがひとりでやって来るこの機会にみなさんの協力を得てボーダー側に引き入れてしまおうと考えているんです」

 

そう言ってツグミは自信たっぷりの顔で微笑んだ。

 

 

 

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