ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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415話

 

 

ランバネインの待つグラウンドまで一番にやって来たのは緑川だった。

出水、米屋、緑川の3人の中で機動力はトップだし、グラスホッパーを使えば最短距離で走って来るのは可能だ。

 

「おお、待ちかねたぞ。まずは俺の足を奪った小さい戦士か」

 

ランバネインの「小さい」という言葉にカチンときた緑川。

 

「小さい言うな! オレには緑川駿って名前があるんだ!」

 

「それはすまなかった。ではミドリカワ、いざ勝負と参ろうか。それとも仲間の到着を待つか?」

 

「ううん、すぐに始めようよ。今回オレたちは連携なしで好き勝手やろうって作戦だから」

 

「そうなのか? ならば遠慮なく始めよう!」

 

そう言ってランバネインは間合いを取るために背後に大きくジャンプした。

前回の戦闘で緑川がグラスホッパーを駆使して敵の周りを飛び回りながらスコーピオンで攻撃するという(ブレード)トリガー使いであることはバレている。

 

(こいつの機動性の高さは要注意だ。あのグラスホッパー(ジャンプ台)を使えば一気に間合いを詰められる。ならばこいつが間合いに入る前に弾幕で接近できないようにするしかない)

 

両防御(フルガード)でなければ雷の羽(ケリードーン)の高火力に対抗するのは難しい。

だから先に撃たれてしまっては回避か防御に徹するしかなくなり、反撃はほぼ不可能となる。

そうなると先手必勝ということで緑川は間合いに入らなければならず、後方に逃げたランバネインを追う…と見せかけてグラスホッパーを起動した。

その()を使って一気に間合いを詰めるのではなく、後方にジャンプしたランバネインの着地する位置を計算して彼が踏むように設置したのだ。

それに気付かずに左足で踏んでしまったランバネインは前へ押し出されるように飛ばされてしまった。

 

「おわっ!」

 

バランスを崩したランバネインは体勢を戻そうと右足で着地しようとする。

しかしその足元にもグラスホッパーがあって、それを思い切り踏んでしまったものだから、さらに上空へと跳ね飛ばされた。

普段ならこれくらいで動揺するランバネインではないのだが、足元が安定していないと射撃の照準が定まらないのと踏ん張りが効かないために反撃ができないのだ。

その隙に敵が接近してしまうと逆に狙撃トリガーは当てにくくなると同時に、緑川のようなトリッキーな動きをする相手には手も足も出なくなる。

だから急いで地面に足を着けようとするのだが、その度に緑川がピンポイントで()を出して足を掬うし、上に飛べばそちらにも()を出してランバネインの動きを操っていた。

それが実に計算し尽くされたもので、乱反射(ピンボール)の変形ともいえる「技」だ。

乱反射(ピンボール)は使用者自身が()を使って高速移動するものだが、これは周囲を()で囲んでいて()に身体の一部でも触れると強制的に跳ね飛ばされるため、自分の意思で踏むのでなければ動きを制御できなくなってしまう。

使用者が自ら()を使って高速移動する戦術はボーダートップクラスであったが、その技を敵を翻弄させるために使ったのはこれが初めてであった。

これは遊真がB級ランク戦で弓場隊の帯島に対して使った技の応用で、使用者自身が動かずに敵を動かすことになるので通常よりも()を設置する場所と角度を精密に計算しなければ上手くいかない。

学校での成績は()()()部類に入る彼だが、好きなものが「ランク戦で勝つこと」と公言しているくらいだから、勝つための努力は惜しまない。

仲の良い出水や米屋に協力してもらって実戦で使えるようになるまで練習したのだった。

メインとサブの両方にグラスホッパーを入れているから一度に出せる枚数も十分で、触れた瞬間に()は消滅するが、すぐに次の()が起動するから延々とキリがない。

ランバネインが「グラスホッパーは物質化したものしか反射せず、トリオンの弾丸が当たると相殺される」ことに気付いてしまえばネタバレでおしまいとなるのだが、それを知っているのはB級ランク戦・最終戦で玉狛第2の試合を観覧席で見物していた人間だけ。

蔵内の解説を聞いていればタネはバレバレなのだが、そうでなければ知っている人間はボーダーの中にもあまりいないのだから、近界民(ネイバー)であるランバネインが知るはずもなく、グラスホッパーの仕組みに気付かなければ逃れる道はない。

おまけにトリオン消費のないシステムに変更にしてあるからトリオン切れもなく、ランバネインを()()()状態にしておくこともできそうだ。

 

そんなことをしているうちに続いて米屋が到着した。

 

「緑川、例のヤツ使ってみたのか?」

 

「よねやん先輩といずみん先輩に協力してもらってようやく形になったかなって思ったもんでやってみた。案外使えるかもしれないなよ、これ。遊真先輩は『弱い駒が強い駒の動きを止めるだけで戦果としては充分なんだ』って言っててさ、こうやって時間稼ぎをする役目ってのも重要かな、って。市民救出作戦の遠征に参加するつもりだけど、上層部の考えとしてはできるだけ戦闘は避けて話し合いで解放してもらおうってことみたい。オレはそれでもいいけど、戦闘になった時のことも考えておかないといけない」

 

「だから新戦法…って実際に攻撃してるわけじゃねぇけど、こうして時間稼ぎには効果アリってか」

 

緑川は米屋と会話をしながらもグラスホッパーを次々に展開しており、ランバネインは体勢を整えるどころか身体が大きいものだからほんの少し触れただけですぐに強制的に弾かれ、すぐに別の()に触れてまた弾き飛ばされる。

仕組みさえわかれば弾トリガーの塊のような彼であるからすぐに逃れることができるのだが、やはり気付いていないようであった。

 

「それでいつまでこんなことしてんだ?」

 

「いちおういずみん先輩が着くまではこうしていようかな、と。別に連携するわけじゃないから先に倒してもいいんだけど、こんなふうになるって見せてあげようと思ったから」

 

「じゃ、おれも待ってようかな」

 

「よねやん先輩も何か隠し玉を使うの?」

 

「まあな。この模擬戦はトリオン無限ルールだから、ちょっとやってみたいと思ってるもんがあるんだ」

 

「何、それ? ねえ、教えてよ」

 

「それはお楽しみってヤツさ」

 

その頃、ランバネインはグラスホッパーの()の中で身体を翻弄されていた。

 

(クソっ、この()にちょっと触れただけで身体の自由が効かなくなる。宙に浮かんでいる状態だから足を踏ん張れん。おかげで射撃も飛行もできぬ。しかし前回の戦いでは()をこんな使い方していなかったぞ。同じ武器(トリガー)であっても使い方を工夫することでこのような戦いができるとは、よく考えたものだな)

 

本気で戦わなければいけない理由がないものだから、ランバネインも暢気にそんなことを考えていられる。

 

(以前の俺ならこんなふうにおちょくられていたら頭に血が上って冷静でいられなかっただろうが、今はなんだか楽しいと思える。…そうだ、今の俺は祖国の命運だとか兄者の命令なんてものとは無関係で、自分が自由に()()()戦える状況だから余裕でいられるんだな)

 

ランバネインにとって敵国のトリガー使いとの戦いはアフトクラトルの存続と兄であるハイレインの命令によって行われてきた。

だから自分と対等かそれ以上強い相手と戦うことよりも弱い相手を蹂躙するような戦いばかりであったから「楽しい」と思えることはほとんどなかった。

戦争などというものは楽しいとか楽しくないとかではなく、いかに効率良く敵を倒して「勝つ」かが重要である。

それが当然で手強い相手と戦って勝つという楽しみも満足感もない()()()()()ものばかりであったが、大規模侵攻で玄界(ミデン)へやって来た時に負けはしたが初めて楽しいと思える戦いができたのだった。

再戦を期待しており、ボーダーのアフトクラトル遠征で相まみえることとなったがその時も楽しむことが目的ではなく、ボーダーはC級隊員と遠征メンバー全員の生還でアフトクラトル側はボーダー隊員の捕獲とC級隊員(雛鳥)奪還阻止であったために、それぞれ思う存分戦うことはできなかった。

そして三度目の正直ともいうべき今回の模擬戦は初めて命令や損得勘定など余計な事情はなく、楽しく戦ってかまわないというものである。

どちらにとっても戦うことを望んでいて、頭脳と技を駆使して相手を倒す満足感を得るための「ゲーム」であるから失うものはないしやりたいことを自由にやることができる。

そのためにツグミはトリオン無限ルールに設定したのだった。

そしてすでにランバネインと緑川は楽しんでいるようである。

 

そうこうしているうちに出水も到着し、これでやっと全員が揃ったことになる。

 

「待たせたな、米屋、緑川。で、誰もまだ攻撃してないのか?」

 

「いずみん先輩を待ってたんだよ。この乱反射(ピンボール)、弾トリガーを使えば脱出はできるけど、仕組みに気付いていないと手も足も出ないみたいだ。まともに立っていることもできないし、ヤツの高火力の射撃は足を踏ん張ってこそ精度が上がって効果も上がる。だけどあの状態で撃ったところでいくつかの()を壊すことはできる。でも()はすぐに追加できるし、射撃の反動で後ろに飛ぶから背後の()にぶつかって、追加の()との間でまた跳ね飛ばされる。飛行しようにもアレだって足を踏ん張らないと上手く飛べないっぽいから地面に足を触れさせない限り逃げられないだろね」

 

緑川の言うようにランバネインが地面に足を触れさせないように宙に放り上げてそのまま乱反射(ピンボール)させているので文字通り八方塞がりとなっていた。

しかしいつまでもこの状態では勝負がつかず、観客(ギャラリー)も初めは想像もしていない技に興奮しただろうが、それがずっと続けばどんなに凄いものでも飽きてくる。

そろそろ別の方法で戦わなければ観客(ギャラリー)はつまらないだろうし、なによりも戦っている彼ら自身がつまらない。

 

「そろそろ本気でやらなきゃだけど、次、誰が()る?」

 

「順番でいえばおれだけど、おれは最後でいいや。どうぞ、お先に」

 

米屋はそう言って出水に順番を譲るというジェスチャーをする。

 

「じゃ、遠慮なく」

 

選手交代とばかりに出水がランバネインと対峙すると緑川はグラスホッパーを解除した。

するとドスンという鈍い音がしてランバネインが地面に尻餅をつく。

 

「痛ってぇな…」

 

そう言って腰を摩りながら立ち上がるランバネイン。

トリオン体なのだから痛みを感じるはずはないのだが、そんなポーズでもしないと恥ずかしくなる無様な姿なのだから仕方がない。

しかし悔しいとか憎いという気持ちは湧かず、むしろ面白い経験をさせてもらったと上機嫌だ。

 

「ミドリカワ、なかなか手強い技を見せてくれた。手も足も出ねぇってのはこのことを言うんだな。だが、せっかくの檻を解除してしまえばこっちが有利だぞ。数は不利だが、射程持ちはそこの弾トリガー使いだけだって知ってるんだぞ」

 

すると米屋がバカにしたような顔で言い返した。

 

「たしかにおれと緑川は攻撃手(アタッカー)だから射程は短いし、出水は射程があってもあんたみたいに空飛んで上から雨降らすような射撃には対抗できない。だったら飛ばないようにすればいいじゃん?」

 

「俺を飛ばないようにするだと? だったらさっきのミドリカワの技で檻を作っておけばいいだろ?」

 

「いやあ、そんなことしなくても動きを止めることはできる。ほら、おれって槍使い…と思うじゃん?」

 

米屋はニヤリと笑ってそう言うと数歩前に歩み出た。

手には槍型弧月を持っておらず、両手が空いた状態である。

そしてランバネインは何をするのかと注意深く米屋の顔を見ていたが、ふたりの距離が約10メートルに近付いたところでランバネインが顔を顰めた。

 

「貴様っ、何しやがった!?」

 

「おれってトリオン能力が低いから普段は槍型弧月オンリーで戦ってんだよね。だけど今日はトリオン無限ルールで好きなように戦っていいって言われてるから少し変わったことをやってみようかと思ったんだ。他のヤツのパクリって言われたらそのとおりなんだけど、これでもコソ練して今日は初お披露目なんだぜ」

 

両足を肩幅に開いて踏ん張った状態でランバネインは動けずにいた。

それもそのはずで、米屋の()()()()()()がランバネインの右足の裏から右膝を貫き、その切っ先は左膝に刺さって左足の裏まで貫通していて、地面に突き刺さったようになっていたのだ。

 

「これはスコーピオンを地面に(ブレード)を潜行させて離れた敵の死角を突く『もぐら爪(モールクロー)』とふたつ繋いで伸ばす『マンティス』の合わせ技なんだ。スコーピオンをふたつ繋ぐっていっても15メートルくらいまでしか伸びないからある程度近付かなきゃならないけど、初見殺しなのは間違いないぜ。両足をしっかりと地面に固定してっから動こうとすれば足を犠牲にしなきゃならない。片足ならともかく両足を失くすと不便だろうな。ジャンプするにしても踏ん張りが効かないから飛び上がってもすぐにはバランスがとれないし、飛んでいる時はいいが着地しようとすると足がないから上手く立てない。だけどいつまでも飛んでるわけにはいかねえだろ?」

 

「ならばこの状態で貴様らを倒すだけだ!」

 

ランバネインがそう叫んで射撃体勢になった瞬間、米屋は自らの足を蹴り上げてスコーピオンを引き抜いた。

するとランバネインの両足はざっくりと斬れてしまい、前へと転倒してしまう。

 

「あー、悪ぃ。あんたが動かなくてもおれが動けばそうなっちまうんだよな…。マジですっかり忘れてた。だから申し訳ないんでおれはもう何もしない。この後にサシで勝負できる機会があったら正面から正々堂々と戦うから勘弁してくれ」

 

「そうか、それなら仕方がない。ところで貴様の名を教えろ」

 

「おれ? おれは米屋陽介。A級7位三輪隊の攻撃手(アタッカー)だ」

 

「ヨネヤ、か…。俺に二度までもダメージを与えた男の名として覚えておいてやろう」

 

ランバネインはそう言ってほくそ笑んだ。

 

米屋はこの技を使う予定はなかった。

単に旋空を抜いてメインとサブの両方にスコーピオンを入れておき、久しぶりにスコーピオンを使った戦いをするつもりでいたのだが、出水や緑川が新技の練習をしているのを見て「マンティスもぐら爪(モールクロー)」を試してみようという気になり、ふたりを相手に練習を重ねた。

緑川と同じで実戦で使えるレベルになったのか試してみたくなったのだ。

 

「さぁて、おれの番だな。…でもけっこうダメージ入ってるからハンデがないとフェアじゃないかな?」

 

そう言って出水が前に歩み出るとランバネインが首を大きく横に振った。

 

「そんな情けは無用だ。戦場では相手に情けをかけるものではなかろう? これは模擬戦であり貴様らは自分の新技を試したくてやっているようだが、俺は本気で貴様らを倒したいと思っている。それは雪辱戦という意味ではなく、強い者と本気で戦いたいという戦士の本能だ」

 

それを聞いた米屋と緑川は申し訳ないという顔で謝罪する。

 

「すんません。これは歓迎の意味を込めた模擬戦だって聞いてて、()るなら意表を突いた面白いもんの方がいいかなって思ったんで」

 

「オレは新技使いたいだけで、あっと言わせたいって…。ごめんなさい」

 

「いや、謝ることはない。あれはあれで面白いものを経験させてもらった。それにこれが戦争だったならアリだしな。…ともかくこの模擬戦が俺を歓迎するものだって言うなら最後まで楽しませてくれ。そもそも俺は両足を失くしたくらいで倒されるようなトリガー使いじゃないぜ。舐めんなよ」

 

ランバネインはそう言うと体勢を整えた。

 

「俺を倒したいと思うなら両足だけでなく両腕も奪わなければ不可能だと思い知らせてやろう。3人まとめてかかって来い!」

 

背部に形成したブースターを起動すると出水たちのはるか上空へと飛び上がり、両攻撃(フルアタック)とも呼べる射撃を開始した。

 

「おらおら、逃げねーと全身穴だらけになるぞ!」

 

飛行中の射撃の場合、飛行速度を上げると狙いが定めにくくなるが、上空でホバリングしているだけなら問題はないし、散弾であれば尚更だ。

それに地上に降りないでいつまでも飛行していれば足は不要。

さらにブースターは背中側にあるために地上から出水が通常弾(アステロイド)で狙っても当たらず、変化弾(バイパー)追尾弾(ハウンド)を使わなければ不可能である。

しかし散弾の雨の中シールドなしでは即死であるから合成弾は使えず、通常の変化弾(バイパー)追尾弾(ハウンド)では威力が足りずにシールドで簡単に防がれてしまう。

そしてトリオン無限ルールだからランバネインはブースターを破壊されない限り延々と射撃ができることとなり、ランバネインが飛び上がった段階で勝負は決まったようなものであった。

 

 

 

 

それからしばらくしてランバネインは上機嫌でランク戦ブースに戻って来た。

 

「お疲れさまでした。ボーダー隊員…それも精鋭たちと戦ってご満足いただけましたか?」

 

ツグミが声をかけると、ランバネインは豪快に笑いながら答えた。

 

「ああ、楽しかったぞ! ボーダーの武器(トリガー)近界(ネイバーフッド)のものと違って量産型のものを各自が自分の戦術に合わせて組み合わせ、それを上手く運用している。俺たちのように個人の特性に合わせたものでは限界はあるが、ボーダーのものなら組み合わせを変えることによって新たな戦術を生み出すことができ、その可能性は無限だ。ヴィザ翁が『玄界(ミデン)の進歩も目覚ましい』と言っていたがまさにそのとおりだ。正直言って二度と敵には回したくないものだな」

 

「わたしも同じ気持ちです。近界(ネイバーフッド)の進んだトリオンの技術は戦争ではなく平和的な目的のためのみに使用したいです。ところでトリオンを消費しない設定にしての模擬戦はいかがでしたか?」

 

「なかなかいいぞ。俺の雷の羽(ケリードーン)はトリオン消費が激しくてイカン。しかし訓練ではあるがいくらでも射撃できるのは気分がいい。玄界(ミデン)の戦士はこうして短期間で実力をつけてきたのだな」

 

「それだけではありませんが、このシステムがなければ訓練にも限度がありますからね。わたしも訓練で使用することはありますが、トリオン器官を鍛えるためには実際にトリオンを消費しないといけませんから、昔はトリオンをガンガン使いながら擬似トリオン兵を何十匹何百匹も倒す訓練をしていました。おかげでボーダー隊員の中ではトリオンはトップクラスです」

 

「昔というと…いくつの時からトリガー使いをやってるんだ?」

 

「ボーダー入隊は9歳で、実戦に参加できる正隊員になったのは11歳の時です」

 

「ならば兄者と対等に戦えるのも不思議はないな。…ああ、玄界(ミデン)は興味深いものばかりだ。もっと滞在したいものだが明日の夕刻には帰国せねばならぬ」

 

ランバネインが残念そうな顔になって言うものだから、ツグミはこの時ぞとばかりに答えた。

 

「またいらっしゃればいいんです。同盟国となったあかつきにはいつでも来て玄界(ミデン)の文化やボーダー隊員たちとの模擬戦を楽しめばいいではありませんか? ですがそのためには高い壁があり、それを壊すでも乗り越えるでもかまいません。あなたが強くそうしたいと願い行動すれば、きっと叶う未来です。それに明日といってもまだ丸一日あるんですから、それまでは玄界(ミデン)を堪能してください」

 

「ああ、わかった」

 

「それから城戸司令があなたとゆっくり話をしたいと言っていて、これからか明日の午前中のどちらか2時間ほどですけどお時間を割いていただきたいんですけど」

 

「それはかまわない。これからすぐにでもいいぞ」

 

「でしたら城戸司令にこれからすぐに執務室へ行くと連絡します。でもそうなると模擬戦の続きできませんよ」

 

「それは次の楽しみにとっておくさ。なにしろ明日は兄者たちへの土産を探さなければならん。今日行ったショッピングモールとは違う場所に案内してくれると言っていただろ?」

 

「はい。では()()()は今日中に済ませてしまいましょう」

 

ツグミは携帯電話で城戸に連絡をし、すぐに彼の執務室へと向かった。

 

 

 

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