ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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439話

 

 

「ところで須坂氏と会って話をしたのだろ?」

 

城戸が報告書を引き出しに入れながらツグミに訊いた。

 

「はい。あの人は自分のやっていることを狡いと言って気が咎めている様子でした。ですがあの人の今の状態を考えれば無理もなく、唐沢部長の判断は正しかったと思います。ボーダーには拉致被害者を救出する責任がありますが、待っている家族に対するケアも必要だと考えていました。でも具体的に何ができるというものでもなく、彼らにとって一番嬉しいのは家族が無事に帰って来てくれることですから、救出計画を可能な限り早く実行してひとりでも多くの市民を帰国させなければなりません」

 

「ああ、そうだ。さっきの会議でも第1回の遠征をどのタイミングで行うかが議題に上がったが、やはり同盟締結の情報を近界(ネイバーフッド)各地に広めることが成功の確率を上げると考えられていて、締結式が終了したらすぐにゼノン隊の3人には近界(ネイバーフッド)へ赴いて噂を流してもらおうということになった。特にヒエムスの首脳陣の耳に入れておかなければ意味はないから目的地をヒエムスと定め、その往路で立ち寄った国でも吹聴してもらおうと思う。そういった情報操作は彼らの十八番(おはこ)だからな」

 

「上手くいけばキオンだけでなくアフトの名前も借りることができるかもしれませんから、ハイレイン陛下に対しての接待には入念に計画を立てています。ランバネインさんから食べ物の好みを聞き出しましたし、どんなものに興味を抱くのかも詳しく教えてもらったので成功率はだいぶ高まっています。明日、早速ホテルの支配人との打ち合わせをすることになり、唐沢部長と一緒に行くことに決まりました」

 

「帰国して休む間も与えずに悪いな」

 

城戸は申し訳なさそうな顔をして言うが、ツグミは首を横に振る。

 

「いいえ、気にしないでください。わたしは平気ですし、何よりも楽しいんです。だって一般の防衛隊員だったらできないことも今のわたしなら何でもできるんですから。ミリアムの(ブラック)トリガーのおかげでS級隊員になり、通常の指揮系統から外れて司令直属となったことで城戸司令のGOサインがあれば近界(ネイバーフッド)へ行けて、近界民(ネイバー)との交渉の際にも全権委任されているのでわたしの判断でやることもできます。大変だけどこんなに楽しいことはありません」

 

「楽しい?」

 

「はい。…父や有吾さんが近界(ネイバーフッド)玄界(ミデン)の友好の架け橋になる組織を作りたいと言って城戸司令や最上さんと一緒にボーダーを立ち上げた頃のことをわたしは知りませんが、何となく今のわたしと同じ気持ちでいたのではないかと思うんです。敵対する近界民(ネイバー)とは戦わなければいけませんが、好意的な近界民(ネイバー)とは互いに手を取り合って協力すればふたつの世界が今よりもっと良い世界になると信じてが全力で走っていた若者たちの姿が想像できます」

 

そう言ってツグミは微笑む。

 

「わたしが言うのはおかしいですが、誰でも若い頃は未来が無限に広がっていて何でもできると信じて全力で走り、そしてある時に現実の厳しさに直面して諦めてしまったり、諦めきれずにジタバタしたり、人によってはそれに気付く前に人生を終えてしまう。残酷ですけど、実際にはそうなんじゃありませんか?」

 

「ああ。…なあ、ツグミ、私の昔話を少しだけ聞いてくれるか?」

 

「はい」

 

ツグミがそう答えると、城戸は昔のことを思い出したのか遠い目をしてわずかに微笑んだ。

 

「たしかに私たちは20代前半で大人というには未熟でバカな若者だった。何の根拠もなく明日は今日よりも楽しいことがあるなどと考え、同じ未来を目指す仲間がそばにいたから何をやっても楽しいし大変だとは思わなかった。一晩眠れば疲れも吹き飛び、次の日にはまた全力で自分の信じた()()に向けて突っ走っていた。今思うととても懐かしく、青臭い日々だったな」

 

「……」

 

「しかし楽しい日々など長く続くものではない。当時高校生だった忍田や林藤はまだしも私と最上、織羽と有吾はもう立派な大人で、いつまでもヤンチャをしていられる年齢ではなくなっていた。織羽は美琴と結婚しておまえが生まれたものだから家庭を守ることが最優先事項となっていたし、有吾は頻繁に近界(ネイバーフッド)へ赴いて情報収集や武器(トリガー)の獲得に夢中になった。私と最上は相変わらず市内巡回や剣の稽古に明け暮れていたが、いつまでも同じものを見て同じ気持ちではいられないということをつくづく感じたよ。もちろんボーダーの活動よりも家族を優先した織羽のことを責めているのではない。ただ人とはその時と状況によって大切なものが変わる。やりたいこととやるべきことが異なるものだと理解し、後者を選ばざるをえなくなる。そしていつまでも子供のように自由に生きられないと悟ったのだ」

 

「……」

 

「成人であったから充分に大人といえる年齢だったが、精神的に子供から大人になったと感じたのはこの時だった。それからしばらくして織羽が逝き、有吾は近界(ネイバーフッド)から戻って来なくなった。あちらで彼にも家族ができたことや、息子のために(ブラック)トリガーとなったことなど知る由もなく、私たちは残されたメンバーと、新しく加入した若者たちと一緒に活動を続けた。ところが私は大切なものを一度にたくさん失ってしまったせいか、こんなことのためにボーダーを続けていたのかと自分を責め、悔やみ続けた。そのことはおまえも知っているだろ?」

 

「はい。とても哀しいことでした。家族同様の隊員たちが犠牲となり、それだけでも哀しいのに城戸司令はあれから全然笑わなくなってしまいました。いつも朗らかに笑っていたあなたから笑顔が失せてしまい、わたしはそのことも辛くて哀しかったです」

 

「悪かったな、ツグミ。しかし私自身どうしようもなかったのだよ。…そして私はボーダーの最高司令官として近界民(ネイバー)を殲滅するという道を選んだ。他にも選択肢はあったのだろうが、近界民(ネイバー)を憎むあまりあの時の私には他の選択肢は見当たらなかったのだ。そのせいで創設以来ずっと行動を共にしてきた忍田や林藤とは距離を置くことになってしまったが、近界民(ネイバー)による悲劇を繰り返さないという意味では同じ志を持つ仲間として変わることはない。だからお互いに自分の思想を第一に考えながらも相手の思想も理解して折り合いをつけてきた。なにしろ私たちは大人だ。私も子供の頃は大人とは何でもできる羨ましい存在で、自分も早く大人になりたいと思ったものだが、実際に大人になってみると大人とは不自由な生き物で、自分のやりたいことを我慢してでもやるべきことをやらなければならないとわかった。そのくせ若いおまえたちを最前線へ送り込んで戦わせることしかできないのだから、つくづく大人とは嫌なものだと思うようになってしまったよ」

 

「大人とは不自由でつまらないものなんですか…」

 

ツグミはそう呟くと黙って何か考え込んでしまったものだから、城戸はそれ以上何も言わずに彼女が口を開くのを待つことにした。

そして答えのようなものを見付けたらしく、城戸に向かって言った。

 

「城戸司令のお話を聞いていて、わたしはこんな考えに至りました。わたしの話も聞いていただけますか?」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「ありがとうございます。…子供っていろいろなものに対してそれぞれたくさんの選択肢を持っていて、毎日選択の繰り返しをしているんです。何でもできると思い込んでいる可能性の塊のようなもので、どれを選んだとしても後悔している暇もなく次の選択肢が目の前に現れてとても忙しい。それが成長するに連れて選択肢は狭まってしまう。なぜなら自分の限界を知ってしまうから。いいえ、本当は限界なんてなくて、本人が自分はここまでと思い込むことで自ら限界を作ってしまうだけなんですけど。努力するよりも自分で限界を作ってそこまでだと決めてしまう方が楽ですから。それで自ら選択肢を減らしていることに気付かず、そのうちにやりたいと思うことが選択肢の中から消えていって、ひとつだけ残ったものを自分のやるべきことだと勘違いしてしまう。大人なんだからいつまでも子供のようにはいられないと自分に言い聞かせて」

 

「……」

 

「城戸司令は人とはその時と状況によって大切なものが変わり、やりたいこととやるべきことが異なるものだと理解して後者を選ばざるをえないと言いますが、本当にそうなんでしょうか? 父はボーダーの活動よりも家庭を優先したということですが、ボーダーの活動を放棄したのではないなら単純にやりたいことの割合が変わっただけだとわたしは思うんです。結婚前はボーダー活動に10割費やすことができたとしても、家族ができたら家族を無視してこれまでのようにボーダー活動10割というわけにはいきません。家族7割ボーダー3割といった感じで振り分けなければ身体を壊してしまいます。それに家族を大事にすることは()()()()()()ではなく()()()()()()だったとわたしは思います。結婚をして子供ができたから家族に対して責任を取らなければならないのではなく、やっとできた家族と一緒にいたいと思う純粋な気持ちではなかったでしょうか? 自分の居場所を作ってくれた家族を大切にすることとボーダーの活動が同時にやりたいことであってもどちらも同じように力を注いでいたからといって、どちらも中途半端になるというものではないと思います。有吾さんの場合は城戸司令たちと行動を別にしているだけで、近界(ネイバーフッド)へ赴いて情報収集や武器(トリガー)の獲得に努めていたならそれはボーダー活動の一環として考えられます。その中で素敵な女性と出会って結婚し、ユーマくんが生まれたことで帰国するタイミングがなかなか掴めずにいて、そして残念なことに逝ってしまった…」

 

「……」

 

「城戸司令はいつまでも子供のように自由に生きられないと悟ったと言いましたが、子供は自由なのではなく選択肢をたくさん持っているからそう見えるだけで、大人が不自由に思えるのは自分で自分の限界を定めてしまって選択肢を減らしてしまうから。なのでわたしは城戸司令のお話しを聞いていて、自分で自分の可能性を狭めることなく、子供のようにたくさんの選択肢の中から自分のやりたいことを選べる大人になりたい。やるべきことを義務のように考えてしまうとつまらないものに感じるので、自分にしかできない特権なんだと思いたい。もしかしたら父も母と娘のわたしを守ることを義務ではなく権利、自分にだけ与えられた特権だったと考えていたかもしれません」

 

「…!」

 

人は何かをやろうとしている時にそれを「義務」と考えるか「権利」と考えるかで本人のモチベーションが大きく変わるものだ。

「権利」と言うと大げさだが「義務」の対義語であり、「義務=従うべきもの」「権利=自分の意思によって自由に行うことができるもの」とすると、ツグミにとって近界民(ネイバー)との交渉は自分に与えられた「権利」と考えていて、モチベーションは「義務」よりもアップする。

形式的はボーダー最高司令官である城戸の命令だが、ツグミが自分のやりたいことを彼にプレゼンして採用されたものばかりであるから、事実上は自分の意思によって自由に行うことができるもの、つまり「権利」を得たとしてやる気が出るのは当然であり、多少の苦労も平気だと感じてしまう。

だからツグミに対して城戸や忍田が申し訳ないと考えること自体無意味で、本人にとってはすべてが自分の目指す最善の未来の布石であって自分でやりたいという気持ちになるのだから、彼女が自分の手に余る事態になって助けを求めてきた時に援助しようという心構えでいることだけで充分なのだ。

 

城戸は自分の娘同然に考えているツグミの思想や精神的な面の成長っぷりに驚くと同時に嬉しくなった。

 

(殺伐とした世界に身を置きながらも健康的な感覚の持ち主に成長したものだ。普通の子供と違う個性的な考え方を持っているが、そのおかげで近界民(ネイバー)との関係を改善し、拉致被害者を取り戻す目処を立てることができた。できることなら唐沢くんに預けて近界民(ネイバー)との対外折衝の役目を担ってくれるとありがたい。なにしろキオンのスカルキ総統をここまで引っ張って来ることができたのは、この子が自分の身を危険に晒してまでキオンまで行って交渉をしてくれたからで、他の誰にもできないことだった。やはり織羽の遺伝子を持つ娘だからなのか? そうだとすれば私は改めて感謝しなければいけないな。こちら側の世界に近界(ネイバーフッド)の存在を伝え、トリオンを使用した文明を持ち我々と違った発展を遂げた近界民(ネイバー)がいて、その近界民(ネイバー)がこちら側の人間にとって脅威となりうることを教えてくれた。そして対抗する手段を与え、共に戦ってくれる仲間になってくれたことに感謝をしていたが、その意思を継ぐ娘を残してくれたのだからな。私にできるのはこの子が自分の力で自分の幸せを掴むまで見守り、必要な時に助けてやることくらいだな。そうだろ、織羽?)

 

 

「城戸司令…いえ、城戸さんにお願いがあるんですが、言うだけ言ってみてもいいですか?」

 

ツグミが真剣な目で真っ直ぐに城戸の目を見て言う。

 

「何だ? 遠慮なく言ってみろ」

 

「じゃあ、言いますね。今回の三国同盟の締結が無事に終わったら、()()()()()()と一緒にエウクラートンへ行って女王陛下に会ってもらいたいんです」

 

「エウクラートンの女王に? その言い方だとボーダーの幹部ではなく、おまえの父親代わりの人間という意味で会ってほしいということか?」

 

「そうです。リベラート殿下にはここで会うことはできますが、女王陛下は()()()()エウクラートンどころか神殿からも出ることができないという立場ですので、会うとなればこちらから行くしかありません。もちろんボーダーの最高司令官と本部長の立場でも会っていただきますが、それよりもわたしを育ててくれた父親として、わたしの大切な家族として彼女と話をしてほしい。彼女はわたしに一日でも早く跡を継いでもらいたいと考えていますが、わたしには玄界(ミデン)に大切な家族がいるのでまだ無理だと言ってあります。その家族の代表としておふたりにお願いしたいというわけです」

 

現在のエウクラートンの位置なら10日ほどあれば往復は可能で、このタイミングを逃すとボーダーの幹部ふたりが長期にわたって不在という面倒なことになる。

それに会って話をしたいと考えていたのは事実だから、ツグミの申し出を断る理由はない。

 

「いいだろう。同盟締結が無事に済んでリベラート殿下が帰国する際に一緒に行くことができるように調整することにする」

 

「ありがとうございます」

 

「礼を言われるまでもない。むしろおまえが私のことを父親として認めてくれていることが嬉しいよ」

 

「だって城戸さんは真史叔父さんとふたり合わせてひとりの父親みたいなものですから」

 

「ふたり合わせてひとりの父親?」

 

「真史叔父さんは剣の師匠としては厳しいですけど、普通の父親としては親バカと言っていいほどわたしに甘いんです。心配性だし、わたしがボーダー活動を続けている姿を見て自分のせいでわたしをこんな過酷な世界に引っ張り込んでしまったと言って詫びたりします。わたしのことをとても大切にしてくれますが、それは自分の課された責任であって保護しなければならない対象と見ているからで、嬉しいですけどちょっと()()です。ところが城戸司令は直接何かをしてくれるわけではありませんが、いつでも適度な距離を保ちながらわたしのことを見ていてくれて、何かあれば心配してくれます。そしてわたしがやろうとしていることに対してすぐに危険だからダメだと言って止めようとする真史叔父さんと違って、城戸さんはわたしのやろうとしていることが正しいか否か考えて判断します。まあ、ボーダーの最高司令官としての立場がそうさせているのでしょうが、だったら真史叔父さんも本部長として判断してくれたらいいんですけど、父親としての感情が優先してしまいますからね。城戸さんとは一時期は仲違いしてしまいましたが、お互いの正義が相反してしまっただけで、相手のことが嫌いになったり憎んだからではありません。だからこうしてわたしは真史叔父さんにすら話せないことでもあなたには話せるんです」

 

「ふむ…そういうものなのか」

 

「そうです。おふたりのどちらが欠けても今のわたしには育っていません。もちろん林藤さんも父親の内のひとりですが、今回はお留守番していただきます」

 

「それは当然だな。本部司令と本部長のふたりが同時に留守をするとなれば、短期とはいえ後を任せられるのはあの男しかいない」

 

「では、わたしの計画が順調に進んで28日に無事に調印式が済みましたら、30日には出発できると思いますので承知しておいてください」

 

「ああ、わかった」

 

 

 

 

ツグミが執務室を去ると、城戸は椅子に深く腰掛けて目を瞑った。

そして今は亡き旧友に語りかける。

 

(織羽…おまえ自身も会ったことのないリベラート殿下と面会するだけでなく、私はおまえの生まれ故郷へと行くことになる。おまえが自慢をしていた豊穣の大地をこの目で見るのは楽しみだ。今は春真っ盛りらしいから、秋に蒔いた小麦が芽吹いている頃だろうか?)

 

城戸の瞼の裏には果てしなく続く畑と青い空が広がっている。

 

(生前おまえは美琴やツグミを連れて自分の故郷を見せたいと言っていたがそれは叶わなかった。しかしツグミは自分自身の力でエウクラートンの大地に立ち、私と忍田を連れて行くと言っている。あの小さかったツグミがだぞ。育てたのは忍田だが、それでもあの子は私のことも父親だと認めてくれている。嬉しいじゃないか。おまえの分も見守ってやろうとして、本当に見守っているだけだったというのに私がいなければ今の自分には育っていないとまで言い切った。おまえの娘は私にとっても自慢の娘だ。もっともおまえにしか自慢できないがな)

 

とある事情で家庭を持つことができなかった城戸だが、旧ボーダー時代からたくさんの仲間に囲まれており、なおかつ子供世代の隊員が何人もいたことで寂しいとは感じることはなかった。

しかし戦いの中に身を置き、その戦いに子供たちを送り込まなければならないという現実に胸を痛めていた城戸。

それが仲間の半数を失うという悲劇に見舞われ、さらにその半数以上が10代の子供であったことから彼の中に辛うじて残っていたボーダー創設時の近界(ネイバーフッド)玄界(ミデン)の友好の架け橋になる組織になりたいという願いは完全に失せてしまったのだった。

本当ならこんな殺伐として哀しい場所であれば逃げ出してしまいたいほど辛かったはずだが、彼がボーダーに残ったのは単に生き残りの中で最年長者が自分であったからというだけで、それから6年以上も責任を果たすために最高司令官の椅子に座り続けていて、彼の顔に刻まれた傷よりも今でも癒えない心の傷の方がはるかに深くて哀しいものとなっていた。

 

(私も早く楽になりたい。あの子のおかげで玄界(ミデン)近界(ネイバーフッド)の関係は良い方向へ変わりつつある。昔は近界民(ネイバー)たちに有利な条件での盟約しか結べなかった。しかし織羽、おまえの娘はキオンとアフトクラトルという二大軍事国家の元首をここへ連れて来て、私に彼らと対等な立場で同盟を結ぶことができる舞台を用意してくれた。アフトとはまだどうなるかわからないが、キオンとはほぼ99%は確実に同盟を結ぶことができる。きっとおまえがやろうとしていたことを十数年遅れであの子がやろうとしているのだろうな。…おまえと美琴が突然逝ってしまった時、あの子の将来がどうなるか不安だったが、こんな10年後がやって来るとは想像もしていなかった。おまえの娘は玄界(ミデン)近界(ネイバーフッド)というふたつの世界を変えようとしている。だから美琴と一緒にあの子を見守っていてくれ、織羽)

 

記憶の中の織羽が微笑んだものだから、城戸も目を瞑ったままで微笑んだのだった。

 

 

 

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