ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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462話

 

 

修と麟児が同時にバッグワームを解除して自らの居場所を明らかにすると、それをきっかけにして鈴鳴第一が全力疾走で那須隊に向かった。

 

「おおっ! 最終決戦の火蓋が切られたぁ! 玉狛第2の三雲隊長と麟児隊員がバッグワームを解除したとたんに来馬隊長と村上隊員が那須隊長と熊谷隊員に向かって駆け出したぞ!」

 

鈴鳴第一と那須隊の距離は約70メートルで、村上の旋空の射程まで一気に間合いを詰めようというのだ。

那須隊もそれは承知の上で、近付いて来るふたりに向けて熊谷が炸裂弾(メテオラ)を撃つ。

しかし射程が短いために鈴鳴第一のふたりまで届かず、十数メートル手前の地面に落ちて炸裂した。

 

「惜しい! 距離を見誤ったか、熊谷隊員の渾身の炸裂弾(メテオラ)は鈴鳴第一に届かない!」

 

「いいえ、初めから当てるつもりはなかったようです。これは攪乱でしょう」

 

ツグミが桜子に言う。

炸裂弾(メテオラ)による爆風を受けた来馬と村上は一瞬怯み、足を止めたところに那須の通常弾(アステロイド)が強襲。

村上は(シールド)モードのレイガストで正面の通常弾(アステロイド)を防ぐが、時間差で那須が撃った変化弾(バイパー)が頭上と背後から襲いかかってくる。

通常弾(アステロイド)による攻撃は防いだものの、変化弾(バイパー)で背後からの攻撃は防ぎきれなかったようで背中から脇腹へと抜ける穴が開いて村上はトリオン漏出による中レベルのダメージを受けてしまった。

玉狛第2も同じ攻撃を受けたが、端から防御に徹する姿勢でいたから修は(シールド)モードのレイガストで前面の通常弾(アステロイド)を防ぎ、麟児の両防御(フルガード)で頭上からの変化弾(バイパー)を防ごうとする。

しかしこちらも背後からの攻撃があるととっさに判断した麟児はシールドを地面に固定してふたりはノーダメージでやり過ごした。

 

中レベルのダメージを受けた鈴鳴第一とほぼノーダメージの玉狛第2。

どちらか一方しか相手にできないとなればわずかでも倒せる可能性のある鈴鳴第一を選ぶのは当然で、那須の全方位攻撃変化弾(バイパー)「鳥籠」が来馬と村上に向けて放たれた。

ところが那須の変化弾(バイパー)が来馬と村上に届くかと思いきや、彼らの西の方角から発射されたアイビスがふたりの戦闘体を一瞬にして粉砕。

ふた筋の緊急脱出(ベイルアウト)の軌跡が宙を飛んで行った。

 

想定外のことに那須と熊谷は驚いて固まってしまうが、那須はすぐに修と麟児に向けて変化弾(バイパー)を撃とうとしてトリオンキューブを自分の周囲を囲むように浮かべた。

この時点で修と麟児の位置は那須と熊谷から60メートル離れていて、麟児の拳銃(ハンドガン)の射程外であるから防御を無視して両攻撃(フルアタック)で一気にカタをつけようというのだ。

しかしその直後、彼女は…いや、那須だけでなく熊谷も何が起きたのかわからないまま戦闘体を失って鈴鳴第一を追うように緊急脱出(ベイルアウト)してしまったのだった。

 

 

◆◆◆

 

 

「鈴鳴第一の来馬隊長、村上隊員、那須隊の那須隊長、熊谷隊員と続いて4人が緊急脱出(ベイルアウト)! これにより玉狛第2が6得点と生存点2点の合計得8点で最終スコア8対0対0! またもや玉狛第2の完全勝利です!! 3戦全勝の玉狛第2の勢いは止まらない!総獲得ポイント数は30となり、暫定ですがとうとう3位まで駆け上がった!」

 

勝敗が決したことを桜子が宣言すると、観客たちは立ち上がって歓喜の声を上げた。

ランク戦スタート時は最下位で初期ボーナスもなかったというのに、Round3が終わった時点で3位にまで上り詰めていて、次のRound4では1位になる可能性が十分ある。

昨年のツグミがRound4で暫定1位になったが、それに並ぶ快進撃なのだから観客たちが興奮するのも無理はない。

もっとも下位・中位の試合を四つ巴戦にしたことで得点しやすくなっているからだが、それでも実力がなければこの結果を出すことは不可能だ。

それを達成した試合を間近で見られたのだから観客たちが大騒ぎするのも当然のことで、実況の桜子までが小躍りしそうな勢いだ。

 

「みなさん、静かにしてください!」

 

その騒ぎを収めたのはツグミだった。

彼女の一声で観客たちは一瞬にして静まる。

 

「みなさんの気持ちはわかりますが、総括を最後までおとなしく聞いてください」

 

立ち上がった観客たちが座ると、桜子も咳払いをひとつして何事もなかったかのように言った。

 

「コホン。…さて、振り返ってみて、この試合いかがだったでしょうか? 烏丸隊員からお願いします」

 

「この試合はランダムに選ばれたマップを試合開始直前に知らされるということで、どの部隊(チーム)も条件は一緒ですし転送位置も運任せですからその点では非常にフェアな戦いであったと思われます。ただしマップの北半分に攻撃手(アタッカー)射手(シューター)銃手(ガンナー)が集中し、南半分に狙撃手(スナイパー)が転送されたために、どの部隊(チーム)も作戦が『本部基地の北側で合流した攻撃手(アタッカー)射手(シューター)銃手(ガンナー)を屋上の狙撃手(スナイパー)が援護する』というパターンになってしまいました。このマップは高い建物が限定され、どうしても本部基地屋上からの狙撃という考え方に偏ってしまいます。それを玉狛第2は上手く利用したわけです。玉狛第2には他の部隊(チーム)にはない()がありましたからね」

 

「それは空閑隊員のことを言っているのでしょうか?」

 

「そうです。転送位置も雨取隊員のいる南側でしたし、なによりもグラスホッパーという形勢を一気に逆転できる武器(トリガー)を持っていますから、この試合は玉狛第2に有利な初期位置であったと言えます。そして試合の流れは玉狛第2が握っていたと言って過言ではありません。現にこの作戦は空閑隊員がいなければ成り立たないものでした。夏目隊員は自分が本部基地出入り口に一番近い場所にいたという自信があったために屋上に出るドアを外の様子を確認せずに開けてしまったことで、置き炸裂弾(メテオラ)を起爆させてしまいました」

 

「この時、なぜ雨取隊員が炸裂弾(メテオラ)を使うことにしたんでしょうか? 空閑隊員が倒してもいいのだし、雨取隊員が狙撃をしてもよかったはずですが」

 

「それは空閑隊員の居場所がバレてしまわないように雨取隊員に任せたんでしょう。そして炸裂弾(メテオラ)を使ったのは、彼女と夏目隊員が親友であるために狙撃という自分の手で直接撃つことに迷いが生じると判断したからではないかと推測します」

 

「なるほど…。その点で霧科さんはどうお考えですか?」

 

ツグミは少し考えてから答えた。

 

「たしかに雨取隊員は人を撃てずにいた時期がありますし、その悩みに寄り添ったのが親友の夏目隊員です。ですから彼女を自分の手で撃つことに躊躇して絶好のタイミングを逃してしまう可能性もありました。だから炸裂弾(メテオラ)を使ったことは理にかなっていると思いますが、わたしはもうひとつ重要な意味があったと考えています」

 

「その重要な意味とは何ですか?」

 

「雨取隊員の炸裂弾(メテオラ)ですから、本部基地の北側にいた鈴鳴第一と那須隊にも彼女が屋上にいるということを派手に知らせることができます。そして本部基地内にいた別役隊員は直接見ていなくてもチームメイトから知らされ、来馬隊長の性格なら別役隊員に雨取隊員との対決を避けて合流するよう指示を出すでしょう。屋上への出入り口はひとつしかなく、雨取隊員がそこを狙ってアイビスを構えている可能性もありますし、再び炸裂弾(メテオラ)が仕掛けられていることも考えられますから、別役隊員の勝ち目は薄いと判断するのが自然な流れです。そして雨取隊員の存在感をアピールすることで、空閑隊員が密かに三雲隊長や麟児隊員と合流を目指していると想像するであろうことも考慮して、麟児隊員はこの作戦を立てたとわたしは考えています」

 

「これは三雲隊長ではなく麟児隊員の作戦だと言うんですか?」

 

「ええ。三雲隊長の性格だと雨取隊員に夏目隊員を倒すように指示するよりも空閑隊員に倒させる方を選びます。いくら人を撃てるようになったとはいえ雨取隊員に親友とタイマン対決させられるだけの根性が三雲隊長にはありません。ですが麟児隊員は雨取隊員のお兄さんですから、彼女にできることとできないことを正確に判断してできないことは無理強いせず、逆にできると判断したならばそれが本人にとって過酷なことでもさせるでしょう。雨取麟児という人はそういう人間です」

 

「……」

 

ツグミが自信ありげに言うものだから、桜子は黙ってしまった。

いや、彼女だけでなく京介と観客たちも声を出さずにいて、観覧室は静まり返った。

 

「ボーダー防衛隊員は10代の学生が大半を占めていますので、B級ランク戦が部活の対抗試合の雰囲気があることは否めません。誰も死にはしないし怪我をすることもない。安心安全なサバゲーのようなもので、通常では手にすることもできない武器を使って戦うことができるからという理由で入隊する者もいるくらいです。ですがボーダーとは三門市民の生命と財産を守ることを責務とした防衛組織ですからその覚悟を持って戦ってもらわなければなりません。昨年の9月からC級隊員の正隊員昇格試験が行われるようになったのも、入隊しても武器(トリガー)を持って()()()模擬戦をするだけの遊び感覚の訓練生を排除するため。また努力をせずにダラダラと訓練生という立場で前にも後ろにも進めない人に引導を渡すために設けられた規定(ルール)です。この場にいるC級のみなさんは真面目にランク戦を観戦して学ぼうという向上心のある人たちでしょうから、間違っても昇格試験で落ちて追い出されるようなことはありませんよね?」

 

そう言ってツグミが観客たちの顔を見渡すと、中には俯いてしまうC級隊員の姿もあった。

 

「訓練生時代なら撃てないとか撃ちたくないと言っていてもかまいませんが、正隊員になれば正規の武器(トリガー)を手に戦わなければなりません。そして敵がトリオン兵だけではなく人型近界民(ネイバー)とも戦わなければならないことは昨年のアフトクラトルの大規模侵攻で証明されました。ボーダーは近界民(ネイバー)とできるだけ戦わずに済むように友好的な国とは同盟を結ぶことを進めていますが、わたしたちが知っている近界民(ネイバー)近界(ネイバーフッド)世界のことは全体の1パーセントにも満たないのは事実。そして敵性近界民(ネイバー)とは戦わなければならないとなれば、訓練に手を抜いて暢気に部活気分でいられては困ります。それを理解している麟児隊員は妹を甘やかさず、やるべきことをきちんとさせたという点でわたしは彼を高く評価します」

 

「……」

 

「…といってもまだこれはわたしの推測の域を出ていませんから真実かどうかわかりませんが、まったく根拠がないわけではありませんのでたぶん正解だと思いますよ」

 

ツグミの言葉に心当たりのある観客(C級)たちは「ヤバイ」などと思っていることだろう。

 

「と、ところで玉狛第2はなぜ得点できる場面であえて敵を見逃すようなことをしたのでしょうか? 麟児隊員は熊谷隊員との遭遇戦で手を抜いた…とは言いませんが本気を出していなかったような気がするんです」

 

「本気を出していない…と言うのには語弊があります。彼らは本気で戦っているのは間違いなく、ただ彼らが単純に勝ち負け…つまりいかに多く得点するかではなく、いろいろと奇抜な戦術を考えながら()()()戦っていてそれを楽しんでいるのだと思います」

 

「なぜそうだと思うんですか?」

 

「わたしがそうだったからです。昨年わたしは()()()()()()B級ランク戦に参戦しましたが、元々A級になりたいとか遠征に参加したいといった理由ではありませんでしたので順位にはこだわっていませんでした。同レベルの隊員と戦って切磋琢磨することに意味を見出し、勝つことよりもどのように勝つかを重視して戦っていました。そして観客がいる以上はエンターテイメントとして楽しんでもらおうと、誰も思い付かないようなあっと言わせる戦術を披露しようと毎回頭を悩ませながら自分自身も楽しんでいたんです。だからなんとなく麟児隊員も同じように考えて戦っているのではないかと考えたわけです」

 

「なるほど…。たしかに去年のランク戦ではデビュー戦で茶野隊のふたりをわざわざ引き寄せてダブル旋空で一刀両断しましたし、Round4では生駒隊と王子隊を相手に完全試合でしたね。あれは印象に残っています」

 

ひとり部隊(ワン・マン・アーミー)であり、Round1でインパクトのあるデビューをしましたから興味を持った訓練生たちがB級ランク戦を積極的に見学に来るようになったと聞いています。それによって早く正隊員になって自分も戦いたいとか、自分の戦いの参考にしようと思ってくれる訓練生がひとりでも増えたのならわたしの()()は大成功。そしてその先に暫定1位という結果がオマケとして付いてきただけだったんです。だから今の玉狛第2も得点や順位といった結果ではなくそれに至る過程とか、自分たちのランク戦を見た人にどのような影響を与えるのかなど考えている…といいな、って思っています」

 

パチパチ、パチパチ……

 

ツグミの言葉を聞いて観覧室は静まり返っていたが、彼女たちのいる解説席の背後から拍手の音が聞こえてきた。

ふと振り向いてみると最上段の立ち見席に迅が立っていて拍手をしている。

 

「ジンさん…」

 

迅はツグミと目が合うとにっこりと微笑んだ。

彼もまた玉狛第2の試合を見に来ていて、ツグミの解説を後ろで聞いていたのだった。

 

「霧科さん、終盤戦の戦いについて解説をお願いします」

 

桜子に言われてツグミは前を向き直してから咳払いをひとつして解説を始めた。

 

「終盤戦、本部基地北側に鈴鳴第一の来馬隊長と村上隊員、那須隊の那須隊長と熊谷隊員、そして玉狛第2の三雲隊長と麟児隊員の6人が揃いました。6人のうち玉狛第2のふたりは無傷で、残りの4人は軽傷といったところで十分に戦えると思われましたが、実際にはここに至る前にだいぶトリオンを消費していたことと残り時間がわずかでしたから、無得点の鈴鳴第一と那須隊は焦っていたことでしょう。なにしろ両部隊(チーム)とも狙撃手(スナイパー)を失っていましたからね」

 

「たしかに夏目隊員に続いて別役隊員も北東側の出入り口にたどり着いたとたんに空閑隊員に殺られてしまいました。しかしこれまで空閑隊員はずっと姿を隠していたというのにここで居場所がバレてしまいました。それなのにバッグワームを解除せずにいたことが気にはなっていたんですが、どうしてなのか霧科さんにはおわかりになりますか?」

 

「たぶん最後の那須隊への攻撃のためだったと思います」

 

「それは空閑隊員が本部基地の屋上から飛び降りて那須隊の頭上からスコーピオンでふたりに斬り付けたことですね。あれには驚きました」

 

「わたしも同じです。まさか雨取隊員と空閑隊員が入れ替わっているなんて誰も想像しませんからね」

 

「では最後の鈴鳴第一が那須隊と交戦に入ったところから映像で振り返ってみましょう」

 

桜子がキーボードを操作して該当する映像をモニターに映し出した。

鈴鳴第一が全力疾走で那須隊に向かって行くシーンが映ると、ツグミは解説を始めた。

 

「玉狛第2の三雲隊長と麟児隊員がバッグワームを解除したところで、鈴鳴第一と那須隊はもう後がないと判断し、鈴鳴第一は落としやすい那須隊を狙って行動を開始しました。那須隊も鈴鳴第一が自分たちを狙うと考えていて、熊谷隊員の炸裂弾(メテオラ)は目くらましにする意味で放たれたのは明らかです。ですが雨が降っていたことで思っていたよりも砂埃は立たず、地面を抉った時の土や瓦礫がいくらか視界を遮ったというレベルでしたので効果は薄かったと思われます。それでも来馬隊長と村上隊員は一瞬ですが怯んで足を止めて、そこに那須隊長の通常弾(アステロイド)と時間差で届くようにした変化弾(バイパー)が降り注ぎました。こちらは効果があり、来馬隊長と村上隊員は中レベルのダメージを受けています。それと同じものを玉狛第2にも向けて撃ちましたが、麟児隊員の適切な判断で固定シールドによってノーダメージでやり過ごしています。どちらか一方しか相手にできないとなればわずかでも倒せる可能性のある鈴鳴第一を選ぶのは当然で、那須隊長の全方位攻撃変化弾(バイパー)『鳥籠』が来馬隊長と村上隊員に向けて放たれました」

 

「ですが得点したのは玉狛第2でしたね?」

 

「はい。ここからが誰にも想像していなかった展開となります。鈴鳴第一から点をもぎ取ったのは雨取隊員のアイビスでした。これは鈴鳴第一が警戒していた本部基地屋上からの狙撃ではなく地上からのもので、いつの間にか彼女は地上に降りて来ていて、鈴鳴第一がまったく警戒していなかった場所で待機していたのでした。さらに鈴鳴第一のふたりが想定外の場所からのアイビスによる攻撃で緊急脱出(ベイルアウト)してしまいましたから、那須隊長と熊谷隊員はさぞ驚いたことでしょう。ですがさすがに那須隊長はすぐに玉狛第2への攻撃に頭を切り替え変化弾(バイパー)を撃とうとしてトリオンキューブを出し両攻撃(フルアタック)で一気にカタをつけようとますが、那須隊長のレベルでも射手(シューター)は弾を出して撃つまでわずかですが時間がかかってしまいます。そのわずかな時間を見逃さず、本部基地屋上にいた空閑隊員が飛び降りてスコーピオンで那須隊長と熊谷隊員のトリオン供給機関を正確に破壊して緊急脱出(ベイルアウト)させました」

 

「これは何が起きたのかまったくわかりませんでした。つまり雨取隊員が本部基地屋上にいると思わせておき屋上からの狙撃を警戒させていて、同時に空閑隊員が地上にいると思わせているため、那須隊のふたりは頭上の敵に気付かなかったということですね?」

 

「そのとおりです。入れ替わったのはたぶん空閑隊員が別役隊員を倒した直後でしょう。彼がグラスホッパーを使って屋上へ上がり、雨取隊員はグラスホッパーを使って地上に降り、三雲隊長の指示で身を隠していて最後の戦いまでじっと待っていたのだと思います。空閑隊員が一度地上に降りたことは別役隊員を倒したことでバレてしまいましたが、だからこそ彼が屋上に戻ったとは誰も考えないわけです。わたしたちも彼らが意外な場所で待機していたのを知って驚きましたからね。戦闘中の鈴鳴第一や那須隊にはそこまで想像する余裕などなかったでしょうからこの作戦は非常に効果があったわけです。そしてまた彼らはほぼノーダメージで完全勝利を得ました。ここまでの3戦を見ていると、玉狛第2(彼ら)には何らかの意図があってノーダメージ・完全試合にこだわっているという確信を得ました」

 

「その意図とは何なんでしょうね?」

 

桜子が首を傾げると、ツグミは名案だとばかりに言った。

 

「ねえ、桜子ちゃん、いいこと思い付いちゃった」

 

「何を思い付いたと言うんですか?」

 

「玉狛第2の作戦室につないで三雲隊長に直接訊いてみましょう。本人に訊くのが一番でしょ?」

 

そう言ってツグミは微笑んだ。

 

 

 

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