ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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484話

 

 

千佳の話は続いた。

 

「3月の初め頃、レイジさんがツグミさんと話をしたということを聞きました。レイジさんは自分が師匠として狙撃の技術だけでなく一番大事なことを教えなかったことでツグミさんに悪役を押し付けてしまったと後悔していて、そのことを謝るためにあなたに会いに行ったのだと言っていました。そして自分が狙撃手(スナイパー)の訓練をしている時にもやっぱり人型となると撃ちづらくなり、無理やり自己暗示をかけて撃てるようになったと教えてもらいました。元々攻撃手(アタッカー)射手(シューター)として戦ってきたのだから無理をして狙撃を覚えなくても良かったはずなのに、ツグミさんは『ひとつでも()()が多い方が仲間を助けられるから』と言って頑張ったそうですね」

 

「まあね。当時はまだボーダーが新体制になって間もない頃だから訓練のマニュアルなんてないし、指導してくれるのは狙撃の経験のある東さんしかいなかったから大変だったわ。もしわたしやレイジさんが挫折してしまったら東さんも自分の指導力不足で何の役にも立たなかったって弱気になってしまったと思うの。だから必死だった。攻撃手(アタッカー)射手(シューター)銃手(ガンナー)希望の隊員はいたけど、まだしっかりと確立していなかった狙撃手(スナイパー)になろうって入隊してくる隊員はいなかったから、自分は狙撃手(スナイパー)だと自信をもって言えるようにならなきゃって、ね。そうしないと後が続かないから」

 

「そしてツグミさんたちのおかげで狙撃手(スナイパー)が他のポジションと同じように重要な役割を持つと証明されたから隊員が100人以上もいて、その誰もが一度は人が撃てないという苦しみを乗り越えてきた。撃てないのなら他のポジションに変更するという方法もあったのにわたしはしなかった。それは攻撃手(アタッカー)として人を斬ることも、射手(シューター)銃手(ガンナー)として人を撃つことも同じようにできないとわかっていたから。わたしは他人の目を気にしてばかりで、近界民(ネイバー)から身を守るために戦闘員になったはずなのに、保身のために周りの人たちに迷惑や心配をかけていただけでした。それなのに修くんやレイジさんたちはわたしに優しくしてくれる。嬉しいけどすごく胸が苦しかった。わたしはみんなに大切にしてもらえるような価値なんてない人間なのに」

 

「……」

 

「こんなことを言うと自分勝手だと思うでしょうけど、わたしは周りの人が優しくしてくれるたびに辛かったんです。特にしおりさんはわたしが撃てないことを絶対に否定しない。できることをしようと言ってものすごく優しく接してくれる。レイジさんも自分を責めるなとか少しずつ慣らしていけばいいと言ってくれるんですけど、それが逆にプレッシャーというか、何もできないわたしのことを全面的に受け入れてくれることが苦しく感じられたんです。撃てないなら撃たなくてもかまわないという許しをもらってしまったようで、わたしは楽な方に流されてしまいそうになりました。鉛弾(レッドバレット)狙撃を覚えたことでB級ランク戦では勝つことができて、()の弾が撃てなくても何の問題もないならそれでいいじゃないかという気持ちでいました。でもヒュースくんの言葉で目が覚めたんです。これではいけないのだと頭ではわかっていても、周りが責めないのだからこのままでいいという気持ちもあって、いっそ全部吐き出してしまえば楽になれるんじゃないかと思って告白しました。自分の保身しか考えていないずるい人間だということを言えばレイジさんとしおりさんでもさすがにわたしに対する見方が変わるかもしれないと思ったんです。それがきっかけになって自分が変われるんじゃないかって他力本願の考えでいたんですが、それでもふたりは受け入れてくれました。その時、わたしは安心したと感じると同時に落胆していたのが正直な気持ちです。せっかく勇気を出して告白したのに、状況は全然変わらなかったからです」

 

「……」

 

「でもツグミさんだけは違って、わたしが一番聞きたくなかったこと、耳を塞ぎたくなるようなことを言ってくれました。聞きたくなかったのはそれが事実で、自分でもその事実を理解していながら認めたくなかったから。それをズバズバと言うあなたに対し()()()は酷いことを言う嫌な人だと思ってしまいましたが、冷静になってみると近界(ネイバーフッド)遠征に参加したいというわたしの気持ちを一番理解してくれていて、わたしが遠征に参加しても無事に帰って来られるようになるために厳しいことを言って憎まれ役をやってくれたのだとわかりました。その後もアフト遠征の訓練では対近界民(ネイバー)を想定した訓練方法を考えてくれて、トリオン兵の特徴を掴んでどういった順で倒していくと効率的であるとか、まだ人を撃つことにためらいのあるわたしに仮想人型近界民(ネイバー)を倒す訓練をさせて慣れさせるとか、いろいろ試行錯誤したんだなと思うと本気でわたしを遠征に参加させて無事に帰還させようとしているのだとわかりました。たぶんレイジさんならわたしは機関員なのだから戦わなくていい、自分たち戦闘員が絶対に守ると言ったと思います。そうやってみんなに守られっぱなしの自分が嫌で嫌で仕方がないのに、またここで守られるくらいなら死んだ気になって撃てるようになるまで練習をするって気持ちで続けたんです」

 

「そうね、あなたは誰よりも熱心に訓練をして、最終試験までに人型も撃てるようになっていた。でもそれは仮想人型近界民(ネイバー)であって、実際に人が撃てるかどうかはまだ不安な点があったものだから、わたしは試験の時にあなたに対して難しい課題を出したんだったわね」

 

「はい。結果、わたしは不合格でした。でもわたしが参加しなければ遠征計画を大幅に変更しなければならないということで、わたしは参加を認められました。自分で自分の身を守れない人間が仲間を守ることなんてできるはずがなく、わたしは自分の未熟さに自己嫌悪に陥ったんですが、それでも修くんたちはわたしを責めるどころか全面的に受け入れてくれました。玉狛の人たちはみんな優しいです。でも優しいからそれが辛く感じてしまい、ますます何もできない自分のことが嫌いになってしまう。でもツグミさんは少し違っていて、厳しいことや耳を塞ぎたくなるようなことを言いますが、それがわたしのために必要だからという信念があって言っているのだとわかると、その厳しさはあなたが優しくて本気でわたしのことを心配してくれている人だからこそなんだと思えるようになりました」

 

「玉狛の人たちの優しさは、ありのままのあなたを受け入れてくれる優しさ。だけど自分に自信のないあなたには逆に重荷になっていたのね。…わたしはこう思うの。優しいというのは彼らがあなたに対して厳しいことができないからだと。親が自分の子供に厳しいことを言うのはそこに愛情があるからこそなんだけど、玉狛のみんなはただの仲間であって親の子供に対する愛情ほどの優しさはない。乱暴な言い方をすれば優しいのではなく他人事だからあなたがどうなっても自分には責任がないという立場だから平気で甘やかすことができるのよ。これが親だったら自分がいなくなった後の子供のことを心配するから、自分がいるうちに成長させたいと思って厳しいことを言う。その厳しさこそが優しさ。わたしがレイジさんを責めたのは狙撃の師匠という親と同じ立場を引き受けたというのに、その責任を果たしていなかったからなの。誰もが必ず乗り越えなければならない『人を撃つ』という行為をスルーしたままで防衛隊員として戦わせることはとても危険なものだと理解していたはずなのに、彼は『少しずつ慣らしていくしかない』と言っただけ。わたしもその考え方はわかるけど、アフト遠征に参加することが前提となっているあなたには時間がない。タイムリミットが迫っていて少しずつなんて悠長なことを言っていられないのに問題を先送りしただけで済ませてしまったわ。親と子の関係と同じで人を撃てないあなたをレイジさんがいつまでも守ってやれないのだから撃てるように指導するのが師匠の役目というもの。わたしはあなたの師匠ではないし玉狛支部を離れたから直接あなたに指導をするということはできない立場だった。でもわたしはあなたが入隊した時にあなたを応援すると決めたから、その責任を果たすためにわたしは自分にできる限りのことをしたつもり。そしてその成果はあなたがアフト遠征で無事に生還したことで証明されたわ。もちろんその()()はあなたが努力したからなんだけどね」

 

「いいえ、近界(ネイバーフッド)へ行くだけでなく無事に帰って来られるだけの力も覚悟もないわたしに遠征に参加する資格はありません。でも迅さんや林藤支部長からいろいろと聞いています。ツグミさんはわたしが危険な目に遭わないように、そして精神的に潰されてしまわないようにと配慮してくれました。わたしがいなければ計画を変更しなければならないからという理由でしょうが、それだけでわざわざわたしの家まで来て両親に土下座までしてお願いをするなんてこと他の誰もしてくれませんでした。ツグミさんが両親にお願いをしてくれなかったら、わたしだけでは無理だったと思います」

 

「ああ、あの件ね。お願いといってもチカちゃんの話を聞いてほしいって言っただけだから、チカちゃんの説得が功を奏したってことよ。そこは自信持っていいと思うわ。1年前と比べるとあなたはとてもいい顔になってきたって感じる。他人の目を気にしていつもオドオドしていた姿が嘘みたい。それって自分に自信が持てるようになったことで自分で自分のことが好きになれたからじゃないかな?」

 

「はい、わたしもそう思います。トリオン量が多いことで近界民(ネイバー)に狙われたり、こんな力で撃ったらずるいと思われるなんて勘違いをしていたから自分の能力を否定しているばかりでしたが、わたしがこの力を使えばボーダーの仲間や三門市民の役に立つと考えるようになって気持ちがスッキリしたんです。修くんのようにトリオンが少なくてもいろいろ試行錯誤して頑張っている人が大勢いるのに、恵まれた立場のわたしがそれを疎ましいと思うのは頑張っている人に対してとても失礼なこと。わたしが初めから普通に撃つことができればそんなことさえ考えることもなかったのにと思うと悔しい。アフト遠征はそんな自分の嫌いな部分に打ち勝てた気がします」

 

清々しい表情で言う千佳の姿を見たツグミはもう彼女が一人前のボーダー隊員になったのだと確信できた。

嬉しいと思う反面、申し訳ないという気持ちもあって複雑な気分だ。

なにしろ千佳が苦労して人を撃てるようになったというのに、ツグミは人を撃たなくても済む世界を創ろうとしているのだから。

 

「何でもいいからひとつのことを成し遂げた人の顔って自信に満ちていてキラキラしている。今のチカちゃんがそうだよ。人を撃つことができるようになったのはずいぶんと前のことだけど、これまで見たことがないくらいすごくいい表情をしている」

 

「それはきっと長い間胸につかえていたものを吐き出したからだと思います。ずっとツグミさんに言おうと思っていたことだったので、言うことができて満足しているからです。チャンスはいくらでもあったはずなんですが、いざとなると少し怖気づいてしまって…。でもこうしてふたりきりになって、やっと自分の正直な気持ちが言えるとなったら言葉がドンドン溢れ出してきて、自分でも何を言っているのかわからなくなってしまったんですが、ツグミさんにわたしの気持ちが届いたって安心しています」

 

「それは良かった。わたしもあなたがボーダーでの生活を楽しめているようで安堵しているの。わたしにはあなたをボーダーに引っ張り込んだ責任があるから。まあ、いろいろあったけど結果オーライ。本当に良かったわ」

 

レイジに続いて千佳とも()()できたツグミ。

別に険悪な仲になっていたわけではないが、家族同様の付き合いをしていた玉狛の仲間であるからお互いにずっと気がかりではあったのだ。

 

(あ…!)

 

ツグミの頭にひとつの仮説が浮かんだ。

 

(もしかしたら林藤支部長がチカちゃんを同行させるって言い出したのは、わたしと彼女がふたりになれる時間を作ろうとしたからかも? レイジさんとシオリさん、そしてチカちゃんの3人とはケンカをしてわたしが玉狛支部を出て行った形でそのままになっていたから。わたしは気にしていなかったけど、レイジさんは自分を責めていたみたいだし、チカちゃんもわだかまりが解けたとたんに清々しい笑顔を見せてくれたくらいだもの、ずっと心の中でくすぶっていたのね。そんなふたりの姿を見ていた林藤支部長は玉狛の父親として心配していたんじゃないかな。それで自分から積極的に言い出す機会を持てないチカちゃんを参加させたとすれば、ちょっと強引だけど和解のきっかけとなる場を作ることができる。狭い艇の居室でふたりきりになるんだから、チカちゃんにその気があれば自然とこの流れになるものね。グッジョブ、支部長(ボス)。…そして、ありがとうございました)

 

心の中で礼を言うツグミだった。

 

 

◆◆◆

 

 

千佳との話が済むと、彼女と入れ替わりのように麟児がツグミとの面会を求めてきた。

彼は居室のドアを閉めずに中へ入って来て、さっきまで千佳が座っていた場所に腰掛ける。

 

「女性とふたりきりになるのは憚れるからね、ドアを開けたままで失礼するよ」

 

「女性に対して礼儀正しいところはさすが近界民(ネイバー)といったところかしら?」

 

「もちろんそれもあるが、きみは妹の恩人でもあるからな。俺もきみと話したのは事情聴取の時だけだから、機会があったらゆっくりと話がしてみたかったんだ。今ならかまわないだろ?」

 

「ええ、もちろんです。わたしもエクトスのリンジではなく雨取麟児という人間のことをもっと良く知りたいと思っていたのでちょうど良かったです」

 

「エクトスのリンジではなく雨取麟児のことが知りたい…とは?」

 

近界民(ネイバー)であるあなたが三門市の生活に馴染んでいき、一緒に暮らしていた雨取家の家族に対して愛情を抱くまでになった。諜報員として標的(ターゲット)の国に特別な感情を持つことになれば祖国との板挟みになる危険をはらんでいるというのに。それだけチカちゃんたちとの暮らしがあなたにとって満ち足りたものであったということ。エクトスのリンジが雨取麟児になることができた理由が知りたいんです」

 

「何でそんなことを知りたいんだ?」

 

「これから拉致被害者市民の救出を進めていく上で、近界民(ネイバー)の配偶者のいる人も帰国を望んでいるでしょうから、近界民(ネイバー)が三門市での暮らしに馴染むことができるよう支援することもわたしの仕事のひとつだと考えているんです。ゼノン隊長たちからもお話は聞かせてもらいましたが、もっと多くの情報が欲しい。そしてあなたは市民とほぼ同化していたために誰にも怪しまれなかったくらいですから、あなたの雨取麟児としての暮らしには非常に興味があるんです」

 

「なるほどな。俺の犯した罪は大きすぎて贖罪の足しになるかどうかわからないが、俺の経験談が役に立つというならいくらでも教えてやる。何でも訊いてくれ」

 

「それじゃ、遠慮なく」

 

ツグミは麟児が近界民(ネイバー)玄界(ミデン)での生活の中でどのような点に疑問を抱いたり不便さを感じるのか、逆に玄界(ミデン)のどのような文化に惹かれるのかなどの質問をした。

答えのほとんどはゼノンたちと同じようなものであったが、彼なりの感じ方や考え方もあって参考になるものだった。

そして最後に雨取家での生活に違和感なく溶け込めるようにどのような努力をしたのかを尋ねた。

 

「当時の雨取家は家族がバラバラだった。千佳が近界民(ネイバー)に狙われていることを周囲の人間だけでなく両親も信じてはくれなかった。青葉という子がトリオン兵に捕獲されたことを自分のせいだと責めていた時期だったから、俺が千佳の心の隙間に入り込むのは簡単だった。両親も千佳のことでお互いに相手のことを非難して夫婦仲は最悪だったから、俺があの家族の一員になること自体は難しくなかったな。ただ突然現れた雨取家の長男のことを不審に思う近所の人間を騙すのために、俺は子供のいない親戚の養子に出されていたがその親戚に子供ができたので戻ってきたという嘘話をでっち上げた。近界(ネイバーフッド)では貴族たちの間で養子縁組の話は良くあることだからだ。両親と千佳に俺の嘘話を信じ込ませるのは簡単だったし、雨取夫婦が周囲の人間に嘘をつく理由もないから、それ以上の追求はなかった」

 

「……」

 

「見た目が日本人に近かったことも幸いして俺はすんなりと三門市民の中に溶け込めていたが、戸籍がないということは玄界(ミデン)で暮らしていく上で一番の障害となった。高校に通うのが当たり前の年齢でありながら街中をブラブラしていると逆に目立ってしまうし、警官に補導でもされたら面倒なことになる。だから正式に受験して入学することはできなかったが、高校では制服を着ていることによってその学校の生徒だと周囲に思い込ませることができた。この国は平和だ。異物が紛れ込んでいても見た目が自分と同じであれば特に気にせず、むしろ仲間だと思い込んでしまう習性があるらしい。校内をうろついていても教師に見咎められることはなく、家に帰ってからは見てきたことをさも自分がやっていたことを報告するだけで家族は納得していた。大学ともなると人間の数が多すぎて俺が適当なことを言ってもごまかせるし、情報収集で街の中を歩いていても誰も怪しまないようになったな」

 

「雨取家の家族がちょうどいい隠れ蓑になり、エクトスのリンジとしては仕事がやりやすかったようですね。でも雨取家の人たちに愛着がわき、本当に家族だと思えるようになってしまたっために第一次侵攻の時にはチカちゃんたちの命を守るために家族全員で三門市を離れていた。そしてその後も雨取麟児として何食わぬ顔で暮らしていたけれど、本心は苦しかったんでしょうね。チカちゃんが苦しむことになった原因のアオバちゃんの拉致はエクトスのトリオン兵で、彼女の居場所を探るためにあなたは一時帰国することにした」

 

「ああ。その時に鳩原未来を引っ張り込む必要があったんだが、彼女には申し訳ないことをしたと今でも思っている。他所へ引っ越してしまったことで詫びをする機会を失ってしまったが、俺自身は後悔していない。エクトスに戻って祖国と決別し、やっと雨取麟児として生きていくことができるようになった。その点ではきみに感謝をしている。本来なら厳罰処分であったはずの俺が戸籍を取得し、こうしてボーダー隊員となって罪滅ぼしができるのだから」

 

「それでご両親との関係はどうなんですか? チカちゃんと話をした時にちょっと聞いたんですけど、まだあなたは雨取家の敷居を跨がせてもらえていないそうですね」

 

「まあな。玉狛支部に住まわせてもらっているから困ってはいないが、彼らと俺の間に挟まっている千佳に申し訳ない。千佳は俺が春川青葉を連れて戻ったことを本心から感謝しているくらいで、真実を知った今でも俺のことを本当の兄のように慕ってくれている。だが…」

 

麟児は口を閉じてしまった。

しかしその様子を見ればツグミには彼の心の中がわかる気がした。

赤の他人が勝手に家に入り込んできて自分たちを騙していたとなれば絶対に許せないと思うのが当たり前で雨取夫妻の気持ちも理解できる。

 

(でもそれだけじゃないわよね。偽の記憶を植えつけられたとはいえ、実際に何年も家族として一緒に暮らして情がわいてしまったとしたら複雑な気持ちになる。だから嫌っているというよりも雨取夫妻もどう接していいのかわからないで迷っているんじゃないかな? 和解のきっかけでもあれば元の4人には戻れなくてもやり直すことはできるはず。今のチカちゃんなら誰かに相談することもできるだろうし、自分にできることを考えて行動に移すこともできるはず。家族の絆って血の繋がりもあるけど、一緒に暮らした時間も重要だと思う。そして一番大切なのは相手を思いやる気持ち。…今はただ見守るだけでいい。雨取家の問題は彼ら4人で解決しなきゃいけないことだものね)

 

それから30分ほどツグミは麟児と「近界民(ネイバー)玄界(ミデン)で共存するために必要なもの」について意見交換をしたのだった。

 

 

 

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