ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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55話

 

 

「ボーダーのみなさん、こんばんは。冬島隊オペレーター真木理佐(まきりさ)です。B級ランク戦3日目、夜の部を実況していきます。解説席には三輪隊・奈良坂透さんと嵐山隊・木虎藍さんに来ていただきました」

 

「よろしく」

「よろしくお願いします」

 

「今回の注目はなんといってもひとり部隊(ワン・マン・アーミー)である玉狛第3と漆間隊、そして前回玉狛第2にしてやられた荒船隊と上手く利用されてしまった感のある諏訪隊という四つ巴戦。ステージ選択権のある漆間隊はどのようなステージを選ぶのでしょうか? 奈良坂さんはどう思われますか?」

 

「前回玉狛第2は狙撃手(スナイパー)に有利なステージを選んだことで自隊と諏訪隊の利害を一致させた作戦でしたが、漆間隊長がその二番煎じをするとは思えません。そうなると荒船隊対策としては素直に狙撃手(スナイパー)に仕事をさせにくいステージを選ぶでしょう」

 

「つまり射線の通りにくい『住宅地B』とか『工業地区』などの可能性が高いということでしょうか?」

 

「はい。ただし諏訪隊対策の手段が別に必要となります。漆間隊長はバッグワームの他にカメレオンやダミービーコンといったオプショントリガーを使用した隠密的な戦術を多用する銃手(ガンナー)ですから、諏訪隊に対してはそれらを利用した別の手を打つのではないかと思われます。そして玉狛第3に関しては対策を立てようがないですから、できれば他の部隊(チーム)に倒してもらいたというところでしょうか」

 

「では今度は木虎さんにお訊きします。圧倒的な実力差を見せつけて2戦連勝の玉狛第3はどう動くと思われますか?」

 

続いて真木は木虎に訊く。

 

「ツグミ先輩は完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)で、どんな状況にも即座に対応できるだけの力を持っています。たぶん漆間隊長が選んだステージを見てから決めると思います。彼女は特に苦手なステージはないということですし、むしろ不利な状況になった時の方がやる気が出るなんて言っていましたから、今頃は作戦室でワクワクしているんじゃないでしょうか」

 

「ドキドキではなくワクワクですか…」

 

 

その頃、玉狛第3の作戦室では木虎の想像していたとおりに、ツグミと栞がどんなステージになるのかをワクワクしながら待っていた。

 

「中位グループともなれば、そう簡単に点を取らせてはもらえそうにありませんけど、だからこそやる気が出るというものです」

 

「さすがはツグミちゃん。余裕たっぷりだね」

 

「余裕というより何事も蓋を開けてみないとわかりませんからね。今はきれいにラッピングされた箱のリボンに手をかけている気分です。早く開けたくて仕方がない、みたいな」

 

「ツグミちゃんが()()()()ステージだといいね」

 

「はい」

 

 

 

 

ツグミと栞がこのような会話をしている間にステージが決まった。

 

「ステージが決定されたようです。漆間隊が選んだステージは…『森林地帯A』? わたしは見たことがないんですけど、おふたりはご存知ですか?」

 

真木が奈良坂と木虎に訊く。

 

「ステージ自体は知っていますが、ランク戦や訓練で使用したことはありませんから俺は詳しくは知りません」

 

「私は入隊して間もない頃に地形踏破訓練で使ったことがあります。樹木のせいで射線がまったく通らない、狙撃手(スナイパー)にとって非常に不利なステージです。ですが視界が遮られ、戦闘に適した平地が少ないという点で攻撃手(アタッカー)銃手(ガンナー)射手(シューター)にとっても戦いにくいと思います」

 

メインモニターに映る景色は見渡す限り針葉樹林帯が続く深い森であった。

針葉樹というのは高さが15~20メートルの杉で、生い茂る葉が上空からの光を遮っていて薄暗く、地上の視界は決して良いとはいえない。

ただしフィールドの中央に池があってその周辺だけが開けている。

さらに高低差はほぼゼロで、間違いなく狙撃手(スナイパー)を封じるためのステージと言っていいだろう。

 

 

 

 

転送開始のカウントダウンがゼロとなり、ツグミたちは「森林地帯A」のフィールドに転送された。

 

「さあ、転送完了です! 各隊員は一定以上の距離をおいてランダムな地点からのスタートになります! …っと、これって霧…ですか!?」

 

フィールドは霧に包まれていて、視界がほぼゼロという真っ白な世界となっていた。

そこに真木の実況が入る。

 

「えっと…時間帯は『早朝』で、天気は『霧』となっています。これは非常に戦いづらい。…おっと、全員がバッグワームを起動。レーダー上から姿が消えました。狙撃手(スナイパー)だけでなく全員がバッグワームを使うなんて珍しい展開ですが、おふたりはこれをどう思われますか?」

 

「そうですね。昼の部の那須隊もそうでしたが、中位グループともなると極端な環境のステージを選ぶこともあります。しかし戦い慣れないステージや天候は敵だけでなく自隊にとっても戦いにくく、よほど慎重に動かなければ自滅を招くことにもなる諸刃の剣と言ったところです。このように視界がほぼゼロという状況では、上手く連携ができないと同士討ちになる可能性もあります。そういう点でも漆間隊長はステージ選択権を上手く利用しています」

 

「漆間隊長とツグミ先輩は自分以外がすべて敵ということで、出会った相手は誰であっても倒せばいい。これは漆間隊にとって有利であると同時に玉狛第3にとっても好都合。下手に動いては敵と遭遇(エンカウント)してしまうおそれがありますから、荒船隊と諏訪隊は密に連絡を取り合いながら慎重に行動するしかない。いつもの動きが制限されるという点で霧という天候の選択は正しいですね」

 

奈良坂と木虎が解説しているうちにフィールド上の各隊員の位置が映し出される。

 

「中央に東西約100メートル、南北約70メートルの楕円形の池があり、その周囲が幅20メートル弱のドーナツ状の草地になっているようです。開けた場所はここだけですから、戦闘フィールドはこの草地がメインになりそうです。そして各隊員の位置は…池を中心にして北東に笹森隊員、北に穂苅隊員、北西に堤隊員、西に漆間隊長、南西に霧科隊長、南に半崎隊員、南東に諏訪隊長、東に荒船隊長という感じにバラけました」

 

現状を真木が説明する。

 

「穂苅隊員と半崎隊員は攻撃用トリガーがイーグレットだけですから、敵との遭遇(エンカウント)には特に注意をしなければなりません。狙撃手(スナイパー)は近付かれたらそれでおしまいですから」

 

狙撃手(スナイパー)である奈良坂の言葉だから真実味が増す。

 

「では荒船隊はどう動くと思いますか?」

 

真木が奈良坂に訊く。

 

「荒船隊長は弧月を持っていますから、接近戦に持ち込まれても対応できます。ですから穂苅隊員と半崎隊員はできるだけ敵に見つからないように動きながら、荒船隊長と連携できる位置につきたいものです」

 

「では諏訪隊はいかがでしょうか? 木虎さん、お願いします」

 

「諏訪隊は密集陣形でいきたいでしょうから、3人の合流を優先するはずです。各隊員が近・中距離の攻撃に対応できますから、合流する前に敵と遭遇(エンカウント)しても援軍が来るまで粘れば勝機はあります」

 

荒船隊と諏訪隊はそれぞれの方針で行動を開始した。

やはりそれぞれの動きは鈍く、敵の様子を見ながらの移動といった感じだ。

 

ツグミはというと強化視覚(サイドエフェクト)を使って周囲を見渡した。

 

(わたしが転送されたのはフィールドの南西の端。そして一番近い敵はここから約50から60メートルってとこ…。誰だかわからないけど、向こうはこっちの存在に気付いていないはずだから一気に攻め込むか…)

 

ツグミの最初の標的(ターゲット)にされたのは半崎だった。

霧とバッグワームのせいで背後から接近されていたことに気付かず、旋空弧月によって首を一刀両断されてしまったのだ。

足音などで気付かれる前に離れた場所から放った旋空弧月だから、半崎は自分の身に何が起きたのかまったくわからず、「ダルい」などと言っている間もない状態で緊急脱出(ベイルアウト)したと思われる。

 

「おおっ、1点目は霧科隊長がもぎ取った! 半崎隊員、まだ何もしていない状態で緊急脱出(ベイルアウト)です」

 

半崎が緊急脱出(ベイルアウト)したことをフィールド内の全員が知るが、誰が倒したのかはわからない。

よって緊張感が一層高まった。

 

 

 

 

「次に遭遇(エンカウント)しそうなのは荒船隊長と笹森隊員ですね。北西へ移動を開始した荒船隊長の後方約20メートルに南西へ移動していた笹森隊員がいます。たぶん彼は自分の前に荒船隊長がいることにまだ気付いていないでしょう」

 

「どちらが先に気が付くかがポイントですね。ふたりとも弧月を装備しています。腕前の点では荒船先輩が有利ですが、背後からいきなり斬りかかれば笹森先輩にも勝ち目はあります」

 

木虎の言うように荒船と笹森では圧倒的に荒船有利だが、お互いに接近していることにも気付かないような状況では背後を取った方が有利となる。

 

「一方、漆間隊長は他の隊員より先に中央の草地に到着しました。最初の転送位置が良かったですからね。…おや、なにやら辺りに何かを仕込んでいるようです。これは何でしょうか?」

 

「たぶん炸裂弾(メテオラ)でしょう」

 

木虎が即答する。

 

「場所が草地ですから草の間に細かく分割した炸裂弾(メテオラ)を仕込んでおけば、霧のせいで足元まで注意を払うことができない敵はそれに気付かずに踏んで起爆させてしまう。弾のひとつひとつは小さいですから威力は低いでしょう。しかし複数仕掛けておくことで誘爆も起き、大きな効果も得られる。脚の1本くらい持っていかれる可能性もあります。さらに敵の接近を知らせる(トラップ)としても役に立つ。…いえ、そちらの方がメインかもしれません。アバウトでも位置がわかれば、姿が見えなくてもそこを突撃銃(アサルトライフル)型トリガーで乱射、という攻撃もありますから」

 

「なるほど…。自分は隠れていて敵が勝手に居場所を教えてくれるということなんですね」

 

真木が感心したように言う。

 

「おっと、フィールドでは荒船隊長と南東へ移動していた穂苅隊員が上手く合流したようです。そうなるとすぐそばにいる笹森隊員は逆に不利となりました。不意打ちであっても一対二では分が悪い。ここは敵を発見しても攻撃をせずに諏訪隊長たちとの合流を優先すべきでしょうね。一方、半崎隊員を倒して以降、霧科隊長の動きが鈍いようです。転送された場所が南西の外れであったこともそうですが、慎重に進んでいるようで中心から200メートル以上も離れています。これはどういう作戦なのでしょうか?」

 

奈良坂がそれに答える。

 

「たぶん彼女は荒船隊や諏訪隊が乱戦になったところで割って入るつもりなんでしょう。半崎隊員は彼女が進む先に運悪くいたことで排除されただけだった可能性が高いです」

 

「ですが森の中は走りにくいですし霧で視界も悪いですから、ある程度は接近していないと出遅れてしまうのでは?」

 

「そうですが、彼女のことですから、我々の思いもつかない方法で攻撃することも考えられます」

 

奈良坂も彼女が何をするのか想像し難く、またどんな展開となるのかが楽しみでもある。

 

「それにしても視界が悪いためにそれぞれの動きはいつもより鈍いですね。制限時間が60分とはいえ、あまりのんびりしていると時間切れ(タイムアップ)となってしまいます。すでに30分を過ぎていますから…っと動いた! 漆間隊長の仕掛けた(トラップ)に引っかかったのは…堤隊員です! 池の南東側で合流した諏訪隊長と笹森隊員に追いつこうとして単身で草地に踏み込んでしまったようです。おっと、設置してあった炸裂弾(メテオラ)が誘爆を引き起こし、辺りは霧と爆煙で何も見えません! しかしそこを漆間隊長が強襲! 突撃銃(アサルトライフル)型トリガーで通常弾(アステロイド)をバリバリ撃ち込んでいきます。堤隊員はシールドと散弾銃(ショットガン)型トリガーを使って攻撃を避けながらの応戦です」

 

真木が状況を説明し、それに木虎が解説を加える。

 

「しかし散弾銃(ショットガン)型トリガーは瞬間火力が高いといっても射程が突撃銃(アサルトライフル)型トリガーと比べると短いですから堤さんは不利ですね。漆間隊長はその射程差を上手く利用して戦っています。少しずつですが堤さんのトリオンを削っているようです」

 

木虎の解説は続いた。

 

「このまま諏訪隊長と笹森先輩に合流できなければ、位置を知られたことでツグミ先輩に追いつかれて三つ巴になる恐れがあります。そうなると堤さんはもう逃げ切れません。さらにこの位置で戦闘を続けると池の対岸にいる荒船隊長と穂苅先輩の狙撃の的になる可能性も。とにかく絶体絶命の状態です」

 

フィールドでは漆間と堤が戦端を開いたことで大きく動いていた。

 

[ツグミちゃん、漆間隊長と堤さんが池の南西側で戦闘開始したよ]

 

栞の通信が入る。

 

[はい、わたしも確認しました。これから強化視覚(サイドエフェクト)で他の隊員の位置を調べます。視覚データを送りますから、タグ付けしてください]

 

[任せて!]

 

強化視覚(サイドエフェクト)で他の隊員の大まかな位置を調べるツグミ。

 

(池の南東にふたり…、北の森の中にふたり…。動きから判断すると南東のふたりが諏訪さんと笹森くん。北側の荒船さんと穂苅さんの動きにも気を付けなきゃ)

 

[シオリさん、池の南東側のふたりが諏訪隊、北側の森の中のふたりが荒船隊だと思われます。これから1分毎に視覚データを送りますので管理をお願いします]

 

了解(ラジャ)

 

ツグミは敵の位置関係を把握したことで本格的に行動を開始した。

彼女はアイビス(カノン)を構え、漆間・堤両隊員の交戦地点を狙う。

 

(上手くいけば二枚抜き、いけるかも…)

 

ツグミはふたつのトリオン体が重なった瞬間にアイビス(カノン)をカノンモードで発射。

その弾は木々をなぎ倒しながら真っ直ぐに進み、標的を正確に吹き飛ばした。

 

[漆間隊員、堤隊員、戦闘体活動限界。緊急脱出(ベイルアウト)

 

「これは…漆間隊長と堤隊員の決着がつく前に霧科隊長にふたりとも持って行かれました! しかしすごい威力です。アイビスといえどもあの破壊力は同じ玉狛のトリオンモンスター・雨取隊員といい勝負です」

 

真木の感想に奈良坂が説明をする。

 

「彼女のアイビスは彼女が本部にいた頃にA級特典で改造したものだそうです。通常のアイビスではできない出力の調整ができ、最大出力ではさっき見たように狙撃というよりは砲撃に近いものとなります。なので彼女は『アイビス(カノン)』と呼んでいます。B級ランク戦において元A級隊員がA級時代に改造したトリガーを使用することを禁止する規定はありませんから、これはまったく問題はありません」

 

「なるほど…。これで玉狛第3は3得点。他の部隊がまだ0点ですから、一歩どころか二歩三歩リードです!」

 

真木が興奮気味に解説する。

 

「しかし霧科隊長の狙撃地点から漆間隊長と堤隊員の位置は見えないはず。だいたいの位置はレーダーでわかりますが、狙撃を成功させるほどの精度ではありません。当てずっぽうで撃ったということでしょうか」

 

「いいや、それは違いますね」

 

奈良坂が真木の推測を否定した。

 

「狙撃の精密さでいえば彼女は俺や当真さんほどではありませんが、当て推量で狙撃するような愚かなことをすることもありません。彼女には確証があって狙撃し、それが命中したということ。たぶん一時的にでもレーダーの精度を上げて堤隊員の位置を確定したのでしょう。そうでなければこのような()()はさすがに俺でもやりません。狙撃に失敗すれば居場所はバレバレですから。これは綿密に計算された彼女の作戦です。彼女のアイビス(カノン)なら邪魔な木ごと吹き飛ばすこともできますから、離れた場所で状況が動くのを待っていたのも頷けます」

 

「そうですね…。っと、そうこうしているうちに他の隊員も大きく動いたようです。堤隊員との合流を目指していた諏訪隊長と笹森隊員が一旦足を止めた。…さてここまでの状況を整理してみましょう。漆間隊は漆間隊長の緊急脱出(ベイルアウト)でゲームオーバー。荒船隊は半崎隊員を失い、荒船隊長と穂苅隊員は池の北側で合流を果たしましたがまだ敵に居場所を発見されていません。諏訪隊は堤隊員を失い、南東側の森で合流した諏訪隊長と笹森隊員の居場所もまだ敵には特定されていません。玉狛第3は霧科隊長が池の南側の森に潜んでいて、居場所は先ほどの狙撃でほぼ確定している…というところですね」

 

真木が現状を説明した。

3つの部隊(チーム)が膠着状態になっているものの、そのバランスが崩れると一気に戦況が動くだろう。

ここで木虎が解説する。

 

「再び全員がバッグワームを使用してレーダー上から姿が消えてしまいましたから、敵を見つけるには勘を頼りに移動することになります。試合開始直後よりは霧が晴れてきましたが、それでもまだ敵を目視で確認するには近くまで近付かなければなりません。諏訪隊は積極的に動いて敵との遭遇(エンカウント)を目指したいところですね。ひとまずツグミ先輩のおおまかな位置はわかっていますから、ふたりで強襲するのではないでしょうか」

 

「では近距離戦に対応できるのが荒船隊長だけの荒船隊はどうすべきだと思いますか?」

 

「荒船隊は隊員同士が適当な距離を取って敵を別方向から包囲する戦術(スタイル)です。ふたりで一緒にいるよりは離れていた方が良いのですが、近接戦に対応できない穂苅隊員を単独行動させるのは危険です。ただ荒船隊長としては近・中距離にも対応できますから、積極的に点を取りに行きたいはず。この状況は厳しいですね」

 

「では、奈良坂さんは狙撃手(スナイパー)の立場として穂苅隊員と霧科隊長の今後の動きについてお願いします」

 

「まず穂苅隊員ですが…彼は絶対に位置を知られてはなりません。荒船隊長との連携ができるようになるまで身を潜めると同時に、射線の通る場所を探すことも必要です。森の中では難しいですが、池を挟んだ向かい側の岸からの狙撃なら霧の状況によって可能になりますから。そして霧科隊長はさっきの狙撃により南側の森の中に潜んでいることはバレていますが、いつまでも同じ場所にいるはずがありません。彼女はすでに3点ゲットしていますからこのまま時間切れ(タイムアップ)や自発的な緊急脱出(ベイルアウト)を狙うこともできます。しかし彼女がそんなことをするはずがなく、完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)というアドバンテージを活かして積極的に点を取りに動くでしょう。ただしどちらの部隊(チーム)とでも遭遇(エンカウント)すればバッグワームを解除せざるをえない状況になりますから、残りの部隊(チーム)が『自分たちの位置は知られずに敵の位置がわかる』という優位につくことになります。霧科隊長にとっては分が悪いですね」

 

「そうなると霧科隊長は荒船隊・諏訪隊が動くのを待つべきなのか、自ら動くべきなのか…どちらでしょうか?」

 

「近・中距離の火力に特化した諏訪隊と遭遇(エンカウント)すれば一対二で苦戦を強いられます。また荒船隊長は弧月のマスタークラスで、穂苅隊員の援護が効くのであればさらに彼女に勝目はなくなります。いずれにしても容易く倒せる相手ではありません。時間がかかれば敵が増えてしまう。彼女も狙撃手(スナイパー)オンリーなら動かずに時を待つでしょうが、近・中距離にも対応できるからこそじっとしていられない。俺自身、彼女がどう動くのか興味があるんですよ」

 

そう言って奈良坂は意味深な笑みを浮かべた。

 

 

 






玉狛第3(霧科隊)の3戦目は「森林地帯A」というオリジナルのステージにしてみました。
深い森の中央に大きな池があるという単純なマップです。

作中でツグミは「アイビス改」というオリジナルトリガーを使用しています。
彼女がA級時代にA級特典で改造したものとし「B級ランク戦において元A級隊員がA級時代に改造したトリガーを使用することを禁止する」規定がないというのは作者による捏造設定です。



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