ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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541話

 

 

須坂家の家族との面会を終えたツグミはすぐに厨房へ向かい、ダフネとのピクニック用に頼んであったサンドウィッチやオムレツなどの料理を受け取った。

そしてその足でダフネとの待ち合わせ場所である庭園の東屋へと急いだ。

特に約束の時間というものは決めていない。

ただツグミ自身が早めに着くことには何ら問題はないのだが、遅れた場合にはダフネの機嫌を損ねることとなる。

単に親交を深めたいという趣旨のものなので、ツグミはダフネに少しでも気持ち良くピクニックを楽しんでもらいたいのだ。

 

東屋にはまだダフネの姿はなく、ツグミはベンチに荷物を置くと花壇の花を見て回った。

 

玄界(ミデン)にも普通にある花ばかりね。だけどそれは近界(ネイバーフッド)玄界(ミデン)…わたしたちの世界と同じような大気や土壌である証拠。だから玄界(ミデン)で品種改良された収穫量が多くて病害虫に強い穀物も育つ可能性が高いってこと。エウクラートンでは小麦で成功して、今年はイモ類の栽培を始めて順調に育っているそうだから、このラグナでも秋には小麦の種を蒔いてみたいな。成功すれば農作業もだいぶ楽になるはず。労働人口が少ないなら効率を良くするしかないんだから。そして食料を増産できれば人口が増えても維持できるようになる。医療面はしばらくの間ボーダーの提供する医薬品で凌ぎ、その間に医師を育成するようになれば死亡する人が減って新しい命が育っていくようになる。だけどそれは長期的な計画であり、2年や3年ですぐに効果が出てくるものじゃない。それを理解してもらうことから始めるんだけど、あの女王陛下が聞く耳持ってくれなきゃ意味ないのよね…)

 

近界(ネイバーフッド)の国々は()()()(マザー)トリガーによって創造されている。

そのはじまりがどのようなものであったのかは記録がないし誰も知らない。

しかし近界民(ネイバー)玄界(ミデン)に住む人間と遺伝子レベルでほぼ同一の人類であることと、近界(ネイバーフッド)の土壌もまたほぼ同一の成分であることは科学的な調査によって判明している。

かつて地球上に存在したアトランティスやレムリアなど超古代文明の痕跡だけを残して異世界へ旅立った人類であったとすれば、故郷の環境に近い大気や土壌などを再現しようとするだろう。

ならばいろいろなものが似ていて当然で、現代の玄界(ミデン)の文明を受け入れることも可能なはずだ…とツグミは考えている。

証拠などなく夢物語だと一蹴されてしまいそうな仮説だが、実際に近界(ネイバーフッド)を旅して何人もの近界民(ネイバー)と交流をしてきた彼女だからこその「勘」も論拠となっているのだ。

 

(マザー)トリガーの操作によってトリオンをさまざまなものに配分する。国土の維持、太陽や月の巡り、季節の変化などに使うトリオンはなくてはならないものだけど、トリオン兵や武器(トリガー)の作成なんてものは不要。それに機械や道具を動かすエネルギーを電気に置き換えることで現在のトリオンの使用量を減らすこともできれば『神』の寿命も延びる。近界民(ネイバー)たちが自分の世界の中で()()するようになれば玄界(ミデン)へ侵攻する意味はなくなるし、何よりもキオンやアフトを味方にしておけば三門市民が安心して暮らせるようになって誰にとっても万々歳。理想的な流れじゃないの。…でも現実はおとぎ話じゃないからそう上手くいくはずがない。考えたくもないけど乱星国家の中に誰にも知られていない、同盟国や友好国が共闘したとしても勝てないようなヤバい国が存在する可能性だってある。まあ、とにかく今は女王陛下にボーダーへの敵意を捨てさせることが重要。そして交渉は勝ち負けじゃないってことも教えなきゃ。相手が話を聞こうとする姿勢に持ち込んでしまえばこっちのもんなんだけどね)

 

そんなことを考えながらツグミは庭園の散策をしていて、20分ほど経ったところでダフネが侍女を連れてやって来た。

ツグミが政庁での仕事を終えたところでラグナ側の政務官がその結果をイシドロへ伝えに行き、ダフネの元に報告に行ったことで彼女はすぐに部屋を出たのだと思われる。

つまり出かける準備は済ませていたということで、ツグミを長い時間待たせてはいけないという最低限の気配りはあったようだ。

 

「待たせたかしら?」

 

ダフネはツグミのすぐそばまで来るとそう訊いた。

 

「いいえ、花壇のお花を眺めていましたら時間などまったく気になりませんでした」

 

「そう…それならよかった。でもあなたがわたしを外出に誘うなんて想定外だったわ。まあ、あなたのことだから何か企んでいるんでしょうけど、付き合ってあげる。だからさっさと行きましょう。わたしもそう暇な人間じゃないし、あなた自身も午後から仕事があるんだからのんびりはしていられないはずよ」

 

「はい。それでは恐縮ですが女王陛下にご案内していただきます」

 

ツグミとダフネが並んで歩き、その数メートル後ろを荷物を持った侍女が付いて歩く。

もちろんそれだけではなく彼女たちの視界に入らないように護衛官が張り付いている。

なにしろ女王と玄界(ミデン)の賓客に万が一のことがあってはならないのだから当然の配慮だが、対人ではなく対()用としてであった。

湖周辺は「自然のままに」が原則で、9年前の大惨事の後にできた人口湖ではあるが、今では元からそこにあったかのように思えるほど豊かな緑と野生動物の天国になっているのだ。

野鳥やウサギ、キツネなどなら問題はないが、あまり見かけることはなくてもクマやオオカミといった狂暴な動物もいるので護衛は不可欠。

そのため万能手(オールラウンダー)タイプのトリガー使いが王族 ── 生存する唯一の王族であるダフネ ── の護衛官となっている。

 

 

◆◆◆

 

 

ダフネ湖は王都から馬車に乗って10分ほどで着く近場の保養地である。

保養地といっても玄界(ミデン)のように宿泊施設や娯楽に適したものがあるわけではなく、ただ散歩したり木の実やキノコ等の採集をするくらいしかできない。

それでもレジャーという概念がない近界民(ネイバー)にとっては普段と違うことをするという点でこの湖は王都に住む人々の憩いの場所となっている。

もちろんこの湖がかつて王都のあった場所に造られたということと、事故で一瞬にして数十万人の人々の命が失われたこと、そしてダフネが女王就任して最初に行った事業であることは広く良く知られている。

 

「ここで9年前に悲劇が起きたなんて信じられないほど静かで穏やかな場所ですね」

 

湖畔を歩きながらツグミがそうダフネに話しかけると、彼女はまだ警戒心を解いていないのか冷淡な態度で答えた。

 

「悲劇、なんて軽い言葉で片付けられるようなものではありません。何も知らないあなたにはわたしたちラグナ国民の気持ちなど理解できるはずがないのです。口を慎みなさい」

 

「申し訳ございません。ですがわたしたちの住む三門市でも多くの命が失われ、400人以上の市民が近界民(ネイバー)によって拉致されました。さらにいくつかの国に売られ、帰国できる日を一日千秋の想いで待っている事実は陛下もご存じではありませんか?」

 

「それはわたしに対する嫌味ですか?」

 

「いいえ、そんなつもりはありません。ただ事実確認をしただけです。わたしに与えられた任務は拉致被害者市民を全員無事に帰国させることですから」

 

「まあ、そちらの事情はともかくラグナ政府としてはあなたがミカド市民と呼ぶ彼らのことを自国民として保護する義務がありますし、この国で生まれた子供はまごうことなきラグナ国民です。あなたは家族が引き離されることを承知で返せと言うのですか?」

 

ダフネの言い分はラグナの女王としては当然だが、拉致被害者の気持ちは無視されている。

拉致被害者市民が現地の人間と結婚してできた子供は確かにラグナ国民で、その母親が帰国してしまえば子供たちは母親のいない状態で生きていかなければならないことになる。

そこを突かれるとツグミも言い返せないが、もしその子供も一緒に三門市へ行きたいと言えば親子を引き離すことにはならない。

しかし国民を増やすことを第一と考えているので、子供たちがラグナを捨ててしまえばこれまでの苦労が水の泡だ。

だからダフネは拉致被害者市民を返したくはないわけで難癖をつけてでも返す気はなく、仮にどうしても返さなければならなくなった時には滅茶苦茶な条件を叩きつけてボーダーと有利な交渉をするつもりでいる。

だから少しでも弱気な部分を見せてしまえば負けだと考えていて、ダフネは常に女王として尊大な態度でいるのだ。

 

「わたしも家族を引き離そうとはまったく考えてはいません。最も優先すべきは彼らの気持ちで、彼らの希望を叶えるためならボーダーは最善を尽くす覚悟でいます。彼らの帰国の許可を得るためにわたしはいくつかの条件を提示しており、午後には彼らの意思を確認して彼らの希望を確認します。そしてその希望がどのようなものであっても叶えるために努力するだけ。ですから帰りたくはないという方を無理やり引っ張って帰ることはありません。ただ一時帰国はしたいと思うはずです。三門市には彼らの家族がいて、無事を信じて待っているのですから。女王陛下はそのような家族を引き離したままで良いとお考えですか?」

 

ダフネが自ら家族が一緒にいることの重要性をアピールしてしまったのだから、三門市にいる家族に会わせないということにはいかないはずで、彼女の表情は「しまった」というものになった。

 

「先ほど面会した須坂家のみなさんは帰国を希望しています。玄界(ミデン)には不治の病に侵されて余命いくばくもないご家族がいて、彼らの帰国を一日も早くと心から願っているのです。もしここでぼやぼやしていてこの家族が対面できなかったとしたら、須坂家の家族全員が一生後悔してしまうことにもなりかねません。その時にあなたは彼らにどのような言葉をかけるのですか?」

 

「……」

 

「須坂家の事情は一例です。他に41人の人間がいれば41の事情が存在するはずです。それを確認するのが午後のわたしの仕事です。その結果は夕方まとめますので、夕食の後には書面でご報告できるかと思います」

 

そう言ってからツグミは微笑んで言う。

 

「それまではこのピクニックを心から楽しみましょう。わたしの暮らす三門市の近くには海はありますが湖はありません。ですからこんなにきれいな湖を見たのは生まれて初めてで、少しはしゃいでしまっていたようです」

 

すると湖を褒められたことでダフネは機嫌を直したらしく自慢げに言った。

 

「それは当然よ。たぶん近界(ネイバーフッド)中探したってどこにもこれほど美しい湖はないはずだもの。…ここには罪や穢れのない36万5294柱の魂が眠っています。彼らはラグナにとってかけがえのない国民であり、わたしの大切な国民の家族や友人だったんです。彼らが安らかに眠ることのできる場所なんですから」

 

「だからあなたは無残な跡地を美しい湖にしたんですね?」

 

「え?」

 

「一般的には慰霊碑や記念碑といったものを建立して年一回の慰霊祭を行うことで悲劇を忘れてはいけないと国民の記憶に植え付けることが多いですけど、あなたはそういう味もそっけもない慰霊碑は建てず、また慰霊祭もひっそりと内輪だけで行っているそうですね。わたしなら儀礼的な()()を毎年繰り返すよりも国民にこの湖を憩いの場として利用してもらうことで忘れないでいてもらおうと考えます。わたしはこの国に来てすぐにこの湖を見て、もしかしたらあなたもこのような気持ちで湖を造ったのではないかと想像してしまいました」

 

「……」

 

ツグミの言葉にダフネは言葉を失い、唇を震わせて彼女をじっと見た。

それもそのはずで、ダフネはなぜ湖を造ろうとしたのかを誰にも言わず、ただ女王としての命令であり有無を言わさず作業をさせた。

だから彼女以外の人間は見た目が悪く悲劇の起きた土地をなかったものにしたくて、土を入れるよりも水を引き入れた方が簡単だということで湖を造るよう指示したのだと思い込んでいる。

別に彼女は自分の気持ちなど誰にも教える必要はなく知ってほしいとも考えていなかったので、自国民ではない玄界(ミデン)から来た少女がその想いに気付いてくれたことが驚きであり嬉しかったのだ。

 

「太陽の光は森の木々を育て、風が木々の間を吹き抜けて湖面にさざ波を生む。冬の間に葉が落ちてしまった木々は春になれば緑の葉を茂らせ、秋には美しく色付いて葉を散らす。それを繰り返しながら時は流れていきますが、事故の痕跡を消しても移り変わりゆく森の姿を見ていれば犠牲者のことを忘れることはできないでしょう。だって犠牲者の魂が清らかだからこそ、この湖とそれを囲む自然が美しいと感じられるんですもの。慰霊の気持ちで訪れる人ばかりではありませんが、ここに来れば自然と思い起こされてしまいます。そして人々の頭から事故の記憶は消えることはない。そうではありませんか?」

 

ツグミの言葉にダフネは嬉しそうに頷いた。

 

「まさかあなたにわかってもらえるとは思ってもいなかったわ」

 

そして周囲の木々を見回しながら続ける。

 

「湖畔には36万5294本の広葉樹を植えさせました。カエデ、ナラ、ブナ、ケヤキ、そしてクリも植えていますから秋になると大勢の人が栗拾いにやって来ます。魚もいますがここでは釣りは禁止ですし、野生動物も危害を加えるものでなければ傷つけたり殺すことは禁止されています。だってここは多くの命が失われた場所です。人ではなくてもこれ以上命が奪われる行為は許せませんから」

 

「そうですね。その気持ちは良くわかります。そして犠牲者の中にはあなたのご家族もいらっしゃって、誰よりも哀しみは深いというのに女王としての責務が少女のあなたに覆いかぶさって逃げられずにいた。おまけに悩みや苦しみを相談できる親しい人物はおらず、ずっとひとりで抱え込んでいたのではありませんか?」

 

「……」

 

「わたしに弱みを見せたくはないと無理に虚勢を張ることはありませんよ。あなたはラグナの女王ですが、その前にひとりの人間です。哀しければ泣いたってかまいませんし、あなたが弱みを見せたからといってそのことを交渉の際に利用することは絶対にありません。安心してください」

 

その言葉を聞き、ダフネは堰を切ったように泣き出してしまった。

それを少し離れた場所で見ていた侍女だけでなく、かなり離れてはいるもののダフネの様子はしっかりと見える場所にいる護衛官たちも普段は見せない彼女の様子に驚いてしまったが、これこそ17歳の少女らしい本当の姿なのだとわかって安心もしていた。

 

そして思いっきり泣いたことですっきりしたらしく、ダフネはツグミに手渡されたハンカチで涙を拭うと本心からの笑顔を見せた。

 

「ありがとう、ツグミ。泣いたら気持ちがだいぶ楽になったわ」

 

「それはよかったです。何においても我慢は身体に毒ですからね。わたしも以前に周囲の人たちに心配をかけたくないと無理に平気なフリをして泣くのを我慢していたことがありました。でもそれは逆効果で周囲の人たちはわたしが彼らのことを信頼していないから悩みを打ち明けてくれないのだろうと勘違いをしていたんです。家族や友人といった親しい人間に弱みを見せることは恥ずかしいことではなく、相手のことを思いやってのことでもその相手に対して逆効果の時もあります。正直な姿を見せることができないというのは立場上理解できることですが、誰かそれができる相手を持つべきです。幸いあなたには素敵な婚約者の男性がいますから、彼に対してだけはこんな姿を見せてもいいんじゃありませんか?」

 

ツグミは良かれと思って言ったのだが、ダフネの態度を見ると逆効果であったようだ。

 

「ロレンソは元々姉上の婚約者で、次期女王だった彼女が死んでしまったから次は女王のわたしと結婚するというだけの関係。未だに姉上のことを愛していて、わたしのことなんて眼中にはないわ。…いいえ、わたしが姉上に似ているからじっと見つめていることもあるけど、ただそれだけだから」

 

「そう…ですか? わたしは違う印象を受けましたけど」

 

「どういうこと?」

 

「えっと…上手く言葉にはできないんですけど、男女の愛情はおふたりの間に感じられませんでしたが、少なくとも彼のあなたに対する感情は柔らかくて暖かいもので、単にあなたのお姉さまが亡くなったからあなたに乗り換えたということではないと思います」

 

「柔らかくて暖かいって、まるで毛布みたいね」

 

「だから~言葉にするのは難しいんですよ~。…でも包み込むような優しさと言うか、辛い時にそばにいてくれたら安心できる存在と言うか…なくてはならない人だということは確かです。あなたが寄り添う態度を見せたら彼もあなたに対して気持ちが変わるかもしれませんよ」

 

するとダフネは少し考えるような素振りを見せ、何か覚悟を決めたかのようにツグミに言った。

 

「そうかもしれないわね。玄界(ミデン)からの客人にそう言われたら引き下がるのは癪だもの、彼に話をしてみるわ」

 

そして続けて言う。

 

「それにあなたからそうしろと働きかけてきたんだから、何かあった時には責任をとってわたしの相談相手になりなさい」

 

「え?」

 

ツグミは想定外のことに目を丸くした。

 

「無理に虚勢を張ることはないし、弱みを見せたからといってそのことを交渉の際に利用することは絶対にないってあなたは言ったわ。だからわたしはあなたを友人と認めて弱みを見せることにする。でも交渉の方は別。それでどう?」

 

「どう…って?」

 

「ラグナ女王のわたしが友人になってあげるというのよ、不満なんてないわよね?」

 

弱みを見せることを頑なに拒否していたダフネがようやく心の鎧を脱いだと思ったが、女王という最強の武器だけは捨てないようだ。

 

「それならお断りです。わたしは女王としてのダフネ・ラグナではなく、ダフネという17歳の少女と友人になりたいんですもの。そもそも人間関係で親しくなろうというのに肩書を持ち出すのは無粋というものです。ここは立場や肩書などというものを捨てて一個人として仲良くなりましょう」

 

そう言って右手をダフネの前に差し出した。

 

「これはどういう意味?」

 

玄界(ミデン)では右手で握手をすることは『仲良くなりましょう』とか『仲直りしましょう』という気持ちを行動に表したものです。右手を差し出すのは相手に対して『わたしは武器を持っていませんから警戒しないでいいですよ』ということらしく、わたしは玄界(ミデン)で生まれ育ったので玄界(ミデン)の流儀で友人になりましょうと示しているんです。そしてあなたが同様に右手を出してこの手を握ってくれたらわたしたちは友人です。でも別に玄界(ミデン)の流儀を押し付けようというのではなく、他に気持ちを表す方法を知らないだけですから」

 

「そうなのね…。だったらこうするしかないわ」

 

ダフネは前に大きく一歩を踏み出し、ツグミの手を右手で握った。

 

「わたしもあなた個人に興味を持ったから、こうなればあなたからいろいろ聞きたいわ。わたしは何も言わないのに隠していたことを知られてしまったんだもの、わたしだってあなたを知る権利はあるわよね?」

 

「ええ。でもどこまで聞き出せるかはあなた次第。さて、少し早いですけどそろそろ昼食にしませんか?」

 

ツグミが促すとダフネが答えた。

 

「そうね。だったらこの先にとても景色の良い入り江があるのよ。そこまで行きましょう」

 

ダフネの涙もすっかり乾いたようで、ツグミと並んで再び歩き出したのだった。

 

 

 

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