ワールドトリガー ~ I will fight for you ~   作:ルーチェ

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560話

 

 

王城に到着したボーダー使節団はすぐに謁見室へと案内された。

それが意味するものはハイレインがボーダーからの()()を待っていたということ。

現在の近界(ネイバーフッド)におけるアフトクラトルの評判は「玄界(ミデン)へ攻め込んで大負けした国」で、現国王のハイレインはその遠征のリーダーであったということは広く知れ渡っている。

ハイレインにとってはプライドを傷つけられたはずなのだが、今の彼にはボーダーに対する憎しみや恨みの感情はない。

これまでアフトクラトルは「神」となる人間を厳選して(マザー)トリガーを()()してきた。

それは近界民(ネイバー)たちが「トリオンが多い国こそが強くて繁栄しており、逆に少なければ弱く貧しい」という認識でいるためで、トリオンを生み出す人間、つまり国民の数を増やすことは彼らにとって重要な問題である。

ところが国民の数が増えない理由の根本的な解決手段を持たないため、安易に「足りないなら他国から奪おう」ということになるのだ。

そこで国民の生活レベルを蔑ろにしてトリオン兵や武器(トリガー)の製作に大量のトリオンを注ぎ込む。

そのせいで国民は苦しい生活を強いられるが、多くの国では貴族階級の人間が支配しているため不満を言えば最悪命を失うので皆我慢をするしかない。

アフトクラトルが「神の国」とか「軍事大国」と呼ばれるのはこの国の社会構造に大きく影響しているものと思われる。

この国は「神」を見付けてきた者が王となり、その王家の一族がずっと支配をしているのだが、四大領主と呼ばれる有力貴族の一角であるから残りの3領主が数十年後か数百年後かわからないが次の「神」を選ぶ時には我こそと王座を狙うという状態が続く。

ハイレインが王となる前はコヴェリ家の人間が専制政治を行っていて、彼のベルティストン家はコヴェリ家と非常に仲が悪かったために不遇な扱いを受け続けていた。

だからハイレインはどんなことをしてでも国王になりたくて優秀なトリガー使いである家臣たちを自ら引き連れていくつもの国へと侵攻し、勢力範囲を広げていったのだった。

もちろんコヴェリ家と残りの2領主も次の「神」を探してハイレイン同様に他国へ侵攻していくわけだが、それぞれが大量のトリオンを投じて戦争を行うためにいくら(マザー)トリガーを強化したところですぐに寿命は尽きてしまう。

事実、本来なら「神選び」はもっと先になるはずだったが、コヴェリ家のせいで(マザー)トリガーの寿命が短くなったということだ。

ひとつの国の中で4つの勢力が直接戦うわけではないが対立してライバルの弱体化を願っていたのだから愚かだとしか言いようがない。

しかし千年以上もこのシステムで国が保たれてきたのだから多くの人間が()()していた。

ところがハイレインの考え方は少々違っていた。

彼は戦争を好む人間ではなく、むしろそんなものは放棄して家族と穏やかな暮らしをしたいと願う普通の人間である。

その願いを叶えるために彼は自分がアフトクラトルの王となり、近界(ネイバーフッド)を「力」によって支配することで絶対王政を布くつもりでいた。

近界(ネイバーフッド)で最強の国の王であれば彼の命令は絶対となり、すべての国が彼の意思によって統一される。

そうして各国の戦争をなくそうと考えていたのだ。

戦争を否定するために戦争を利用するというのは矛盾しているが、彼が育った環境が「力こそ正義」であったからやむをえないと言える。

そのためにずっと戦い続けていて、三門市への侵攻もその一環であった。

ボーダーとは三門市防衛戦及びC級隊員救出遠征部隊との戦いの2回とも煮え湯を飲まされてしまう。

それは彼にとって想定外のことであり、「神」選びの際には忠臣であるミラを生贄にしなければならなかったくらいだ。

だが大きな犠牲を払ったおかげで彼は国王となる。

この段階ではまだ武力によって近界(ネイバーフッド)の統一を目指していたために失った戦力の補強は進めていたのだが、ボーダーへのリベンジマッチは考えていなかった。

それはキオンと手を組んでいるボーダーに手を出すことはハイリスクであり、何よりも滅びかけている国を再興することが最優先であったからだ。

そのうちにランバネインを通じてボーダーと交流をするようになり、ツグミの口からキオンのテスタが武力に頼らない近界(ネイバーフッド)の統一を目指していることを知る。

キオンとアフトクラトル ── 双方とも強大な軍事国家であるからその「看板」だけで他国をおとなしくさせることができると考え、やり方こそ違うが目指すものは同じであったのだ。

テスタがボーダーと手を結んだのはトリオンを使わない文明を広めることで武力による支配せずとも近界(ネイバーフッド)のリーダーという立場を得ることができるからである。

武力を行使して力でねじ伏せるよりもキオンのやり方がトリオンを無駄遣いしないで済むだけでなく、他国の国民の印象も大きく違ってくるというもの。

もしこのままアフトクラトルが武力統一を目指せば近界(ネイバーフッド)は大きく二分し、多くの国がキオンの傘下に入ろうとするのは明らかである。

過去にキオンと直接対決したことはないが、仮に戦争となればトリオンを無限に生み出すことのできる玄界(ミデン)を味方にしたキオンの方が圧倒的に有利だ。

それがわからないほど馬鹿ではないし、何よりもハイレイン自身が戦争を好んでやっていたわけではないのだからボーダーとは和解したいと考える。

プライドの高い彼がアフトクラトル国王としてボーダーに謝罪するくらいだから本気であったのは間違いない。

そしてボーダーの進める同盟への加入という話になり、ようやくテスタと足並みを揃えて近界(ネイバーフッド)統一を目指すことになるわけだ。

 

「ようやくこれで俺も国王として国民を正しく導くことができるようになるはずだ」

 

ハイレインは自分がこれまでに踏み潰してきた路傍の花のことを振り返り、覚悟を決めて謁見室という戦場へ足を踏み入れた。

 

 

 

 

「ボーダーのみなさん、ようこそアフトクラトルへ」

 

本来なら玉座に腰掛けて見下ろしながら声をかけるものなのだろうが、ハイレインはそうせずに室内で待っている使節団のそばに歩み寄って来た。

そして城戸に握手を求める。

 

「長旅お疲れさまでした、キド司令。遠くまでご足労いただきありがとうございます」

 

これがかつて三門市に侵攻して来た敵性近界民(ネイバー)の首領であるとは誰も想像できない腰の低さだ。

どの国であっても国王や女王といった元首が玉座を離れるということはありえない。

それはその国の威厳や矜持といったものを示すために重要なことであるからだ。

アフトクラトルであっても同様のはずなのだが、ハイレインはその慣習を破るだけでなくあまつさえ客に握手を求めてきた。

これは相手がボーダーの人間であるからに過ぎず、他国の人間であれば国賓であろうとも通常の態度であったはずだ。

 

「突然の来訪に対してご気分を害するどころかこうして歓迎いただき恐悦至極に存じます」

 

城戸はハイレインの手を握り返した。

 

「いやいや、本来ならこちらから玄界(ミデン)に足を運ぶ立場だが、我々の過去の過ちがそれを許してはもらえない。そういうことなのでしょう?」

 

「…はい。ですが三門市民は貴国の同盟加入につきまして賛成であるという判断を下しました。それはすなわち帰国の蛮行を許したということにはなりませんが、過去は過去として受け入れて未来こそ共に歩もうという意思の表れなのです。ところが大多数の人間は貴国と友好的な関係を築きたいと考えているというのにごく少数の連中は暴力によって自らの意見を通そうとする。そんな状況で陛下をお迎えするわけにはいきません。そこでこのアフトクラトルの地で同盟加入の締結式を行いたいと準備をしてまいりました。この式典が貴国と玄界(ミデン)の永続的な平和をもたらすことを心から願っています」

 

ツグミは微笑みながらふたりの様子を見守っていた。

 

(かつて近界民(ネイバー)は殲滅すべしと強硬な態度でいた城戸司令が敵の親玉であったハイレイン陛下と握手をしているなんて2年前だったら想像もできなかった。…ううん、昔は城戸司令も親近界民(ネイバー)でありボーダーがふたつの世界の架け橋となる組織にしたいと考えていたんだから、これが本来の姿だといえる。その証拠にこの人の表情は昔の朗らかなものではないけど、険しい顔でずっと近界民(ネイバー)を憎み続けていた時のものとも違う。近界民(ネイバー)と仲良くしたいという気持ちと憎む気持ちという相反するふたつの感情が心の中で戦っていた時間は長かったけど、ようやく仲良くしたいという気持ちの方が優勢になってきたんだろうな)

 

「ひとまず今日はゆっくりと身体を休めてください。今後のことはこちらに任せていただきたい」

 

ハイレインはそう言うとツグミの方を向いて言った。

 

「ツグミ、疲れているところを申し訳ないがディルクと話を進めてもらいたい。きみにばかり負担をかけさせるが、きみの願いを叶えるためには必要なことだと思って我慢してくれ」

 

「いいえ、そのようなお気遣いは無用です。陛下のおっしゃるようにわたしはこの日をずっと待っておりました。やっとそれが叶うというのですから疲れなどすっかり忘れていました。むしろ早く話を進めたいとうずうずしております」

 

するとハイレインは少し目を細めて微笑んだ。

 

「相変わらずだな、きみは。ならば遠慮なくきみにアフトクラトルの未来を委ねよう。きみなら…きみの目にはきっと輝かしい我が祖国の未来が視えているのだろうからな」

 

「そこまで信頼してくださっているのですね」

 

「俺がこのような考えを持つようになったのはきみに感化されたことが大きい。敵同士として出会ったきみが俺に人としてあるべき姿を示してくれた。過去の過ちに囚われずに未来を見据えて生きろと俺を正してくれたきみを俺は誰よりも信頼しているのだ」

 

「光栄の至りに存じます」

 

そう言ってツグミはお辞儀(カテーシー)をした。

 

 

 

 

そして使節団一行はディルクに案内されて迎賓館へと向かった。

その道すがら修がツグミに声をかける。

 

「霧科先輩、ハイレイン…陛下はずいぶんと雰囲気が変わりましたね。出会いは最悪で悪魔のように思えました。その時と比べると今は穏やかな紳士という感じです。以前の印象だと目的のためなら手段を選ばず、冷酷で無慈悲な男というイメージだったんですが今はそんな雰囲気はまったくありません。これまでいくつかの国の元首やそれに準ずる立場の人に会ってきましたが、そういった人たちとあまり変わりませんね」

 

「そうね。ハイレイン陛下も元々は家族を大切にする優しい人だったのよ。だけどアフトクラトルの貴族の嫡男としての義務を果たさなければならず、自分の思い描く未来を手に入れるにはどうしても国王にならなければいけなかった。だからそのために必要だと思えることは何だってやった。それが人の命を奪うことであってもね。そして多くの犠牲を払い国王になったことで自分の覇道を邪魔する存在は消えた。そうなれば家族や国民を第一に考えて国を豊かにしようとする。…ただあの人が武力による近界(ネイバーフッド)統一の意思を改めなかったらこうはならなかったと思う。他国の人間に対してはもちろんのこと、自分自身にも過酷な道を強いたでしょう。近界(ネイバーフッド)を統一して自分がその頂点に立てば近界民(ネイバー)同士の戦いを禁じる命令を発布してすべての人間を従わせることができる。そうして戦争をなくすんだとあの人は考えていたのよ」

 

「でも考えが変わった」

 

「ええ。キオンのスカルキ総統も近界(ネイバーフッド)を統一しようと考えていて、やり方はキオンの軍事大国という看板を利用しながらも武力による支配はしないというものだった。ふたりの目指すゴールは同じもので、手段が違っていただけ。『北風と太陽』の逸話みたいなもので、ハイレイン陛下は太陽のやり方もあるのだと気付いたから同盟に加わってスカルキ総統と対立するのではなく協調しようということにしたのよ。元々戦争なんてしたくない人だったんだから。国王になるために大切なものを失ったけど、失わずに済んだものもある。だから今はそれを大事にして国王としての役目を果たしている。誰でも自分の欲しいものがある時、叶えたい願いがある時、そして絶対に失いたくないものがある時にはなりふりかまわず死に物狂いになる。それはあなたにも心当たりはあるはずよ。遠征に参加したいからってあなたは相当無茶なことをしたもの」

 

「…はい」

 

「あの人も自分の願いを叶えるために『力』を欲した。…ねえ、あなたはアフトのトリガーホーンのことについてどれくらい知ってる?」

 

「あまり詳しくは知りませんが、子供の時にあの角をつけることによって後天的にトリオン能力を向上させる…というくらいです」

 

「そう。でもあれはかなりヤバいシロモノだわ。エネドラのように脳と同化して人格に影響したり、死期を早めたりしてしまうこともあるらしい。そういうリスクを伴う技術だというのに貴族の嫡男であるあの人はハイリスクな技術に手を出した。それはどうしても強大な力が欲しかったから。危険だとわかっていてもその力がなければ欲しいものは手に入らない。たとえ命を縮めることになっても欲しいものがあった。それが戦争のない平和で穏やかな世界。誰もが家族や親しい友人たちと笑い合える優しい日々。それを得るために大勢の人間を犠牲にしてきたけど、あの人にとってはそれがやむを得ない犠牲で、国王という『力』を得たことによって解放されて、ようやく本来のあの人に戻ることができたということね」

 

「……」

 

「わたしは人間というものは幸せになりたいという本能だけを持って生まれてくると思うの。それが成長していく段階でいろいろな出来事を経験して、それが元になって人格というものを形成していく。だから貧しい環境に生まれて欲しいものがあれば他人から奪うことを当然と思う大人たちの中で生きていればその子供も同じように欲しいものがあれば他人から奪うようになる。非常に恵まれた環境に育って他人に与えることを当たり前だとする大人を見ていれば自分も与えることを歓びとするようになる。生まれつきの善人も悪人もいなくて周りの環境に影響されるわけだけど、そもそも善とか悪とかの判断基準だって絶対的なものはない。『(ルール)』が違えば同じことであってもそれが善なのか悪なのか違ってくるものだから」

 

「ぼくはそんなこと考えたこともありませんでした。たしかに近界(ネイバーフッド)では『力こそ正義』といった感じで、とにかく武力を持つ人間は持たない者から奪い、奪われる側の人間は我慢をするか自分よりも弱い人間から奪うという負のスパイラルに陥っているように思えます。それが善なのか悪なのかは近界民(ネイバー)たちの判断ですが、それをぼくたちの世界にも当てはめようとすることは間違いなく『悪』です。玄界(ミデン)では他人から奪ったり傷つけたりするのは犯罪ですから」

 

修はそう言ってから何かを思いついたようでツグミに言う。

 

「あ…でもぼくが行ったどの国でもそれほど治安が悪いとは思えませんでした。貧富の差はあっても貧しい人たちが仲間同士で少ない食料を奪い合うなんてことはなかった気がします。むしろ貧しいながらも協力し合っていたように見えました」

 

「そうね。それは近界民(ネイバー)でも同胞であれば仲間意識が強いから協力し合おうという気持ちになるからよ。逆に他所の国であれば同族意識が減るから平気で戦うことができる。もっとも命の奪い合いにはならないトリオン体での戦いだけどね。『神』を選ぶ時にも可能な限り同胞を犠牲にしようとはしない。そうなると他国からトリオン能力の高い人間を連れて来ることになる。その方が心が痛まないから。この前のアフトの『神選び』でもベルティストン家以外の3領主はどこかの国の人間を連れて来たそうよ。ハイレイン陛下はミラを…自分の部下を犠牲にしている。そのおかげで国王になれたけど、周りの評判はものすごく悪かったらしい。同胞を犠牲にしてまで王になりたいのかと罵られたそうだけど、あの人にとってはそんな些末なことをいちいち気にはしない。だって国王になるのは手段であって目的ではないから。これから近界(ネイバーフッド)統一という長くて険しい道のりを歩いて行かなければならないんだもの。…そういうことで近界民(ネイバー)は同胞であれば団結力が強くて、それ以外の人間に対しては弱肉強食の世界だから戦争をなくせば自然と争いは減っていくということなのよ。そして国同士の戦争をなくすには同盟というグループの中に入れてしまって規定(ルール)を守らせる。玄界(ミデン)でも(ルール)という鎖で縛っておかないと勝手なことをしてしまう人間は多いからね」

 

「なるほど、それでボーダーがキオンという強国を味方にしたことでアフトも玄界(ミデン)に手出しできなかった。そして今となってはボーダーに対してリベンジマッチをする気はないから、ハイレイン陛下は自分の望む戦争のない世界を目指してボーダーやキオンと協力をしようというんですね。キオンとアフトはライバル関係ではありましたが、直接戦ったことはないので恨みや憎しみはないですから同じ目的のために手を結ぶことにためらいはない」

 

「そういうこと。以前に三門市で三国同盟締結を行った時、スカルキ総統とハイレイン陛下は国の壁や立場を抜きにして話をしたことでお互いのこともある程度は知って認めている。だから同盟加入についても受け入れたんだと思う。これから一緒に大仕事をやろうというんだから、相手のことを信頼できなきゃ不可能だもの。キオンとアフトが手を組んだと知れば他の国の選択肢は限られる。だって同盟に加入するかしないかのどちらかであれば前者の方が圧倒的にメリットがあるから。もちろん他の国と足並みを揃えて進むというのが嫌だという国もあると思うけど、だからといって敵になるということはありえない。同盟に加わっている国に手を出そうとすればキオンやアフトの軍が攻め込んで来るってことになる。さすがにこの連合軍に攻め込まれたらひとたまりもないものね」

 

ツグミと修はこの調子で迎賓館の玄関に着くまでずっと話をしていた。

その様子を城戸は見守っていて思うところがあったようだ。

 

(ツグミは三雲くんを自分の後継に据えようとしてこのような形で教育をしているのだな。彼は自分のすべきことであればそれがたとえ規律違反であってもかまわないという独善的な人間だ。隊務規定違反であっても自分が正しいと思うことはやるという点ではツグミに似ているが、ふたりの大きな違いは行動をするための『力』の有無だ。三雲くんにはその時に必要な力を持っていなかった。第三中学では訓練生の立場で武器(トリガー)を使用して問題になったが、それ以前に入隊試験で結果に不満だと言って直談判をしようとしたと聞く。やろうとする意思は強いがその力がないために規定(ルール)を無視することを平気で肯定する彼は組織に属することに向いていない。実力もないくせに遠征に参加したいと言い出すし、そのために近界民(ネイバー)を入隊させるという荒業に出た。しかし世の中それが通用するものではない。だからツグミは彼に対して『力』を与えようとしたのだったな。戦う力…戦力だけでなく他人と交わることで生来の真面目で面倒見の良い点を認められて信頼という大きな力を手に入れた。トリガー使いとしていくら強くても他人から信頼されないのであれば人として弱者でしかないからな。そして今は知識や経験というものを与えてどのような状況でも通用する人間へと育てようとしているのだ。ツグミの先を見る目は迅の未来視(サイドエフェクト)とは違うものだが確かなものであることは間違いない。総合外交政策局のことはこの子に任せておけば心配なさそうだ)

 

そして城戸は空を見上げる。

 

(私は約束を果たすことはできなかったが、織羽の娘が私たちの志を継いでくれている。この分ならおまえたちと再会した時に美味い酒を酌み交わすことができそうだぞ)

 

遠い昔に共に未来を語り合った友に心の中で呼びかけた。

 

 

 

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